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版洗浄装置、印刷装置、版洗浄方法および印刷方法

申请号 JP2017057448 申请日 2017-03-23 公开(公告)号 JP2018158524A 公开(公告)日 2018-10-11
申请人 株式会社SCREENホールディングス; 发明人 長谷川 愛子;
摘要 【課題】版の目詰まりを防止するための版の洗浄を効果的に、かつ低コストで実施することのできる技術を提供する。 【解決手段】版を保持する版保持部と、版の版面Paに対向配置され版面Paを洗浄する洗浄ノズル55とを備え、洗浄ノズル55は、吐出口551および吸引口552が設けられて版面Paに近接対向する対向面550を有し、版面Paに沿って版面Paに対し相対移動しながら、振動を付与した 流体 を吐出口551から版面Paに供給し、版面Paに供給された流体を吸引口552から吸引する版洗浄装置である。 【選択図】図5
权利要求

版を保持する版保持部と、 前記版の版面に対向配置され前記版面を洗浄する洗浄ノズルと を備え、 前記洗浄ノズルは、吐出口および吸引口が設けられて前記版面に近接対向する対向面を有し、前記版面に沿って前記版面に対し相対移動しながら、振動を付与した流体を前記吐出口から前記版面に供給し、前記版面に供給された前記流体を前記吸引口から吸引する版洗浄装置。前記吐出口に前記流体を供給する流体供給部と、前記吸引口から吸引される前記流体を排出する排出部とを備える請求項1に記載の版洗浄装置。前記洗浄ノズルは、前記吐出口に連通する前記流体の流路に設けられて前記流体に付与される振動を発生する振動発生部を有する請求項1または2に記載の版洗浄装置。前記振動発生部が超音波振動子を有する請求項3に記載の版洗浄装置。前記振動発生部が、前記流路に突設された棒状または板状の振動子を有し、前記流路を流通する前記流体が前記振動子を振動させる請求項3に記載の版洗浄装置。前記流体が気体である請求項1ないし5のいずれかに記載の版洗浄装置。前記気体に溶剤のミストを添加するミスト添加部を備える請求項6に記載の版洗浄装置。前記対向面では、前記吸引口を挟んで1対の前記吐出口が設けられる請求項1ないし7のいずれかに記載の版洗浄装置。前記対向面では、前記吐出口を挟んで1対の前記吸引口が設けられる請求項1ないし7のいずれかに記載の版洗浄装置。請求項1ないし9のいずれかに記載の版洗浄装置と、 前記版保持部に保持された前記版の前記版面に印刷材料を充填する充填部と、 前記版面に当接して前記版面に充填された前記印刷材料を受理する受理部材と を備える印刷装置。前記版保持部が前記版を前記版面に平行な方向に移動させ、 前記版面の移動経路に沿って前記受理部材と前記洗浄ノズルとが配置された請求項10に記載の印刷装置。前記版面の移動経路に沿って、前記充填部、前記受理部材および前記洗浄ノズルがこの順番で配置された請求項11に記載の印刷装置。洗浄対象である版の版面に洗浄ノズルを近接対向配置し、 前記洗浄ノズルの前記版面に対向する対向面に設けられた吐出口から、振動が付与された流体を前記版面に供給し、 前記対向面に設けられた吸引口から、前記版面に供給された前記流体を吸引する版洗浄方法。版の版面に印刷材料を充填する工程と、 前記版面に受理部材を当接させて、前記版面の前記印刷材料を前記受理部材に受理させる工程と、 請求項13に記載の版洗浄方法により前記版面を洗浄する工程と を備える印刷方法。

说明书全文

この発明は、印刷に用いられる版を洗浄する技術に関するものである。

例えば電子デバイスの製造を目的として、導電性インクなどの印刷材料で形成されたパターンを版から被転写体(ガラス、樹脂フィルム等の転写媒体、あるいは転写媒体に最終転写されるパターンを一時的に担持する中間転写体)に転写して印刷する印刷技術が知られている。この技術においては、パターニングされた印刷材料を被転写体に転写した後の版に残留する印刷材料が乾燥し版面に固着してしまうことがある。特に印刷材料が高粘度のペースト状のものである場合、印刷材料が短時間で乾燥することにより版の目詰まりを起こすことがある。この問題に対応するものとして、次のような技術が提案されている。

例えば特許文献1には、凹版から被転写体にインクが転写された後、凹版に新たなインク充填を行う技術が記載されている。これにより、版面に残った少量のインクが乾燥することが防止される。また、特許文献2に記載の技術では、転写後の凹版にインクの溶剤を供給することにより、残留するインクの乾燥が防止される。一方、特許文献3に記載の技術では、版胴の外周に装着された凹版が転写後に洗浄槽に浸漬されることで、版面に残留したインクが洗浄除去される。

特開2015−208928号公報

特開2000−141590号公報

特開2015−155177号公報

上記各従来技術には、以下のような解決すべき問題が残されている。すなわち、特許文献1に記載の技術では、版面の乾燥を目的としてインクが使用されるため、インクの消費量が増大し、特にインクが高価な場合には印刷コストの増大につながる。また、特許文献2に記載の技術では、版面に残留する溶剤が新たに充填されるインクと混合されることでインク濃度が変動し、安定した印刷品質が得られないことがあり得る。また、特許文献3に記載の技術では、転写後に版胴を洗浄槽に浸漬させるという工程を有するため、連続印刷に適さない。また、平板状の版に適用することができるものではない。また、特許文献2,3に記載の技術においても、多量の溶剤を消費することによるコスト増大の問題が残る。そのため、これらの問題を解消することのできる技術の確立が望まれている。

