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首页 / 专利库 / 有蹄类动物 / TISSUE PRODUCT DERIVED FROM ANIMAL LACKING FUNCTIONAL α 1,3 GALACTOSYLTRANSFERASE

TISSUE PRODUCT DERIVED FROM ANIMAL LACKING FUNCTIONAL α 1,3 GALACTOSYLTRANSFERASE

申请号 JP2013147567 申请日 2013-07-16 公开(公告)号 JP2013215615A 公开(公告)日 2013-10-24
申请人 Revivicor Inc; レビビコア, インコーポレイテッド; 发明人 AYARES DAVID; ROHRICHT PAUL;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide tissue products derived from animals lacking functional α 1,3 galactosyltransferase.SOLUTION: The present invention provides tissues derived from animals, which lack any expression of functional α 1,3 galactosyltransferase (α-1,3.GT). Such tissue can be used in the field of xenotransplantation, such as orthopedic reconstruction and repair, skin repair and internal tissue repair or as medical devices. The animal can be a ruminant or an ungulate, such as a bovine, porcine, or ovine. The tissues from animals lacking any functional expression of the α-1,3-GT gene can be obtained from a prenatal, neonatal, immature, or mature animal, such as a porcine, bovine or ovine.
权利要求
  • 本願明細書に記載された発明。
  • 说明书全文

    本出願は、2004年3月17日に出願された米国仮特許出願第60/553,895号、および2004年4月6日に出願された米国仮特許出願第60/559,816号に対する優先権を主張する。

    (発明の分野)
    本発明は、機能的α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ(α1,3GT)のいずれの発現も欠く動物に由来する組織を提供する。 そのような組織は整形外科再構築および修復、皮膚の修復および内部組織の修復のような異種移植の分野において、または医療機器として用いることができる。

    (発明の背景)
    ブタ、ヒツジおよびウシのような反芻動物は異種移植器官および組織のありそうな源と考えられる。 ブタ異種移植片は最も注目されている。 というのは、ブタの供給は豊富であり、育種プログラムがよく確立されており、それらのサイズおよび病理学がヒトに適合するためである。 ウシまたはヒツジのような他の反芻動物源もまた硬いおよび柔軟な組織異種移植片のための源として提唱されてきた。 しかしながら、これらの器官または組織のヒトへの導入が成功する前に克服しなければならないいくつかの障害がある。 最も重要なのは免疫拒絶である。 最初の免疫学的ハードルは「過剰急性拒絶」(HAR)である。 HARは、外来性組織に結合する予め形成された天然抗体の高い力価の普遍的な存在によって定義される。 これらの天然抗体のドナー組織内皮上の標的エピトープの結合は、HARにおいて開始事象であると信じられている。 この結合に続いて、受容者血液でのドナー組織の灌流から数分以内に、補体活性化、血小板およびフィブリン沈着が起こり、最終的には、ドナー器官において間隙浮腫および出血が起こり、その全ては受容者における組織の拒絶を引き起こす(非特許文献1)。

    ヒトにおける最も頻繁に移植される組織は骨である(非特許文献2)。 合衆国単独において、100,000を超える骨移植またはインプラント手法が毎年行われて、外傷、感染、先天的奇形、または悪性疾患に由来する骨からなる欠陥を修復しまたは置き換えている。 ヒト骨は、石灰化基底物質およびコラーゲン繊維の細胞外マトリックスに包埋された細胞よりなる固い結合組織である(Stedman's Medical Dictionary,Williams & Wilkins,Baltimore,Md.(1995))。

    骨移植片およびインプラントは、しばしば、自家骨から形成される。 しかしながら、特に子供における大きな欠陥用の移植可能な自家骨組織はしばしば入手できない。 加えて、自家骨移植の結果、ドナー部位における疼痛、出血、創傷問題、化粧的不能、感染または神経損傷のような手術後病的状態が起こり得る。 さらに、移植された自家骨組織からの所望の機能的形状を作成することにおける困難性の結果、骨欠陥の最適な充填を下回りかねない。

    腱、靭帯、軟骨、皮膚、心臓組織および弁、および粘膜下組織のような軟組織もまたヒトに通常に移植される。 構造の多く、および元の組織の特性の多くは、異種移植片材料の使用を通じて移植において維持できる。 異種移植片組織は、ヒトにおける移植で安全なように処理できる場合、入手できる材料の限定されない供給を代表する。

    一旦個体に移植されれば、異種移植片は異種移植片の慢性および過剰急性拒絶のような免疫原性反応を誘起する。 この拒絶のため、骨異種移植片は骨折、再吸収および癒着不能の増大した率を呈する。 ヒトにおけるインプラントとしての、ブタ、ウシまたはヒツジのような動物組織の使用に対する主な免疫学的障害は、ヒトおよびサルにおける抗体のほぼ1%を含む、天然の抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体である。

    旧世界サル、類人猿およびヒトを除いて、ほとんどの哺乳動物はガラクトースα1,3−ガラクトースエピトープを含有する細胞表面上の糖蛋白質を有する(非特許文献3)。 対照的に、ガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する糖蛋白質はブタのような他の哺乳動物の細胞で大量に見出されている。 ヒト、類人猿および旧世界サルはガラクトースα1,3−ガラクトースを有さず、大量に生産される天然に生じる抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体を有する(非特許文献4)。 抗−ガラクトースα1,3−ガラクトース抗体は、ガラクトースα−1,3ガラクトースを担う糖蛋白質および糖脂質に特異的に結合する。

    哺乳動物における「α−1,3 GTエピトープ」および抗−Gal抗体(すなわち、α−1,3ガラクトースを担う糖蛋白質および糖脂質に結合する抗体)のこの異なる分布は、先祖の旧世界霊長類およびヒトにおける不活化された(すなわち、突然変異された)α−1,3−ガラクトシドトランスフェラーゼを持つ種につき選択された進化の過程の結果である。 かくして、ヒトはα−1,3−GTの「天然ノックアウト」である。 この事象の直接的な結果は、最初にHARを介してヒトに移植されたブタ器官の拒絶のような異種移植片の拒絶である。

    α−ガラクトシダーゼでのエピトープの酵素的除去(非特許文献5)、特異的抗−gal抗体の除去(非特許文献6)、α−1,3−GT発現を排除するのに失敗した他の炭水化物部位でのエピトープのキャッピング(非特許文献7および非特許文献8)および補体阻害性蛋白質の導入(非特許文献9、非特許文献10)を含めた、種々の戦略が、ブタ異種移植によって引き起こされた抗−Gal液性応答を排除または変調するために行われてきた。 非特許文献11は、H−トランスフェラーゼトランスジェニックブタにおけるα−1,3−GTの競合的阻害の結果、エピトープの数の部分的低下のみが得られることを報告した。 同様に、非特許文献12は、N−アセチルグルカサミニルトランスフェラーゼIIIトランスジェニックブタにおけるgalエピトープの発現をブロックする試みもまた、galエピトープの数の部分的低下のみをもたらし、霊長類受容者における移植片生存を有意に拡大しないことを報告した。

    Badylakらは、膝靭帯(上十字靭帯)および肩回旋腱板を修復するための結合組織移植片を含めた種々の組織移植片のために使用されるブタの小腸からの粘膜下組織を単離するプロセスを開発した。 小腸粘膜下(SIS)材料は化学的および酵素的工程を用いて処理して、生きた細胞の組織をストリップし、宿主細胞の内植および組織再生を刺激する無細胞の細胞外マトリックスを得る(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。 このプロセスは、現在、ヒト組織移植片で利用されている。 しかしながら、化学的処理工程にもかかわらず、ガラクトースα1,3ガラクトース糖残基が移植片に包埋されたままであり、ヒト患者において免疫活性化および炎症を引き起こす(非特許文献13;非特許文献14)。

    Stoneらは、ブタ軟組織および骨組織を処理して、細胞材料を取り出すプロセス、続いての、移植に先立って組織からガラクトースα1,3−ガラクトースを除去するα−ガラクトシルシダーゼでの処理を開発した(非特許文献15;非特許文献16)。 このプロセスは多数の特許出願の主題であり、それらは、上十字靭帯修復、半月修復、関節軟骨異種移植片、粘膜下異種移植片、骨および骨マトリックス異種移植片、心臓弁置換および軟組織異種移植片のような種々の適用のためのそのような組織の使用を議論している。 例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13および特許文献14;米国特許出願第2002/0087211号明細書、米国特許第2001/0051828号明細書、米国特許第2001/0039459号明細書、特許文献15、特許文献16および特許文献17;および特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、および特許文献27参照。

    かくして、ヒトにおいて有害効果を引き起こさない組織移植片を提供する必要性が当該分野に存在する。

    非特許文献17は、野生型およびα−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトマウスに移植されたブタ軟骨の遅延された拒絶が、軟骨におけるα1,2−フコシルトランスフェラーゼ(HTトランスジェニック)のトランスジェニック発現によって低下されることを報告している。

    ブタ細胞および生きた動物におけるα−1,3−GT遺伝子座の単一対立遺伝子ノックアウトが報告されている。 非特許文献18は、ヒツジにおけるα−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子の標的化遺伝子欠失を報告した。 非特許文献19は、異種接合性α−1,3−GTノックアウト体細胞ブタ胎児線維芽細胞の生産を報告した。 2002年に、非特許文献20および非特許文献21は、α−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子が首尾よく不活性とされたブタの生産を報告した。 非特許文献22は、HTおよびα−1,3−GTエピトープを発現した、ヒトα−1,2−フコシルトランスフェラーゼ(HT)をやはり発現する異種接合α−1,3−GTノックアウトブタの創製を報告した。

    Austin Research Instituteに対する特許文献28および特許文献29;Bresatecに対する特許文献30;およびBioTransplant,Inc. およびThe General Hospital Corporationに対する特許文献31、特許文献32、特許文献33および特許文献34は、(ゲノム組織化または配列の知識なしで)α−1,3−GT遺伝子のcDNAの知識に基づくα−1,3−GT陰性ブタ細胞の生産の議論を提供する。 しかしながら、そのような細胞がこれらの出願の出願日に先立って現実に生産されたという証拠はなく、実施例は全て仮定であった。

    ヘテロ接合性α−1,3−GT陰性ブタ細胞の成功した生産の最初の公の開示がLake Tahoe Transgenic Animal Conferenceにおいて1999年7月に行われた(非特許文献23)。 最近に至るまで、ホモ接合性α1,3GT陰性ブタ細胞の生産を誰も公表せず、公に開示しなかった。 さらに、ブタ胚性幹細胞は今日まで利用できなかったため、α−1,3−GTホモ接合性胚性幹細胞を用いて、生きたホモ接合性α1,3GTノックアウトブタを調製することを試みる方法はなく、今も依然としてない。

    2003年2月27日に、非特許文献24は、α−1,3−GT遺伝子のノックアウトにつきホモ接合性の胎児ブタ線維芽細胞の成功した生産を示す報告を公表した。

    PPL Therapeuticsに対する特許文献35は、核導入のための体細胞の遺伝的修飾を記載する。 この特許出願は、ブタ体細胞におけるα−1,3−GT遺伝子の遺伝子的破壊、および核導入のためのα−1,3−GT遺伝子の少なくとも1つのコピーを欠くこれらの細胞の核の引き続いての使用を開示する。

    Cooper & Korenに対する特許文献36は、シアリルトランスフェラーゼまたはフコシルトランスフェラーゼ蛋白質を発現する遺伝子工学により作成された哺乳動物のいずれの現実の生産も確認していない。 該特許は、遺伝子工学により作成された哺乳動物が、哺乳動物の細胞表面でのガラクトシル化蛋白質エピトープの低下を呈すると主張する。

    The Curators of the University of Missouriに対する特許文献37は、異種移植で用いるヘテロ接合性α1,3GTノックアウトミニアチュアブタの生産を確認する。 この出願は、一般には、破壊されたα−1,3−GT遺伝子を含むノックアウトブタに指向され、ここに、ノックアウトブタにおける機能的α−1,3−GTの発現は野生型と比較して減少している。 この出願は、ブタが異種移植で有用なように、どの程度までα−1,3−GTが減少されなければならないかについてのいずれのガイダンスも提供していない。 さらに、この出願は、生産されたヘテロ接合性ブタが、機能的α1,3GTの減少した発現を呈するいずれの証拠も提供していない。 さらに、該出願はホモα1,3GTノックアウトブタに言及するが、いずれかが現実に生産された、または生産可能であった適用についての証拠はなく、ましてや、得られた子孫が異種移植で生存可能であり、または表現型的に有用であるという証拠はない。

    ガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する糖蛋白質の全部の欠失は、異種移植についてのブタ動物の生産に対する明らかに最良なアプローチである。 α1,3GT遺伝子の双方のコピーの二重ノックアウト、または破壊は2つの方法:1)子孫を生じさせるための2つの単一対立遺伝子ノックアウト動物の育種、この場合、4つのうち1つが二重ノックアウトであるというメンデルの遺伝学に基づいて予測するであろう、または2)予め存在する単一ノックアウトを持つ細胞における第二の対立遺伝子の遺伝的修飾によって生じさせることができることが理論的に可能である。 事実、これは、ノックアウトブタ細胞についての最初の特許出願は1993年に出願されたが、最初のホモ接合性α1,3GTノックアウトブタは(ここに記載する)2002年7月に至るまで生産されなかったという事実によって示されるようにこれはかなり困難であった。

    トランスジェニックマウス(ブタではない)は、歴史的には、そのほとんどが、ブタ胚性幹細胞は入手できなかったが、マウス胚性幹細胞は入手できたというのではない、多数の理由で、哺乳動物病理学に対する遺伝子的修飾の効果を調べるのに好ましいモデルであった。 マウスは基本的な研究適用のための理想的な動物である。 なぜならば、それらは取り扱うのが比較的容易であり、迅速に生殖し、および分子レベルにおいて遺伝子的に操作することができるためである。 科学者はマウスモデルを用いて、結腸癌〜精神的遅れまでの、種々の遺伝子的ベースの病気の分子的病理を調べる。 数千の遺伝子的に修飾されたマウスが今日までに作り出されている。 マウスノックアウトおよび古典的突然変異についての表現型および遺伝子型情報の包括的データベースを供するために、「Mouse Knockout and Mutation Database(マウスノックアウトおよび突然変異データベース)」がBioMedNetによって作り出されており(http://research.bmn.com/mkmd;非特許文献25;非特許文献26)。 このデータベースは、今日までにマウスゲノムにおいて標的化された、3,000を超えるユニークな遺伝子についての情報を提供する。

    マウスでのこの広範な実験に基づき、トランスジェニック技術がいくつかの重要な制限を有することが学習されてきた。 開発の欠点のため、多くの遺伝子的に修飾されたマウス、特に、遺伝子ノックアウト技術によって作成されたヌルマウスは、研究者が実験用のモデルを用いる機会を有する前に胚として死亡する。 たとえマウスが生存したとしても、マウスは、マウスを酷く不能、変形または衰弱させかねない、有意に改変された表現型を発生し得る(非特許文献27;非特許文献28;非特許文献29;非特許文献25;非特許文献26;http://research.bmn.com/mkmd)。 さらに、与えられた遺伝子が生物の発生において臨界的な役割を演じるか否か、かくして、遺伝子の排除の結果、ノックアウトが首尾よく作り出され、生きた子孫が生産されるまで、致死的または改変された表現型がもたらされるか否かを予測するのは可能ではないことが学習された。

    マウスは、遺伝子的には、機能的α−1,3−GT発現を排除するように修飾されてきた。 二重−ノックアウトα−1,3−GTマウスが生産されてきた。 このマウスは発生的に活力があり、正常な器官を有する(非特許文献30;非特許文献31、また、特許文献38参照)。 しかしながら、これらのマウスにおける2つの表現型異常は明らかであった。 まず、全てのマウスは密な皮質部白内障を発生する。 第二に、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子の排除はマウスの発生に有意に影響した。 α−1,3−GT遺伝子についてヘテロ接合性であるマウスの接合は、予測されるメンデルの1:2:1の比率から有意に偏った遺伝子型比率を生じた(非特許文献31)。

    ブタは、マウスで見出されたよりも100〜1000倍高いガラクトースα1,3−ガラクトースを含有する細胞表面糖蛋白質のレベルを有する(非特許文献24;非特許文献32)。 かくして、α1,3−GT活性はマウスよりもブタにおいてより臨界的かつより豊富である。

    予測および予言的陳述にかかわらず、誰も、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子の破壊が致死的であって、またはブタ発生に影響し、または改変された表現型をもたらすか否かを知らなかった(非特許文献33;非特許文献24;非特許文献34;非特許文献35)。 事実、当該分野における多くの専門家は、ホモ接合性α−1,3−GTノックアウトブタが全く活力があり、正常には発生しそうにないか否かについての深刻な疑問を表した。 かくして、生きた二重α−1,3−GTノックアウトブタが生産されるまで、該時点における当業者によると、(i)子孫が活力があったか否か、または(ii)子孫が、ヒトへの移植器官の使用を可能とする表現型を呈するか否かを判断することはできなかった。

    そのような関心は、二重ノックアウトブタが生産されるまで表された。 2003年において、非特許文献36)は、異種移植において主な躍進を表した、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの機能的発現も欠く最初の生きたブタの生産を報告した。

    Revivicor,Inc. によって出願された特許文献39は、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの機能的発現も欠く、生きたブタ、ならびにそれに由来する器官、細胞および組織の成功した生産を記載する。 Immerge Biotherapeutics,Inc. によって出願された特許文献40は、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウトブタの生産をやはり記載する。

    米国特許第4,902,508号明細書

    米国特許第4,956,178号明細書

    米国特許第5,372,821号明細書

    米国特許第5,865,849号明細書

    米国特許第5,913,900号明細書

    米国特許第5,984,858号明細書

    米国特許第6,093,204号明細書

    米国特許第6,267,786号明細書

    米国特許第6,455,309号明細書

    米国特許第6,683,732号明細書

    米国特許第5,944,755号明細書

    米国特許第6,110,206号明細書

    米国特許第6,402,783号明細書

    米国特許第5,902,338号明細書

    米国特許第2003/0039678号明細書

    米国特許第2003/0023304号明細書

    米国特許第2003/0097179号明細書

    国際公開第00/47131号パンフレット

    国際公開第00/47132号パンフレット

    国際公開第99/44533号パンフレット

    国際公開第02/076337号パンフレット

    国際公開第99/51170号パンフレット

    国際公開第99/47080号パンフレット

    国際公開第03/097809号パンフレット

    国際公開第02/089711号パンフレット

    国際公開第01/91671号パンフレット

    国際公開第03/105737号パンフレット

    国際公開第94/21799号パンフレット

    米国特許第5,821,117号明細書

    国際公開第95/20661号明細書

    国際公開第95/28412号パンフレット

    米国特許第6,153,428号明細書

    米国特許第6,413,769号明細書

    米国公開番号2003/0014770号明細書

    国際公開第00/51424号パンフレット

    米国特許第6,331,658号明細書

    国際公開第03/055302号パンフレット

    米国特許第5,849,991号明細書

    国際公開第04/028243号パンフレット

    国際公開第04/016742号パンフレット

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    従って、本発明の目的は、有意な拒絶を引き起こすことなくヒトに移植することができる組織生産物を提供することにある。

    本発明のもう1つの目的は、整形外科的再構築および修復、皮膚の修復および内部組織修復をヒトで用いるための動物からの組織を提供することにある。

    (発明の要旨)
    本発明は、異種移植片として用いられる機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの組織生成物である。 該組織は骨のような硬い組織、または皮膚のような柔軟な組織であり得る。 この硬いおよび柔軟な組織は、例えば、整形外科的再構築および修復、皮膚の修復および/または内部組織修復のために使用される補綴として用いることができる。 該動物はウシ、ブタまたはヒツジのような反芻動物または有蹄動物であり得る。 特定の実施形態において、該動物はブタである。 α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような出生前、新生、または未成熟または十分に成熟した動物から得ることができる。 該組織は、ヒト組織修復のような動物において用いられる本明細書中に記載された方法に従って調製することができる。

    本発明の実施形態において、得られたα−1,3−GT酵素がもはや細胞表面でガラクトースα1,3−ガラクトースを生じさせることができないように、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活性とされている組織が提供される。 1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子はRNAに転写できるが、蛋白質には転写されない。 別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子は不活性な切形形態で転写させることができる。 そのような切形RNAは翻訳できないか、または非機能的蛋白質に翻訳することができる。 代替実施形態において、α−1,3−GT遺伝子は、遺伝子の転写が起こらないように不活化させることができる。

    本発明の1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子が遺伝子的標的化事象を介して不活化された組織が提供される。 本発明の別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が遺伝子的標的化事象を介して不活化された動物からの組織が提供される。 該遺伝子は相同組換えを介して標的化することができる。 他の実施形態において、該遺伝子は破壊することができ、すなわち、遺伝子暗号の一部を改変することができ、それにより、該遺伝子のそのセグメントの転写および/または翻訳に影響させることができる。 例えば、遺伝子の破壊は置換、欠失(「ノックアウト」)または挿入(「ノックイン」)技術を介して起こり得る。 存在する配列の転写を変調する所望の蛋白質または調節配列についてのさらなる遺伝子もまた挿入することができる。

    本発明の1つの実施形態として、α−1,3−GT遺伝子において少なくとも1つの点突然変異を有する動物からの組織が提供される。 そのような動物は抗生物質−耐性遺伝子を含まず、かくして、ヒトで用いるためのより安全な生成物を作成する潜在能力を有する。 かくして、本発明の別の実施形態は、ネオマイシン、ピューロマイシン、ヒグロマイシン、ゼオシン、hisD、またはブラスチシジンのような、抗生物質耐性または他の選択マーカー遺伝子を有しないホモ接合性α−1,3−GTノックアウトからの組織である。 1つの実施形態において、この点突然変異は遺伝子的標的化事象を介して起こり得る。 別の実施形態において、この点突然変異は天然で生じ得る。 さらなる実施形態において、突然変異は突然変異形成剤を介してα−1,3−GT遺伝子において誘導することができる。 1つの特定の実施形態において、該突然変異はα−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第2の塩基におけるT−G間への突然変異であり得る(図2;Phelpsら,Science 299:411−414(2003)参照)。 他の実施形態において、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10または少なくとも20の点突然変異を存在させて、α−1,3−GT遺伝子を不活性とすることができる。 他の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も妨げる点突然変異を含有する組織が提供される。 特定の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子においてエクソン9の第二の塩基においてT−G間への突然変異を含む組織が提供される。 さらなる実施形態において、1つの対立遺伝子は遺伝子的標的化事象によって不活化され、他の対立遺伝子は、α−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化される。 特定の実施形態において、1つの対立遺伝子がエクソン9に向けられた標的化コンストラクトを介して不活化され、他の対立遺伝子がα−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化される動物からの組織が提供される(図2;Phelpsら,Science 299:411−414(2003)参照)。

    さらなる実施形態において、硬いまたは柔軟な組織が、やはりさらなる遺伝子的修飾を含有することができるα−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物から得ることができる。 そのような遺伝子的修飾は他の遺伝子の付加および/または欠失を含んで、拒絶を妨げ、創傷治癒を促進し、および/または(例えば、プリオンまたはレトロウイルスのような)望まない病原体を最小化し、または排除することができる。

    1つの実施形態において、該組織は(動物から直接的に取り出された)その「天然」形態で用いることができる。 別法として、組織はさらなる処理または修飾に供することができる。 本発明の特定の実施形態において、本明細書中に記載された動物または組織に由来する脱細胞化組織が提供される。 他の実施形態は、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物から組織を調製し得る方法およびプロセスを提供する。

    ある実施形態において、組織を調製するプロセスは、全ての生きた細胞をストリップし、または殺す工程(脱細胞化)を含むことができ、後に、組織修復および再形成、ならびに架橋および滅菌のための処置のために使用される無細胞マトリックスまたは足場のみが残る。 特定の実施形態において、本明細書中に開示された動物に由来するいずれかの脱細胞化された硬いまたは柔軟な組織が提供される。 1つの実施形態において、脱細胞化柔軟皮膚組織が提供される。 別の実施形態において脱細胞化粘膜下組織が提供される。 他の実施形態において、そのような脱−細胞化材料は免疫原性を低くすることができる。 さらなる実施形態において、そのような脱−細胞化組織は足場またはマトリックスとして用いて、特定のヒト身体部分を修復および/または再構築することができる。 1つの実施形態において、脱細胞化組織は、限定されるものではないが、以下のヘルニア、腹部壁、回旋腱板、美容整形、または当業者に知られた、もしくは本明細書中に開示されたいずれかの他の柔軟な組織の欠陥を含めた修復で用いることができる。 特定の実施形態において、粘膜下および皮膚脱細胞化材料が提供される。

    組織および組織の源はさらに修飾または処理して、創傷治癒を促進し;(プリオンおよびレトロウイルスのような)感染症伝播のような望まない病原体を最小化し、または排除し;成長因子を加えて、組織再構築を促進し、組織を滅菌し、および/または組織の生化学的または物理的特性を改良することができる。 そのような処理はアルコールまたは過酸化物処理のように化学的、酵素および/またはガスへの暴露、紫外線照射、またはγ照射のような機械的または物理的とすることができる。

    別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、さらなる機械的強度を供するために、または受容者患者への他の利益のために、プラスチック、(限定されるものではないが、ステンレス鋼およびチタンを含めた)金属のような他の不活性材料と組み合わせることができる。

    別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、移植された材料の部位へ受容者の細胞を動員させるように働く足場として用いることができる。 この足場は細胞外マトリックス(ECM)成分を含有することもでき、そのようなECM成分は、所望により、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物に由来することができる。 別法として、例えば、移植された組織が、置き換わりつつある、または修復しつつある組織の同一の生物機械的機能を行うように、組織を完全な組織代替物として用いることができる。 さらなる実施形態において、組織は、移植に先立って(化学的におよび/または機械的に)予めコンディショニングして、移植に続く組織の運動の最適な範囲を可能とし、または受容者についての「カスタムフィット」を可能とし、またはそうでなければ最適な生物学的または生物機械的特性を供することができる。

    本発明の1つの実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織を整形外科的再構築および修復で用いることができる。 そのような組織は結合組織、腱、靭帯、筋肉、軟骨、骨および骨誘導体を含む。 1つの実施形態において、組織は上十字靭帯(ACL)または後十字靭帯(PCL)代替物のような膝修復で用いることができる。 別の実施形態において、組織は骨−腱−骨移植片、回旋腱板修復のために、または縫合プラグとして用いることができる。 骨組織は全または部分的骨代替物、骨プラグ、骨スクリューまたは骨チップ(骨チップがペーストとして調製することができる製剤を含む)として用いることができる。 また、骨組織が歯周適用のために、または脊髄スペーサーとして用いることもできる。

    さらなる実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は皮膚修復で用いて、例えば、皮膚の深い組織火傷を修復することができる。 皮膚組織は、限定されるものではないが、皮膚または表皮組織またはその誘導体を含む。