この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、版の目詰まりを防止するための版の洗浄を効果的に、かつ低コストで実施することのできる技術を提供することを目的とする。

この発明の一の態様は、上記目的を達成するため、版を保持する版保持部と、前記版の版面に対向配置され前記版面を洗浄する洗浄ノズルとを備え、前記洗浄ノズルは、吐出口および吸引口が設けられて前記版面に近接対向する対向面を有し、前記版面に沿って前記版面に対し相対移動しながら、振動を付与した流体を前記吐出口から前記版面に供給し、前記版面に供給された前記流体を前記吸引口から吸引する版洗浄装置である。

また、この発明の一の態様は、上記目的を達成するため、洗浄対象である版の版面に洗浄ノズルを近接対向配置し、前記洗浄ノズルの前記版面に対向する対向面に設けられた吐出口から、振動が付与された流体を前記版面に供給し、前記対向面に設けられた吸引口から、前記版面に供給された前記流体を吸引する版洗浄方法である。

このように構成された発明では、版面に近接対向する洗浄ノズルの対向面に設けられた吐出口から吐出される流体に振動が付与されており、このような流体が版面に供給されることで版面の付着物が遊離する。そして、遊離した付着物を流体とともに吸引口から吸引することにより、版面が洗浄される。流体は付着物に物理的な衝撃を与えて版面から遊離させる目的で用いられるものであり、特殊な流体(例えば印刷材料や溶剤)が用いられる必要はない。また遊離した付着物は流体とともに吸引されるので、周囲に飛散したり版面に再付着したりするという問題も回避される。そのため、本発明は、版面の洗浄を低コストで効果的に実行することが可能であり、これにより版面の目詰まりを未然に防止することができる。

また、この発明の他の態様は、上記した版洗浄装置と、前記版保持部に保持された前記版の前記版面に印刷材料を充填する充填部と、前記版面に当接して前記版面に充填された前記印刷材料を受理する受理部材とを備える印刷装置である。また、この発明のさらに他の態様は、版の版面に印刷材料を充填する工程と、前記版面に受理部材を当接させて、前記版面の前記印刷材料を前記受理部材に受理させる工程と、上記した版洗浄方法により前記版面を洗浄する工程とを備える印刷方法である。

このように構成された発明では、版面に充填された印刷材料は受理部材により受理される。このとき、印刷材料の全てが受理部材に移行することが理想的であるが、一部が版面に残留することがあり得る。本発明では版を洗浄することでこのような版面に残留した印刷材料を除去することができるので、版面に印刷材料が固着することによる版面の目詰まりを効果的に防止することが可能である。そのため、良好な印刷品質で安定して印刷を行うことが可能となる。

以上のように、本発明によれば、洗浄ノズルにより、振動を付与した流体を版面に供給し、かつ流体を吸引することで、版面から遊離させた付着物を回収除去することができるので、版面の洗浄を低コストで効果的に行うことが可能である。

本発明にかかる印刷装置の一実施形態の構成を示す斜視図である。

インク充填ユニットを異なる方向から見た第1の斜視図である。

インク充填ユニットを異なる方向から見た第2の斜視図である。

凹版へのインク充填動作を示す図である。

版洗浄ユニットの構造を示す図である。

図1の印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。

印刷動作における処理の流れを示すフローチャートである。

転写ローラが版面に当接してからの各部の動作を示す図である。

転写工程における各部の動作を示す図である。

洗浄ノズルの変形例を示す図である。

図1は本発明にかかる印刷装置の一実施形態の構成を示す斜視図である。この印刷装置1は、例えば半導体基板、ガラス基板等の平板状のワークの表面に凹版印刷の原理によりパターンを形成する装置である。より具体的には、印刷装置1は、平板状の基材の表面にパターンに対応する凹部が形成された凹版にパターン形成材料を含むインクを充填し、転写ローラを介して該インクをワークに転写することにより、パターン形成材料によるパターンをワーク表面に形成する。

印刷装置1は、主たる構成として、基台2と、版ステージユニット10と、版アライメントユニット20と、インク充填ユニット30と、ローラユニット40と、版洗浄ユニット50と、ワークアライメントユニット60と、ワークステージユニット70と、版ステージユニット10およびワークステージユニット70を移動させる搬送ユニット80と、制御ユニット90とを備えている。

この印刷装置1では、制御ユニット90が予めインストールされたプログラムに従って印刷装置1の各部を制御することで、平板状の凹版Pに設けられる凹部に本発明の「印刷材料」の一つであるインクを充填する充填工程と、ローラユニット40に凹版Pのインクを受理させる受理工程と、受理されたインクを平板状のワークWに転写する転写工程とを行う。これによって、凹版Pの凹部により規定されるパターンがインクによりワークWに印刷される。

凹版Pは平板状の基材にパターン形状に応じた凹部が設けられたものであり、凹部に充填されたインクがワークWに転写されてパターンを形成する。この意味において、凹版Pの表面のうち凹部がインクを担持すべき「画線部」として機能する一方、凹部を取り囲む平坦な部位がインクを担持しない「非画線部」として機能する。以下では、凹版Pの両主面のうち、画線部としての凹部が形成されている側の主面を「版面」と称し符号Paで表すこととする。版面Paのうち中央部分に、形成すべきパターン形状に応じて凹部が配置され、これを取り囲む版面Paの周縁部分には、凹部が配置されない余白領域が設けられている。