    本発明の別の実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は腹部壁修復、ヘルニア修復、心臓弁修復または置換、美容整形/修復、顎顔面修復のような内部組織修復において、婦人科学または泌尿器組織の修復、および硬膜修復のために用いることができる。 内部組織は心臓周辺組織、心臓弁および粘膜下組織を含む。 1つの実施形態において、粘膜下組織を用いて、結合組織を修復し、または置き換えることができる。
    例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
    (項目1)
    α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物に由来する、組織生成物を含む補綴。
    (項目2)
    前記組織が硬い組織である、項目1に記載の補綴。
    (項目3)
    前記組織が柔軟な組織である、項目1に記載の補綴。
    (項目4)
    前記動物が有蹄動物である、項目1に記載の動物。
    (項目5)
    前記有蹄動物がブタ動物である、項目4に記載の動物。
    (項目6)
    前記硬い組織が骨またはその断片または誘導体である、項目2に記載の補綴。
    (項目7)
    前記柔軟な組織が皮膚、真皮、粘膜下、靭帯、腱および軟骨またはその断片もしくは誘導体よりなる群から選択される、項目3に記載の補綴。
    (項目8)
    前記組織が硬い組織および柔軟な組織の組合せである、項目1に記載の補綴。
    (項目9)
    前記組織が骨−腱−骨移植片である、項目8に記載の組織。
    (項目10)
    α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物に由来する、脱細胞化組織生成物。
    (項目11)
    前記動物が有蹄動物である、項目9に記載の組織。
    (項目12)
    前記動物がブタ動物である、項目10に記載の組織。
    (項目13)
    前記組織が柔軟な組織である、項目9に記載の脱細胞化組織。
    (項目14)
    前記柔軟な組織が真皮組織である、項目9に記載の組織。
    (項目15)
    前記柔軟な組織が粘膜下組織である、項目9に記載の組織。
    (項目16)
    前記粘膜下組織が小腸から由来する、項目11に記載の組織。
    (項目17)
    足場としての、項目9に記載の組織の使用。
    (項目18)
    ヒト身体の一部を再構築し、または修復するための、α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物に由来する、組織生成物の使用。
    (項目19)
    前記動物が有蹄動物である、項目18に記載の組織。
    (項目20)
    前記動物がブタ動物である、項目18に記載の組織。
    (項目21)
    前記組織がヒト整形外科的再構築または修復のために使用される、項目18に記載の組織の使用。
    (項目22)
    回旋腱板修復のための、項目21に記載の組織の使用。
    (項目23)
    骨、腱、靭帯および軟骨よりなる群から選択される組織の修復または再構築のための、項目21に記載の組織の使用。
    (項目24)
    前記組織が骨−腱−骨移植片である、項目21に記載の組織の使用。
    (項目25)
    前記組織がヒト皮膚修復のために使用される、項目18に記載の組織の使用。
    (項目26)
    前記組織がヒト軟組織の修復のために使用される、項目18に記載の組織の使用。
    (項目27)
    前記組織が脱細胞化される、項目18に記載の組織の使用。
    (項目28)
    前記組織が、ヒト身体の一部を再構築または修復するための足場として使用される、項目27に記載の脱細胞化組織の使用。

    図1は、胎児680B1−4からの細胞に対する補体の相対的溶解効果を示すグラフである。

    図2は、トキシンAによって選択された点突然変異が起こるα−1,3−GT遺伝子のコーディング領域の短いセグメントを示す(GenBank Acc.No.L36152)を示す。 上側の配列は野生型で起こり;下側の配列は第二の対立遺伝子における点突然変異による変化を示す。

    図3はウシα1,3GTのUDP結合部位の三次元モデルの表示である。 チロシン残基(表面,白色)の芳香族環はUDP(灰色スケール)のウラシル塩基に近接して観察することができる。

    図4は、2002年7月25日に生まれた、本発明の方法によって生産されたホモ接合性α−1,3−GT欠損クローン化ブタの写真である。

    図5は、α−1,3−GT KOマウスにおける子ブタ小島−様細胞クラスター(ICC)の注射前および後における抗−α−1,3−GAL IgMレベルを示すグラフである。 各マウスは4日間にわたる腹腔内を介する三回の系列的ICC注射(注射当たり200〜500ICC)を受けた。 野生型(WT)子ブタICCの全ての3匹の受容体は、抗−α1,3gal IgM力価の有意な上昇およびICCインプラントから4週間後におけるベースラインへの引き続いての復帰を示した。 α−1,3−GT DKO子ブタICCを注射した全ての3匹のマウスからの血清は、35日の観察時間の間に抗−α−1,3−gal IgM力価の低いベースライン値を維持した(Phelpsら,Science 299:411−414,2003,図S4)。

    図6は、α−1,3−GTノックアウトベクターにおける5'および3'アームとして用いることができるα−1,3−GTゲノム配列に対応するブタα−1,3−GT遺伝子座、および相同組換え後における標的化された遺伝子座の構造のダイアグラムである。 3'PCRおよび長い範囲のPCRで用いるプライマーの名称および位置は短い矢印によって示される。 短い棒線は、α−1,3−GTサザーンブロット分析で用いるプローブを示す。 内因性α−1,3−GT遺伝子座およびα−1,3−GT標的化遺伝子座双方についてのBstEII消化でのサザーンバンドの予測されるサイズも示される。

    図7は、膝の解剖学の外観を提供する。 この図は、反射位置における右側膝の前面図を示す。

    (詳細な説明)
    本発明は、異種移植片として用いられる機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの組織生成物である。 該組織は骨のような硬い組織、または皮膚のような柔軟な組織であり得る。 この硬いおよび柔軟な組織は、整形外科的再構築および修復、皮膚修復、および内部組織修復のような異種移植で用いることができる。 該動物はウシ、ブタまたはヒツジのような反芻動物または有蹄動物であり得る。 特定の実施形態において、動物はブタである。 α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような誕生前、新生、未成熟、または十分に成熟した動物から得ることができる。

    本発明の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の対立遺伝子は、得られたα−1,3−GT酵素が細胞表面にもはやガラクトースα1,3−ガラクトースを生じさせることができないように不活性とされる。

    α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような、誕生前、新生、未成熟、または十分に成熟した動物から得ることができる。 1つの実施形態において、組織は(動物から直接摘出した)その「天然」形態で用いることができる。 別法として、組織はさらなる処理または修飾に供することができる。

    本発明の1つの実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は、整形外科的再構築および修復で用いることができる。 さらなる実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は皮膚の修復で用いることができる。 本発明の別の実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は内部組織の修復で用いることができる。

    定義 本明細書中で使用される場合、(例えば、「遺伝子的に修飾された(または改変された)動物」などにおいて)用語「動物」は、特に限定されるものではないが、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、シカ、ラバ、ウマ、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス、鳥類、ニワトリ、爬虫類、魚類および昆虫を含めた任意の非−ヒト動物を含むことを意味する。 本発明の1つの実施形態において、遺伝子的に改変されたブタおよびその生産方法が提供される。

    本明細書中で使用される場合、「器官」は組織化された構造であり、これは1つまたは複数の組織よりなることができる。 「器官」は1つまたは複数の特異的生物学的機能を行う。 器官は、限定されるものではないが、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、肺、甲状腺および皮膚を含む。

    本明細書中で使用される場合、「組織」は細胞、およびそれらを囲う細胞内物質を含む組織化された構造である。 「組織」は、単独でまたは他の細胞または組織と組み合わされて、1つまたは複数の生物学的機能を行うことができる。 組織は硬いまたは柔軟な組織であり得る。 「組織生成物」は、組織および/または本明細書中に記載された組織断片またはその組織誘導体を含む。 「組織生成物」を用いて、ヒト組織を置き換えまたは修復することができる。 そのような「組織生成物」は、本明細書中に記載された方法に従って、限定されるものではないが、脱細胞化のように修飾することができる。

    本明細書中で使用される場合、用語「ブタ」、「ブタ動物」は、性別、サイズまたは育種に関することなく同一タイプの動物をいう総称用語である。

    本明細書中で使用される場合、用語補綴または補綴デバイスとは、身体修復のための適切な形態に作り上げられた硬いまたは柔軟な組織をいう。 1つの実施形態において、修復されるべき身体はヒト身体である。 他の実施形態において、哺乳動物身体部分は修復された、例えば、ウマ、イヌ、ネコまたは他の家畜動物であり得る。

    I. 組織のタイプおよび調製 α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織は、ブタ、ウシまたはヒツジのような誕生前、新生、未成熟、または十分に成熟した動物から得ることができる。

    1つの実施形態において、組織は(動物から直接摘出された)その「天然形態」であり得る。 別の実施形態において、組織はさらなる処理または修飾に供することができる。 組織および組織の動物源はさらに修飾または処理して、創傷治癒を促進し;(プリオンおよびレトロウイルスのような)感染症伝播のような望まない病原体を最小化し、または排除し;成長因子を加えて、組織再形成を促進し、組織を滅菌し、および/または組織の生物機械的または物理的特性を改良することができる。

    1つの実施形態において、処理のタイプは酵素的および/またはガスへの暴露、エチレンオキサイド処理、プロピレンオキサイド処理、ガスプラズマ滅菌、過酢酸滅菌、紫外線照射、またはγ線照射のように化学的、機械的または物理的であり得る。 本発明の方法は、単独で、または組み合わされて、照射での処理、1つまたは複数のサイクルの凍結および解凍、化学的架橋剤での処理、アルコールまたはオゾン化での処理を含む。 1を超えるこれらの処理を異種移植片に適用する場合、処理はいずれの順序で行ってもよい。

    1つの実施形態において、異種移植片組織は、紫外線照射への暴露、例えば、約15分間の紫外線照射への暴露によって処理することができる。 別の実施形態において、組織はγ線照射に暴露することができる。 組織は0.5メガラド、1.0メガラド、1.5メガラド、2.0メガラド、2.5メガラド、3.0メガラド、3.5メガラド、4.0メガラド、4.5メガラド、5.0メガラド、7.0メガラド、10メガラド、15メガラドもしくは20メガラド、または約0.5〜3メガラド、または1.5〜2.0メガラドの量のγ線照射に暴露することができる。 さらなる実施形態において、異種移植片はオゾン化に供することができる。 他の実施形態において、組織は滅菌についての認められた標準に従って処理することができる。 例えば、American National Standard,ANSI/AAMI/ISO 11137−1994、医療製品の滅菌−有効化およびルーチン的管理のための要件−照射滅菌、1994、American National Standard,ANSI/AAMI ST32−1991、γ線照射滅菌についてのガイドライン、1991、Scholla,M. H. and Wells,M. E. 「産業滅菌におけるトラッキング傾向」 Medical Device and Diagnostic Industry,September 1997,pp. 92−95,AAMI推奨される実務−「医療機器のγ線照射滅菌についてのプロセス制御ガイドライン」,ISBN No. 0−910275−38−6,pp. 7−21,1984,American National Standard,ANSI/AAMI/ISO 11137−1994,医療製品の滅菌−有効化およびルーチン的制御−照射滅菌についての要件、1994、American National Standard,ANSI/AAMI ST32−1991,γ線照射滅菌についてのガイドライン、1991、American National Standard、AMSI/AAMI ST31−1990、医療機器の電子線照射滅菌についてのガイドライン、1990、Genova,Hollis,Crowell and Schady,「産業γ線照射滅菌生産バッチの滅菌を有効化するための手法」,Journal of Parenteral Science and Technology,Volume. 41,No. 1,pp. 33−36,Jan 1987,およびGaughran and Morrissey,「医療製品の滅菌」,Volume 2,ISBN−0−919868−14−2,pp. 35−39、1980参照。

    別の実施形態において、異種移植片組織はアルコール溶液に浸漬処理することができる。 限定されるものではないが、フェノール、ヘテロ芳香族アルコール、エタノール、メタノール、プロパノール、メチル−プロパノール、イソプロピルアルコール、2−プロパノール、シクロブタノール、1,2−エタンジオール、4,4−ジメチル−2−ペンタノール、4−ペンテン−2−オール、4−アミノ−3−イソプロピルヘキサノール、5−メルカプト−2,4−シクロヘキサジエノールのような第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコール、ポリオール、高級アルコール、芳香族アルコールを含めた、いずれかのアルコール溶液を用いてこの処理を行うことができる。 アルコール溶液は10%、20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%アルコールであり得る。 例えば、イソプロパノールの70%溶液。 アルコール溶液は(ほぼ20〜30℃または25℃のような)室温にて、または(ほぼ0〜20℃のような)低温で用いることができる。

    さらなる実施形態において、異種移植片組織は凍結/解凍サイクルによって処理することができる。 例えば、異種移植片組織は凍結のいずれかの方法を用いて凍結することができる。 1つの実施形態において、凍結していない組織を含む内部の温かいスポットが残らないように、組織は完全に凍結される。 1つの実施形態において、異種移植片組織は一定の時間液体窒素に浸漬することができる。 組織は少なくとも約1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分または15分浸漬することができる。 別の実施形態において、異種移植片は凍結することができる。 例えば、組織はフリーザーに入れることができるか、あるいは0℃以下の温度に組織を暴露することができる。 次いで、凍結/解凍サイクル処理の次の工程において、異種移植片組織は、適切な溶液、例えば、等張生理食塩水浴中での浸漬によって解凍することができる。 浴の温度は約25℃のようなほぼ室温であり得る。 組織は解凍を可能とする時間、例えば、少なくとも5分、少なくとも10分または少なくとも15分生理食塩水浴に浸漬することができる。 他の実施形態において、組織は凍結−解凍処理に先立って、またはその間に低温保護剤で処理することができる。

    なおさらなる実施形態において、異種移植片は化学剤に暴露して、細胞外マトリックス内の蛋白質をなめし、または架橋させることができる。 任意のなめしまたは架橋剤もこの処理で用いることができ、1を超える架橋剤工程を行うことができるか、または1を超える架橋剤を用いて、高度な架橋を達成することができる。 架橋剤は、例えば、以下の方法で:1つの生体分子上のアミン基を第二の生体分子上のチオール基にカップリングさせ、生体ポリマーのアミン間に架橋を形成することによって、アミンおよびチオールを架橋させ、アミンおよびカルボン酸またはチオールおよびカルボン酸の間に架橋を形成することによって作用することができる。

    1つの実施形態において、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ホルマリン、アルデヒド、アジピックジアルデヒドのようなアルデヒド、酸性pHにおけるなめしなどを用いて、組織の細胞外マトリックス内のコラーゲンを架橋することができる。 別の実施形態において、脂肪族および芳香族ジアミン、カルボジアミド、ジイソシアネート、および当業者によって知られた他の物質を架橋剤として用いることができる。 1つの実施形態において、異種移植片組織はグルタルアルデヒドで処理することができる。 例えば、組織は、少なくとも0.25%、0.5%、1%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%または20%または約0.05%〜約5.0%;約1%〜3%または約2%〜7%グルタルアルデヒドを含有することができる緩衝溶液に入れることができる。 この溶液は約7.4、7.5または7.6のpHを有することができる。 リン酸緩衝化生理食塩水またはトリスヒドロキシメチルアミノメタンのようないずれかの適切な緩衝液を用いることができる。 別の実施形態において、異種移植片組織は蒸気形態の架橋剤で処理することができる。 1つの実施形態において、架橋剤は、例えば、気化されたホルムアルデヒドのような気化されたアルデヒド架橋剤であり得る。 1つの実施形態において、組織は少なくとも0.25%、0.5%、1%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%または20%または約0.05%〜約5.0%;約1%〜3%または約2%〜7%の濃度の気化された架橋剤に暴露することができる。 別の実施形態において、気化された架橋剤のpHは約7.4、7.5または7.6であり得る。 別の実施形態において、組織は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15または少なくとも16日の間架橋剤で処理することができる。 特定の実施形態において、組織は3、4または5日間架橋剤で処理することができる。

    架橋剤は、限定されるものではないが、ジチオスレイトール(DTT、D−1532)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP、T−2556)、トリス−(2−シアノエチル)ホスフィン(T−6052)、スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP、S−1531)、スクシンイミジルアセチルチオアセテート(SATA、S−1553)、メルカプトトリプトファン、組み合わせたSPDP/DTT、組み合わせたSPDP/TCEP、ジブロモビマン(D−1379)、BODIPY FLビス−(メチレンヨードアセトアミド)(D−10620)、ビス−((N−ヨードアセチル)ピペラジニル)スルホンローダミン(B−10621)、ビス(イミドエステル)、ビス(スクシンイミジルエステル)、ジイソシアネート、二酸塩化物、ビス−(4−カルボキシピペリジニル)スルホンローダミン、ジ(スクシンイミジルエステル)(B−10622)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC、E−2247)、6−((アクリロイル)アミノ)ヘキサン酸のスクシンイミジルエステル(アクリロイル−X、SE;A−20770)、およびストレプトアビジンアクリルアミド(S−21379、セクション7.5)を含めた群から選択することもできる。

    別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織はプラスチック、生体ポリマー、および(限定されるものではないが、ステンレス鋼およびチタンを含めた)金属のような他の不活性な材料と組み合わせて、さらなる機械的強度または他の適用利益を受容者患者に供することができる。 生体ポリマーは、限定されるものではないが、セルロース、アルギン酸、キトサン、コラーゲン、エラスチリ、およびレツクリンおよびそのアナログ、およびその混合物を含む。

    他の実施形態において、補綴はさらにポリマーおよびセラミックのような合成材料を含むことができる。 適切なセラミックは、例えば、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、黒鉛および熱分解炭素を含む。 適切な合成材料は、酷い脱水に耐えることができないヒドロゲルおよび他の合成材料を含む。 異種移植片は合成ポリマーならびに精製された生物学的ポリマーを含有することもできる。 これらの合成ポリマーはメッシュに織って、または編んで、マトリックスまたは同様な構造を形成することができる。 別法として、合成ポリマー材料は適切な形態に成型または注型することができる。

    適切な合成ポリマーは、限定されるものではないが、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ビニルポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニル)、ポリカルボネート、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアセテート、ポリスルホン、ニトロセルロースおよび同様なコポリマーを含む。 デキストラン、ヒドロキシエチル澱粉、ゼラチン、ゼラチンの誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(イプシロン−カプロラクトン)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ジメチルグリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブテレート)、および同様なコポリマーのような生体再吸収性ポリマーを用いることもできる。 これらの合成ポリマー材料はメッシュに織って、または編んで、マトリックスまたは基剤を形成することができる。 別法として、合成ポリマー材料は適切な形態に成型または注型することができる。

    生物学的ポリマーは天然に生じ得るか、あるいは醗酵などによってイン・ビトロで、あるいは組換え遺伝子工学によって生産することができる。 組換えDNA技術を用いて、実質的にあらゆるポリペプチド配列を作成し、次いで、増幅し、蛋白質を細菌または哺乳動物細胞いずれかで発現させることができる。 精製された生物学的ポリマーは製織、製編、注型、成型、押出し、細胞整列および磁気整列のような技術によって適切に基材に形成することができる。 適切な生物学的ポリマーは、限定されるものではないが、コラーゲン、エラスチン、絹、ケラチン、ゼラチン、ポリアミノ酸、多糖(例えば、セルロースおよび澱粉)およびそのコポリマーを含む。

    1つの実施形態において、組織は、例えば、移植された組織が、置き換えられまたは修復される組織と同一の生物機械的機能を行うように完全な組織置換として用いることができる。 さらなる実施形態において、組織は移植に先立って(化学的におよび/または機械的に)予めコンディショニングして、移植に続いて最適な範囲の組織の運動を可能とし、または受容者について「カスタムフィット」を可能とすることができる。 さらなる実施形態において、組織は後に記載するようにさらに処理および/または加工して、脱細胞化製品を形成することができ、これは、例えば、一旦移植されると足場として用いることができる。

    A. 組織の再構築、修復および/または置換 本発明の1つの実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織を外科的適用で用いることができる。 1つの実施形態において、組織は整形外科的再構築および修復で用いることができる。 そのような組織は結合組織、腱、靭帯、筋肉、および軟骨のような柔軟な組織、ならびに骨および骨誘導体のような硬い組織を含む。 1つの実施形態において、組織は前十字靭帯(ACL)または後十字靭帯(PCL)置換のような膝修復で用いることができる。 別の実施形態において、組織は骨−腱−骨移植片、回旋腱板修復で、または縫合プラグとして用いることができる。 骨組織は全または部分的骨置換、骨プラグ、骨スクリューまたは骨チップ(骨チップがペーストとして調製できる製剤を含む)として用いることができる。 骨組織は歯周適用、美容、および/または顎顔面再構築のために用いることもできる。 組織は脊椎修復のための脊髄スペーサーとして用いることもできる。 組織は、小骨、鼓膜、槌骨付の鼓膜、耳骨プラグ、側頭骨、肋骨軟骨および硬膜のような耳の組織を置き換えるのに用いることもでき、所望により、内耳の再構築に用いることもできる。

    1. 骨組織 1つの実施形態において、本発明は、動物からの骨の少なくとも一部または骨の全ピースを摘出して、異種移植片を供することを含む、ヒトへの移植または植付け用の骨異種移植片を調製する方法を提供する。

    骨は任意の非−ヒト動物から収穫して、本発明の異種移植片を調製することができる。 1つの実施形態において、骨はウシ、ヒツジまたはブタ動物から得ることができる。 別の実施形態において、骨は未成熟なブタ、子牛または子羊から得られる。 より若い動物の骨はより格子構造骨よりなり、一般には、より老齢の動物の骨よりも脆くはない。 別の実施形態において、骨は6月齢〜18月齢の間の動物から得られる。

    無傷の骨部分は動物の骨から摘出することができる。 骨は新たに殺した動物から収集することができる。 別法として、骨は生きた動物から外科的に摘出することができる。 摘出される骨は、限定されるものではないが、前、側または後ろのような頭蓋;頸(環椎、軸、典型)、胸(上、下)、腰(上、下、側)、仙骨、胎盤、胸郭、胸骨、肋骨、上側端骨、肩甲骨、腹側、後側、鎖骨、上腕骨(前または後)、橈−尺骨(前または後)、手(後側または掌)、大腿骨(前または後)、脛骨−腓骨(前または後)および/または足(後側または側方)を含むことができる。 1つの実施形態において、摘出の後、骨は適切な滅菌等張または他の組織維持溶液に入れることができる。 動物の屠殺後における骨部分の収穫は屠殺後できる限り早く行うことができ、冷温度で行うことができる。 例えば、約5℃と約20℃、約0℃と約20℃、約0℃と約10℃、または約0℃と約25℃との間。

    次いで、異種移植片組織を滅菌した、所望により冷たい水中で洗浄して、残存する血中蛋白質および水溶性物質を除去することができる。 1つの実施形態において、次いで、異種移植片組織を前記したもののような条件下でアルコールに浸漬することができる。 異種移植片は前記したもののような化学的、機械的または生物学的処理に供することができる。

    1つの実施形態において、収穫された骨部分は切断してストリップまたはブロックとすることができる。 別の実施形態において、収穫された骨は、限定されるものではないが、骨ダボ、脊椎スペーサー、骨プラグ、骨チップ、骨スクリュー、骨セメント、D−形スペーサーおよび皮質リングを含めた骨移植片のいずれかの有用な配置とすることができる。 ストリップ、ブロックまたは他の骨移植片は、格子構造骨が皮質骨に付着するように作成することができる。 別法として、ストリップ、ブロックまたは他の骨移植片は、格子構造骨が皮質骨に付着しないように作成することができる。

    骨セメントおよび骨プラグ 本発明の他の実施形態において、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物からの骨セメントおよび骨プラグが提供される。

    骨セメント組成物はインプラント材料の結合または固定において、ならびに損傷した天然骨の強化において有用である。 そのような適用は、例えば、整形外科、歯科および関連医療分野の領域で有用である。 整形外科の分野は骨の骨折、骨腫瘍および他の病気による骨欠陥を扱う。 治療は骨の全てまたは一部の外科的切除を必要とし得る。 歯科適用においては、顎骨の欠損は歯の摘出、癌または他の病気に由来し得る。 インプラント材料は、そのような骨欠陥の切除後に残る骨を修復しまたは再構築するのに有用である。 そのような手法の間に用いられるインプラント材料は金属、セラミックおよびポリマーであり得る。 骨セメントは他のインプラント材料に加えて用いて、インプラントを残りの生きた骨に結合し、付着させることができる。 例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)は整形外科におけるハードウェア機器で広く用いられてきた。

    慣用的なPMMA骨セメントは40年以上にわたって整形外科処置で用いられてきたが、理想からは程遠い。 なぜならば、PMMA骨セメントは、1)骨内植を刺激せず、2)骨皮質よりも弱い備品(implement)であり、および3)高い発熱およびモノマー毒性を有するためである。 かくして、本発明は、骨セメントに処方することができる、前記したもののような、マトリックス材料を提供する。 そのような骨セメントは、人工生体材料(例えば、インプラント材料)を付着させるのに迅速な硬化時間および/または化学的結合を呈することができる。 このセメントはイン・ビボ生体活性を呈し、機械的強度を維持し、適切な固さおよび弾性によって特徴付けることができ、および/またはその物理的および化学的効果を通じて骨質量を改善する。 骨セメントは粉末および液体成分を含むことができる。 1つの実施形態において、粉末相材料および液体相材料を含む、生体活性骨セメントが粉末−液体相で提供される。 別の実施形態において、2つの別々のペースト材料を含む生体活性骨セメントがペースト−ペースト相で提供される。 加えて、ここに提供される骨セメント材料は、PMMA骨セメントのような他のタイプの骨セメント成分と組み合わせることができる。 骨セメントはシリンジを介する注入を通じるようないずれかの慣用的方法で用いることができる。 本発明の骨セメントは、例えば、シリンジでの注入を介する脊髄外科的処置で用いることができる。 シリンジ注入は、シリンジおよびより大きなボアニードルの使用を介する最小限に侵入的な送達技術を提供する。 また、シリンジ注入は、骨セメントが置換のその領域に正確に適合するのを可能とする。 加えて、骨セメントまたはペーストは、限定されるものではないが、骨形態形成蛋白質(BMP)を含めた成長因子またはサイトカインと組み合わせることができる。

    骨プラグは、長骨における管の永久的または一時的ブロッキングで用いることができる。 内部補綴または人工関節、例えば、骨における人工尻補綴の固定のために、補綴のステムを、骨セメントが充填された長骨の脊髄内管に挿入する。 骨セメントが管中にステムの固定に必要以上に突き出るのを妨げ、および骨セメントがステムおよび骨の骨内膜壁の間にのみ存在するのを確実とし、および脊髄内管へさらに骨セメントがリークするのを防ぐために、ステム直下の管を骨プラグでブロックする(例えば、米国特許第6,669,733、第6,494,883号参照)。

    骨プラグは、広い範囲のサイズにて、かつ種々の高さ−直径比率を有するように成型して、広い範囲の軟骨置換状況に適応することができる。 骨プラグは多角形または円形断面であり得る。 例えば、プラグは平坦な円板から円筒の範囲の形状を有する丸いデバイスであり得る。 骨置換プラグまたは複数プラグを移植すべき位置、修復すべき骨欠陥のサイズ、および該欠陥の切除によって、あるいは軟骨置換プラグを移植すべきキャビティーのいずれかで引き続いての外科的輪郭形成によって最初に形成されたボイドキャビティーのサイズおよび形状のような種々の因子を各適用で考慮することができる。

    骨セメントプラグも用いることができ、そのようなデバイスは当該分野で良く知られている。 骨セメントプラグは骨セメントディスペンサーと組み合わせて用いて、補綴デバイスをその骨管中に固定する前に骨管に骨セメントを圧縮することができる。 その例として、骨セメントプラグは骨セメントディスペンサーと組み合わせて、人工尻の大腿ステムを管中に固定する前に大腿の脊髄内管に骨セメントを圧縮することができる。 より詳しくは、尻および肩代替物のような全関節置換外科的処置において、骨セメントを用いて、補綴デバイスのステムを関節の骨の脊髄管に固定することができる。 この点に関して、一般に、骨セメントが、補綴デバイスのステムが骨管に位置する前に骨管に十分にパッキングできる場合、補綴デバイスは骨管によりしっかりと固定されるであろうことが見出されている。 1つの例において、骨管の最初の調製および洗浄の後、管の末端側部分を一般にはプラグで閉塞することができる。 骨セメントプラグは骨セメントの骨管の末端側部分への制御されない流動を制限するように働くことができる。 1つの特定の実施形態において、骨セメントプラグは骨セメントのカラムを補綴のステムの末端側先端を約1〜2cmを超えて制限することができる。 プラグが骨管の末端側部分に設定された後、長いノズルを有する骨セメントディスペンサーを用い、骨セメントをプラグに隣接する閉塞された骨管の最も末端側部分に注入することができる。 次いで、セメントがノズルから出るにつれ、骨管の末端側端部から骨管の基部側端部へ骨セメントのノズルを引っ込めることによって、骨管に骨セメントを後退して充填することができる。 そのような後退充填は骨管の最も末端側部分において空気を捕獲するのを回避するのを助けることができる。 骨管が骨セメントで充填された後、次いで、骨管加圧器を骨セメントディスペンサーに連結することができる。 加圧器を骨の開いた端部に対してプレスして、骨管の基部側端部を閉塞することができる。 次いで、より多くのセメントを加圧器を介してかつ加圧下で骨管に注入することができる。 そのような圧縮下で、骨管中のセメントは骨管を規定する骨壁の内側表面の間隙に進入する。 その後骨セメントが固まると、セメントおよび骨壁の内側表面の凹凸の間にミクロ−インターロックを確立することができる。 これは骨管中の補綴デバイスの固定を有意に増強することができる。

    1つの実施形態において、骨セメントプラグは骨管中の所望の深さに配置するのが容易であり、その骨管を閉じるのに効果的であり得、骨セメントプラグは引き続いて除去する必要がある場合、骨管の末端側端部から取り出すのが容易であり得る。

    種々の骨セメントプラグが当該分野で知られている。 例えば、米国特許第4,245,359号;第4,276,659号;第4,293,962号;第4,302,855号;第4,344,190号;第4,447,915号;第4,627,434号;第4,686,973号;第4,697,584号;第4,745,914号;第4,936,859号;第4,950,295号;第4,994,085号;第5,061,287号;第5,078,746号;第5,092,891号;第5,376,120号;第4,011,602号;第4,523,587号;第4,904,267号、第6,299,642号、第6,306,142号および第5,383,932号、およびWO 94/15544参照。

    骨プラグを移植するための外科的技術は、損傷の部位の穴をドリリングまたは切断することによって損傷した骨組織を除去し、この穴に骨プラグを装着することを含むことができる。 外科的機器を用いて、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物からのドナー部位から骨プラグを収穫または摘出することができる。 次いで、骨プラグを受容者部位の予め形成された穴にインプラントすることができる。 慣用的収穫機器は末端側端部に切断エッジを有するチューブを含むことができる。 プラグを摘出するためには、機器をドナー部位の骨へと駆動し、それと共に骨組織のプラグを取って取り出すことができる。

    骨スクリュー 別の実施形態において、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物から由来する骨スクリューが提供される。

    骨骨折を低下させる1つの方法は、すなわち、伝統的ギブスが不適切または非現実的であることが判明し得る場合に、特に関節に隣接するものに当てはまるように、骨折が高度に臨界的領域に統合され、または皮膚組織に対する酷い損傷を含む骨折が治療されるのを可能とする外部固定機器を用いることであり得る。 通常は複雑な構成であって、偶然の状況のほとんど予測できないことに適合させる種々の配置で供給されるそのようなデバイスは、これらの部分の骨材料中にしっかりと固定されるスクリューを用いて、破壊された骨の各非損傷部分に固定される対向端部を有する。 かくして、例えば、脛骨骨折の場合において、対応する(脛骨)固定デバイスの対向端部は骨折した領域を横切って締め付けられる。 他の場合において、踝のような関節を骨折が含む場合、対応する外部固定デバイスの骨スクリューは脛骨および距骨に固定される。

    外部固定デバイスを締め付け、かくして、デバイスの有効性を確実とするための骨スクリューは、適切なドライバーによる係合用に設計されたスクリューヘッド、および通常は該ヘッドから反対端部のスクリュー先端に向けてテーパーが付されたねじ付部分を有するスクリューシャンクを含むことができる。 スクリューヘッドは、スクリューシャンクの片側で回る、スクリュー軸に平行に延びるフラットで形成することができる。 骨スクリューは、該スクリューが挿入できる骨の特定のサイズおよび形状に適したように種々の長さとすることができる。

    脊髄スペーサー 本発明の他の実施形態において、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物からの脊髄のいずれかの成分が提供される。 そのような成分は、限定されるものではないが、脊髄スペーサー、椎間円板、髄性核および/または線維輪を含む。

    脊髄融合は、痛い脊髄運動、および構造的変形、外傷不安定性、変性不安定性、および切除後医原性不安定性のような障害のための脊髄柱の安定化を供することが示される。 融合、または関節固定は、隣接運動セグメントの間の骨性ブリッジの形成によって達成される。 これはディスク空間内で、連続椎骨体間に前方に、または脊椎の連続横方向突起、板または他の後実施形態の間に後方に達成することができる。 成功した融合は、骨原性または骨潜在細胞、細胞の存在、適切な血液の供給、十分な炎症応答、および局所骨の適切な調製を必要とする。

    融合または関節固定手法を行って、椎間円板を含む異常を治療することができる。 隣接脊椎の末端プレートの間に位置する椎間円板は脊髄を安定化し、脊椎およびクッション脊椎体の間の力を分配する。 正常な椎間円板は半ゼラチン様成分、線維輪と呼ばれる外側の繊維状リングによって囲まれ、拘束される髄性核を含む。 健康な非損傷脊髄において、線維輪は円板空間外側に髄性核が突出するのを防ぐ。

    脊髄円板は外傷、病気または老化により置き換わり、または損傷され得る。 線維輪の破壊は髄性核が脊椎管に突き出るのを可能とし、これはヘルニアまたは破壊された円板と通常はいわれる疾患である。 押し出された髄性核は脊髄神経を圧迫し得、その結果、神経の損傷、疼痛、痺れ感、筋肉弱化および麻痺が起こり得る。 椎間円板は通常の老化の過程または病気により劣化し得る。 円板が脱水され、硬化するにつれ、円板の空間の高さは低下し、脊髄の不安定性、減少した移動性および疼痛に至る。 これらの疾患に対する1つの治療は椎間板切除、または椎間円板の一部または全ての外科的除去、続いての、隣接する脊椎の椎体固定である。 損傷した、または健康でない円板の除去は、円板空間が崩壊することを可能とすることができる。 円板空間の崩壊は、酷い疼痛に加えて、脊椎の不安定、異常な関節メカニクス、関節炎または神経損傷の未成熟発達を引き起こしかねない。 椎間板切除および関節固定を介する疼痛除去は、円板空間の維持、および影響された運動セグメントの最終的な椎板固定を必要とする。

    骨移植片または脊椎スペーサーを用いて、椎間空間を充填して、円板空間崩壊を妨げ、円板空間を横切っての隣接脊椎の椎板固定を促進することができる。 円板の除去後の椎間円板の空間を回復する多くの試みは金属デバイスに頼ってきた(例えば、米国特許第4,878,915号、第5,044,104号;第5,026,373号、第4,961,740号;第5,015,247号、第5,147,402号および第5,192,327号参照)。

    機能的α−1,3−GTの発現を欠く動物からの脊髄成分は、慣用的な方法に従って調製することができる。 骨は動物から得ることができ、次いで、洗浄して組織および血液を取り出すことができる。 骨はアルコールおよび過酸化物または前記した他の薬剤のような薬剤で処理して、細胞物質、脂肪および非コラーゲン性蛋白質を除去することができる。 骨物質を処理して、遊離コラーゲンを除去し、結合したまたは構造コラーゲンを残すことができる。 遊離コラーゲンおよびいずれかの残存する脂肪を除去するための1つの剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。

    2. 柔軟な組織 柔軟な組織は身体の他の構造および器官を連結し、支持し、または囲う。 柔軟な組織は、例えば、関節皮膚または骨以外のいずれかの他の組織の周りの筋肉、腱、脂肪、血管、リンパ管、神経、組織を含む。

    結合組織、腱、半月、靭帯、筋肉および軟骨のような柔軟な組織は動物の関節から摘出することができる。 組織の源は新たに殺した動物から収集することができる。 別法として、組織は生きた動物から外科的に取り出すことができる。 あらゆる関節が柔軟な組織として働くことができる。 本発明の実施形態において、対応するドナー関節からの組織を用いて、異種移植片組織を作成することができる。 例えば、大腿骨−脛骨(後膝後関節)関節からの軟骨を用いて、膝へ移植するための軟骨異種移植片を作成することができる。 別の例において、ドナー動物の尻関節からの軟骨を用いて、ヒト尻関節のための軟骨異種移植片を作成することができる。

    1つの実施形態において、柔軟な組織は膝関節から摘出することができる。 膝は、種々の運動を作り出すように相互作用する、空間的に相互関連した骨、靭帯、および軟骨構造を含む複雑な関節である。 具体的には、大腿顆は、軟骨中央および側方半月を介して、脛骨の表面プラトーとで関節を成し、これらの構造の全ては種々の靭帯によって所定の位置に保持される。 膝関節を安定化する実質的に4つの別々の靭帯がある(例えば、図7参照)。 関節の片側には、関節の側間安定性のための安定材として働く中央副行靭帯(MCL)および側方副行靭帯(LCL)がある。 MCLは、2つの靭帯構造、深いおよび表層成分から現実になるより広い靭帯であり、他方、LCLは別個の索−様構造である。 関節の中央の前面部分には、前十字靭帯(ACL)がある。 靭帯は脛骨上の大腿の非常に重要な安定材であって、脛骨が、敏活、跳躍および減速活動の間に前方に回転し、滑るのを妨げるように働く。 ACLの直接背後には、その反対の後十字靭帯(PCL)がある。 PCLは脛骨が後方に滑るのを妨げる。

    中央および側方半月は、プロテオグリカンから形成された基底物質内の、線維軟骨細胞と呼ばれる細胞、蛋白質コラーゲンの繊維の間隙マトリックスよりなる構造である。 損傷していない半月は、正常な活動の間に反復される圧縮負荷にルーチン的に暴露される膝関節内の相互作用する骨表面のために適切な力の分配、安定化および潤滑を確保することによって膝のためにショック吸収を提供する。 中央および側方半月のショック吸収機能の多くは、軟骨に固有の弾性特性に由来する。 半月が負傷、病気または炎症を通じて損傷される場合、関節炎の変化が、機能の引き続いての喪失と共に膝関節に起こる。

    膝の前十字靭帯(ACL)は、全ての反射位置における大腿からの脛骨の前変位に抵抗するように機能する。 ACLは過剰伸張に抵抗し、内部および外部脛骨回転の間に十分に延びた膝の回転安定性に寄与する。 ACLは固有受容において役割を演じることができる。 ACLは細胞、水、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、エラスチンおよび他の糖蛋白質よりなる結合組織構造から構成される(例えば、Cyril Frank,M.D.et al.,Normal Ligament:Structure,Function,and Composition.Injury and Repair of the Musculoskeletal Soft Tissues,2:45−101)。 構造的には、ACLは、外側大腿骨顆の中央壁へと後上方に延びる脛骨の顆間隆起の前面における窪みに付着される。 ACLの部分的または完全な裂傷は非常に普通であり、毎年米国において約30,000の外来患者の手続きよりなる。

    関節軟骨は、ヒトおよび動物において連結する関節を形成する全ての骨の端部をカバーする。 軟骨が線維軟骨細胞と呼ばれる細胞、およびコラーゲン繊維の細胞外マトリックス、ならびに種々のプロテオグリカンよりなる。 軟骨は、力の分布についてのメカニズムとして、および骨の間の接触の領域における潤滑剤として関節で作用する。 関節軟骨がなければ、応力集中および摩擦が、関節が運動を容易としない程度に起こる。 関節軟骨の喪失は、通常、疼痛関節炎および減少した関節の運動に導く。 成人における関節軟骨は天然では有意な程度まで再生しないため、一旦関節軟骨が破壊されると、損傷された成人関節軟骨が、歴史的には、修復、置換を含めた種々の外科的介入によって、または切除によって治療されてきた。

    1つの実施形態において、半月軟組織は、まず、膝蓋骨腱を横に切開することによって関節から摘出することができ、次いで、半月の角を接着する組織から切り離して自由とすることができる。 所望により、少量の骨を角に付着したままとすることができ、例えば、骨プラグのような、骨の実質的に円筒プラグである。 1つの特定の例において、骨プラグはほぼ直径が5ミリメートル×深さが5ミリメートルとすることができる。 1つの実施形態において、半月滑膜接合を次いで突き止め、半月組織自体から離して、マトリックス材料を形成することができる。 別の実施形態において、無傷の半月軟組織を移植用に用いることができる。

    別の実施形態において、関節軟骨軟組織を関節から摘出することができる。 1つの実施形態において、軟骨下骨の小さな層を持つ関節軟骨の薄い皮を突き止め、ドナー関節から剃り落とすことができ、これはマトリックス材料を形成することができる。 別の実施形態において、無傷関節軟骨軟組織を移植で用いることができる。

    さらなる実施形態において、前十字靭帯、後十字靭帯、側方副行靭帯または中央副行靭帯のような、靭帯軟組織を関節から摘出することができる。 靭帯を取り出すためには、標準的な外科技術を用いて関節を切開することができる。 1つの実施形態において、靭帯を、一旦または双方の端部に付着した骨のブロックと共に収穫することができる。 1つの例において、実質的に円筒プラグを表す骨のブロックを靭帯と共に摘出することができ、骨プラグはほぼ直径が9〜10mm×ほぼ長さが20〜40mmとすることができる。 別の実施形態において、靭帯は骨なくして収穫することができる。 さらなる実施形態において、靭帯は骨なくして収穫し、次いで、接着組織から切開して離して、マトリックス材料を得ることができる。 別の実施形態において、無傷の靭帯軟組織を移植で用いることができる。

    取り出しの後、組織を適切な滅菌等張または他の組織維持溶液に入れることができる。 動物の屠殺後の組織の収穫は、屠殺後できるだけ早く行うことができ、冷温度で行うことができる。 例えば、約5℃と約20℃、約0℃と約20℃、約0℃と約10℃、約0℃と約25℃との間。

    コラーゲン 別の実施形態において、本発明のコラーゲン組織を用いて、コラーゲン障害を治療することができる。 異常な遺伝子またはコラーゲン蛋白質の異常なプロセッシングに由来するコラーゲン構造の変化の結果、ラーセン症候群、壊血病、骨形成不全およびエーレルス−ダンロー症候群のような多数の病気がもたらされる。 エーレルス−ダンロー症候群は、現実には、生化学的かつ臨床的には別個の少なくとも10の別個の障害に関連した名称であるが、全ては、コラーゲンの構造における欠陥の結果として結合組織において構造的弱点を呈する。 骨形成不全もまた1を超える障害を含む。 少なくとも4つの生化学的にかつ臨床的に識別可能な障害が同定されており、その全ては多数の骨折および結果としての骨変形によって特徴付けられる。 マルファン症候群がそれ自体を結合組織の障害として現し、異常なコラーゲンの結果と考えられていた。 しかしながら、最近の証拠は、マルファンが、細胞外マトリックスの非−コラーゲン性ミクロフィブリルの一体的成分である細胞外蛋白質であるフィブリリンにおける突然変異に由来することを示している。

    軟骨プラグ 他の実施形態において、機能的α−1,3−GTの発現を欠く動物から得られた軟骨プラグが提供される。 軟骨プラグを用いて、天然軟骨中のボイドを充填することができる。 天然軟骨中のボイドは、外傷負傷または慢性病によるものであり得る。 別法として、該プラグを用いて、流動可能ポリマーを軟骨下骨に繋留することができる。 該プラグは任意のサイズ、形状、および所望の移植体に適した輪郭とすることもできる。 該プラグは単独または複数で利用して、任意の適用でも任意のサイズのボイドも充填することができる。 該プラグは、修復部位の生理学的要件に適合する積層構造より形成することができ、あるいは積層構造を含むことができる。 加えて、各プラグの周囲に隆起を形成して、周囲の軟骨、骨および/または隣接プラグへのその繋留を容易とすることができる(例えば、米国特許第6,632,246号参照)。

    軟骨プラグは多角形または円形断面とすることができる。 多角形または円形断面は、1未満対1、ないし約20:1、約30:1または約40:1の高さ−対−直径比率を含むことができる。 プラグは広い範囲のサイズであって、種々の高さ−対−直径比率を有するものに成型して、広い範囲の軟骨置換状況を受け入れることができる。 例えば、プラグは平坦な円板ないし円筒の範囲の形状を有する丸いデバイスとすることができる。 欠陥の切除によって最初に形成された、あるいは軟骨置換プラグを移植すべきキャビティーのいずれかの引き続いての外科的輪郭形成によって最初に形成された、軟骨置換プラグまたは複数プラグを移植すべき位置、修復すべき軟骨欠陥のサイズ、およびボイドキャビティーのサイズおよび形状のような種々の因子を、各特定の適用について考慮することができる。 例えば、平坦化された円板形状を有する軟骨置換プラグデバイスはより高価であるが狭い欠陥に最も適しており、他方、大きな高さ−対−直径比率を有するデバイスは、より小さな表面積を有するが、軟骨および/または軟骨下骨層により深く伸びる欠陥に適している。

    本発明の軟骨プラグの表面を処理して、多孔性または粗くした表面を暴露することができる。 プラグの表面を、粗くされ、またはテキスチャーを付与されるように処理することによって、細胞付着を増強することができ、細胞の移動および組織層の成長異常を可能とする。 適切な表面手触りでもって、得られた細胞は継続成長および内植を介してプラグ増強固定の表面に接着することができる。 そのような細胞内植は、結局は、プラグとの骨界面に変換でき、望ましい特徴と考えられる。 この変換において重要なのは、どのようにして負荷がデバイスから周囲の組織に移されるかである。 プラグおよび周囲の組織の間の変形における大きなミスマッチは、フレキシブルではあるが、所望の固定を供しないプラグの周りの繊維状組織層に導きかねない。 手触りのような多孔性は、バイオロジック固定を考慮する場合に重要かつ有益であり得る。

    縫合アンカー 本発明で提供される軟組織を用いて、縫合アンカーを形成することができ、これを用いて、関節再構築外科的処置および関節鏡外科手法の間に骨に形成された開口内の縫合を確実とすることができる。 アンカーを骨に入れ、そうでなければ、密な骨材料に締め付けることができない縫合に連結することができる。 そのような縫合アンカーを用いて、例えば、靭帯または腱を膝、肩および踝再構築および修復手術において骨に繋留することができる。 骨アンカーの重要な属性は、挿入するのが容易であって、しっかりとした繋留を提供することである。 外科処置後のアンカーの意図しない外れは深刻な有害な結果を有しかねず、よって、かなりの重要性が、付着された縫合によって適用される摘出または取り出し力に抵抗するアンカーの能力に置かれる(例えば、米国特許第4,738,255号、第4,013,071号、第4,409,974号、第4,454,875号、および第5,236,445号参照)。

    また、本発明は縫合を骨に繋留する方法を提供する。 まず、骨にドリルで穴を開けることができる。 次いで、骨アンカーの末端側を、最初に空けた穴に挿入することができる。 長円形または卵形断面を持つロッドのような拡大機器を、アンカーの開いた基部側端部を通じて拡大チャンバーに挿入することができる。 次いで、該機器を回転させて、該機器を機器が回転するにつれて壁と接触させることによって、骨アンカーの細長い穴を開けた基部側端部を拡大することができる。 機器の長円形または卵形断面は、骨アンカーが機器と共に回転しないように、壁と接触させる前に旋回の少なくとも一部を通じて回転させることができる。 1つの実施形態において、機器の末端側先端は拡大チャンバーの末端側端部における対応する凹所に存在する。 該凹所は、そのまわりにロッドが回転してアンカーを拡大する固定されたピボット点を提供する。

    3. 足場 ある実施形態において、組織を調製するプロセスは、全ての生きた細胞をストリップし、または殺して(脱細胞化)、後に、組織修復および再形成、ならびに所望により、架橋および滅菌のための処理のために使用される無細胞マトリックスまたは足場のみを残す工程を含むことができる。 特定の実施形態において、いずれかの脱細胞化された硬いまたは柔軟な組織が提供され、これは本明細書中に開示された動物に由来する。 1つの実施形態において、脱細胞化柔軟皮膚組織が提供される。 別の実施形態において、脱細胞化粘膜下組織が提供される。 他の実施形態において、そのような脱細胞化材料は免疫原性が低くすることができる。 さらなる実施形態において、そのような脱細胞化組織は足場またはマトリックスとして用いて、特定のヒト身体部分を修復しおよび/または再構築することができる。 1つの実施形態において、脱細胞化組織は、限定されるものではないが、以下のヘルニア、腹部壁、回旋腱板、美容整形または当業者に知られたもしくは本明細書中に開示されたいずれかの他の軟組織欠陥を含めた修復で用いることができる。 特定の実施形態において、粘膜下および/または皮膚脱細胞化材料が提供される。

    本発明の1つの実施形態において、これらのα1,3GT動物に由来する組織を調達(収穫)し、次いで、さらに処理して、例えば、足場として用いる脱細胞化組織を形成することができる。 1つの実施形態において、組織が、限定されるものではないが、安定化溶液での組織の処理、細胞およびいずれかの残存する抗原性組織成分を除去するための脱細胞化プロセス、酵素処理、組織の構造的一体性を改良し、またはいずれかの残存する抗原性組織成分を除去するための架橋、天然ウイルスを除去し、および/または不活化するための滅菌、および/または長期間の維持方法を含めた多工程プロセスに供することができる。 1つの実施形態において、安定化溶液は適切な緩衝液、1つまたは複数の抗酸化剤、1つまたは複数の腫脹剤、抗生物質を含有することができ、1つまたは複数のプロテアーゼ阻害剤を含むことができる。

    他の実施形態において、脱細胞化組織を生じさせるための組織処理は、例えば、マトリックスを損傷することなく組織拒絶および移植片失敗に導きかねない細胞の除去を含むことができる。 脱細胞化のプロセスは、組織をできる限り強い統合物であるが、より曲げやすいものとし、引っ張りおよび機能的特徴を保有し、移植片の接着、減少した感染および拒絶を妨げることを助け、および周囲の宿主組織の再形成を促進するという利点を有する。 他の実施形態において、脱細胞化は、ある種の塩、界面活性剤または酵素、および/または真空/加圧プロセスにおけるインキュベーションを含めた多数の化学的処理を用いて達成することができる。 1つの実施形態において、界面活性剤はTriton X−100(Rohm and Haas Company of Philadelphia,PA)であり得る。 ある実施形態において、Triton X−100は細胞膜を除去する。 例えば、米国特許第4,801,299号参照。 他の脱細胞化界面活性剤は、限定されるものではないが、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノ−オレエートおよびポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノ−オレエート(Tween 20および80)、デオキシコール酸ナトリウム、3−[(3−クロルアミノプロピル)−ジメチルアミノ]−1−プロパン−スルフォネート、オクチル−グルコシドおよび/またはドデシル硫酸ナトリウムまたは当業者に知られたいずれかの他の界面活性剤を含む。 別の実施形態において、酵素を用いて、脱細胞化を達成することができる。 ある実施形態において、酵素は、限定されるものではないが、ジスパーゼII、トリプシンおよび/またはテルモシン、または当業者に知られたいずれかの他の酵素を含めた群から選択することができる。 これらの酵素はコラーゲンおよび細胞間連結の異なる成分と反応することができる。 例えば、ジスパーゼIIは、基底膜緻密層および基底膜のアンカリングフィブリルの成分であるIV型コラーゲンを攻撃することができる。 別の例において、テルモシンは、ケラチノサイトの基底層のヘミデスモソーム中のBulbous phemphigoid抗原を攻撃することができる。 さらなる例において、トリプシンは細胞間のデスモソーム複合体を攻撃することができる。

    さらなるまたは別の実施形態において、脱細胞化異種移植片を化学剤に暴露して、細胞外蛋白質内の蛋白質をなめし、または架橋して、異種移植片に存在する免疫原性決定基をさらに減少させ、または低下させることができる。 あらゆるなめしまたは架橋剤がこの処理で用いることができ、1を超える架橋工程を行うことができ、あるいは1を超える架橋剤を用いて、完全な架橋を確実とし、かくして、異種移植片の免疫原性を最適に低下させることができる。 例えば、グルタルアルデヒト、ホルムアルデヒド、アジピックジアルデヒドなどのようなアルデヒドを用いて、細胞外コラーゲンを架橋させることができる。 他の適切な架橋剤は脂肪族および芳香族ジアミン、カルボシイミド、ジイソシアネートなどを含む。 別法として、異種移植片を、限定されるのではないが、例えば、気化されたホルムアルデヒドのごとき気化されたアルデヒド架橋剤を含めた蒸気形態の架橋剤に暴露することができる。 架橋反応は、免疫原性決定基が異種組織から実質的に除去されるので継続すべきであるが、反応は、異種移植片の機械的特性の有意な変化に先立って終了すべきである。 架橋剤は当業者に知られた、または本明細書中に記載されたいずれかの剤であり得る。

    特定の実施形態において、そのような柔軟な組織に由来するマトリックス材料を用いて、足場または補綴デバイスを形成することができる。 マトリックス材料は乾燥した多孔性用量マトリックスに変換することができ、その一部を所望により架橋することができる。 補綴デバイスの多孔性マトリックスは、半月線維軟骨細胞、内皮細胞、線維芽細胞、および細胞外マトリックスを通常占有し、ならびに細胞外マトリックス成分を合成し、沈積させる他の細胞のような細胞の内植を刺激する。 コラーゲン、エラスチン、レツクリン、ソノアナログ、およびその混合物のような細胞外マトリックス線維をマトリックス剤利用に加えることができる。 これらの線維は、α−1,3−galのいずれの機能的発現も欠く動物から得ることもできる。 1つの実施形態において、繊維はマトリックス全体をランダムに配向させることができる。 別法として、繊維はマトリックスを通じて、実質的に周方向に伸び、または実質的に径方向に伸びる向きをとることができる。 マトリックスの繊維の密度は均一または不均一とすることができる。 不均一配置においては、繊維の比較的高い密度は高応力の予測される点で確立することができる。

    マトリックス材料は前記した生体ポリマーのような他のタイプの材料を含むこともできる。 マトリックス材料は、限定されるものではないが、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、およびその混合物のようなグリコサミングリカン分子(GAG)を含むことができ、マトリックス材料の成分であり得る。 加えて、マトリックス材料は繊維全体に分散したGAGを含有することができる。 GAGは個々の分子としてマトリックス全体に均一に分散することができ、あるいはデバイスの異なる領域に種々の量で存在することができる。