この明細書の図1および後で説明する各図では、装置各部の配置関係を明確にするために、図1に示すようにXYZ直交座標系を設定する。具体的には、XY平面を平面とし、水平方向のうち印刷装置1の長手方向を「Y方向」とする。搬送ステージ83、84の搬送方向Yのうち版ステージユニット10に向かう方向を「Y1」と称し、ワークステージユニット70に向かう方向を「Y2」と称する。また、水平方向Yと直交する水平方向を「X方向」と称する。また、水平方向Xのうち装置正面に向かう方向を「X1」と称するとともに装置背面に向かう方向を「X2」と称する。さらに、鉛直方向を「Z方向」と称する。

基台2は図1に示すように水平方向Yに延設されている。基台2の上面には、一対の直動ガイド81,81、これらの直動ガイド81の間に配設されたリニアモータなどの直動駆動部82および図示しないリニアスケールがY方向に延設されている。また、直動ガイド81および直動駆動部82には、2つの搬送ステージ83,84が設けられており、直動駆動部82の駆動を受けてY方向に直線移動する。これら2つの搬送ステージのうち一方側の搬送ステージ83上に版ステージユニット10が搭載され、他方側の搬送ステージ84上にワークステージユニット70が搭載されている。これによって、版ステージユニット10およびワークステージユニット70が互いに独立して水平方向Yに往復移動可能となっている。

版ステージユニット10は、搬送ステージ83の上面に配置される支持台11と、支持台11の上面に取り付けられ、その上面で凹版Pを保持する版ステージ12とを有している。制御ユニット90からの動作指令に応じて直動駆動部82が搬送ステージ83をY方向に移動させることで、版ステージ12に保持される凹版PをY方向に搬送することが可能となっている。

一方、ワークステージユニット70は、搬送ステージ84の上面に配置される位置調整機構71と、位置調整機構71の上面に取り付けられ、その上面でワークWを保持するワークステージ72と、2つの基準マスク(較正部材)731、732で構成される較正部73とを有している。位置調整機構71は、ワークステージ72を搬送ステージ84に対してX方向およびR1方向(鉛直軸回りの回転方向)に駆動する機能を有している。制御ユニット90からの動作指令に応じて直動駆動部82が搬送ステージ84をY方向に移動させ、また制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構71がワークステージ72をX方向に移動およびR1方向に回転させることで、ワークステージ72に保持されるワークWをX方向、Y方向およびR1方向に位置決めすることが可能となっている。

基台2の上面のY方向における略中央部には、ローラユニット40が配置されている。このローラユニット40では、当該中央部のX方向の両端部に昇降テーブル42が昇降機構41を介して鉛直方向Zに昇降可能に設けられている。この実施形態では、一対の昇降テーブル42は、版ステージユニット10およびワークステージユニット70の移動する空間(以下「ステージ移動空間」という)よりもX方向外側に設けられている。これによって、版ステージユニット10およびワークステージユニット70との干渉が回避されている。

このように互いに離間して配置された一対の昇降テーブル42を橋渡しするように転写ローラ43が配置されている。この転写ローラ43は、X方向に延びる回転軸回りに回転自在な円筒形状のブランケット胴の外周面にブランケットを装着したものである。制御ユニット90からの動作指令に応じて回転駆動モータ(図5中の符号44)が駆動されると、転写ローラ43が回転軸回りの回転方向R2に回転する。また、昇降機構41の昇降モータ(図5中の符号45)に対し、制御ユニット90から昇降指令が与えられると、それに応じて昇降モータ45が作動して転写ローラ43が昇降テーブル42とともに一体的に昇降する。これによって、鉛直方向Zにおける転写ローラ43の位置が高精度に調整される。

上記ローラユニット40のY1方向側およびY2方向側にそれぞれ隣接して、インク充填ユニット30および版洗浄ユニット50が配置されている。インク充填ユニット30は凹版Pの凹部にインクを充填する機能を有するものである。また、版洗浄ユニット50は、インクが転写ローラ43に受理された後の凹版Pを洗浄して残留インクを除去する機能を有している。

図2および図3はインク充填ユニットを異なる方向から見た斜視図である。より具体的には、図2はインク充填ユニット30のY2方向側側部の構造を示す図であり、図3はインク充填ユニット30のY1方向側側部の構造を示す図である。図2に示すように、インク充填ユニット30は、X方向に位置を異ならせて基台2に取り付けられた1対の支持脚31と、X方向に延びて両支持脚31の上端部を接続する梁部材32とを備えている。

支持脚31,31の互いに向き合う内面側には、例えば直動ガイド、リニアモータ、ボールねじ機構等適宜の駆動機構により構成され鉛直方向を可動方向とする昇降機構33が設けられている。図2ではX2方向側の支持脚31のX1方向側内面に設けられた昇降機構33のみが示されている。図では隠れているものの、X1方向側の支持脚31のX2方向側内面にも、同様の構成を有する昇降機構33が設けられている。昇降機構33は、支持脚31に固定されたガイドレール331と、ガイドレール331に対し昇降自在に係合されたスライダー332とを有している。昇降機構33が制御ユニット90からの制御指令に応じて作動することにより、スライダー332がガイドレール331に沿って昇降する。