    ある実施形態において、本明細書中に記載したα−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物からの組織から形成された足場は細胞外マトリックス(ECM)成分を含有することもできる。 1つの実施形態において、そのようなECM成分は、α−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物に由来することができる。 細胞外マトリックス材料は、限定されるものではないが、皮膚、泌尿、膀胱または器官粘膜下組織を含めたいずれかの組織に由来することができる。 足場は補綴デバイスとして機能することができる。 足場は断片化ECM成分から合成することができ、あるいは好ましい実施形態においては、脱細胞化または天然組織の処理、かくして、生きた細胞の除去、および天然組織と同様な3−D構造−繊維配置を持つ予め形成された足場としてECMを後に残すことを介して誘導される。 足場またはデバイスは、α−1,3−Galのいずれの機能的発現も欠く動物の軟組織から得られたマトリックス材料に由来することができる。 軟組織は、限定されるものではないが、皮膚、器官粘膜下(すなわち、小腸粘膜下(SIS))、膝関節から取り出した側方半月、いずれかの関節から取り出した関節軟骨、靭帯および/またはアキレス腱のような腱を含むことができる。 次いで、組織を後に記載するように処理して、生体適合性かつ生体再吸収性繊維のようなマトリックス材料を得ることができる。

    細胞外マトリックス(ECM)は、哺乳動物組織内に見出される細胞を囲みかつ支持する複雑な構造的存在である。 ECMは結合組織とも言うことができる。 ECMがコラーゲンおよびエラスチンのような構造蛋白質、フィブリン、フィブロレクチンおよびラミニンのような特殊化された蛋白質、およびプロテオグリカンで構成される。 グリコサミノグリカン(GAG)は、ECMの極端に複雑な高分子量成分を形成する反復二糖単位の長い鎖である。 これらの二糖単位はN−アセチル化ヘキソサミンを含有し、潤滑および架橋を提供する。 GAGの例は、限定されるものではないが、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸およびヒアルロン酸を含む。

    コラーゲンは動物界で見出される最も豊富な蛋白質である。 コラーゲンはECMを含む主な蛋白質である。 少なくとも12のタイプのコラーゲンがある。 I、IIおよびIII型は最も豊富であって、同様な構造のフィブリルを形成する。 IV型コラーゲンは二次元小胞体を形成し、基底ラミナの主な成分である。 コラーゲンは線維芽細胞によって圧倒的に合成されるが、上皮細胞もまたこれらの蛋白質を合成する。 コラーゲンの基本的なより高次の構造は長くかつ薄い直径ロッド−様蛋白質である。 I型コラーゲンは、例えば、長さがほぼ300nm、直径が1.5nmであって、2つのα1(I)鎖および1つのα2(I)鎖よりなる3つのコイルドサブユニットよりなる。 各鎖は特徴的な右巻き三重螺旋にて相互のまわりに巻かれた1050のアミノ酸よりなる。 螺旋のターン当たり3つのアミノ酸があり、3番目のアミノ酸ごとにグアニンがある。 コラーゲンはプロリンおよびヒドロキシプロリンも豊富である。 プロリンの嵩高いピロリドン環は三重螺旋の外側に存在する。 コラーゲンの三重螺旋の側方相互作用の結果、概略50nm直径のフィブリルが形成される。 コラーゲンのパッキングは、隣接分子がその長さのほぼ1/4変位する(67nm)ようなものである。 このスタガードアレイ(staggered array)は、電子顕微鏡で観察することができる筋付効果を生じる。

    コラーゲンはプロコラーゲンと呼ばれるより長い前駆体蛋白質として合成される。 I型プロコラーゲンはN−末端にさらに150のアミノ酸およびC−末端に250のアミノ酸を含有する。 これらのプロ−ドメインは球状であって、多数の鎖内ジスルフィド結合を形成する。 ジスルフィドはプロ蛋白質を安定化し、三重螺旋セクションを形成させる。 コラーゲン繊維は小胞体(ER)およびゴルジ複合体において組立が開始される。 シグナル配列は除去され、多数の修飾がコラーゲン鎖で起こる。 特異的なプロリン残基はプロニル4−ヒドロキシダーゼおよびプロリル3−ヒドロキシダーゼによって加水分解され得る。 特異的リシン残基もまたリシルヒドロキシダーゼによって加水分解される。 プロリルヒドロキシダーゼは補因子としてのビタミンCに依存する。 O−結合型のグリコシル化もまたゴルジ通過の間に起こる。 プロセッシングの完了に続いて、プロコラーゲンは細胞外空間に分泌され、そこで細胞外酵素はプロ−ドメインを除去する。 次いで、コラーゲン分子は重合して、コラーゲンフィブリルを形成する。 フィブリル形成に伴って、細胞外酵素リシルオキシダーゼによるある種のリシン残基の酸化が起こり、反応性アルデヒドが形成される。 これらの反応性アルデヒドは2つの鎖の間で特異的な架橋を形成し、それにより、フィブリル中のコラーゲンのスタガードアレイを安定化する。

    フィブロネクチンの役割は、種々の細胞外マトリックスへ細胞を付着させることである。 フィブロネクチンは細胞を、接着分子としてラミニンを含むIV型を除く全てのマトリックスに付着させる。 フィブロネクチンは2つの同様なペプチドの二量体である。 各鎖は長さがほぼ60〜70nmであって、厚さが2〜3nmである。 少なくとも20の異なるフィブロネクチン鎖が同定されており、これは単一フィブロネクチン遺伝子からの一次転写体の別のRNAスプライシングによって生起する。 フィブロネクチンは、各々が、ヘパラン硫酸、コラーゲン(I、IIおよびIII型に対する別々のドメイン)、フィブリンおよび細胞−表面受容体のような異なる基質に対して高い親和性を持つ、少なくとも6つの密接に折り畳まれたドメインを含む。 細胞−表面受容体−結合ドメインがコンセンサスアミノ酸配列RGDSを含有する。

    全ての基底ラミナは蛋白質およびGAGの共通の組を含有する。 これらはIV型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、エンタクチンおよびラミニンである。 基底ラミナは、しばしば、IV型マトリックスと言われる。 基底ラミナの成分の各々は、その上に存在する細胞によって合成される。 ラミニンは細胞表面を規定ラミナに繋留する。

    1つの実施形態において、ECM成分または前記したその組合せのいずれかを用いて、足場を形成することができ、これは、所望により、補綴デバイスとして用いることができる。 ECM−由来足場は、別法として、全ての細胞およびデブリスが除去され、後に、宿主細胞の動員および組織再生によく適した繊維パターンのECMを残すように、α1,3galノックアウトブタから組織の機械的、化学的または酵素的処理によって生産することができる。 生体適合性かつ生体再吸収性繊維から製造された足場または補綴デバイスは、対象の骨の2つの間に配置された、および該2つを連結する領域に外科的にインプラントして、正常な運動および強度を提供することができる(例えば、外科的移植については、例えば、米国特許第6,042,610号、第5,735,903号、第5,479,033号、第5,624,463号、第5,306,311号、第5,108,438号、第5,007,934号および第4,880,429号参照)。 補綴デバイスは再生組織用の足場として作用することができる。 というのは、足場の物理的特徴は新しい組織の内植を刺激するためである。 この結果、対象宿主身体領域のコンポジット、および天然身体領域と実質的に同一なイン・ビボ外側表面輪郭を有する補綴デバイスがもたらされ得る。

    デバイスは2つの対象の骨の間の、および/または2つの対象の骨を連結させる領域に移植することができ、対象の身体の領域およびデバイスによって形成されたコンポジットは、治療すべき天然領域と実質的に同一なイン・ビボ外側表面輪郭を有することができる。 デバイスは、(半月線維軟骨細胞、脊椎線維軟骨細胞などのような)線維軟骨細胞、線維芽細胞または軟骨細胞の内植に適合した生体適合性かつ部分的に生体再吸収性足場を確立することができる。 内植下細胞と共に足場は該領域中の天然負荷力を支持することができる。

    別の実施形態において、(例えば、半月におけるセグメント欠陥のような)所望の形状をイン・ビボで有する補綴デバイスを製造する方法が提供される。 該方法はα−1,3−galのいずれの機能的発現も欠く動物の組織から線維マトリックス細胞を得、この生体適合性かつ部分的に生体再吸収性繊維マトリックスを所望の形状を規定する金型に入れることを含む(該金型は所望の身体領域を補うためのデバイスの外側表面を規定する)。 次いで、繊維を凍結乾燥しおよび/または繊維が金型の形状を取るように化学的架橋剤と接触させることができる。 別法として、成型が完了した後、金型中に形成された構造またはマトリックスを、その外側表面がセグメント欠点を補うように切断することができる。 この方法は、半月におけるセグメント欠陥と相補的な外側表面輪郭を有するように適合したマトリックスを生じさせることができる。 このタイプのマトリックスを移植して、半月のセグメント欠陥を修正し、または半月増強デバイスとして移植することができ、該マトリックスは、半月線維軟骨細胞の内植用の、および天然半月負荷力の支持用の生体適合性かつ少なくとも部分的に生体再吸収性の足場を確立することができる。

    4. 硬いおよび柔軟な組織移植片 本発明の別の実施形態において、骨腱骨移植片が提供され、これは整形外科処置で有用であり得る。 骨腱骨移植片は1つまたは複数の骨ブロック、および該骨ブロックに付着した腱を含有することができる。 骨ブロックを切断して、固定スクリューを終了するのに十分な溝を供することができる。 別法として、1つまたは複数の骨ブロックを含有する骨腱骨移植片が提供され、ここに、骨ブロックはジベルに予め形成され、腱は骨ブロックに付着される。 骨腱骨移植片を得るための方法もまた提供され、それにより、それに付着された腱または靭帯を有する第一の骨プラグがまず切除され、次いで、それに付着した腱または靭帯を有する第二の骨プラグが切除され;従って、第一の骨プラグおよび第二の骨プラグは連続骨ストックに由来し、第一の骨プラグまたは第二の骨プラグの切除が、他方に続いて切除される骨プラグ中に溝を形成するように重ねられる。

    他の実施形態において、腱および一つの骨ブロックを含有する骨腱骨移植片が提供される。 腱は骨の周りでループを形成して、腱、骨、腱層を作り出し、これは、縫合で所定の位置に保持することができる。 これは、移植体を締め付けるための固定で利用できる腱の二つのトレーリング部分を含有することもできる。 このタイプの移植片は、プーリータイプの様式で反対向き力をバランスさせるために腱運動に関連する天然の周期的クリークすることによって組織故障を引き起こしかねない剪断を減少させつつ組織強度を増大させることができる。

    5. 皮膚修復 本発明のさらなる実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織を皮膚修復で用いることができる。

    皮膚は三つの層:表皮、真皮、および皮下層に分けることができる。 表皮は、底部から出発して頂部A:基底細胞層、有棘層、顆粒層および角質層の四つの層に分けられる。

    表皮の基底細胞層は、表皮における他の細胞およびメラノサイト、すなわち、皮膚にその色を与えるメラニンをつくる細胞に分けられ、それに分化する基底細胞を含有する。 有棘層は基底細胞層の上にあり、ケラチノサイト、すなわち、蛋白質ケラチンを作る細胞よりなる。 ケラチンは、角質層ならびに毛髪および爪の重要な成分である。 顆粒層における細胞は平坦化され、かつ排出され、上に存在する角質層と一緒に細胞を保持する「セメント」を供する暗い顆粒を含有する。 真皮のこの最も上側の層は、現実には、皮膚に対する主な物理的バリアーを形成するケラチンが満たされた死滅した細胞の密にパッキングされた層よりなる。 角質層は、身体の他の部分よりもより毎日の疲労および引き裂きに耐える掌および足底のように領域においてより厚い、また、真皮は、感染に対して皮膚の防御の一部として作用するランゲルハンス細胞を含有する。 真皮−表皮接合は表皮が真皮に出会う場所である。 基底膜ゾーンはこれらの二つの層の間の「膠」として働く。

    真皮は上方乳頭状真皮および下方網様真皮に分けられる。 真皮の構造的成分はコラーゲン、弾性繊維、および下地物質を含む。 神経および血管もまた真皮を通る。 皮膚付属器官はエクリンおよびアポクリン汗腺、毛包、皮脂腺、および爪である。 爪を除く、全ての皮膚付属器官は真皮に位置する。

    エクリン腺からの汗の放出は身体を冷却するプロセスである。 汗は真皮中のコイル状細管中で生産され、真皮を通って汗ダクトによって輸送され、分泌される。 全身体表面は約2〜300万のエクリン汗腺を有し、10Lまでの汗を一日当たり生産させることができる。

    ヒトにおいては、アポクリン汗腺は公知の機能を働かせず、恐らくは我々の先祖にとって有用な痕跡腺と見なされている。 それらは主として腋の下および泌尿器領域に位置する。 エクリン汗のように、アポクリン汗もまた真皮におけるコイル状細管中で生産されるが、アポクリンダクトは、それから皮膚表面に到達する毛包に汗を排出する。

    毛髪はケラチン、すなわち、爪および表皮の頂部層(角質層)を形成する同一物質よりなる。 毛髪の根に位置する異なる細胞はケラチンおよびメラニンをつくり、これは毛髪にその色を与える。 ヒトは2つのタイプの毛髪:産毛(明るくかつ細い)および終末毛(暗くかつ太い)を有する。 皮脂腺は、毛包の管に排出されて、皮膚の表面に到達する皮脂と呼ばれる油状物質を分泌する。 毛包およびその関連皮脂線はともに毛皮脂ユニットと呼ばれる。 毛包は、掌および足底を除く身体の任意の箇所に分布している。 ヒトにおいては、毛髪はかなり装飾的であるが、保護機能も発揮する。 眉毛および睫毛は眼を埃および太陽から保護し、他方、鼻の毛は鼻から異物をブロックする。 頭髪はいくらか断熱を提供する。

    皮脂腺は皮脂と呼ばれる油状物質を生産する。 それらは頭皮、顔、および上体幹の皮膚で最も顕著であり、掌および足底には存在しない。 毛皮脂ユニットの一部として、皮脂腺は皮脂を分泌し、これは毛包管に排出され、最終的には、皮膚の表面に至る。 皮脂腺は、青春期の間に、増大したホルモンレベル、特にアンドロゲンに応答して、サイズが増加し、かつより多くの皮脂を生産する。 それらはざ瘡の発達で重要な役割を演じる。

    皮下層は真皮および下にある筋膜被覆筋肉の間に存在する。 この層は、繊維状中隔によって分けられたアジポサイト(脂肪細胞)の群よりなる。 皮下層は3つの主な機能を発揮して:冷気から身体を断熱し、外傷を吸収し、より深い組織のクッションとなり、および身体の貯蔵燃料のための貯蔵庫として作用する。

    爪は真皮に位置せず、その代わり、指および足指の末端に位置する唯一の皮膚付属器官である。 爪プレートは死滅したケラチンよりなり、これは約0.3〜0.65mmの厚みの硬い保護構造を形成する。 ケラチンは、表皮細胞を分割することによって爪マトリックス中に形成される。 爪床は表皮層であり、これは爪プレートの底部にしっかりと付着している。 爪の血管は爪にそのピンク色を与える。 基部側爪は折り畳まれ、またはクチクラは感染を引き起こす生物から爪のベースを保護する。 爪は一日当たり0.1mmの平均速度で成長し、足指爪が指爪よりもゆっくりと成長する。

    さらなる実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織は皮膚修復で用いることができる。 限定されるものではないが、表皮組織、基底細胞層、有棘層、顆粒層、角質層、皮膚組織、上方乳頭皮膚組織、下方網様皮膚組織、コラーゲン、弾性繊維、下地物質、エクリン腺、アポクリン腺、毛包、皮脂層、爪、毛髪および皮下組織を含めた、そのような動物に由来する皮膚成分のいずれかの成分または組合せを用いることができる。 そのような組織を用いて、ヒト皮膚を置き換え、例えば、皮膚の深い組織火傷を修復することができる。

    皮膚組織は、限定されるものではないが、真皮または表皮組織またはその誘導体を含む。 皮膚の下には、脂肪皮下組織がある。 1つの実施形態において、皮膚異種移植片は表皮を含むことができる。 別の実施形態において、皮膚異種移植片は表皮および真皮を含むことができる。 真皮は可変厚み、例えば、1mm、5mm、10mmまたは20mmで提供することができる。 加えて、表皮、真皮および皮下組織を含有する皮膚移植片が提供される。 1つの実施形態において、表皮、真皮および皮下組織を含有する皮膚移植片を用いて、骨領域の上にある、または腱の上の皮膚を置き換えることができる。

    別の実施形態において、(例えば、表6に記載されているように)皮膚組織はその天然形態にて、または脱細胞化様式で、回旋腱板の修復または置換、腹部内壁修復、婦人科学または泌尿器系組織修復のための足場として、靭帯または腱を修復し、または置き換えるためのプロセスの一部、または他の軟組織適用として用いられる。 皮膚組織異種移植片は永久的代替物とすることができるか、あるいは患者が新しい皮膚を再度成長させることができるまで一時的代替物として用いることができる。 1つの実施形態において、皮膚移植片は一時的代替物として用いることができる。 一時的皮膚代替物は部分的厚みの火傷を治癒し、創傷治癒を促進し、感染を防止することができ、患者が再構築外科的処置で十分なように健康でない場合、用いることができる。 別の実施形態において、永久的皮膚移植片が提供される。

    さらなる実施形態において、異なるタイプの皮膚異種移植片が提供される。 1つの実施形態において、移植片は分裂−厚み移植片である。 分裂−厚み移植片は表皮の一部のみを持つ真皮を含有することができ、火傷または大きな創傷で用いることができる。 別の実施形態において、移植片は全−厚み移植片である。 全厚み移植片は表皮および真皮を含むことができ、これを用いて小さな領域を被覆することができる。 さらなる実施形態において、移植片は有茎皮弁または移植片であり得る。 有茎皮弁または移植片は表皮、真皮および皮下組織を含むことができる。 有茎皮弁または移植片を用いて、創傷、あるいは骨、腱、または神経損傷を修復するためのさらなる手術を必要とし得る他の領域を被覆することができる。

    6. 内部組織修復 本発明の別の実施形態において、機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物からの硬いおよび柔軟な組織を、ヘルニア修復、腱プーリー、グライディング表面、血管吻合、心臓弁修復または置換および硬膜修復のような内部組織修復で用いることができる。 内部組織が心臓周辺組織、心臓弁および粘膜下組織を含む。 1つの実施形態において、粘膜下組織を用いて、結合組織を修復し、または置換することができる。

    別の実施形態において、異種移植片組織は、動物器官の粘膜下組織、好ましくはα1,3GTノックアウトブタからの器官粘膜下組織に由来する離層セグメントから調製される。 好ましい実施形態において、粘膜下組織は動物の腸組織に由来する。 該セグメントは、一般には筋層粘膜および緻密層を含めた粘膜下組織および粘膜下組織の基底組織を含むことができる。 粘膜下組織および基底粘膜組織は筋層、および腸組織のセグメントの粘膜層の管腔部分から離層させることができる。 この処理の結果、管状で、非常に靭性で、繊維状でコラーゲン状の材料である三層腸組織を得ることができる。 (例えば、米国特許第4,902,508号および第4,956,178号参照)。 別の実施形態において、この組織は、例えば、400および600ポンドの体重である雌豚のような成熟動物から摘出される。 三層腸セグメントを用いて異種移植片を形成することができるか、あるいは異種移植片は縦方向または横方向に切断して、細長い組織セグメントを形成することができる。 いずれかの形態において、そのようなセグメントは中間部分、および反対末端部分、および反対側方部分を有し、これは、外科的に許容される技術を用いて、存在する生理学意的構造への外科的付着のために形成することができる。 (米国特許第5,372,821号参照)。 関連実施形態において、柔軟な組織は真皮または皮膚組織に由来し、これは形成されまたは切断し、存在する生理学的構造への外科的付着のために用いることができる。

    別の実施形態において、本発明は、ヒトへの移植用の柔軟な組織を調製し、または加工する方法を提供する。 組織の無傷部分は動物のいずれかの組織から取り出すことができる。 1つの実施形態において、無傷心臓を動物から取り出すことができ、次いで、心臓弁組織を切除することができ、または心臓周辺部分を収穫することができる。 他の実施形態において、組織は、限定されるものではないが、上皮、結合組織、血液、骨、軟骨、筋肉、神経、アデノイト、脂肪、輪紋、骨、茶色脂肪、格子構造、筋肉、カータジニアス(Cartaginous)、海綿、軟骨様、クロム親和性、肉様膜様、弾性、上皮、脂肪、線維ヒアリン、繊維状、ガムジ(Gamgee)、ゼラチン状、顆粒化、腸−関連リンパ様、ホーラー(Haller)血管、硬造血系、未分化、間隙、被覆、島、リンパ管、リンパ系、間葉、中腎、粘膜結合性、多眼脂肪、ミエロイド、ネジオン柔軟、腎形成性、節、骨性、骨形成性、骨状、歯根端周囲、網様、網状、ゴム状、骨格筋、平滑筋、および皮下組織を含むことができる。

    1つの実施形態において、組織は新たに殺した動物から収集することができる。 別法として、組織は生きた動物から外科的に取り出すことができる。 1つの実施形態において、取り出した後、組織を適切な滅菌等張または他の組織維持溶液に入れることができる。 動物の屠殺後における組織の収穫は屠殺後できるだけ早く行うことができ、冷温度で行うことができる。 例えば、約5℃と約20℃、約0℃と約20℃、約0℃と約10℃または約0℃と約25℃との間。 収穫された組織および弁は隣接する組織から切除して離すことができる。 1つの実施形態において、組織または心臓弁またはその部分は接着性組織、プラーク、カルシウム沈着などから切除して離すことができる。 別法として、組織または弁は周囲の組織の部分と共に切開することができる。

    1つの特定の実施形態において、三尖弁は別々の小葉として切り出すことができる。 別の実施形態において、三尖弁は、房室性オリフィスおよび腱様索を囲う繊維状リングを含めた無傷弁として摘出することができる。 別の実施形態において、弁の切開の後、弁または弁部分をステント、リングなどで支持することができる。 別の実施形態において、腹膜または心膜を収穫して、当業者に知られた手法に従って心臓弁異種移植片またはマトリックス材料を形成することができる(例えば、Laurenによる米国特許第4,755,593号参照)。

    軟組織異種移植片はヒト身体部分、例えば、表6に開示したものの修復または再構築での種々の適用で用いることができる。

    心臓の弁 1つの実施形態において、心臓弁は、α−1,3−Galのいずれの発現も欠く動物から摘出される。 α−1,3−Galのいずれの機能的発現も欠く動物からの、ウシ、ヒツジまたはブタ心臓、特にブタ心臓は心臓弁の源として働かすことができる。 心臓弁は繊維軟骨細胞、およびコラーゲンおよび弾性繊維の細胞外マトリックス、ならびに種々のプロテオグリカンから構成される。 心臓弁のタイプは、限定されるものではないが、僧帽弁、心房弁、大動脈弁、三尖弁、胚動脈弁、プルモニック(Plumonic)パッチ、下降胸大動脈、大動脈非−弁導管、LPAおよびRPAを持つプルモニック非−弁導管、無傷尖頭を含むまたは含まない右または左肺半−動脈、伏在静脈、大動脈(Aortoiliac)、大腿静脈、大腿動脈および/または半月弁を含む。 ある実施形態において、ツールを用いて、心臓弁補綴を大動脈壁に固定することができる。 ツールはファスナーおよび/または補強剤を含むことができる。 特定の実施形態において、心臓弁補綴はフレキシブルな小葉を有することができる。 1つの実施形態において、心臓弁補綴は組織のような天然材料、ポリマーまたはその組合せのような合成材料から構築することができる。 別の実施形態において、弁補綴は組織弁とすることができ、加えて、ステントを含むことができ、または無ステントとすることができ、ブタ、ウシまたは他の動物組織源のものとすることができる。 本発明に従って調製された心臓弁異種移植片は、天然心臓弁異種移植片の一般的な外観を有することができる。 心臓弁異種移植片は、その各々を受容者心臓に移植することができる個々の小葉のような弁セグメントでもあり得る。 別法として、ブタ心膜を用いて、本発明の心臓弁異種移植片を形成することができる。

    心臓は、リズミカルに収縮させることによって動物体全体に血液を循環させるチューブ筋肉質器官である。 哺乳動物においては、心臓は、右心房および心室が左心房および心室から完全に分離されるように位置した4つのチャンバーを有する。 通常、血液は全身静脈から右心房に流入し、次いで、右心室へ流動し、それから血液は肺動脈を介して肺へ駆動される。 肺からの帰りに際して、血液は左心房に入り、次いで、左心室まで流動し、それから血液は全身動脈へ駆動される。

    4つの主な心臓弁はリズミックな収縮の間に血液の逆流を妨げる:三尖、肺動脈、僧帽および大動脈弁。 三尖弁は右心房および右心室を隔て、肺動脈弁は右心房および肺動脈を隔て、僧帽弁は左心房および左心室を隔て、および大動脈弁は左心室および大動脈を隔てる。 一般に、心臓弁の異常を有する患者は、弁心臓病を有するとして特徴付けられる。

    心臓弁は、適切に開かないことによって(狭窄)または漏れることによって(逆流)いずれかで機能不全となり得る。 例えば、機能不全大動脈弁を持つ患者は大動脈弁狭窄または大動脈弁逆流いずれかと診断され得る。 いずれの場合にも、外科的手段による弁置き換えが可能な処置である。 置換弁は自己移植片、同種移植片、または異種移植片ならびに機械的弁、またはブタ弁から部分的に作成された弁であり得る。 興味深いことには、低温保存同種移植片は移植後何年もの間、受容者患者内で生き続ける。 生憎と、置換弁は変性、血栓症およびカルシウム沈着のような問題に陥りやすい。

    本発明の心臓弁異種移植片、またはそのセグメントは、公知の外科的技術を用いて当業者によって、例えば、内視鏡外科的処置、および経管腔移植のような最小限に侵入的な技術によって損傷されたヒトまたは動物心臓に移植することができる。 そのような外科的技術を行うための具体的機器は当業者に知られており、これは、心臓弁インプラントの正確かつ再現性ある置換を確実とする。

    特定の実施形態において、補綴としての心臓弁は心臓および/または弁に対する病気の種々の形態を持つ患者で用いることができる。 ブタ心臓は市場の重いブタ(例えば、120kgを超えるブタ)から得ることができる。 滅菌リン酸緩衝化生理食塩水中で濯いだ後、心臓を現場で取り出し、(尖除去)、滅菌PBS中で4℃にて出荷することができる。 全ての心臓が、例えば、動物屠殺から24時間以内に処理センターに到着させることができる。 大動脈および肺動脈弁は根こそぎ切り出すことができる。 特定の実施形態において、これらの組織は、抗生物質および抗真菌剤の混合物中でのほぼ48℃におけるほぼ48時間のインキュベーションの生物負荷低下工程に供することができる。 消毒された組織は低温保存し(例えば、10%(v/v)DMSOおよび10%(v/v)胎児ウシ血清中、−1℃/分)、あるいは低張性媒体での処理、続いての、デオキシリボヌクレアーゼIおよびリボヌクレアーゼAの混合物での消化を含む手法によって脱細胞化することができる。 12日後、脱細胞化された弁を低温保存し、または例えばリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)中の0.35%(w/v)グルタルアルデヒドで2mmHgにて化学的に合計7日間固定することができる(低圧固定は、コラーゲンマトリックスの天然クリンプの維持を確実とする)。 1つの実施形態において、固定された組織は低温保存しないが、(0.35%グルタルアルデヒドのような)グルタルアルデヒド溶液のような交差−固定溶液中で保存することができる。

    組織−ベースの弁補綴はその天然形態から小葉のような構造エレメントを維持することができ、および/または構造エレメントは組織の別個のピースの組立体から補綴に取り込むことができる。 例えば、弁補綴はブタ心臓弁から、ウシ心膜から、またはその組合せから組み立てることができる。 ブタ組織弁、例えば、St. Jude Medical,Inc. St. Paul,Minn. によって市販されるToronto SPV TM弁は、本明細書中に記載されたツールを用いて患者に移植することができる。 Toronto
    SPV. RTM弁は大動脈弁の位置における移植用に設計される。 例えば、Davidら,J. Heart Valve Dis. 1:244−248(1992)参照。 本発明のツールはいずれかの弁、特に、患者における移植に適合させたいずれかの組織弁補綴に適用可能である。

    心臓弁補綴は、架橋されたブタ弁のような収穫された組織弁を含む。 補綴は、さらに、縫合カバーを含むことができる。 該弁は3つの小葉を有することができ、これは、略円筒形のベースを含むことができ、3つの継目が小葉を支持する。

    さらなる実施形態において、ファスナーを用いて、大動脈弁、補綴のような心臓弁を血管壁に固定することができる。 ファスナーは、一般には、心臓弁補綴の移植手法の間に血管壁に固定することができる。 ファスナーは別法として複数の鋭い先端を有することができるが、ファスナーは針または爪と同様な形状を有することができる。 加えて、ファスナーはファスナーの先端近くに1つまたは複数の羽枝を有することができる。 ファスナーは先端端部を持つ細長い部分を含むことができる。 ファスナーは先端端部とは反対の端部に任意のヘッドを有することもできる。 他の実施形態において、羽枝は先端端部に、またはその近くに位置させることができる。 ファスナーは、ファスナーの同一または異なる側から延びる2以上の羽枝を含むことができる。 ファスナーは生体適合性材料から形成することができる。 ファスナーのための好ましい生体適合性材料は、例えば、耐久性、機械的強度、および柔軟性/剛性に関する所望の機械的特性を生じる。 ファスナーは、医師によって圧力がかけられてファスナーを挿入する場合、その形状を保持するのに十分に剛性とすることができる。 十分に剛性でないファスナーは、圧力が挿入のために適用された場合に屈曲し得る。 ファスナーが材料に進入できる限り、いくらかの屈曲は許容し得る。 十分な剛性のないファスナーは適切に挿入できず、かくして、補綴損傷、大動脈壁損傷、補綴の不適切な付着および/または増大した交差−クランク回数の傾向を増加させる。 移植の後、補綴のライフ−スパンの間、または生体再吸収性材料をファスナーに用いた場合、治癒プロセスが弁を細胞成長を通じて血管に固定するまで、ファスナーは患者中に留まって弁補綴を固定することができる。 ファスナーは、例えば、金属、セラミック、ポリマーまたはその組合せから作成することができる。 適切な金属は、例えば、チタンおよびステンレス鋼を含む。 適切なセラミックは、例えば、骨断片のようなヒドロキシアパタイト、黒鉛のような炭素材料、およびアルミナを含む。 適切なポリマーは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のような十分に剛性なポリマーを含む。 ファスナーは、経時的に、十分な組織が生じて、ファスナーなしで弁補綴を固定した後にファスナーが再吸収されるように、前記したように生体再吸収性ポリマーから形成することもできる。

    ファスナーの長さは約2ミリメートル(mm)と約8mmとの間、例えば、約4mm〜約7mmであり得る。 1つの実施形態において、ファスナーの細長い部分の直径は約2mm未満、例えば、約0.2mmと約1.5mmとの間、または約0.2mmと約1mmとの間とすることができる。

    他の実施形態において、心臓弁補綴を血管壁に付着させる方法は、前記したファスナーおよび補強に基づくことができる。 補強自体は、ファスナーまたは他のデバイスのいずれかで固定することができる。 ファスナーはエレメントの全てを同時に固定するように配置することができるか、あるいは1つまたは複数の構成要素を、ファスナーの最終配置に先立って相互にまたは弁補綴と会合させることができる。

    1つの実施形態において、心臓弁は、例えば、心臓切開手法の間に心臓に挿入することができる。 1つの実施形態において、ヒト患者もしくは霊長類、またはヒツジのような他の大きな動物モデルのような対象を適切なライフ支持体上に配置することによって、および胸腔を開いて心臓に接近できるようにすることによって該プロセスを開始することができる。 次いで、横方向大動脈切開術を行って、大動脈のような血管を通じて天然弁を接近可能とすることができる。 1つの実施形態において、血管は大動脈であって、大動脈を開くための位置は補綴の正確な構造に依存し得る。 典型的な補綴では、大動脈は一般には洞性管状接合から約1cm切断することができる。 損傷したまたは病気となった天然弁は、好ましくは、全てのカルシウムおよび石灰化デブリスと共に取り出す。 大動脈弁補綴は、大動脈が心臓に接合するわずかに狭くなる大動脈輪、および冠動脈からの流れのちょうど下方で大動脈がわずかに狭くなる洞性管状接合の間に配置することができる。 しかしながら、補綴は大動脈輪および/または洞性管状接合を超えて延びることができる。 大動脈輪に配置するためには、補綴は、切断された大動脈から下方にパラシュート状とすることができる。

    さらなる実施形態において、心臓弁補綴は、適切な血管系、例えば、大動脈に隣接した移植の部位に位置させることができる。 1つの実施形態において、流入エッジは流出エッジ後に固定することができるが、弁の流入エッジは、本明細書中に記載されたファスナーで流出エッジを固定するに先立って縫合し、またはそうでなければ固定することができる。 加えて、本明細書中に記載されたファスナーの適用に先立って継目を接着させるのが望ましいであろう。 特定の実施形態において、ファスナー、補強および、存在する場合、補綴は移植手法の開始時に別々のものとすることができる。 別法として、エレメントは予め組み立てることができる。 別の実施形態において、一旦補綴が適切に整列されれば、補強を所定の位置に配置することができ、ファスナーを、補綴を通って、および大動脈壁を通って補強中の開口に順次に挿入することができる。 全てのファスナーが1つの補強を通って挿入されれば、任意のさらなる補強もファスナーで同様に固定される。 ファスナーは指圧、ピンセット、プッシャーツール、ハンマーなどを用いて挿入することができる。 特定のピンセットを用いることができ、これはファスナーのヘッドと特異的に界面をなす。 補強がない場合、ファスナーは所望の位置に置かれ、同様に、補綴および大動脈壁を通って挿入される。

    いくつかの実施形態において、ファスナーは移植手法の開始に先立って補強に挿入することができる。 補強は、補強中の開口を通って、または部分的に開口を通ってファスナーと共に手術に供給することができる。 これらの実施形態において、ファスナーのヘッドまたは平滑末端は補強の表面から突き出させることができる。 かくして、該手法は、構成要素の全てが該手法を開始するに先立って別々である手法に対して幾分単純化され得る。 これらの実施形態において、一旦補綴が血管中に正しく位置すれば、ファスナーと共に補強を所望の位置に整列させることができ、補綴を通って、および大動脈の壁を通ってファスナーを押すことによって、ファスナーは直接的に配置させることができる。 ファスナーを順次に挿入することができ、複数の補強をこのアプローチ中に固定することができる。

    別の実施形態において、移植手法を開始するに先立って、1つまたは複数の補強を補綴に付着させることができる。 補強は製造業者によって補綴に固定することができる。 縫合、生体適合性接着剤または他の適切なファスナーを用いて、補強を補綴に固定することができる。 適切な生体適合性接着剤は、例えば、フィブリン膠および他の外科的膠を含む。 一旦補綴が正しく位置されたならば、ファスナーは順次にまたは同時に補強中の開口に入れることができ、補綴および大動脈の壁を通って挿入することができる。 これは、ファスナーの全てが配置されるまで継続することができる。

    さらに他の実施形態において、補綴は補強と共に所定の位置に供給することができ、ファスナーを補強に挿入することができる。 補強は、補強を通っておよび、少なくとも、部分的には補綴を通って挿入されるファスナーを用いて補綴に固定することができる。 別法として、補強は縫合、接着剤または他のファスナーを用いて補綴に固定することができる。 一旦補綴が動物または患者内の所定の場所に入れば、各ファスナーは、血管の壁を通って押して、補綴を固定することができる。 他の実施形態において、慣用的縫合は、効果的かつ直接的であれば、ファスナーとして用いることができる。

    7. 異種移植片のためのさらなる適用 本発明のさらなる実施形態において、機能的α−1,3−GTの発現を欠く動物に由来する組織生成物を用いて、ヒトの身体の一部を再構築することができる。 ある実施形態において、脱細胞化または細胞化された皮膚組織、骨、靭帯、腱、心臓弁、髄性核、軟骨、半月、血管、心膜または本明細書中に記載された他の組織を、例えば、表6に記載したように用いることができる。 特定の実施形態において、組織は回旋腱板修復、ヒト皮膚修復、および/またはヒト軟組織修復のようなヒト整形外科的再構築または修復で用いることができる。 異種移植片は、霊長類、あるいはヒツジ、モデルのような非−霊長類のような種々の動物モデルでテストすることができる。

    異種移植片は、組織異種移植片適用で通常使用されるルーチン的な外科的手法を用いて適用できる。 1つの実施形態において、例えば、非−血管組織移植片適用で用いるためには、管状移植片材料を縦方向に切断し、巻いて、組織の「パッチ」を形成することができる。 別の実施形態において、組織離層は、腸セグメントを縦方向に切断して「広げ」て、プレ−移植片パッチを形成することによって調製された、腸組織のような組織の「パッチ」で行うことができる。 調製された移植片組織パッチは、例えば、皮膚移植片材料として、硬膜修復のために、他の身体組織欠陥の修復のために利用し、本発明の移植片組成物の物理的および機能的特徴を有する組織移植片パッチの外科的適用に役立たせることができる。

    II. 機能的α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの発現も欠く動物 α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼのいずれの機能的発現も欠く動物からの組織が提供される。 1つの実施形態において、動物はブタである。 別の実施形態において、動物はウシまたはヒツジである。 他の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子が遺伝子標的化事象を介して不活化された動物が提供される。 本発明の別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が遺伝子標的化事象を介して不活化された動物が提供される。 1つの実施形態において、遺伝子は相同組換えを介して標的化することができる。 他の実施形態において、遺伝子を破壊することができ、すなわち、遺伝子暗号の一部を変化させることができ、それにより、遺伝子のそのセグメントの転写および/または翻訳に影響する。 例えば、遺伝子の破壊は置換、欠失(「ノックアウト」)または挿入(「ノックイン技術」)を介して起こり得る。 存在する配列の転写を変調する所望の蛋白質または調節配列についてのさらなる遺伝子を挿入することができる。

    α−1,3−GT遺伝子の2つの不活性な対立遺伝子を保有する、ブタのような、旧世界サルおよびヒト以外の動物は天然に生じない。 遺伝子標的化事象を介してα−1,3−GT遺伝子の第二の対立遺伝子をノックアウトすることを試みつつ、点突然変異が同定され、これは第二の対立遺伝子を不活性とすることを発見したのは驚きであった。

    かくして、本発明の別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子は少なくとも1つの点突然変異を介して不活性とすることができる。 1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子は少なくとも1つの点突然変異を介して不活性とすることができる。 別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子は少なくとも1つの点突然変異を介して不活性とすることができる。 1つの実施形態において、この点突然変異は遺伝子標的化事象を介して起こることができる。 別の実施形態において、この点突然変異は天然で生じ得ない。 1つの特定の実施形態において、点突然変異はα−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間突然変異であり得る。 α−1,3−GT遺伝子における天然に生じる点突然変異を有するブタは、抗生物質−耐性遺伝子を持たないα1,3GT−欠損ブタの生産を可能とし、かくして、ヒトで用いるためのより安全な生成物を作成する潜在能力を有する。 他の実施形態において、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10または少なくとも20の点突然変異は、α−1,3−GT遺伝子を不活性とするために存在させることができる。 他の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子が機能的α1,3GTのいずれの発現も妨げる点突然変異を含有するブタが提供される。 特定の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子においてエクソン9の第二の塩基においてT−G間突然変異を含むブタが提供される。

    本発明の別の実施形態は、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活化され、それにより、1つの対立遺伝子が遺伝子標的化事象によって不活化され、他方の対立遺伝子は天然に生じる点突然変異と介して不活化される動物を提供する。 1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活化され、それにより、1つの対立遺伝子が遺伝子標的化事象によって不活化され、他方の対立遺伝子がエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化されるブタ動物が提供される。 特定の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活化され、それにより、1つの対立遺伝子はエクソン9に向けられた標的化コンストラクトを介して不活化され、他の対立遺伝子はエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在のため不活化されるブタ動物が提供される。

    α−1,3−GT遺伝子の遺伝子標的化 遺伝子的に修飾することができる動物細胞は、限定されるものではないが、皮膚、間葉、肺、膵臓、心臓、腸、胃、膀胱、血管、腎臓、尿道、生殖器官、および胚、胎児または成体動物の全部または一部の解離された調製物のような種々の異なる器官および組織から得ることができる。 本発明の1つの実施形態において、細胞は、限定されるものではないが、上皮細胞、線維芽細胞、神経細胞、ケラチノサイト、造血系細胞、メラノサイト、軟骨細胞、リンパ球(BおよびT)、マクロファージ、単球、単核細胞、心筋細胞、他の筋肉細胞、顆粒層細胞、丘細胞、表皮細胞、内皮細胞、ランゲルハンス島細胞、血液細胞、血液前駆体細胞、骨細胞、骨前駆体細胞、ニューロン幹細胞、原基幹細胞、肝細胞、ケラチノサイト、臍静脈内皮細胞、大動脈内皮細胞、微小血管内皮細胞、線維芽細胞、肝臓星状細胞、大動脈平滑筋細胞、心筋細胞、ニューロン、クッパー細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞および上皮細胞、赤血球、血小板、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、脂肪細胞、軟骨細胞、膵臓島細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、耳下腺細胞、腫瘍細胞、神経膠細胞、神経星状膠細胞、赤血球細胞、白血球細胞、マクロファージ、上皮細胞、体細胞、下垂体細胞、副腎細胞、毛髪細胞、膀胱細胞、腎臓細胞、網膜細胞、棹細胞、錐体細胞、心臓細胞、ペースメーカー細胞、脾臓細胞、抗原提示細胞、記憶細胞、T細胞、B細胞、原形質膜細胞、筋肉細胞、卵巣細胞、子宮細胞、前立腺細胞、膣上皮細胞、精子細胞、精巣細胞、生殖細胞、卵細胞、ライディッヒ細胞、管周囲細胞、セルトリ細胞、ルテイン細胞、頸細胞、内膜細胞、胸細胞、小胞細胞、粘膜細胞、線毛を持つ細胞、非ケラチン化上皮細胞、ケラチン化上皮細胞、肺細胞、ゴブレ細胞、柱状上皮細胞、扁平上皮細胞、骨細胞、骨芽細胞および破骨細胞よりなる群から選択することができる。

    1つの別法実施形態において、胚性幹細胞を用いることができる。 胚性幹細胞株を用いることができるか、または胚性幹細胞はブタ動物のような宿主から新たに得ることができる。 該細胞は適切な線維芽細胞−フィーダー層上で増殖させることができるか、あるいは白血病阻害因子(LIF)の存在下で増殖させることができる。 好ましい実施形態において、細胞は線維芽細胞であり得る;1つの特定の実施形態において、細胞は胎児線維芽細胞であり得る。 線維芽細胞は好ましい体細胞タイプである。 なぜならば、線維芽細胞は発生する胚および成体動物から多量に得ることができるためである。 これらの細胞は、迅速な倍化時間にてイン・ビトロで容易に増殖させることができ、遺伝子標的化手法で用いるのにクローン的に増殖させることができる。

    標的化コンストラクト 相同組換え 相同組換えは内因性遺伝子における部位−特異的修飾を可能とし、かくして、新規な変化がゲノムに作成することができる。 相同組換えにおいて、入力DNAは、実質的に相同なDNA配列を含むゲノム中の部位と相互作用し、該部位に組み込まれる。 非−相同(「ランダム」または「不正」)組込みにおいて、入力DNAは、ゲノム中の相同配列で見出されないが、他の箇所にて、非常に多数の潜在的位置の1つで組み込まれる。 一般には、高等真核生物細胞での研究は、相同組換えの頻度がランダム組込みの頻度よりもはるかに低いことを明らかにしている。 これらの頻度の比率は、相同組換え(すなわち、外来性「標的化DNA」および対応するゲノム中の「標的DNA」の間の組換え)を介する組込みに依存する「遺伝子標的化」のための直接的密接な関係を有する。

    多数の論文は哺乳動物細胞における相同組換えの使用を記載する。 これらの論文の例はKucherlapatiら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3153−3157,1984;Kucherlapatiら,Mol. Cell. Bio. 5:714−720,1985;Smithies et al,Nature 317:230−234,1985;Wakeら,Mol. Cell. Bio. 8:2080−2089,1985;Ayaresら,Genetics 111:375−388,1985;Ayaresら,Mol. Cell. Bio. 7:1656−1662,1986;Songら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:6820−6824,1987;Thomasら,Cell 44:419−428,1986;Thomas and Capecchi,Cell 51:503−512,1987;Nandiら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:3845−3849,1988;Mansourら,Nature 336:348−352,1988. Evans and Kaufman,Nature 294:146−154,1981;Doetschmanら,Nature 330:576−578,1987;Thoma and Capecchi,Cell 51:503−512,4987;Thompsonら,Cell 56:316−321,1989である。

    本発明の1つの実施形態は相同組換えを用いて、前記した細胞のような細胞においてα−1,3−GT遺伝子を不活化させる。 DNAは、天然遺伝子の少なくとも1つ、所望により双方のコピーに変化が導入された特定の遺伝子座における遺伝子の少なくとも一部を含んで、機能的α1,3GTの発現を妨げることができる。 変化は挿入、欠失、置換またはその組合せであり得る。 変化が、不活化すべき遺伝子のただ1つのコピーに導入される場合、標的遺伝子の単一の突然変異していないコピーを有する細胞を増殖し、第二の標的化工程に供することができ、そこでは、変化は第一の変化と同一または異なることができ、通常は異なり、ここに、欠失または置換が関係し、元来導入された変化の少なくとも一部と重複し得る。 この第二の標的化工程において、相同性の同一アームを持つが、異なる哺乳動物選択マーカーを含有する標的化ベクターを用いることができる。 得られた形質転換体を機能的標的抗原の不存在につきスクリーニングし、細胞のDNAをさらにスクリーニングして、野生型標的遺伝子の不存在を確認することができる。 別法として、表現型に関するホモ接合性は、突然変異につきヘテロ接合性の宿主を育種することによって達成することができる。

    標的化ベクター 細胞の標的化遺伝子座の修飾は、DNAを細胞に導入することによって生じさせることができ、ここに、該DNAは標的遺伝子座に対して相同性を有し、組み込まれたコンストラクトを含む細胞の選択を可能とするマーカー遺伝子を含む。 標的ベクターにおける相同DNAは標的遺伝子座における染色体DNAと組み換えられるであろう。 マーカー遺伝子は、その両側が、相同DNA配列、3'組換えアームおよび5'組換えアームが近接し得る。 標的化ベクターの構築のための方法は当該分野で記載されている。 例えば、Daiら,Nature Biotechnology 20:251−255,2002;WO
    00/51424参照。

    種々のコンストラクトは標的遺伝子座における相同組換えのために調製することができる。 コンストラクトは標的遺伝子座と相同な少なくとも50bp、100bp、500bp、1kbp、2kbp、4kbp、5kbp、10kbp、15kbp、20kbpまたは50kbpを含むことができる。 配列はブタα−1,3−GT遺伝子のいずれかの連続配列を含むことができる(例えば、GenBank Acc.No.L36152,The University of Pittsburgh of the Commonwealth System of Higher Educationに対するWO
    0130992;Alexion,Inc. に対するWO 01/123541参照)。

    例えば、標的遺伝子座のサイズ、配列の入手可能性、標的遺伝子座における二重交差事象の相対的有効性、および標的配列と他の配列との同様性のような標的DNA配列の相同性の程度を決定することにおいて種々の考慮を含ませることができる。

    標的化DNAは、実質的に同質遺伝子のDNAが、修飾すべきゲノム中の対応する標的配列での所望の配列修飾に近接する配列を含むことができる。 実質的に同質遺伝子の配列は(所望の配列修飾を除いて)対応する標的配列と少なくとも約95%、97−98%、99.0−99.5%、99.6−99.9%または100%同一であり得る。 標的化DNAおよび標的DNAは、好ましくは、100%同一性である少なくとも約75、150または500塩基対のDNAのストレッチを共有することができる。 従って、標的化DNAは標的化すべき細胞株に密接に関連する細胞に由来することができるか;あるいは標的化DNAは標的化すべき細胞と同一の細胞株または動物の細胞に由来することができる。

    DNAは内因性標的α1,3GTを修飾するように設計することができる。 コンストラクトを標的化するための相同配列は1つまたは複数の欠失、挿入、置換またはその組合せを有することができる。 変化は、標的遺伝子の上流配列とリーディングフレームにて融合した選択マーカー遺伝子の挿入であり得る。

    適切な選択マーカーは、限定されるものではないが:HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン)上で増殖する能力を付与するtk遺伝子(チミジンキナーゼ)またはhprt遺伝子(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)のようなある種の培地基材上で増殖する能力を付与する遺伝子;MAX培地(マイコフェノール酸、アデニンおよびキサンチン)上での増殖を可能とする細菌GPD遺伝子(グアニン/キサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)を含む。 例えば、Song,K−Y. ら,Proc. Nat'l Acad. Sci. U. S. A. 84:6820−6824(1987);Sambrook,J. ら,Molecular Cloning−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N. Y. (1989),Chapter 16参照。 選択マーカーの他の例は抗生物質のような化合物に対する耐性を付与する遺伝子、選択された基材上で増殖する能力を付与する遺伝子、緑色蛍光蛋白質、増強された緑色蛍光蛋白質(eGFP)のようなルミネセンスのような検出可能なシグナルを生じる蛋白質をコードする遺伝子を含む。 広く種々のそのようなマーカーが知られており入手でき、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子(neo)(Southern,P.,and P.Berg,J.Mol.Appl.Genet.1:327−341(1982));およびヒグロマイシン耐性遺伝子(hyg)(Nucleic Acids Research 11:6895−6911(1983)、およびTe Riele,H.ら,Nature 348:649−651(1990))のような抗生物質耐性遺伝子を含む。 他の選択マーカーは:アセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)、アルカリ性ホスファターゼ(AP)、ベータガラクトシダーゼ(LacZ)、ベータグルコロニダーゼ(GUS)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、緑色蛍光蛋白質(GFP)、赤色蛍光蛋白質(RFP)、黄色蛍光蛋白質(YFP)、シアン蛍光蛋白質(CFP)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、ルシフェラーゼ(Luc)、ノパリンシンターゼ(NOS)、オクトピンシンターゼ(OCS)、およびその誘導体を含む。 アンピシリン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、ヒグロマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、メトトレキセート、ホスフィノスリシン、ピューロマイシンおよびテトラサイクリンに対する耐性を付与する多数の選択マーカーが入手可能である。

    抗生物質耐性遺伝子および負の選択因子の取り込み方法は当業者が精通している(例えば、WO 99/15650;米国特許第6,080,576号;米国特許第6,136,566号;Niwaら,J.Biochem.113:343−349(1993);およびYoshidaら,Transgenic Research 4:277−287(1995)参照)。

    選択マーカーの組合せを用いることもできる。 例えば、α1,3GTを標的化するためには、(先に議論したそれ自身のプロモーターを含むまたは含まない)neo遺伝子を、α−1,3−GT遺伝子に相同なDNA配列にクローニングすることができる。 マーカーの組合せを用いるために、マーカーが標的化DNAの外側となるようにHSV−tk遺伝子をクローニングすることができる(所望であれば、別の選択マーカーを反対近接位置に配置することができよう)。 DNAコンストラクトを標的化すべき細胞に導入した後、細胞を適切な抗生物質につき選択することができる。 この特定の例において、二重交差の領域の外側に位置したため、neo遺伝子がα−1,3−GT遺伝子に組み換えられたが、tk遺伝子が喪失された、G418およびガンシクロビールに対して耐性である細胞は、相同組換えによって最も生起したようである。

    欠失は少なくとも約50bp、より通常には少なくとも約100bp、一般には約20kbp以下であり得、ここに、欠失は通常は1つまたは複数のエクソンの一部、1つまたは複数のイントロンの一部を含めたコーディング領域の少なくとも一部を含むことができ、フランキング非コーディング領域、特に、5'−非コーディング領域(転写調節領域)の一部を含むことができ、または含むことができない。 かくして、相同領域はコーディング領域を超えて5'−非コーディング領域へ、または別法として、3'−非コーディング領域へ延びることができる。 挿入は、一般には10kbpを超えず、通常は5kbpを超えず、一般には少なくとも50bp、より通常には少なくとも200bpである。

    相同性の領域は、フレームシフトを供し、または鍵となるアミノ酸を変化させることにおいて、突然変異がさらに標的化遺伝子を不活化できる突然変異を含むことができ、あるいは該突然変異は機能不全対立遺伝子などを修正することができる。 突然変異は微妙な変化であり得、相同フランキング配列の約5%を超えない。 遺伝子の突然変異が望まれる場合、マーカー遺伝子をイントロンまたはエクソンに挿入することができる。

    コンストラクトは当該分野で知られた方法に従って調製することができ、種々の断片を一緒にし、適切なベクターに導入し、クローニングし、分析し、次いで、所望のコンストラクトが達成されるまでさらに操作することができる。 種々の修飾を配列に対してなして、制限分析、切り出し、プローブの同定などを可能とすることができる。 サイレント突然変異を所望により導入することができる。 種々の段階において、制限分析、配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応での増幅、プライマー修復、イン・ビトロ突然変異誘発などを使用することができる。

    コンストラクトは、原核生物複製系、例えば、E. coliによって認識可能な起点を含めた細菌ベクターを用いて調節することができ、各段階においてコンストラクトをクローニングし、分析することができる。 挿入のために用いるべきマーカーと同一または異なるマーカーを使用することができ、これは標的細胞への導入に先立って除去することができる。 一旦コンストラクトを含有するベクターが完成すれば、細菌配列の欠失、線状化、短い欠失の相同配列への導入によるなどして、このコンストラクトをさらに操作することができる。 最終的な操作の後、コンストラクトを細胞に導入することができる。