このように1対の支持脚31,31にそれぞれ設けられた昇降機構33,33のスライダー332に、ドクターブレード34が取り付けられている。ドクターブレード34は、X方向を長手方向とする板状の支持部材341と、支持部材341の下端に取り付けられた先端部材342とを有している。先端部材342は例えばステンレス薄板により形成された帯状の部材であり、後述するように、凹版Pの版面Paに当接して余分なインクを掻き取る。支持部材341は先端部材342をその下端部を下向きに突出させた状態で支持するとともに、薄板状の先端部材342をバックアップしてその姿勢を平坦に維持する。

支持部材341の両端部をそれぞれ支持するスライダー332,332が同期して昇降することにより、ドクターブレード34は先端部材342の下端を水平姿勢に維持しつつ昇降する。すなわち、この実施形態では、制御ユニット90が昇降機構33,33を制御することにより、先端部材342の下端位置を自在に変更することが可能となっている。この機能により、先端部材342が凹版Pに当接する際の押圧を調整することが可能である。

一方、インク充填ユニット30のY1方向側の側部には、図3に示すように、インク供給部36が設けられている。インク供給部36は凹版Pの版面Paにパターン形成材料を含むインクを供給する機能を有する。なお、図を見やすくするために、図2においてはインク供給部36の記載を省略し、図3においては昇降機構33およびドクターブレード34の記載を省略している。

インク供給部36は、1対の支持脚31,31の間を接続するようにX方向に延設されたフレーム313に取り付けられている。より具体的には、フレーム313にはX方向に延びるガイドレール361が取り付けられている。ガイドレール361にはX方向に移動自在にスライダー362が取り付けられ、スライダー362にディスペンサー363が取り付けられている。スライダー362は、制御ユニット90により制御される直動ガイド、リニアモータ、ボールねじ機構等の適宜の直線駆動機構により、ガイドレール361に沿ってX方向に移動可能である。

ディスペンサー363は内部にパターン形成材料を含む「印刷材料」としてのインクを貯留し、制御ユニット90からの制御指令に応じて、下端に設けられた吐出口から所定量のインクを吐出する。なお、このようにディスペンサー363の内部にインクを貯留する構成に代えて、図示しない配管を介してディスペンサーに接続された外部の供給手段からインクが供給される構成であってもよい。

図4は凹版へのインク充填動作を示す図である。この実施形態の「充填工程」では、以下のようにして凹版Pの版面Paにインクが充填される。まず、凹版Pを保持する版ステージ12がインク充填ユニット30の下方へ移動し、図4(a)に示すように、凹版PのY2方向側端部の上方にディスペンサー363が位置するように凹版Pを位置決めする。この状態でディスペンサー363がインクを吐出しながらX方向に移動することで、凹版Pの版面PaのうちY2方向側周縁部の余白領域に、X方向に沿って延びるインク溜まりDiが形成される。

次に、図4(b)に示すように、版ステージ12がY2方向に移動するとともにドクターブレード34が下降して先端部材342が版面Paに当接し、この状態で版ステージ12がさらにY2方向に移動することで、インクが版面Paから掻き取られる。図4(c)に示すように、版面Paに設けられた凹部(画線部)Pbにはインクがドクターブレード34によって擦り付けられることになり、これにより凹部Pbへのインク充填が実現される。一方、凹部以外の非画線部についてはドクターブレード34によりインクが掻き取られる。

図5は版洗浄ユニットの構造を示す図である。より具体的には、図5(a)は版洗浄ユニット50のY1方向側側部の構造を示す図であり、図5(b)は版洗浄ユニット50に設けられた洗浄ノズル55の内部構造を示す断面図である。図5(a)に示すように、版洗浄ユニット50は、X方向に位置を異ならせて基台2に取り付けられた1対の支持脚51と、X方向に延びて両支持脚51の上端部を接続する梁部材52とを備えている。

支持脚51,51の互いに向き合う内面側には、例えば直動ガイド、リニアモータ、ボールねじ機構等適宜の駆動機構により構成され鉛直方向を可動方向とする昇降機構53が設けられている。図5(a)ではX2方向側の支持脚51のX1方向側内面に設けられた昇降機構53のみが示されている。図では隠れているものの、X1方向側の支持脚51のX2方向側内面にも、同様の構成を有する昇降機構53が設けられている。昇降機構53は、支持脚51に固定されたガイドレール531と、ガイドレール531に対し昇降自在に係合されたスライダー532とを有している。昇降機構53が制御ユニット90からの制御指令に応じて作動することにより、スライダー532がガイドレール531に沿って昇降する。

このように1対の支持脚51,51にそれぞれ設けられた昇降機構53,53のスライダー532に、洗浄ノズル55が取り付けられている。したがって、洗浄ノズル55は昇降機構53の作動によってZ方向に昇降可能となっている。洗浄ノズル55はX方向を長手方向として細長く延びる棒状のブロック部材である。このように、洗浄ノズル55はその長手方向両端部をスライダー532により支持された状態となっている。

図5(b)に示すように、洗浄ノズル55の下面550は、搬送ユニット80によりY方向に搬送される凹版Pの版面Paに近接対向する対向面となっており、該対向面550に、吐出口551と吸引口552とが開口している。吐出口551および吸引口552は、X方向に沿って細長く延びるスリット状に開口している。また、吐出口551および吸引口552は、Y方向においては壁体の強度を損なわない範囲でできるだけ近接して配置される。