    本発明は、さらに、α−1,3−GT遺伝子の配列を含有する組換えコンストラクトを含む。 該コンストラクトは、本発明の配列が順方向または逆方向の向きに挿入されている、プラスミドまたはウイルスベクターのようなベクターを含む。 該コンストラクトは、例えば、配列に操作可能に連結されたプロモーターを含めた調節配列を含むことができる。 非常に多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者に知られており、商業的に入手可能である。 以下のベクターが例として掲げられる。 細菌:pBs、pQE−9(Qiagen)、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBsKS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)。 真核生物:pWLneo、pSv2cat、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPv、pMSG、pSVL(Pharmacia)、ウイルス起源ベクター(M13ベクター、細菌ファージ1ベクター、アデノウイルスベクター、およびレトロウイルスベクター)、高、低および調節可能コピー数のベクター、単一宿主において組合せで用いるための適合するレプリコンを有するベクター(pACYC184およびpBR322)および真核生物エピソーム複製ベクター(pCDM8)。 他のベクターはpcDNA II、pSL301、pSE280、pSE380、pSE420、pTrcHisA、BおよびC、pRSET A、BおよびC(Invitrogen,Corp.)、pGEMEX−1、およびpGEMEX−2(Promega,Inc.)、pETベクター(Novagen,Inc.)、pTrc99A、pKK223−3、pGEXベクター、pEZZ18、pRIT2T、およびpMC1871(Pharmacia,Inc.)、pKK233−2およびpKK388−1(Clontech,Inc)、およびpProEx−HT(Invitrogen,Corp.)およびその変種および誘導体のような原核生物発現ベクターを含む。 他のベクターはpFastBac、pFastBacHT、pFastBacDUAL、pSFV、およびpTet−Splice(Invitrogen)、pEUK−C1、pPUR、pMAM、pMAMneo、pBI101、pBI121、pDR2、pCMVEBNA、およびpYACneo(Clontech)、pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、およびpKK232−8(Pharmacia,Inc.)、p3'SS、pXT1、pSG5、pPbac、pMbac、pMClneo、およびpOG44(Stratagene,Inc.)、およびpYES2、pAC360、pBlueBacHis A、BおよびC、pVL1392、pBlueBacIII、pCDM8、pcDNA1、pZeoSV、pcDNA3、pREP4、pCEP4、およびpEBVHis(Invitrogen,Corp.)およびその変種または誘導体のような真核生物発現ベクターを含む。 用いることができるさらなるベクターは:pUC18、pUC19、pBlueScript、pSPORT、コスミド、ファゲミド、YAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、P1(Escherichia coliファージ)、pQE70、pQE60、pQE9(quagen)、pBSベクター、PhageScriptベクター、BlueScriptベクター、pNH8A、pNH16A、pNH18A、pNH46A(Stratagene)、pcDNA3(Invitrogen)、pGEX、pTrsfus、pTrc99A、pET−5、pET−9、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、pSPORT1、pSPORT2、pCMVSPORT2.0およびpSV−SPORT1(Invitrogen)、InvitrogenからのpTrxFus、pThioHis、pLEX、pTrcHis、pTrcHis2、pRSET、pBlueBacHis2、pcDNA3.1/His、pcDNA3.1(−)/Myc−His、pSecTag、pEBVHis、pPIC9K、pPIC3.5K、pAO815、pPICZ、pPICZ□、pGAPZ、pGAPZ□、pBlueBac4.5、pBlueBacHis2、pMelBac、pSinRep5、pSinHis、pIND、pIND(SP1)、pVgRXR、pcDNA2.1、pYES2、pZErO1.1、pZErO−2.1、pCR−Blunt、pSE280、pSE380、pSE420、pVL1392、pVL1393、pCDM8、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pcDNA3.1、pcDNA3.1/Zeo、pSe、SV2、pRc/CMV2、pRc/RSV、pREP4、pREP7、pREP8、pREP9、pREP10、pCEP4、pEBVHis、pCR3.1、pCR2.1、pCR3.1−Uni、およびpCRBac;Pharmaciaからの□ExCell、□gt11、pTrc99A、pKK223−3、pGEX−1□T、pGEX−2T、pGEX−2TK、pGEX−4T−1、pGEX−4T−2、pGEX−4T−3、pGEX−3X、pGEX−5X−1、pGEX−5X−2、pGEX−5X−3、pEZZ18、pRIT2T、pMC1871、pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、pKK232−8、pSL1180、pNEO、およびpUC4K;NovagenからのpSCREEN−1b(+)、pT7Blue(R)、pT7Blue−2、pCITE−4abc(+)、pOCUS−2、pTAg、pET−32LIC、pET−30LIC、pBAC−2cp LIC、pBACgus−2cp LIC、pT7Blue−2 LIC、pT7Blue−2、□SCREEN−1、□BlueSTAR、pET−3abcd、pET−7abc、pET9abcd、pET11abcd、pET12abc、pET−14b、pET−15B、pET−16b、pET−17b−pET−17xb、pET−19b、pET−20b(+)、pET−21abcd(+)、pET−22b(+)、pET−23abcd(+)、pET−24abcd(+)、pET−25b(+)、pET−26b(+)、pET−27b(+)、pET−28abc(+)、pET−29abc(+)、pET−30abc(+)、pET−31b(+)、pET−32abc(+)、pET−33b(+)、pBAC−1、pBACgus−1、pBAC4x−1、pBACgus4x−1、pBAC−3cp、pBACgus−2cp、pBACsurf−1、plg、Signal plg、pYX、Selecta Vecta−Neo、Selecta Vecta−Hyg、およびSelecta Vecta−Gpt;ClontechからのpLexA、pB42AD、pGBT9、pAS2−1、pGAD424、pACT2、pGADGL、pGAD GH、pGAD10、pGilda、pEZM3、pEGFP、pEGFP−1、pEGFP−N、pEGFP−C、pEBFP、pGFPuv、pGFP、p6xHis−GFP、pSEAP2−Basic、pSEAP2−Contral、pSEAP2−Promoter、pSEAP2−Enhancer、p□gal−Basic、p□gal−Control、p□gal−Promoter、p□gal−Enhancer、pCMV□、pTet−Off、pTet−On、pTK−Hyg、pRetro−Off、pRetro−On、pIRESlneo、pRIESlhyg、pLXSN、pLNCX、pLAPSN、pMAMneo、pMAMneo−CAT、pMAMneo−LUC、pPUR、pSV2neo、pYEX4T−1/2/3、pYEX−S1、pBacPAK−His、pBacPAK8/9、pAcUW31、BacPAK6、pTriplEx、□gt10、□gt11、pWE15、および□TriplEx;StratageneからのLambda ZAP II、pBK−CMV、pBK−RSV、pBluescript II
    KS +/−、pBluescript II SK +/−、pAD−GAL4、pBD−GAL4 Cam、pSurfscript、Lambda FIX II、Lambda DASH、Lambda EMBL3、Lambda EMBL4、SuperCos、pCR−Scrigt Amp、pCR−Script Cam、pCR−Script Direct、pBS +/−、pBS KS +/−、pBC SK +/−、Phagescript、pCAL−n−EK、pCAL−n、pCAL−c、pCAL−kc、pET−3abcd、pET−11abcd、pSPUTK、pESP−1、pCMVLacI、pOPRSVI/MCS、pOPI3 CAT、pXT1、pSG5、pPbac、pMbac、pMClneo、pMClneo Poly A、pOG44、pOG45、pFRT□GAL、pNEO□GAL、pRS403、pRS404、pRS405、pRS406、pRS413、pRS414、pRS415、およびpRS416、およびその変種または誘導体を含む。 2−ハイブリッドおよび逆2−ハイブリッドベクターも用いることができる。 例えば、pPC86、pDBLeu、pDBTrp、pPC97、p2.5、pGAD1−3、pGAD10、pACt、pACT2、pGADGL、pGADGH、pAS2−1、pGAD424、pGBT8、pGBT9、pGAD−GAL4、pLexA、pBD−GAL4、pHISi、pHISi−1、placZi、pB42AD、pDG202、pJK202、pJG4−5、pNLexA、pYESTrpおよびその変種または誘導体。 任意の他のプラスミドおよびベクターは、複製可能であって、宿主中で活力がある限り用いることができる。

    宿主細胞へのDNAコンストラクトの進入を可能とするために用いることができる技術はリン酸カルシウム/DNA共沈殿、核へのDNAのマイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷細胞との細菌プロトプラスト融合、トランスフェクション、または当業者によって知られたいずれかの他の技術を含む。 DNAは一本鎖または二本鎖の、線状または環状の、緩和されたまたはスーパーコイルドDNAであり得る。 哺乳動物細胞をトランスフェクトするための種々の技術については、例えば、Keownら,Methods in Enzymology Vol. 185,pp. 527−537(1990)参照。

    1つの特定の実施形態において、同質遺伝子DNAから単離されたα−1,3−GT配列を含むノックアウトマウスでの一次胎児線維芽細胞のトランスフェクションによって、ヘテロ接合性ノックアウト細胞を生産することができる。 Daiら,(Nature Biotechnology,20:451−455)に記載されているように、5'アームは4.9kbであり得、イントロン8の大きな断片およびエクソン9の5'端部よりなることができる。 3'アームはエクソン9配列であり得、エクソン9よりなり得る。 該ベクターは、例えば、IRES(内部リボソーム進入部位)を用いてプロモータートラック戦略を取り込んで、Neor遺伝子の翻訳を開始させることができる。

    相同組換え細胞の選択 次いで、細胞を適切に選択された培地中で増殖させて、適切な組込みを供する細胞を同定することができる。 α−1,3−GT遺伝子に挿入された選択マーカー遺伝子の存在は、宿主ゲノムへの標的コンストラクトの組込みを確立する。 次いで、所望の表現型を示す細胞を、制限分析、電気泳動、サザーン分析、ポリメラーゼ連鎖反応などによってさらに分析して、DNAを分析し、相同または非−相同組換えが起こったか否かを確立することができる。 これは、インサート用のプローブを使用し、次いで、コンストラクトのフランキング領域を超えて延びるα−1,3−GT遺伝子の存在につきインサートに近接する5'および3'領域を配列決定し、あるいは欠失が導入された場合に、そのような欠失の存在を同定することによって決定することができる。 コンストラクト内の配列に相補的であって、コンストラクト外部であって、標的遺伝子座における配列に相補的であるプライマーを用いることもできる。 このようにして、ただ、相同組換えが起こった場合、相補的鎖に存在するプライマーの双方を有するDNA二重鎖を得ることができる。 プライマー配列の存在、または予測されるサイズ配列の存在を証明することによって、相同組換えの発生が裏付けられる。

    相同組換え事象をスクリーニングするのに用いられるポリメラーゼ連鎖反応は当該分野で知られている。 例えば、Kim and Smithies,Nucleic Acids Res. 16:8887−8903,1988;およびJoynerら,Nature 338:153−156,1989参照。 ネオマイシン遺伝子を駆動するための突然変異体ポリオーマエンハンサーおよびチミジンキナーゼプロモーターの具体的組合せは、Thomas and Capecchi,supra,1987;Nicholas
    and Berg(1983)in Teratocarcinoma Stem Cell,eds. Siver,Martin and Strikland(Cold Spring Harbor Lab.,Cold Spring Harbor,N.Y.(pp.469−497);およびLinney and Donerly,Cell 35:693−699,1983によると、胚性幹細胞およびEC細胞双方において活性であることが示されている。

    第一ラウンドの標的化から得られた細胞株は、標的化対立遺伝子につきヘテロ接合性のようである。 双方の対立遺伝子が修飾されたホモ接合性は多数の方法で達成することができる。 1つのアプローチは、1つのコピーが修飾された多数の細胞を増殖させ、次いで、異なる選択マーカーを用いて別のラウンドの標的化にこれらの細胞を供することである。 別法として、伝統的なメンデル遺伝学に従って、修飾された対立遺伝子につきヘテロ接合性である動物を育種することによってヘテロ接合体を得ることができる。 いくつかの状況において、2つの異なる修飾された対立遺伝子を有することが望ましくあり得る。 これは、連続ラウンドの遺伝子標的化によって、またはその各々が所望の修飾された対立遺伝子の1つを有するヘテロ接合体を育種することによって達成することができる。

    α1,3GT遺伝子座における誘導された突然変異 ある他の実施形態において、本発明の方法は、突然変異誘発剤を介する突然変異の意図的な導入を含む。 当該分野で知られ、かつ本発明で用いるのに適した突然変異誘発剤の例は、限定されるものではないが、化学的突然変異原(例えば、N−エチル−N−ニトロソ尿素(ENU)、エチルメタンスルホネート(EMS)、マスタードガス、ICR191等のようなDNA−インターカレーティングまたはDNA−結合化学物質;例えば、E.C.Friedberg,G.C.Walker,W.Siede,DNA Repair and Mutagenesis,ASM Press,Washington DC(1995)、物理的突然変異原(例えば、UV照射、放射線、x−線)、生化学的突然変異原(例えば、制限酵素、DNA修復突然変異原、DNA修復阻害剤、およびエラー−傾向DNAポリメラーゼおよび複製蛋白質)、ならびにトランスポゾン挿入を含む。本発明の方法によると、培養中の細胞をこれらの薬剤の1つに暴露することができ、細胞表面のガラクトースα1,3−ガラクトースの枯渇をもたらすいずれかの突然変異を、例えば、トキシンAへの暴露を介して選択することができる。

    細胞において突然変異を誘導するための化学的突然変異原の好ましい用量は当該分野で知られているか、あるいは当該分野で知られた突然変異誘発のアッセイを用いて当業者によって容易に決定することができる。 イン・ビトロでの細胞の化学的突然変異誘発は、突然変異誘発剤の種々の用量で細胞を処理し、および/または剤への暴露の時間を制御することによって達成することができる。 突然変異誘発剤暴露および/または用量を力価測定することによって、意図した目的のための突然変異誘発の最適な程度を実行し、それにより、各標的細胞において所望の数の遺伝子を突然変異させることが可能である。 例えば、有用な用量のENUはほぼ1〜2時間の間に0.1〜0.4mg/mLであり得る。 別の例において、有用な用量のEMSはほぼ10〜30時間の間における0.1〜1mg/mLであり得る。 加えて、より低いおよびより高い、用量および暴露時間を用いて、所望の突然変異頻度を達成することもできる。

    機能的α−1,3−GTを発現しない細胞の同定 1つの実施形態において、選択手法は細菌トキシンに基づいて、機能的α1,3GTの発現を欠く細胞につき選択することができる。 別の実施形態において、Clostridium difficileによって生産されたトキシンAである細菌トキシンを用いて、細胞表面エピトープガラクトースα1,3−ガラクトースを欠く細胞につき選択することができる。 C. difficileトキシンへの暴露は、その表面にこのエピトープを呈する細胞のラウンディングを引き起こし、該細胞をプレートマトリックスから放出することができる。 酵素の機能または発現を無能とする標的化遺伝子ノックアウトおよび突然変異は共に、この選択方法を用いて検出することができる。 次いで、記載されたトキシンA媒介選択を用いて同定された、または遺伝子標的化を含めた遺伝子不活化の標準方法を用いて生産された、ガラクトースα1,3−ガラクトースエピトープの細胞表面発現を欠く細胞を用いて、α1,3GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活性である動物を生産することができる。

    1つの実施形態において、選択方法は、相同組換えによるα1,3GT遺伝子の標的化ノックアウト、または非機能的または非発現酵素をもたらす遺伝子中の突然変異によるかを問わず、直接的にα1,3GTエピトープの枯渇を検出することができる。 抗生物質耐性を介する選択はスクリーニングのために最も普通に用いられてきた(前記参照)。 この方法は、標的化ベクター上での耐性遺伝子の存在を検出することができるが、組込みが標的化組換え事象またはランダム組込みであったかを直接的に示さない。 ポリAおよびプロモータートラップ技術のようなある種の技術は標的化事象確立を増大させるが、再度、所望の表現型、細胞表面のgalα1,3galエピトープが結合した細胞が達成されているという直接的証拠を与えない。 加えて、選択の陰性形態を用いて、標的化された組込みにつき選択することができ、これらの場合、細胞に対して致死的な因子についての遺伝子を、標的化事象のみが細胞が死滅を免れるのを可能とするように挿入される。 これらの方法によって選択された細胞は、次いで、遺伝子破壊、ベクター組込みおよび、最終的には、α1,3galエピトープ枯渇につきアッセイすることができる。 これらの場合、選択は標的化ベクター組込みの検出に基づき、変化した表現型におけるものではないため、点突然変異、遺伝子再編成または切形または他のそのような修飾ではなく標的化されたノックアウトのみを検出することができる。

    別の実施形態において、選択手法は、補体因子を含有する血清、およびgalα1,3galエピトープに対する天然抗体を用いて行うことができる(例えば、Koikeら,Xenotransplantation 4:147−153,1997参照)。 抗−Gal抗体を含むヒトまたは非−ヒト霊長類からの血清への暴露は、galα1,3galエピトープを呈する細胞における特異的抗体結合および補体活性化により細胞溶解を引き起こすことができる。 従って、α−1,3−GTが欠損した細胞は生きたままであり、かくして、選択することができる。

    機能的α−1,3−GTの発現を欠くと信じられている動物細胞をさらに特徴付けることができる。 そのような特徴付けは、限定されるものではないが:PCR分析、サザーンブロット分析、ノーザンブロット分析、特異的レクチン結合アッセイ、および/または配列決定分析を含めた以下の技術によって達成することができる。

    当該分野で記載されたPCR分析(例えば、Daiら,Nature Biotechnology 20:431−455)を用いて、標的化ベクターの組込みを決定することができる。 1つの実施形態において、アンプリマーは抗生物質耐性遺伝子に由来し、ベクター配列の外側の領域に延長することができる。 サザーン分析(例えば、Daiら,Nature Biotechnology 20:431−455)を用いて、標的化ベクターのα1,3GT遺伝子座への組込みのような、遺伝子座における目に見える突然変異を特徴付けることもできる。 他方、ノーザン分析を用いて、対立遺伝子の各々から生じた転写体を特徴付けることができる。

    Griffonia(Bandeiraea)シンプリシフォリアからのGSL IB4レクチン(Vector Labs)、炭水化物部位galα1,3galに特異的に結合するレクチンを用いる特異的レクチン結合、および結合のFACS(蛍光抗体細胞ソーティング)分析は、α1,3galエピトープが細胞に存在するか否かを決定することができる。 このタイプの分析は、フルオレセイン−標識GSL−IB4レクチンの細胞への添加、および引き続いての細胞ソーティングを含む。

    RNA転写体から生じたcDNAの配列決定分析を用いて、α1,3GT対立遺伝子におけるいずれかの突然変異の正確な位置を決定することもできる。

    なお別の実施形態において、本発明は、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活性とされている、ブタのような生きた動物を生産する方法を提供する。 1つの実施形態において、動物は、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活化されている細胞からのドナー核を用いるクローニングによって生産される。 1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子は遺伝子標的化事象を介して不活化される。 別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子は、点突然変異の存在により不活化される。 別の実施形態において、1つの対立遺伝子は遺伝子標的化事象によって不活化され、他の対立遺伝子は点突然変異を介して不活化される。 さらなる実施形態において、1つの対立遺伝子は遺伝子標的化事象によって不活化され、他の対立遺伝子は、α−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化される。 特定の実施形態において、1つの対立遺伝子はエクソン9に向けられた標的化コンストラクトを介して不活化され、他の対立遺伝子はα−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化される。 別の実施形態において、そのような動物、例えば、ブタをクローン化するための方法は:卵母細胞を脱核し、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活化されている細胞からのドナー核と該卵母細胞とを融合させ、次いで、核導入−由来胚を借腹母に移植することを含む。

    別法として、次いで、子孫を生産するのに用いることができる胚性幹細胞におけるα−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子を不活化することによって、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く生きた動物を生産する方法が提供される。

    接合体を直接的に修飾することによって創製することができる遺伝子的に改変された動物。 哺乳動物については、次いで、修飾された接合体を、動物を出産予定日まで持っていくことができる偽妊娠雌の子宮へ導入することができる。 例えば、α−1,3−GT遺伝子を欠く全動物が所望される場合、次いで、その動物から由来する胚性幹細胞を標的化し、その後、修飾された細胞をキメラ動物へ成長させるための未分化胚芽細胞に導入することができる。 胚性幹細胞については、胚性幹細胞株または新たに得られた幹細胞のいずれかを用いることができる。

    本発明の適切な実施形態において、全能性細胞は胚性幹(ES)細胞である。 未分化胚芽細胞からのES細胞の単離、ES細胞株の確立、およびその引き続いての培養は、例えば、Doetchmannら,J. Embryol. Exp. Morph. 87:27−45(1985);Liら,Cell 69:915−926(1992);Robertson,E. J. ”Tetracarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach,”ed. E. J. Robertson,IRL Press,Oxford,England(1987);Wurst and Joyner,”Gene Targeting:A Practical Approach,”ed. A. L. Joyner,IRL Press,Oxford,England(1993);Hogenら,”Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual,”eds. Hogan,Beddington,Costantini and Lacy,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1994)およびWangら,Nature 336:741−744(1992)によって記載された慣用的方法によって行われる。 本発明の別の適切な実施形態において、全能性細胞は胚性生殖(EG)細胞である。 胚性生殖細胞はES細胞と機能的に同等な未分化細胞であり、すなわち、胚性生殖細胞を培養し、イン・ビトロでトランスフェクトし、次いで、キメラの体細胞および生殖細胞株に対して寄与させることができる(Stewartら,Dev.Biol.161:626−628(1994))。 EG細胞は、成長因子:白血病阻害因子、スチール因子および塩基性線維芽細胞成長因子の組合せにて、原基生殖細胞、配偶子の先祖の培養によって誘導される(Matsuiら,Cell 70:841−847(1992);Resnickら,Nature 359:550−551(1992))。 EG細胞の培養は、Donovanら,”Transgenic Animals,Generation and Use,”Ed. L. M. Houdebine,Harwood Academic Publishers(1997)による論文、およびそこに引用された元の文献によって記載された方法を用いて行うことができる。

    本発明で用いられる四倍体未分化胚芽細胞は、天然接合体生産および発育によって、または2−細胞胚の電気融合による公知の方法によって得、引き続いて、例えば、Jamesら,Genet. Res. Camb. 60:185−194(1992);Nagy and Rossant,”Gene Targeting:A Practical Approach,”ed. A. L. Joyner,IRL Press,Oxford,England(1993)によって;またはKubiak and Tarkowski,Exp. Cell Res. 157:561−566(1985)によって記載されているように培養することができる。

    ES細胞またはEG細胞の未分化胚芽細胞への導入は、当該分野で知られたいずれかの方法によって行うことができる。 本発明の目的で適切な方法は、Wangら,EMBO J. 10:2437−2450(1991)によって記載されたマイクロインジェクション方法である。

    別法として、修飾された胚性幹細胞によって、トランスジェニック動物を生産することができる。 遺伝子的に修飾された胚性幹細胞を未分化胚芽細胞に注入し、次いで、慣用的技術に従って雌宿主哺乳動物において出産予定日まで持っていくことができる。 次いで、PCRまたはサザーンブロッティングのような技術を用い、標的遺伝子座の部位における改変の存在につきヘテロ接合体子孫をスクリーニングすることができる。 同一種の野生型宿主との接合の後、次いで、得られたキメラ子孫を交配させて、ホモ接合性宿主を達成することができる。

    胚性幹細胞を標的化ベクターで形質転換して、α−1,3−GT遺伝子を改変した後、該細胞を適切な培地、例えば、胎児ウシ血清増強DMEMにおけるフィーダー層上に平板培養することができる。 該コンストラクトを含有する細胞は、選択培地を使用することによって検出することができ、コロニーが増殖するのに十分な時間の後、コロニーを拾い出し、相同組換えの発生につき分析することができる。 コンストラクト配列内のプライマーおよび標的遺伝子座における配列を除いてコンストラクト配列なしのプライマーを用いた、ポリメラーゼ連鎖反応を用いることができる。 次いで、相同組換えを示すコロニーを、胚操作および未分化胚芽細胞注入のために用いることができる。 未分化胚芽細胞は、過剰排卵雌から得ることができる。 次いで、胚性幹細胞をトリプシン処理し、修飾された細胞を、未分化胚芽細胞を含有する液滴に加えることができる。 修飾された胚性幹細胞の少なくとも1つを未分化胚芽細胞の胞胚腔に注入することができる。 注入の後、未分化胚芽細胞の少なくとも1つを偽妊娠雌の各子宮角に戻すことができる。 次いで、メスを出産予定日まで持っていき、得られた同腹を、コンストラクトを有する突然変異体細胞につきスクリーニングする。 未分化胚芽細胞は、形質転換されたES細胞からの異なる親関係につき選択される。 未分化胚芽細胞およびES細胞の異なる表現型を供することによって、キメラ子孫を容易に検出することができ、次いで、遺伝子型分けを行って、修飾されたα−1,3−GT遺伝子の存在につきプローブすることができる。

    クローン化されたトランスジェニック子孫を生産するための体細胞核導入 本発明は、体細胞核導入を介する、機能的α−1,3−GT遺伝子を欠く、ブタのような、動物をクローン化する方法を提供する。 一般に、該動物は、以下の工程:ドナー核の源として用いるべき所望の分化された細胞を入手し;動物から卵母細胞を得;該卵母細胞を脱核し;所望の分化した細胞または細胞核を、例えば、融合または注入によって脱核された卵母細胞に導入して、NTユニットを形成させ;得られたNTユニットを活性化し;次いで、NTユニットが胎児まで発生するように該培養されたNTユニットを宿主動物に導入することを含む核導入プロセスによって生産することができる。

    核導入技術または核移植技術は当該分野で知られている(Daiら,Nature Biotechnology 20:251−255;Polejaevaら,Nature 407:86−90(2000);Campbellら,Theriogenology,43:181(1995);Collasら,Mol.Report Dev.,38:264−267(1994);Keeferら,Biol.Reprod.,50:935−939(1994);Simsら,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,90:6143−6147(1993);WO 94/26884;WO 94/24274、およびWO 90/03432、米国特許第4,944,384号および第5,057,420号)。

    α−1,3−GT遺伝子を改変するように修飾されているドナー細胞核を受容体卵母細胞に導入する。 この方法の使用は特定のドナー細胞型に限定されない。 ドナー細胞は本明細書中に記載されたようなものであり得る。 また、例えば、Wilmutら,Nature 385 810(1997);Campbellら,Nature 380 64−66(1996);Daiら,Nature Biotechnology 20:251−255,2002またはCibelliら,Science 280 1256−1258(1998)も参照されたし。 核導入で首尾よく用いることができる胚、胎児および成体体細胞を含めた正常な核型の全ての細胞を使用することができる。 胎児線維芽細胞はドナー細胞の特に有用なクラスである。 核導入の一般に適した方法は、Campbellら,Theriogenology 43 181(1995)、Daiら,Nature Biotechnology 20:251−255、Polejaevaら,Nature 407:86−90(2000)、Collasら,Mol. Reprod. Dev. 38 264−267(1994)、Keeferら,Biol. Reprod. 50 935−939(1994)、Simsら,Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90 6143−6147(1993)、WO−A−9426884、WO−A−9424274、WO−A−9807841、WO−A−9003432、米国特許第4,994,384号および米国特許第5,057,420号に記載されている。 分化した、または少なくとも部分的に分化したドナー細胞を用いることもできる。 ドナー細胞は培養中のものとすることができるが、必ずしもそうでなくてもよく、休止のものとすることもできる。 休止した核ドナー細胞は、休止に入る、またはイン・ビボで休止状態で存在するように誘導することができる細胞である。 先行技術の方法はクローニング手法で胚細胞タイプを用いた(Campbellら,(Nature,380:64−68,1996)およびSticeら,(Biol.Reprod.,20 54:100−110,1996)。

    体細胞核ドナー細胞は、限定されるものではないが、皮膚、間葉、肺、膵臓、心臓、腸、胃、膀胱、血管、腎臓、尿道、生殖器官、および胚、胎児または成体動物の全部または一部の解離された調製物を含めた種々の異なる器官および組織から得ることもできる。 適切な本発明の実施形態において、核ドナー細胞は上皮細胞、線維芽細胞、神経細胞、ケラチノサイト、造血細胞、メラノサイト、軟骨細胞、リンパ球(BおよびT)、マクロファージ、単球、単核細胞、心筋細胞、他の筋肉細胞、顆粒細胞、丘細胞、表皮細胞または内皮細胞よりなる群から選択される。 別の実施形態において、核ドナー細胞は胚性幹細胞である。 好ましい実施形態において、線維芽細胞をドナー細胞として用いることができる。

    本発明の別の実施形態において、本発明の核ドナー細胞は動物の生殖細胞である。 胚、胎児または成体段階における動物種のいずれかの生殖細胞を核ドナー細胞として用いることができる。 適切な実施形態において、核ドナー細胞は胚性生殖細胞である。

    核ドナー細胞は細胞周期(G0、G1、G2、S、M)のいずれかの相に捕らえられて、アクセプター細胞との協調を確実とすることができる。 当該分野で知られたいずれかの方法を用いて、細胞周期相を操作することができる。 細胞周期相を制御するための方法は、限定されるものではないが、培養された細胞の接触阻止によって誘導されたG0休止、血清または他の必須栄養素の除去によって誘導されたG0休止、老化によって誘導されたG0休止、特別な増殖因子の添加によって誘導されたG0休止;熱ショック、高圧のような物理的または化学的手段、あるいは化学物質、ホルモン、成長因子または他の物質での他の処理によって誘導されたG0またはG1休止;複製手法のいずれかの地点に干渉する化学剤での処理を介するS−相制御;蛍光活性化細胞ソーティング、有糸分裂シェイクオフ、微小管破壊剤、または有糸分裂における進行を破壊するいずれかの化学物質での処理を用いる選択を介するM−相制御を含む(Freshney,R.I.,”Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,”Alan R.Liss,Inc,New York(1983)も参照されたし)。

    卵母細胞の単離方法は当該分野で良く知られている。 本質的には、これは動物の卵巣または生殖器官から卵母細胞を単離することを含む。 卵母細胞の容易に入手可能な源は屠殺場材料である。 遺伝子工学、核導入およびクローニングのような技術の組合せについては、これらの細胞を核導入用の受容体細胞として用いる前に、かつ精子細胞によって受精させて、胚まで発生させることができる前に、イン・ビトロにて一般には成熟させなければならない。 このプロセスは、一般には、哺乳動物卵巣、例えば、屠殺場で得られるウシ卵巣から未成熟(プロ相I)卵母細胞を得、次いで、卵母細胞が中期II段階に至るまで(これは、ウシ卵母細胞の場合には、一般には、吸入後約18〜24時間で起こる)受精または脱核に先立って、卵母細胞を成熟培地中で成熟させることを必要とする。 この期間は「成熟期間」として知られている。 ある実施形態において、卵母細胞は若い雌ブタから得られる。 「若い雌ブタ」は、決して子孫を有していなかった雌ブタである。 他の実施形態において、卵母細胞は成熟した雌ブタから得られる。 「成熟した雌ブタ」は、これまでに子孫を生じさせたことがある雌ブタである。

    中期II段階の卵母細胞が受容体卵母細胞となり得、この段階で、該卵母細胞は十分に「活性化」されて、この卵母細胞は、受精精子がそうするように導入された核を処理することができるか、あるいはそうであると考えられる。 イン・ビボで成熟された中期II段階卵母細胞は核導入技術で首尾よく用いられてきた。 本質的には、成熟中期II卵母細胞は、発情期の開始後、またはヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG)または同様なホルモンの注入後35〜48時間、または39〜41時間の非−過剰排卵または過剰排卵動物いずれかから外科的に収集することができる。 卵母細胞はヒアルロニダーゼ溶液のような適切な培地に入れることができる。

    約10〜40時間、約16〜18時間、約40〜42時間、または約39〜41時間の範囲である固定された時間の成熟期間の後に、卵母細胞を脱核することができる。 脱核に先立って、卵母細胞を摘出し、丘細胞の取り出しに先立って、ヒアルロニダーゼ1ミリリットル当たり1ミリグラムを含有するHECMのような適切な培地に入れることができる。 次いで、ストリップした卵母細胞を、極体につきスクリーニングすることができ、次いで、極体の存在によって測定されるように、選択された中期II卵母細胞を核導入のために用いる。 脱核は以下の通りである。

    脱核は、米国特許第4,994,384号に記載されているような公知の方法によって行うことができる。 例えば、中期II卵母細胞は、直ちに脱核するために、サイトカラシンB、1ミリリットル当たり7.5マイクログラムを所望により含有してもよいいずれかのHECMに入れることができ、あるいは適切な培地、例えば、CR1aa+10%発情期牝牛血清のような胚培養基に入れ、次いで、後に、好ましくは、24時間以内後に、より好ましくは16〜18時間後に脱核することができる。

    脱核は、マイクロピペットを用いてミクロ外科的に達成して、極体および隣接細胞質を除去することができる。 次いで、卵母細胞をスクリーニングして、首尾よく脱核されたものを同定することができる。 卵母細胞をスクリーニングする1つの方法は、卵母細胞をHECM中の1ミリリットルの33342 Hoechst色素当たり1マイクログラムで染色し、次いで、紫外線照射下で10秒未満の間卵母細胞を観察することである。 次いで、首尾よく脱核された卵母細胞を適切な培養基、例えば、CR1aa+10%血清に入れることができる。

    次いで、脱核された卵母細胞と同一の種の単一哺乳動物細胞を、NTユニットを生じさせるのに用いられる脱核された卵母細胞の卵母細胞周囲空間に導入することができる。 哺乳動物細胞および脱核卵母細胞を用いて、当該分野で公知の方法に従ってNTユニットを生じさせることができる。 例えば、該細胞は電気融合によって融合させることができる。 電気融合は、原形質膜の一過的破壊を引き起こすのに十分な電気のパルスを供することによって達成される。 原形質膜のこの破壊は非常に短い。 なぜならば、該膜は迅速に再形成されるためである。 かくして、2つの隣接した膜が破壊するように誘導され、再形成に際して、脂質二層が混合される場合、小さなチャネルが2つの細胞の間に開かれ得る。 そのような小さな開口の熱力学的不安定性のため、2つの細胞が1つとなるまでそれは拡大される。 例えば、Pratherら,による米国特許第4,997,384号参照。 例えば、スクロース、マンニトール、ソルビトールおよびリン酸緩衝化溶液を含めた、種々の電気融合培地を用いることができる。 融合は融合誘導剤としてのセンダイウイルスを用いて達成することもできる(Graham,Wister Inot.Symp.Monogr.,9,19,1969)。 また、核はエレクトロポレーション融合を用いるよりはむしろ卵母細胞に直接注入することができる。 例えば、Collas and Barnes,Mol. Reprod. Dev. ,38:264−267(1994)参照。 融合の後、次いで、得られた融合NTユニットを、活性化されるまで適切な培地、例えば、CR1aa培地に入れる。 典型的な活性化は、その後間もなく、例えば、24時間未満後に、または4〜9時間後に、または最適には融合後1〜2時間に行うことができる。 好ましい実施形態において、活性化は、融合後少なくとも1時間に、かつ成熟後40〜41時間に起こる。

    NTユニットは公知の方法によって活性化することができる。 そのような方法は、例えば、本質的には、冷、または現実には冷温度ショックをNTユニットに適用することによって、生理学的下温度にてNTユニットを培養することを含む。 これは、胚が通常暴露される生理学的温度条件に対して冷たい室温にてNTユニットを培養することによって最も便宜にはなすことができる。 別法として、活性化は公知の活性化剤の適用によって達成することができる。 例えば、受精の間における精子による卵母細胞の進入は、プレ融合卵母細胞を活性化して、核導入後に、より多数の生きた妊娠および多数の遺伝的に同一な子牛を生じさせることが示されている。 また、電気および化学的ショックのような処理を用いて、融合後にNT胚を活性化することができる。 例えば、Susko−Parrishら,に対する米国特許第5,496,720号参照。 融合および活性化は、各々ECM2001 Electrocell Manipulator(BTX Inc.,San Diego,CA)を用いる、5秒間の5VのACパルス、続いての、60マイクロ秒の間の1.5kV/cmの2つのDCパルスの適用によって誘導することができる。 加えて、活性化は、同時にまたは順次に、卵母細胞における二価カチオンのレベルを増大させ、および卵母細胞における細胞蛋白質のリン酸化を低下させることによって行うことができる。 これは、一般には、二価カチオン、例えば、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムまたはカルシウムを、例えば、イオノフォアの形態で卵母細胞の細胞質に導入することによって行うことができる。 二価カチオンレベルを増大させる他の方法は、電気ショック、エタノールでの処理、およびケージドキレーターでの処理の使用を含む。 リン酸化は公知の方法によって、例えば、キナーゼ阻害剤、例えば、6−ジメチル−アミノプリン、スタウロスポリン、2−アミノプリン、およびスフィンゴシンのようなセリン−スレオニンキナーゼ阻害剤の添加によって減少させることができる。 別法として、細胞蛋白質のリン酸化は、ホスファターゼ、例えば、ホスファターゼ2Aおよびホスファターゼ2Bの卵母細胞への導入によって阻害することができる。

    次いで、活性化されたNPユニット、または「融合された胚」を、細胞コロニーの発生まで適切なイン・ビトロ培養基中で培養することができる。 胚の培養および成熟化に適した培養基は当該分野で良く知られている。 胚の培養および維持で用いることができる公知の培地の例はHamのF−10+10%胎児ウシ血清(FCS)、組織培養基−199(TCM−199)+10%胎児子牛血清、タイロード−アルブミン−乳酸−ピルビン酸(TALP)、ダルベッコのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、イーグルおよびホワイテンの培地を含み、1つの特定の例においては、活性化されたNTユニットは、5%CO の湿潤化雰囲気中でほぼ38.6℃にて約1〜4時間NCSU−23培地中で培養することができる。

    その後、培養されたNTユニットまたは複数ユニットを洗浄し、次いで、好ましくは、適切なコンフルエンシーフィーダー層を含有するウェルプレートに含まれた適切な培地中に入れる。 適切なフィーダー層は、例えば、線維芽細胞および上皮細胞を含む。 NTユニットは、該NTユニットが受容体雌への導入に、または細胞コロニーを生じさせるのに用いることができる細胞を得るのに適したサイズに到達するまでフィーダー層上で培養する。 好ましくは、これらのNTユニットは、少なくとも約2〜400細胞、約4〜128細胞、または少なくとも約50細胞まで培養することができる。

    次いで、活性化されたNTユニットを雌ブタの卵管に導入することができる(胚導入)。 1つの実施形態において、雌ブタは発情期−同調受容体の若い雌ブタであり得る。 雑種の若い雌ブタ(大きな白色/Duroc/Landrace)(280〜400ポンド)を用いることができる。 若い雌ブタは飼料に混合された18〜20mgのRegu−Mate(Altrenogest,Hoechst,Warren,NJ)の経口投与によって受容体動物として同調させることができる。 Regu−Mateは14連続日の間に与えることができる。 次いで、1000ユニットのヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG、Intervet America、Millsboro、DE)を最後のRegu−Mate処理から約105時間後にi. m. 投与することができる。 次いで、胚導入をhCG注入から約22〜26時間後に行うことができる。 1つの実施形態において、妊娠を出産予定日まで持っていき、その結果、生きた子孫を誕生させることができる。 別の実施形態において、妊娠を早くに終了させ、胚細胞を収穫することができる。

    所望のホモ接合性ノックアウトマウスについての育種 別の実施形態において、本発明は、α−1,3−GT遺伝子につきヘテロ接合性であるメスをα−1,3−GT遺伝子につきヘテロ接合性である雌と交配させることによって、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く生きた動物を生産する方法を提供する。 1つの実施形態において、該動物は、1つの対立遺伝子の発現を妨げるためのα−1,3−GT遺伝子のその対立遺伝子の遺伝的修飾によりヘテロ接合性である。 別の実施形態において、動物は、α−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子における点突然変異の存在のためヘテロ接合性である。 別の実施形態において、該点突然変異はα−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異であり得る。 1つの特定の実施形態において、機能的α−1,3−GTのいずれの発現も欠く動物を生産する方法が提供され、ここに、α−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基においてT−G間点突然変異を含む雄ブタを、α−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基においてT−G間点突然変異を含む雌ブタと交配させる。

    1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子において二重ノックアウトを有するドナー細胞からの核導入から生じた性的に成熟した動物を交配させ、その子孫をホモ接合性ノックアウトにつきテストすることができる。 次いで、これらのホモ接合性ノックアウト動物を交配させて、より多くの動物を生産することができる。

    別の実施形態において、性的に成熟した二重ノックアウト動物からの卵母細胞は、2つの遺伝子的に多様なブタ系からの野生型精子を用いてイン・ビトロ受精させ、胚を適切な代理親に移植することができる。 これらの交配からの子孫をノックアウトの存在につきテストすることができ、例えば、ノックアウトの存在はcDNA配列決定、PCR、トキシンA感度および/またはレクチン結合によってテストすることができる。 次いで、性的な成熟時期において、これらの同腹子の各々からの動物を交配させることができる。

    本発明のこの実施形態によるある方法において、胎児線維芽細胞を単離し、さらに表現型的におよび/または遺伝子型的に特徴付けることができるように、妊娠を早期に終了させることができる。 次いで、α−1,3−GT遺伝子の発現を欠く線維芽細胞を、本明細書中に記載された方法に従って(Daiら,も参照されたし)核導入のために用いて、所望の二重ノックアウトを有する多数の妊娠および子孫を生じさせることができる。

    III. 遺伝的に修飾された動物/さらなる遺伝的修飾のタイプ 本発明の1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子が遺伝子標的化事象を介して不活化された動物が提供される。 本発明の別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が遺伝子標的化事象を介して不活化された動物が提供される。 1つの実施形態において、該遺伝子は相同組換えを介して標的化することができる。 他の実施形態において、該遺伝子を破壊することができ、すなわち、遺伝子暗号の一部を改変し、それにより、遺伝子のそのセグメントの転写および/または翻訳に影響させることができる。 例えば、遺伝子の破壊は置換、欠失(「ノックアウト」)または挿入(「ノックイン」)技術を介して起こり得る。 所望の蛋白質についてのさらなる遺伝子、または存在する配列の転写を変調する調節配列を挿入することができる。

    かくして、本発明の別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子を少なくとも1つの点突然変異を介して不活性とすることができる。 1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子を少なくとも1つの点突然変異を介して不活性とすることができる。 別の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子を少なくとも1つの点突然変異を介して不活性とすることができる。 1つの実施形態において、この点突然変異は遺伝子標的化事象を介して起こり得る。 別の実施形態において、この点突然変異は天然に生じ得る。 1つの特定の実施形態において、該突然変異はα−1,3−GT遺伝子のエクソン9の第二の塩基におけるT−G間突然変異であり得る(図1)。 α−1,3−GT遺伝子において天然に生じる点突然変異を有するブタは、抗生物質−耐性遺伝子を含まないα1,3GT−欠損ブタの生産を可能とし、かくして、ヒトで用いるのにより安全な産物を作成する潜在能力を有する。 他の実施形態において、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10または少なくとも20の点突然変異を存在させて、α−1,3−GT遺伝子を不活性とすることができる。 他の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が機能的α1,3GTのいずれの発現も妨げる点突然変異を含むブタが提供される。 特定の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子におけるエクソン9の第二の塩基におけるT−G間突然変異を含むブタが提供される(図1)。

    本発明の別の実施形態は、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活化され、それにより、1つの対立遺伝子は遺伝子標的事象によって不活化され、他の対立遺伝子は天然に生じる点突然変異を介して不活化された動物を提供する。 1つの実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活化され、それにより、1つの対立遺伝子は遺伝子標的化事象によって不活化され、他の対立遺伝子はエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化されるブタ動物が提供される。 特定の実施形態において、α−1,3−GT遺伝子の双方の対立遺伝子が不活化され、それにより、1つの対立遺伝子がエクソン9に向けられた標的化コンストラクトを介して不活化され(図6)、他の対立遺伝子がエクソン9の第二の塩基におけるT−G間点突然変異の存在により不活化されたブタ動物が提供される。

    さらなる実施形態において、さらなる遺伝子修飾を含むこともできるα−1,3−GT遺伝子のいずれの機能的発現も欠く動物から組織を得ることができる。 そのような遺伝子修飾は、拒絶を妨げ、創傷治癒を促進し、および/または(プリオンまたはレトロウイルスのような)望まない病原体を最小化し、または排除するための他の遺伝子の付加および/または欠失を含むことができる。

    PERVとは今日までに3つの主なクラスが同定されているレトロウイルスのファミリーをいう:PERV−A(Genbank登録番号AF038601)、PERV−B(EMBL登録番号PERY17013)およびPERV−C(Genbank登録番号AF038600)(Patienceら,1997,Akiyoshiら,1998)。 PERV−A、BおよびCのgagおよびpol遺伝子は高度に相同であり、異なるタイプのPERV(例えば、PERV−A、PERV−B、PERV−C)の間で異なるのはenv遺伝子である。 PERV−Dもまた最近同定されている(例えば、米国特許第6,261,806号参照)。

    本発明の1つにおいて、ブタ内因性レトロウイルス(PERV)遺伝子は、発現干渉RNA分子(iRNA)によって調節することができる。 例えば、PERVウイルスの発現が機能的に排除され、または検出レベル未満であるように、少なくとも2つのiRNA分子を用いることができる(例えば、USSN 60/523,938)。 さらなる実施形態において、限定されるものではないが、ブタ呼吸器系および生殖系症候群(PRRS)ウイルスを含めた他のウイルスを、相同組換えを介して、または阻害性RNA(RNAi)アプローチを用いることのいずれかで不活化し、またはダウンレギュレートする。 RNAiを用いるダウンレギュレーションの場合には、小阻害性RNAをコードする遺伝子配列を導入遺伝子として発現させ、マイクロインジェクション、ICSI、核導入を介して、あるいは精子媒介遺伝子導入を用いることのいずれかでブタに導入する。

    別の実施形態において、異種移植片拒絶の原因であるさらなる遺伝子の発現を排除し、または低下させることができる。 そのような遺伝子は、限定されるものではないが、CMP−NEUAcヒドロキシラーゼ遺伝子、イソグロボシド3シンターゼ遺伝子、およびフォルスマンシンターゼ遺伝子を含む。 加えて、補体媒介溶解の抑制の原因である補体関連蛋白質をコードする遺伝子またはcDNAもまた本発明の動物および組織で発現させることもできる。 そのような遺伝子は、限定されるものではないが、CD59、DAF、MCPおよびCD46を含む(例えば、WO 99/53042;CD59/DAF導入遺伝子を発現するブタを記載するChenら,Xenotransplantation,Volume 6 Issue 3 Page 194−August 1999;ヒトCD59およびH−トランスフェラーゼを発現するトランスジェニックブタを記載するCosta Cら,Xenotransplantation.2002 Jan;9(1):45−57;ヒトCD46トランスジェニックブタを記載するZhao Lら,Diamond LEら,Transplantation.2001 Jan 15;71(1):132−42参照)。

    さらなる修飾は、”Anticoagulant fusion protein anchored to cell membrane”と題されたWO 98/42850および米国特許第6,423,316号に記載されたような組織因子経路阻害剤(TFPI)、ヘパリン、抗トロンビン、ヒルジン、TFPI、ダニ抗凝固ペプチド、またはヘビ毒因子;または「Suppression of xenograft rejection by down regulation of a cell adhesion molecules」と題されたWO 00/31126に記載されたような、細胞による細胞接着分子の発現をダウンレギュレートする抗体のような化合物、および「Immunosuppression by blocking T cell co−stimulation signal 2(B7/CD28 interaction)」と題された、例えば、WO 99/57266に記載された異種遺伝子ドナー生物からのCTLA−4の可溶性形態の器官受容体への投入によるような、シグナル2による共−刺激が妨げられる化合物の発現を含むことができる。

    本発明のある種の実施形態を以下の非限定的な実施例でより詳細に記載する。

    実施例1 α−1,3−GT遺伝子につきヘテロ接合性のブタ細胞の生産 一次ブタ胎児線維芽細胞の単離およびトランスフェクション。 胎児線維芽細胞(PCFF4−1〜PCFF4−10)を妊娠の33日において同一妊娠の10胎児から単離した。 頭部および内臓の摘出の後に、胎児をハンクスの平衡塩溶液(HBSS;Gibco−BRL,Rockville,MD)で洗浄し、20mLのHBSSに入れ、小さな外科的ハサミで切断した。 組織をペレット化し、胎児当たり40mLのDMEMおよび100U/mLのコラゲナーゼ(Gibco−BRL)を含む50−mLのチューブに再懸濁した。 チューブを、37℃の振盪水浴中で40分間インキュベートした。 消化された組織を3〜4分間沈降させ、細胞に富んだ上清を新しい50−mLのチューブに移し、ペレット化した。 次いで、10%胎児子牛血清(FCS)、1×非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウムおよび2ng/mLのbFGFを含有する40mLのDMEMに細胞を再懸濁させ、10cmのディッシュに接種した。 全ての細胞をコンフルエンシーに達するに際して低温保存した。 SLA−1〜SLA−10細胞を妊娠の28日において10胎児から単離した。 胎児を曲がった外科ピンセットを用いて、過剰の熱を発生しないようにゆっくりと60−メッシュの金属スクリーンをゆっくりと通して潰した。 次いで、細胞懸濁液をペレット化し、10%FCS、1×非必須アミノ酸、2ng/mLのbFGF、および10μg/mLのゲンタマイシンを含有する30mLのDMEMに再懸濁させた。 細胞を10−cmのディッシュに接種し、1〜3日間培養し、低温保存した。 トランスフェクションのために、10μgの線状化ベクターDNAをエレクトロポレーションによって200万細胞に導入した。 トランスフェクションから48時間後に、トランスフェクトされた細胞をウェル当たり2,000細胞の密度にて40−ウェルプレートに接種し、250μg/mLのG418で選択した。

    ノックアウトベクターの構築。 2つのα−1,3−GTノックアウトベクター、pPL654およびpPL657を、2つの一次ブタ胎児線維芽細胞、SLA1−10およびPCFF4−2細胞の同質遺伝子DNAから構築した。 イントロン8およびイントロン9のほとんどを含む6.8−kbのα−1,3−GTゲノム断片を、各々、SLA1−10細胞およびPCFF4−2細胞の精製されたDNAからのPCRによって生じさせた。 エクソン9の5'末端におけるユニークなEcoRV部位をSalI部位に変換し、1.8−kbのIRES−neo−ポリA断片をSalI部位に挿入した。 IRES(内部リボソーム進入部位)はneo蛋白質のための翻訳開始部位として機能する。 かくして、双方のベクターは4.9−kbの5'組換えアームおよび1.9−kbの3'組換えアームを有する(図6)。

    3'PCRおよび長い範囲のPCR。 ほぼ1,000細胞を5μLの胚溶解緩衝液(ELB)(40mMトリス、pH8.9、0.9%トリトンX−100、0.9%NP40、0.4mg/mLのプロテイナーゼK)に再懸濁させ、65℃にて15分間インキュベートして、細胞を溶解させ、95℃にて10分間加熱して、プロテイナーゼKを不活化させた。 3'PCR分析のために、以下のパラメーターにて25μL反応容量中のExpand High Fidelity PCRシステム(Roche Molecular
    Biochemicals)を用いて断片を増幅した:94℃における1分、60℃における1分、および72℃における2分の35サイクル。 LR−PCRのために、以下のパラメーターにて50μL反応容量中のTAKARA LAシステム(Panvera/Takara)を用いることによって断片を増幅した:94℃における10秒、65℃における30秒、68℃における10分+20秒増加/サイクルの30サイクル、続いての、68℃における7分の1つの最終サイクル。 精製されたDNAのための3'PCRおよびLR−PCR条件は、1μLの精製されたDNA(30μg/mL)を4μLのELBと混合したことを除いて細胞と同一であった。

    細胞試料のサザーンブロット分析。 ほぼ106の細胞を溶解緩衝液(10mMトリス、pH7.5、10mM EDTA、10mM NaCl、0.5%(w/v)サルコシル、1mg/mLプロテイナーゼK)中で60℃にて一晩溶解させ、DNAをエタノールで沈殿させた。 次いで、DNAをBstEIIで消化し、1%アガロースゲル上で分離した。 電気泳動の後に、DNAをナイロン膜に移し、3'−末端ジゴキシゲニン−標識プローブでプローブした。 ケミルミネセント基質システム(Roche Molecular Biochemicals)を用いてバンドを検出した。

    結果。 抗生物質(G418)耐性コロニーを、順方向および逆方向プライマーとしてneo442SおよびαGTE9A2を用いる3'PCRによってスクリーニングした。 neo442Sはneo遺伝子の3'末端におけるものであり、αGTE9A2は3'組換えアームの外側に位置する配列中のエクソン9の3'末端におけるものである(図6)。 従って、α1,3GT遺伝子座における成功した標的化を介してのみ、予測される2.4kbのPCR産物が得られる。 4つの異なる細胞株における合計7のトランスフェクションから、1105 G418耐性コロニーを拾い出し、そのうち100(9%)は初期3'PCRスクリーニングにおいてα1,3GT遺伝子破壊に対して陽性であった(範囲2.5〜12%)。 コロニー657A−A8、657A−I6、および657A−I11は予測された2.4kbのバンドを示し、他方、対照PCFF4−6細胞、および別のG418耐性コロニー、657A−P6は陰性であった。 各3'PCR陽性コロニーの一部を、NT実験で将来用いるためにいくつかの小さなアリコットにて直ちに凍結し、他方、細胞の残りは長い範囲のPCR(LR−PCR)およびサザーン分析のために拡大培養した。

    組換え接合を検出するためのPCR分析、またはmRNA分析(RT−PCR)は偽陽性結果を生じ得るため、全標的化領域を含む長い範囲のPCRを行った。 LR−PCRは、双方のプライマー(aGTE8SおよびaGTE9A2)を組換え領域の外側とし(図2)、エクソン8からエクソン9の端部までの7.4kbのα1,3GTゲノム配列をカバーする。 対照PCFF4−6細胞、および3'PCR−陰性コロニー、657A−P6は野生型α1,3GT遺伝子座からの内因性7.4kbバンドのみを示した。 対照的に、3'PCR陽性コロニーの3つ、657A−A8、657A−I6および657A−I11は、α1,3GT遺伝子座への1.8kbのIRES−neoカセットの標的化挿入で予測されたサイズの、7.4kb内因性バンド、および新しい9.2kbバンドを共に示した。

    LR−PCR陽性コロニーのほぼ半分(17/30)は首尾よく拡大培養されて、サザーン分析のための十分な細胞数(1×10 細胞数)を生じた。 コロニーはα1,3GT遺伝子座においてノックアウトにつきヘテロ接合性であり、かくして、このコロニーは1つの正常な修飾されていない遺伝子コピー、およびα1,3GT遺伝子の1つの破壊されたコピーを有することが予測された。 BstEII消化により、α1,3GTノックアウト細胞は2つのバンドを示した:内因性α1,3GT対立遺伝子で予測されるサイズの1つの7kbバンド、およびα1,3GT遺伝子座におけるIRES−neo配列の挿入に特徴的な9kbのバンド(図2)。 全ての17のLR−PCR陽性コロニーをノックアウトのためのサザーン分析によって確認した。 同一膜をneoに対して特異的な配列で再度プローブし、9kbバンドがneoプローブで検出され、かくして、破壊されたα1,3GT遺伝子座におけるIRES−neoカセットの標的化挿入が確認された。