洗浄ノズル55は、版洗浄ユニット50に設けられた洗浄制御部56に接続されている。具体的には、吐出口551は洗浄ノズル55の筐体内に設けられた流路553に連通し、流路553には、洗浄制御部56に設けられた供給ポンプ561が適宜の配管を介して接続されている。供給ポンプ561は、制御ユニット90からの制御指令に応じて、例えば圧縮空気、窒素ガスなどの加圧気体を送出し洗浄ノズル55に供給し、流路553を介して吐出口551から吐出させる機能を有する。

供給ポンプ561から洗浄ノズル55に至る配管にはバルブ562を介してミスト発生部563が接続されている。ミスト発生部563は必要に応じて、インクの溶剤成分の微細なミストを発生させる。バルブ562は制御ユニット90により開閉制御されており、制御ユニット90からの制御指令に応じてバルブ562が開かれると、配管に流れる加圧気体にミスト発生部563からの溶剤ミストが混合される。

供給ポンプ561から加圧気体が送出されると、加圧気体は配管を介して洗浄ノズル55に供給され吐出口551から吐出される。吐出口551は版面Paとの対向面550に設けられているので、加圧気体は版面Paと対向面550との間のギャップに向けて噴出されることになる。また、この時バルブ562が開かれていれば、吐出口551からは溶剤ミストを含んだ加圧気体が噴出されることになる。

洗浄ノズル55内の流路553に臨んで超音波振動子554が設けられている。制御ユニット90からの制御指令に応じて超音波振動子554が超音波振動を発生すると、流路を流通する加圧気体に超音波振動が付与される。すなわち、吐出口551から噴出される加圧気体は超音波振動が付与されたものとなる。

また、吸引口552は洗浄ノズル55の筐体内に設けられた流路555に連通し、流路555には、洗浄制御部56に設けられた排出ポンプ565が適宜の配管を介して接続されている。排出ポンプ565は、制御ユニット90からの制御指令に応じて流路555内に負圧を供給し、これにより吸引口552から周囲雰囲気が吸引される。吸引口552は版面Paとの対向面550に設けられているので、版面Paと対向面550との間の雰囲気が吸引されることになる。

このように構成された洗浄ノズル55は次のような機能を有する。すなわち、対向面550が版面Paに近接対向された状態で、吐出口551から超音波振動が付与された加圧気体(または溶剤ミストを含む加圧気体)が版面Paに吹き付けられる。これにより、版面Paに付着する付着物(例えば凹部に残留付着するインク)に衝撃が加えられ、付着物が版面Paから遊離する。単なる気流の吹き付けではなく、超音波振動が付与された気流を版面Paに吹き付けることにより、版面Paから付着物を遊離させる作用を高めることができる。

一方、吸引口552が対向面550と版面Paとの間の雰囲気を吸引することで、吐出口551から噴出された気体は吸引口552に吸引される。版面Paから遊離した付着物は雰囲気とともに吸引口552に吸引され、版面Paから除去される。特に、吐出口551から吐出される気体の流量よりも吸引口552から吸引される気体の流量の方が大きくなるようにしておけば、吐出口551から噴出された気体はほぼ全て吸引口552に吸引される。これにより、版面Paから遊離した付着物が飛散することが防止される。対向面550において吐出口551と吸引口552とをできるだけ近くに配置することで、吐出口551から吹き出される気体を確実に吸引口552で捕捉し外部への漏れを抑えることができる。図5(b)に示すように、ノズル筐体内から吐出口551に至る流路553を吸引口552側に傾かせ、気体が吸引口552の方向に向けて吐出されるようにすればより効果的である。

このようにして洗浄ノズル55と対向する版面Paが洗浄され、洗浄ノズル55と版面Paとが版面Paと平行な方向に相対移動することにより、版面Paにおいて洗浄を受ける位置が順次移動してゆく。この実施形態では、搬送ユニット80が版ステージ12をY方向に移動させることで上記の相対移動が実現される。こうして版面Paの広い範囲について洗浄が実行されることになる。

図1に戻って印刷装置1の構成説明を続ける。インク充填ユニット30のY1方向側には、版アライメントユニット20が配置されている。この版アライメントユニット20においては、4本の柱部材21が基台2に設けられ、それらの頂部同士を連結するように梁部材22が設けられている。そして、梁部材22に対して2つのアライメントカメラ、すなわち第1版アライメントカメラ24および第2版アライメントカメラ25がそれぞれ位置調整機構26、27を介して取り付けられている。

位置調整機構26は第1版アライメントカメラ24を梁部材22に対してX方向およびZ方向に駆動する機能を有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構26が第1版アライメントカメラ24をX方向およびZ方向に移動させることで、版ステージ12に保持されている凹版Pの一部を高精度に撮像可能となっている。

また、もう一方の位置調整機構27は第2版アライメントカメラ25を第1版アライメントカメラ24のX2方向側で梁部材22に対してX方向およびZ方向に駆動する機能を有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構27が第2版アライメントカメラ25をX方向およびZ方向に移動させることで、第1版アライメントカメラ24で撮像した領域と異なる凹版Pの表面領域を高精度に撮像可能となっている。なお、このようにして撮像される2つの画像は制御ユニット90に転送されてメモリ(図6中の符号92)に保存される。

また、版洗浄ユニット50のY2方向側には、ワークアライメントユニット60が配置されている。このワークアライメントユニット60では、支持部61、62がワークステージユニット70のステージ移動空間からX2方向側に離れて基台2の上面でそれぞれY方向に移動自在に配置されている。一方の支持部61の梁部材63に対してアライメントカメラ(第1ワークアライメントカメラ)64がX方向およびZ方向に移動自在に取り付けられている。また、他方の支持部62の梁部材66に対してアライメントカメラ(第2ワークアライメントカメラ)67がX方向およびZ方向に移動自在に取り付けられている。

本実施形態では、第1ワークアライメントカメラ64をX方向、Y方向およびZ方向に移動させるために、位置調整機構65が設けられている。この位置調整機構65は、第1ワークアライメントカメラ64を支持する支持部61を基台2に対してY方向に駆動することで第1ワークアライメントカメラ64をY方向に位置決めする駆動部と、支持部61の梁部材63に対して第1ワークアライメントカメラ64をX方向およびZ方向に駆動して位置決めする駆動部とを有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構65がアライメントカメラ64をX方向、Y方向およびZ方向に移動させることで、ワークステージ72に保持されているワークWの一部を高精度に撮像可能となっている。

また、第2ワークアライメントカメラ67をX方向、Y方向およびZ方向に移動させるために、位置調整機構68が設けられている。この位置調整機構68は、第2ワークアライメントカメラ67を支持する支持部62を基台2に対してY方向に駆動することで第2ワークアライメントカメラ67をY方向に位置決めする駆動部と、支持部62の梁部材66に対して第2ワークアライメントカメラ67をX方向およびZ方向に駆動して位置決めする駆動部とを有している。このため、制御ユニット90からの動作指令に応じて位置調整機構68がアライメントカメラ67をX方向、Y方向およびZ方向に移動させることで、先に説明した第1ワークアライメントカメラ64と同様にして、第1ワークアライメントカメラ64により撮像された部位と異なるワークWの部位を高精度に撮像可能となっている。なお、このようにして撮像される2つの画像についても制御ユニット90に転送されてメモリ(図6中の符号92)に保存される。

このように、本実施形態では、版ステージ12に載置された凹版Pを第1および第2版アライメントカメラ24,25が撮像する。より具体的には、これらのカメラ24,25は凹版Pの端面あるいは凹版Pに予め設けられたアライメントマークを撮像する。こうして撮像された画像から、CPU(図6中の符号91)は、版ステージ12における凹版Pの位置を特定する。また、ワークステージ72に載置されたワークWを第1および第2ワークアライメントカメラ64,67が撮像する。より具体的には、これらのカメラ64,67はワークWの端面あるいはワークWに予め設けられたアライメントマークを撮像する。これにより、ワークステージ72におけるワークWの位置が特定される。

そして、CPU91は、凹版PとワークWとの位置関係が予め定められた関係からどれだけずれているかを算出し、それに応じて位置調整機構71がワークステージ72をX方向およびR1方向に移動させることで、凹版PとワークWとの位置ずれが補正される。これにより、後述する印刷動作において凹版Pから転写ローラ43を介してワークWにインクが転写される際のワークW上での転写位置を適正なものとすることができる。

図6は図1の印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。この印刷装置1の制御ユニット90には、予め定められた処理プログラムを実行して各部の動作を制御するCPU91と、CPU91により実行される処理プログラムや処理中に生成されるデータ等を記憶保存するためのメモリ92と、処理の進行状況や異常の発生などを必要に応じてユーザーに報知するとともにユーザーからの入力を受け付けるための操作表示部93とが設けられている。そして、処理プログラムにしたがってCPU91が装置各部を制御することで印刷動作を行う。

印刷動作では、版ステージ12にセットされた凹版Pに対しインク充填ユニット30からインクが供給されて版面Paの凹部Pbに充填される(充填工程)。そして、版ステージ12が回転する転写ローラ43の下方を移動して凹版Pと転写ローラ43とを当接させることにより、版面Paのインクが転写ローラ43に受理される(受理工程)。転写後の版面Paに対しては版洗浄ユニット50による洗浄が行われ、これにより、転写後に版面Paに残留付着したインクが乾燥し版面Paに固着することが防止される。

版ステージ12は転写ローラ43の下方からY1方向に退避し、代わってワークWが載置されたワークステージ72が転写ローラ43の下方へ移動してくる。ワークWの上面(被転写面)が転写ローラ43の表面に当接することで、転写ローラ43に担持されるインクがワークWに転写される(転写工程)。その結果、ワークWの被転写面には、凹版Pの版面Paに形成されたパターン形状に対応するパターンがインクにより形成されることになる。このようにして、ワークWへの印刷が実現される。

図7は印刷動作における処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、CPU91が予め用意された制御プログラムを実行し、装置各部を制御して所定の動作を実行させることにより実現される。

凹版PおよびワークWが印刷装置1に搬入され版ステージ12およびワークステージ72にそれぞれセットされると(ステップS101)、それらの位置情報を取得しそれに基づき互いの相対位置を調整するためのアライメント処理が行われる(ステップS102)。そして、各部が所定の初期位置に位置決めされて装置は印刷開始状態に移行する(ステップS103)。

こうして印刷動作のための準備が整うと、インク充填ユニット30が版面Paへのインク充填を行う(ステップS104;充填工程)。充填工程の概要は、図4(a)ないし図4(c)を参照して先に説明した通りである。充填工程を実行しつつ、版ステージ12がさらにY2方向に移動し、該移動方向における凹版Pの先頭部、つまりY2方向における凹版Pの端部が転写ローラ43の直下位置に到達するタイミングで転写ローラ43が下降し、その下端部が版面Paに当接する(ステップS105)。