    実施例2 α−1,3−GT遺伝子につきホモ接合性のブタ細胞の生産 ヘテロ接合性α−1,3−GTノックアウト胎児線維芽細胞、(657A−I11 1−6)細胞は前記したように32日妊娠から単離した(Daiら,Nature Biotechnology 20:451(2002)も参照されたし)。 頭部および内臓を摘出した後、いくつかの胎児をハンクスの平衡塩溶液(HBSS;Gibco−BRI,Rockville,MD)で洗浄し、20mLのHBSSに入れ、小さな外科的ハサミで切断した。 組織をペレット化し、胎児当たり40mLのDMEMおよび100U/mLのコラゲナーゼ(Gibco−BRL)を含む50−mLのチューブに再懸濁させた。 チューブを37℃の振盪水浴中で40分間インキュベートした。 消化された組織を3〜4分間沈降させ、細胞に富んだ上清を新しい50−mLのチューブに移し、ペレット化した。 次いで、細胞を、10%胎児子牛血清(FCS)、1×非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム(Gibco−BRL)、および2ng/mLの塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF;Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)を含有する40mLのDMEMに再懸濁させ、10−cmのディッシュに接種した。 コンフルエンシーに到達するに際して全ての細胞を低温保存した。 頭部および内臓を摘出した後、いくつかの胎児をハンクスの平衡塩溶液(HBSS;Gibco−BRI,Rockville,MD)で洗浄し、20mLのHBSSに入れ、小さな外科ハサミで切断した。 曲がった外科ピンセットを用い、過剰の熱を生じないようにゆっくりと、胎児を60−メッシュの金属スクリーン(Sigma,St.Louis,MO)を通して潰した。 次いで、細胞懸濁液をペレット化し、10%FCS、1×非必須アミノ酸、2ng/mLのbFGF、および10μg/mLのゲンタマイシンを含有する30mLのDMEMに再懸濁させた。 細胞を10−cmのディッシュに接種し、1〜3日間培養し、低温保存した。 トランスフェクションのために、10μgの線状化ベクターDNAをエレクトロポレーションによって200万細胞に導入した。 トランスフェクションから48時間後に、トランスフェクトされた細胞をウェル当たり2,000細胞の密度にて480−ウェルプレートに接種し、250μg/mLのG418(Gibco−BRL)で選択した。 ATG(開始コドン)−標的化α−1,3−GTノックアウトベクターを構築して(pPL680)(これはneo遺伝子も含有した)、α−1,3−GT遺伝子の第二の対立遺伝子をノックアウトした。 これらの細胞をpPL680でのエレクトロポレーションによってトランスフェクトし、精製されたC. difficileトキシンAでα1,3Gal−陰性表現型について選択した(後記参照)。

    実施例3 α−1,3−GT遺伝子につきホモ接合性のブタ細胞についてのC. difficileトキシンAを用いる選択 トキシンA細胞傷害性曲線 ブタ細胞(PCFF4−6)をトキシンAの10倍系列希釈(0.00001μg/mL〜10μg/mL)に1時間〜一晩暴露した。 細胞を24ウェルプレート中で培養し、トキシンと共に37Cにて1時間または一晩インキュベートした。 この暴露の結果を表2に詳細に示す。 明らかに、>1μg/mLにおけるトキシンAへの1時間暴露の結果、細胞の>90%に対する細胞傷害性効果がもたらされた。 従って、1μg/mL、またはこれをわずかに超えるトキシンAの濃度を、遺伝子的に改変された細胞の選択のために選択した。

    galα−1,3−GT遺伝子の1つの対立遺伝子において既に同定された標的化ノックアウトを含むブタ胚(I−11:1−6)からの解離された細胞(Daiら)を、エレクトロポレーションによって10μg線状化ベクターDNA(プロモータートラップ)でトランスフェクトした。 48時間後に、細胞を、ウェル当たり2000細胞の密度にて48ウェルプレートに接種し、250μg/mLのG418で選択した。 トランスフェクションから5日後に、培地をウェルから取り出し、培養基(2.8ng/mLのbFGFおよび20%FCSを含むDMEM高グルコース)中の2μg/mLのトキシンAで置き換えた。 細胞をトキシンAの選択的効果に37Cにて2時間暴露した。 プレート表面から放出されたいずれかの影響された細胞と共に、トキシンA−含有培地を取り出し、残存する細胞を新鮮な培地で洗浄し、トキシンAを含まない培地を交換した。 10日後、細胞を、再度、培地中1.3μg/mLにてトキシンAに37Cで2時間暴露した。 溶液中の培地、トキシンAおよびあらゆる細胞を取り出し、残存する細胞を洗浄し、培地を交換した。

    トランスフェクションから16日後に、680B1と命名された、トキシンA非感受性を呈した単一コロニーを収穫し、DNA分析およびレクチン染色のために一部を送った。 DNA分析は、トキシンA非感受性が第二の標的ベクターの取り込みによるものではないことを示し;しかしながら、細胞はGSL IB−4レクチンで染まらず、これは、遺伝子座の機能的ノックアウトが起こったことを示す。 680B1二重ノックアウト細胞を5匹の受容体への核導入のために用い、3つの妊娠が得られた。 これらの妊娠のうち2つは自然発生的に最初の月に流産し;残りの妊娠からの4匹の胎児を妊娠の39日に収穫し、細胞を解離し、組織培養に接種した。 これらの胎児細胞(680B1−1、680B1−2、680B1−3、680B1−4)を37Cにて1時間1μg/mLのトキシンAに暴露し、続いて、培地を取り出し、細胞を洗浄し、トキシンAを含まない培地交換を行った。 胎児1、2および4はトキシンAによって影響されず、他方、胎児3からの細胞の大部分は丸くなり、これは、この胚がトキシンAの細胞傷害性効果に感受性であることを示す。

    FACS分析によって示されるように(表3)、胎児1、2および4はGS IB4レクチンに結合せず、胎児3はレクチンに結合しなかった。 これは、胎児1、2および4が、この特定のレクチンが胎児1、2および4に対して特異的なエピトープα1,3galを有さないことを示唆する。

    補体固定アッセイを全ての4匹の胎児からの細胞で行った。 補体溶解アッセイは、αgal発現の欠如についての培養アッセイとして開発された。 ヒト血清は、αgalに対する高レベルの予め形成された抗体、ならびに補体調節蛋白質の全部(C3経路)を含む。 細胞の表面でのαgalの存在は、抗−αgal抗体の結合に際して、補体カスケードを活性化し、その結果、補体−媒介細胞溶解をもたらす。 α−gal陰性細胞は、補体媒介溶解に対して耐性であろう。 3つの別々のテストにおいて、B1および対照ブタ細胞をヒト血清+補体に暴露し、アッセイを行って、α−galで開始された補体−媒介細胞溶解に対する感受性または耐性を評価した。 アッセイはB1−1、B1−2、およびB1−4細胞、ならびにヘテロ接合性CT KO細胞(B1−3細胞、gal陽性)にて、および対照としての野生型α−gal(+)PCFF4−6ブタ細胞で行った。 細胞を3つの処理のうちの1つに暴露し;2つの陰性対照、ウシ血清アルブミン(BSA)および熱−不活化ヒト血清(HIA−HS)はいずれの機能的補体蛋白質も含有せず、かくして、いずれの有意な細胞溶解も引き起こすとは予測されず;第三の処理、非−熱−不活化ヒト血清(NHS)は、機能的ヒト補体ならびに抗−gal特異的抗体を含有し、かくして、それらの細胞表面にガラクトースα1,3ガラクトースを有する細胞を溶解すると予測される。

    図1に示す結果は、B1−1、B−2およびB1−4細胞がヒト補体−媒介溶解に対して耐性であり、他方、α1,3Gal陽性であるB1−3細胞が、野生型PCFF4−6細胞と同程度にヒト血漿に対して依然として感受性であることを明瞭に示す。

    全ての胎児からのcDNAの配列決定結果は、胎児1、2および4が、機能不全酵素を生じるであろう変化である第二のα1,3GT対立遺伝子において変突然変異を含むことを示す(図2参照)。 この突然変異は,aa142におけるチロシンからアスパラギン酸へのアミノ酸置換をもたらす、チミンからグアニン残基への変換として、α−1,3−GT(GGTA1)遺伝子(GenBank Accessin No.L36152)の、コーディング領域のbp424、特に、エクソン9の第二の塩基対で起こった。

    これは有意な変換である。 というのは、チロシンとして、疎水性アミノ酸はα1,3GTのUDP結合部位の臨界的成分であるためである(図3参照)。 ウシα−1,3−GT蛋白質の結晶構造の分析は、このチロシンが酵素の触媒ドメインの中心にあり、UDP−Gal結合に関与することを示した(Gastinelら,EMBO Journal 20(4):638−649,2001)。 したがって、チロシン(疎水性アミノ酸)からアスパラギン酸(親水性アミノ酸)への変化は、(観察されたように)αGT機能の破壊を引き起こすと予測される。

    突然変異したcDNAは機能的αGT蛋白質を生じさせないことを確認するために、全ての4つの細胞の第二の対立遺伝子からのcDNAを発現ベクターにクローニングし、このGT発現ベクターをヒト繊維芽細胞(HeLa細胞)ならびに一次アカゲザル細胞にトランスフェクトした。 ヒトおよび旧世界サルは機能的α1,3GT遺伝子を欠くため、HeLa細胞は、(レクチン結合実験によってアッセイされたように)それらの細胞表面にα1,3ガラクトースを有しないであろう。 結果は、HeLaおよびサル細胞が、B1−1、B1−2およびB1−4細胞から得られたcDNAでトランスフェクトされた場合に、IB4−レクチン染色によって依然としてα1,3Gal陰性であり、他方、B1−3からのcDNAでトランスフェクトされたHeLaおよびアカゲザルは機能的α1,3GT転写体を作り出し、引き続いて、α、3Gal陽性となったことを示した。 明らかに、(チロシンの代わりに)アスパルテート突然変異を持つ細胞は、機能的α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼを作成できない。

    実施例4 核ドナーとしてのホモ接合性α1,3GT−欠損胎児繊維芽細胞を用いるクローン化されたブタの創製 核導入のための細胞の調製 ドナー細胞を遺伝子的に操作して、一般的に前記したように、α1,3GT欠損につきホモ接合性である細胞を生じさせた。 核導入は、当該分野で周知の方法によって行われた(例えば、Daiら,Nature Biotechnology 20:251−255,2002;およびPolejaevaら,Nature 407:86−90,2000参照)。

    (Polejaeva,I.A.ら(Nature 407,86−90(2000)に記載されているように)ウシ血清アルブミン(BSA;4gl −1 )を含有する予め温めたダルベッコのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を用いる卵管の逆フラッシュによって、hCG注入から46〜54時間後に卵母細胞を収集した。イン・ビトロ−突然変異卵母細胞の脱核(BioMed,Madison,WI)は、Polejaeva,I.A.ら(Nature 407,86−90(2000))に記載されているように、成熟後40時間と42時間との間に開始した。回収された卵母細胞を、38℃にて、4gl −1 BSAを含有するPBS中で洗浄し、実験室への輸送のために、38℃にて、無カルシウムリン酸−緩衝化NCSU−23倍地に移した。脱核のために、本発明者らは、5μg
    mL −1サイトカラシンB(Sigma)および7.5μg mL −1 Hoechst 33342(Sigma)を含有する無カルシウムリン酸−緩衝化NCSU−23倍地中で本発明者らは、卵母細胞を38℃にて20分間インキュベートした。 次いで、第一の極体の直接真下からの少量の細胞質を、18μMガラスピペット(Humagen,Charlottesville,Virginia)を用いて吸引した。 本発明者らは、吸引されたカリオプラストを紫外光に暴露して、中期プレートの存在を確認した。

    核導入のために、単一繊維芽細胞を、各脱核した卵母細胞と接触した透明帯下に置いた。 融合および活性化は、各々、ECM2001 Electrocell Manipulator(BTX Inc.,San Diego,CA)を用い、5秒間の5VのACパルス、続いての、60マイクロ秒の間の1.5kV/cmの2つのDCパルスの適用によって融合した。 融合した胚を、5%CO の湿潤雰囲気中で、NCSU−23培地中で38.6℃にて1〜4時間培養し、次いで、発情期−同調受容体若い雌ブタの卵管に移した。 交配させた若い雌ブタ(大きな白色/Duroc/landrace)(280〜400ポンド)を、その試料に混合した18〜20mgのRegu−Mate(Altrenogest,Hoechst,Warren,NJ)の経口投与によって受容体として同調させた。 Regu−Mateに14連続日の間餌を与えた。 ヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG,1,000ユニット;Intervet America,Millsboro,DE)を、最後のRegu−Mate処理から105時間後に筋肉内に投与した。 胚導入はhCG注入から22〜26時間後に行った。

    次いで、トキシンAを用いて、前記にて詳細に記載したように生産された核ドナーとしてのブタ繊維芽細胞を選択した。

    胚導入および得られた生きた誕生 核導入によって生きたα−1,3−GT dKOブタを生産するための最初の試みにおいて、合計16の胚導入を遺伝子的に操作されたドナー細胞で行った。 9つの最初の妊娠が確立されたが、2つのみが妊娠の75日を超えた。 5匹の子ブタが2002年7月25日に生まれた。 1匹の子ブタは誕生後直ちに死亡し、他の4匹は生きたまま生まれ、正常に見えた(図4)。

    実施例5 ホモ接合性α1,3GTノックアウトブタの分析 尾繊維芽細胞および臍組織セクションを、全てで5匹の二重ノックアウト子ブタから入手し、前記したように、GS−IB4レクチンを用いて染色した。 染色が観察されず、これは、これらの動物からの組織の表面でのガラクトースα1,3ガラクトースエピトープの完全な欠如を示す(データは示さず)。 死亡した子ブタ(761−1)から単離下大動脈内皮細胞および筋肉および尾繊維芽細胞はGS−IB4レクチン染色で陽性であった。 子ブタ761−1からの筋肉線維芽細胞のFACS分析は、GS−IB4結合についても陰性結果を示した。 子ブタ761−1から得られた肝臓、腎臓、脾臓、皮膚、腸、筋肉、脳、心臓、膵臓、肺、大動脈、舌、臍および尾の組織セクションは、全てGS−IB4染色で陰性であり、これは、検出可能な細胞表面α1,3Galエピトープの完全な欠如を示す(図S3を含むPhelpsら,Science 299:411−414,2003)。

    本発明者らは、α1,3GT−ノックアウトマウスでのイン・ビボ免疫原性テストを行った。 本発明者らは、子ブタ761−1の膵臓から単離した島−様細胞クラスター(ICC)をα1,3GTノックアウトマウスへ腹腔内注射した。 本発明者らは、対象として新生野生型子ブタからのICCを用いた。 図5に示すように、野生型子ブタICCを注射したマウスで観察された有意なIgM力価増加とは対照的に、α1,3GT DKO子ブタからのICCでの注射後に、α1,3Galに対する免疫グロブリンM(IgM)の力価の増加はα1,3GTノックアウトマウスで観察されなかった(図S4を含めたPhelpsら,Science 299:411−414,2003)。 この結果は、DKO子ブタ細胞がいずれのα1,3Galエピトープも作成しないことを明瞭に示す。

    全ての5匹の子ブタから得られたDNAの配列決定は、これらの動物をクローン化するのに用いた680B1−2細胞で観察されたように、bp424のGGTA1遺伝子における突然変異の存在を確認した(図2)。

    α−GT dKOブタの同腹子のこの最初の成功した生産以来、核ドナー細胞としてのdKO胎児線維芽細胞を用い、dKO子ブタの2匹の引き続いての同腹子が1つの場合に(同腹子662)核導入によって生産された。 同腹子660は、核ドナーとしての同腹子761のメンバーからの尾線維芽細胞を用いて核導入によって生産された。 これらの誕生を表4にまとめる。

    実施例6 二重ノックアウト(DKO)ブタのミニ集団を確立するための、ヘテロ接合性α1,3GT単一ノックアウト(SKO)雄および雌ブタの交配 サザーンブロットによりクローン化されたGT−SKO雌および雄クローン化ブタが創製されたことが確認された。 雄および雌へテロ接合体(単一遺伝子α1,3GTノックアウトブタ)は、天然交配によって、および人工授精(AI)によって交配させて、前臨床試験およびヒト臨床試験で用いるDKOブタの集団を創製した。

    実施例7:二重ノックアウト動物からの皮膚組織の脱細胞化 処理すべき生物学的組織をまず手に入れ、または前記したように、機能的α1,3GTが、例えば、ブタにおいて不活化された動物ドナーから収穫する。 デルマトーム、または当業者に知られた他のデバイスを用い、皮膚組織をドナー動物から切り出す。 該組織を、浸透圧、低酸素、自動溶解および蛋白質分解の分解を阻止し、妨げ、細菌汚染に対して保護し、起こり得る機械的損傷を低下させる安定化輸送溶液に入れる。 安定化溶液は、一般に、本明細書中に記載するように、または当業者に知られているように、適切な緩衝液、1つまたは複数の抗酸化剤、1つまたは複数の腫膨剤抗生物質、1つまたは複数のプロテアーゼ阻害剤を含有する。

    次いで、組織を処理溶液中でインキュベートして、基底膜複合体またはコラーゲンマトリックスの構造的一体性を損傷することなく、構造マトリックスから(上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞および線維芽細胞を含めた)生きた抗原性細胞を取り出す。 処理溶液は、一般には、本明細書中に記載されるように、または当業者に知られたように、適切な緩衝液、塩、抗生物質、1つまたは複数の界面活性剤、1つまたは複数のプロテアーゼ阻害剤、および/または1つまたは複数の酵素を含有する。 この処理溶液での組織の処理は、基底膜複合体の分解が回避され、コラーゲン繊維およびエラスチンを含めたマトリックスの構造的一体性が維持されて、脱細胞化組織を得るような時間の間、一定濃度で行う。

    組織を脱細胞化した後、これを低温保存溶液中でインキュベートする。 この溶液は、一般には、凍結の間に起こるであろう構造マトリックスに対する氷結晶損傷を最小化するための1つまたは複数の低温保護剤、および乾燥の間の構造的損傷変化を最小化するための1つまたは複数の乾燥−保護化合物を含有し、凍結の間に膨張または収縮を受けない有機溶媒および水の組合せを含むことができる。 この低温保存溶液中でのインキュベーションに続き、組織を滅菌容器内側にパッケージする。 さらなるまたは別の方法として、脱細胞化された組織マトリックスを、グルタルアルデヒドのような架橋剤で固定し、移植に先立って保存する。

    実施例8:二重ノックアウトマウスからの異種移植片のための靭帯収穫 処理すべき生物学的組織をまず手に入れ、あるいは本明細書中に記載されたように機能的α1,3GTが不活化された動物ドナーから収穫する。 適切な外科的技術を用い、靭帯組織をドナー動物から切り出す。 最初の工程において、無傷靭帯を非−ヒト動物の膝から取り出す。 靭帯の源として働く関節を新たに殺した動物から収集し、適切な滅菌等張または他の組織維持溶液に直ちに入れる。 関節の収穫は動物の屠殺後できる限り早く行い、冷所において、すなわち、約5℃〜約20℃の近似的範囲において行って、靭帯組織の酵素分解を最小化する。 靭帯は単独で収穫するか、靭帯は一旦または双方の端部に付着した骨のブロックと共に収穫する。 直径がほぼ9〜10mmで長さが20〜40mmの円筒プラグを表す骨のブロックを靭帯に対して左に付着させる。 靭帯を注意深く同定し、接着組織から切開して遊離させる。 次いで、異種移植片を約10容量の滅菌冷水中で洗浄して、残存する血液蛋白質および水溶性物質を除去する。 次いで、異種移植片を室温にて約5分間アルコールに浸漬させて、組織を滅菌し、非−コラーゲン性材料を除去する。

    アルコール浸漬後に、異種移植片を膝に移植する。 別法として、異種移植片は以下の処理:放射線処理、アルコールまたはオゾン処理での処理、凍結および解凍の1つまたは複数のサイクル、および/または化学的架橋剤での処理の少なくとも1つに付される。 凍結/解凍サイクル処理において、異種移植片は室温(約25℃)での約10分間の等張生理食塩水浴中の浸漬によって解凍する。 外部熱または放射線源を用いずに、繊維分解を最小化する。

    加えて、あるいは別法として、異種移植片のグリコシダーゼでのイン・ビトロの消化に先立って、異種移植片を細胞破壊処理に付して、靭帯の細胞を殺す。 表面炭水化物部位を有核細胞および細胞外成分から除去した後、有核細胞、すなわち、生きた細胞は表面炭水化物部位を再度発現する。

    加えて、あるいは別法として、靭帯細胞を殺す前または後のいずれかに、異種移植片をグリコシダーゼでの異種移植片のイン・ビトロ消化に付し、抗原性表面炭水化物部位を酵素的に除去する。 他の酵素を用いて、あらゆる残存する非−αgal炭水化物部位を除去することができる。

    移植に先立って、本発明の靭帯異種移植片を、フィシンまたはトリプシンのような蛋白間質分解酵素による限定的消化で処理して、組織柔軟性を増大させ、あるいは抗石灰化剤、抗血栓性コーティング、抗生物質、成長因子、または当該分野で知られた他の薬物でコーティングして、異種移植片の受容体膝関節への取り込みを高める。 加えて、あるいは別法として、例えば、さらなるグルタルアルデヒドまたはホルムアルデヒド処理、エチレンオキサイド滅菌、プロピレンオキサイド滅菌等での公知の方法を用い、靭帯異種移植片をさらに滅菌する。 使用で要求されるまで、異種移植片を凍結貯蔵する。

    靭帯異種移植片、またはそのセグメントを、公知の関節鏡外科技術を用いて当業者によって損傷したヒト膝関節に移植される。 関節鏡技術を行うための具体的な機器は当業者に知られており、これは靭帯インプラントの正確かつ再現性ある設置を保証する。 最初に、膝関節の完全な診断的関節鏡観察を公知の方法を用いて達成する。 修復不可能に損傷した靭帯は外科的剃刀で除去する。 靭帯のための解剖学的挿入部位を同定し、ドリルで穴を開けて、骨プラグを収容する。 骨プラグのサイズは幅が約9〜10mmであり、深さが約9〜10mmであり、長さが20〜40mmである。 異種移植片靭帯をドリル穴を通して運び、干渉スクリューで固定する。 ルーチン的密閉を行う。

    実施例9:ホモ接合性α1,3galノックアウトブタからの小腸粘膜下(SIS)に由来する組織移植片 組織移植片材料は、α1,3GTのいずれの機能的発現も欠くブタのような動物に由来し、粘膜下組織を含み、十二指腸および回腸の間に伸びる小腸の一部である空腸のような小腸のセグメントから基底粘膜組織を離層させる。

    α1,3gal欠損ブタの小腸から得られたSIS移植片は、まず、中線側腹切開切除に続いて自原的近位空腸のセグメントを切除することによって調製する。 次いで、空腸の切除セグメントを、生理食塩水に浸漬させてあった外科的スポンジに包む。 腸吻合の完了に際して、切り出された腸セグメントは、腸組織を削って、漿膜および筋層の双方を含めた外層、および粘膜の少なくとも管腔部分を含めた内層を除去する。 温和な研磨の条件下で、粘膜を緻密層および固有層の間で離層させる。 より詳しくは、例えば、Adson−BrownピンセットおよびMetzenbaumハサミを用い、腸セグメントからのいずれもの間葉組織の除去に続いて、漿膜および筋層(外側組織層)を、メスハンドルおよび湿らせたガーゼでの縦方向に拭う運動を用いる研磨によって腸セグメントから離層させる。 腸セグメントの外翻に続いて、粘膜の管腔部分を、同一の拭う運動を用いて下部組織から離層させる。 注意深く、粘膜下の穿孔を妨げる。 また、移植片表面に残存する離層した層からの任意の組織「タグ」も除去する。 所望により、腸セグメントをまず外翻させ、次いで、管腔層をストリップし、次いで、漿膜および筋層の除去のためにその元の向きに再度挿入する。 移植片材料は、典型的には、付着された筋層および緻密層と共に粘膜下層よりなる、厚みがほぼ0.1mmの組織の白色がかった半透明チューブである。 血管移植片調製のために、調製された移植片を、緻密層が移植片の管腔表面として働くように、その元の向きに外翻させる。

    調製された腸移植片材料を、典型的には、生理食塩水で濯ぎ、10%ネオマイシン硫酸溶液中にほぼ20分間入れ、その時点の後、移植片材料は用いる準備ができている。 組織移植片適用で通常使用されるルーチン的外科手法を用いて移植片を適用する。 非−血管組織移植片適用で用いるために、チューブ状移植片材料を縦方向に切断し、巻いて、組織の「パッチ」を形成させる。 腸セグメントを縦方向に切断し、腸セグメントを「広げ」て、プレ−移植片パッチを形成することによって調製した腸組織の「パッチ」にて、前記した全組織離層手法を行うことができる。 調製された移植片組織パッチは、例えば、皮膚移植片材料として、硬膜修復のために、または本発明の移植片組成物の物理的および機能的特徴を有する組織移植片パッチの外科的適用に役に立つ他の身体組織欠陥の修復のために利用することができる。 Gal KO SISパッチ材料用の他の適用は、回旋腱板修復、ヘルニア、腹部壁修復、失禁を修復するためのスリング、火傷、皮膚置換、胸再構築を含めた美容整形、顔欠陥、唇再構築、瞼スペーサー移植片、窪んだ瘢痕修復、粘膜移植片、鼻唇襞、口腔表面再形成、耳下腺摘出、中隔穿孔修復、鼻形成術、一時的創傷包帯、創傷被覆、鼓室形成術、口腔前庭形成術、および他の軟組織欠陥を含む。

    血管移植片で用いるためには、移植片の直径は受容体血管の直径とほぼ同一である。 これは、受容体血管の直径とほぼ同一の直径を有する円筒を基底するように組織移植片を操作し、組織移植片を縦方向に縫合またはそうでなければ固定して、該血管移植片を形成することによって達成される。 かくして、例えば、血管移植片は、受容体血管の外径と同等な外径を有する滅菌ガラスロッドを選択し、次いで、該ガラスロッドを移植片管腔に導入することによって調製される。 次いで、余分な組織を集め、(例えば、2つの連続縫合線または単純な中断された縫合線を用い)移植片の長さに沿って縫合することによって、または他の当該分野で認められた組織固定技術を用いることによって、所望の管腔直径が達成される(また、米国特許第4,956,178号も参照されたし)。

    本明細書中に記載された発明が、本明細書中に具体的に開示されていないいずれかのエレメントまたは複数エレメント限定または複数限定の不存在下で実施することができる。 使用されてきた用語および表現は記載の用語として用いられ、限定のものではなく、そのような用語および表現の使用において、示され記載された特徴またはその部分のいずれかの同等体を排除する意図ではなく、種々の修飾が特許請求される発明の範囲内で可能であると認識される。 かくして、本発明をここに具体的に開示してきたが、本明細書中に開示された概念の任意の特徴、修飾および変形は当業者にとって助けとなり、そのような修飾および変形は添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内にあると考えられると理解すべきである。 加えて、本発明の特徴または実施形態はマーカッシュ群で記載された場合、当業者であれば、該発明は、それにより、マーカッシュ群のメンバーのいずれかの個々のメンバーまたはメンバーの亜群でも記載されることを認識するであろう。