図8は転写ローラが版面に当接してからの各部の動作を示す図である。図8(a)に示すように、版面Paに当接した転写ローラ43は凹版PのY2方向への移動に同期して矢印R2方向に回転する。図8(b)に示すように、版面Paのうちインクが充填された凹部Pbが転写ローラ43との当接位置に到達すると、凹部Pbに担持されたインクが転写ローラ43表面のゴム製ブランケット431に移行する。凹版Pの移動および転写ローラ43の回転に伴い、各凹部Pbに充填されたインクが順次転写ローラ43に移行してゆく。こうして凹版P上のインクによるパターンが転写ローラ43に受理される(ステップS106;受理工程)。

凹部Pbに担持されるインクは全て転写ローラ43へ移行することが望ましいが、現実的には移行の効率は100%より小さく、図8(b)に符号Irを付して示すように、一部のインクが凹部内に残留してしまうことがある。そこで、版洗浄ユニット55を版面Paに対向配置し、インクが転写ローラ43に受理された後の凹部Pbに残留するインクIrを除去し版面Paを洗浄する(ステップS107)。

すなわち、洗浄ノズル55の吐出口551から版面Paに向けて超音波振動を付与された気体を噴出させて吸引口552に吸引させることで、凹部Pbの残留インクIrを遊離させ回収除去する。単に気体を吹き付けるだけではインクを乾燥させてしまい、必ずしも除去効果は高くならないが、超音波振動を付与した気流を吹き付けることで、版面Paおよび残留インクIrを振動させて残留インクIrの遊離を促進することができる。このとき必要に応じて気体に溶剤ミストを混合することで、洗浄効果をさらに高めることが可能となる。

洗浄ノズル55との対向位置において凹部Pbの残留インクIrが除去される。図8(c)に示すように、凹版PがY2方向に搬送されることで版面Paのうち洗浄ノズル55と対向する位置が順次移動し、こうして版面Pa全体が洗浄される。

このように、この実施形態では、凹版Pの搬送方向、より具体的には版面Paの移動方向であるY2方向に沿って、インク充填ユニット30、転写ローラ43および洗浄ユニット50がこの順番に配置される。また、これらは互いに近接配置されている。したがって、凹版P上の1つの凹部Pbを定点として見たとき、当該凹部へのインクの充填、転写ローラ43へのインク移行、残留インクの除去が短時間のうちに相次いで実施されることになる。また、版面Pa全体を見たときには、インクの充填、転写ローラ43へのインク移行、残留インクの除去の各プロセスが異なる位置で並行して進行することになる。

例えば導電性ペーストのような高粘度のインクが使用されるとき、溶剤成分の含有率が低いためインクが乾燥しやすい。そのため、版面Paへインクが供給されてから転写ローラ43に受理されるまでの時間、および、インクが転写ローラ43に受理されてから残留インクが除去されるまでの時間はできるだけ短いことが好ましい。特に凹部Pbの内部にはインクが残留しやすく、このようなインクが乾燥固化すると凹部Pbの目詰まりを生じさせてしまう。この実施形態では、これらのプロセスを近接位置で並行して実行することができるので、版の目詰まりを効果的に防止することが可能である。

版の目詰まりをインクの仮充填により防止する従来技術や、版面を溶剤で洗浄する従来技術ではインクや溶剤を大量に消費してしまい処理コストが大きくなるが、本実施形態では本質的にインクや溶剤を必要とせず、必要な場合に洗浄効果をより高めるミスト発生のために最小限の溶剤が使用されるのみである。このため、処理コストの増大を抑えることが可能である。

図7に戻って印刷動作の説明を続ける。上記のようにして版面Paへのインク充填、転写ローラ43による受理、版面Paの洗浄が版面Paの全体について行われることにより、凹版P上で形成されたインクによるパターンは転写ローラ43に担持されることとなる。次に、このパターンを転写ローラ43からワークWに最終転写する「転写工程」が実行される。具体的には以下の通りである。

図9は転写工程における各部の動作を示す図である。図9(a)に示すように、凹版Pに担持されたインクIKが全て転写ローラ43に受理されると、転写ローラ43がいったん上昇する(ステップS108)。そして、版ステージ12がY1方向に移動して凹版Pを転写ローラ43の下方位置から退避させ、代わってワークステージ72が印刷開始位置に移動する(ステップS109)。ワークステージ72の「印刷開始位置」は、図9(b)に示すように、ワークステージ72に保持されるワークWのY2方向側端部が転写ローラ43の直下位置またはこれよりも少しY1方向側に位置するような位置である。

ワークステージ72が印刷開始位置まで搬送される過程において、洗浄ノズル55は、ワークステージ72に載置されたワークWの上面Waに対向配置され、吐出口551からの気体の噴出および吸引口552からの吸引を実行するように構成されてもよい。このとき、バルブ562(図5(b))は閉じられ、溶剤ミストを含まない乾燥気体がワーク上面Waに吹き付けられる。このようにすることで、インクパターンを転写される前のワークWに付着するパーティクルが洗浄ノズル55により除去され、清浄なワークWにインクを転写することが可能になる。

この状態から、転写ローラ43に担持されたインクIKをワークWの上面Waに移行させてパターンを転写する「転写工程」が実行される(ステップS110)。具体的には、図9(c)に示すように、凹版Pから転写ローラ43へインクを移行させる受理工程の際と同様、転写ローラ43が下降してワーク上面Waに当接した状態で矢印方向R2に一定速度で回転し、これと同期してワークステージ72が一定速度でY2方向に移動することにより、転写ローラ43表面に担持されたインクIKがワークWの上面Waに移行する。これにより、インクIKがワークWに転写される。

転写ローラ43に担持されたインクIKが全てワークWに転写されると、転写ローラ43が上昇してワークWから離間し(ステップS111)、装置各部が印刷終了状態に移行する(ステップS112)。引き続き印刷動作が実行される場合には、上記動作が繰り返される。ただし、同一の凹版Pを用いて複数回の印刷動作が実行される場合には、凹版Pについては版ステージ12にセットされたものが引き続き利用される。印刷の都度版面Paが洗浄されるので、各回の印刷動作は版面Paに残留インクがない状態で実行される。したがって、良好な印刷品質で安定して繰り返し印刷を行うことができる。

以上のように、この実施形態においては、転写ローラ43にインクを受理させた後の版面Paに対向するように版洗浄ユニット50の洗浄ノズル55が配置されている。洗浄ノズル55のうち版面Paと対向する対向面550には吐出口551と吸引口552とが近接して配置されている。

吐出口551から版面Paに向けて吐出される気体には振動(例えば超音波振動)が付与される。このため、気体が供給された版面Paに付着する残留インク等の付着物に物理的な衝撃が与えられ、版面Paからの遊離が促進される。そして、版面Paに供給された気体は吸引口552に吸引される。このため、遊離した付着物は気体とともに吸引口552に吸引されて版面Paから除去される。このように、本実施形態によれば、転写ローラ43への受理後に版面Paに残留するインク等の付着物を効果的に除去して版面Paを清浄にすることが可能である。

この実施形態は、版面Paに残留する付着物を吸引除去することで版の目詰まりを防止するものであり、前述の従来技術のようにインクや溶剤の供給によって付着物を乾燥させないことで目詰まりを防止しようとするものではない。また、溶剤に浸漬することで版を洗浄するものでもない。このように、目詰まり防止のために多くのインクや溶剤を使用することがないので、本実施形態では従来技術より低コストで版面の保護を実現することが可能である。

なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態における洗浄ノズルの変形例として、以下のような構造のものが挙げられる。なお、以下では上記実施形態の洗浄ノズル55が有する構成と同一または実質的に同一の構成については同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。

図10は洗浄ノズルの変形例を示す図である。図10(a)に示す第1の変形例の洗浄ノズル55aでは、供給ポンプ561から送出される加圧気体を流通させるための流路553および吐出口551が、気体を排出するための流路555および吸引口552を挟むように2組、吸引口552に対して対称に設けられている。供給ポンプ561からの加圧気体は2つの流路553それぞれに供給される。

このような構成によれば、図10(a)に点線矢印で示すように、対向面550と版面Paとの間のギャップ空間において、吸引口552を挟んで設けられた1対の吐出口551から噴出される気体が吸引口552に向かって流れ込むような気流が形成される。そのため、気体の吹き付けによって版面Paから遊離した残留インク等の付着物がこの気流に取り込まれて確実に吸引口552に向かうことになる。これにより、遊離した付着物が飛散することがより確実に防止される。この場合、2つの吐出口551から吐出される気体の流量の合計よりも、吸引口552から吸引される気体の流量よりも大きくなるようにすることが好ましい。

また、図示を省略するが、第2の変形例として、上記とは逆に1つの吐出口551を挟むように1対の吸引口552が設けられた構成であってもよい。このような構成では、気体の吹き付けにより版面Paから遊離し気流に乗ってY1方向またはY2方向に移動する付着物が、2つの吸引口552に向かって流れ込む気流のいずれかによって確実に捕捉される。このような構成によっても、遊離した付着物の飛散を防止することが可能である。

図10(b)に示す第3の変形例の洗浄ノズル55bでは、吐出口551から吐出される気体に振動を与える手段として、上記した超音波振動子に代えて、流路553に突設された振動部位557が設けられている。振動部位557は、流路553を構成する壁面から該流路を遮るように突出する棒状または板状の部位である。流路553内を流通する加圧気体の流れによって振動部位557が弾性的に振動することで、気体に振動が付与される。その振動数としては、例えば可聴域から超音波域までで適宜に選択することができる。こうして気体に与えられる振動が、版面Paからの付着物の遊離を促進する。このような構成では、超音波振動子などの能動素子を用いることなく、振動が付与された気体を吐出口551から吐出させることが可能になる。

また、図10(c)に示す第4の変形例の洗浄ノズル55cでは、流路553の一部に流通方向を小刻みに変化させるラビリンス部558が設けられている。このような構成では、流路553を流通する気体の流れが複雑になることで発生する渦が気体に振動を付与する。このような構成によっても、振動が付与された気体を吐出口551から吐出させることが可能になる。また、第3の変形例と同様に、ラビリンス部558の壁体が気体の流れにより振動する構成でもよい。

また、上記実施形態では、洗浄ノズル55から版面Paに気体を噴出して付着物を遊離させている。すなわち、本発明の「流体」として気体が使用される。これに代えて、液体を「流体」として適用することも可能である。この場合、液体は版面Paおよび付着物に物理的な衝撃を与える目的で用いられるものであり、付着物を溶解させる作用は必須でない。したがって、インクやその溶剤を使う必要はなく、より低コストの液体を使用することができる。

またこの場合、液体の飛散を防止するとともに付着物の遊離作用を効果的なものとするために、洗浄ノズル55の対向面550と版面Paとの間のギャップが液密状態とされることが好ましい。液体の表面張力を利用して液体をギャップ部分に留まらせることで、周囲への飛散を防止する効果を得ることも可能である。また、液密状態を破壊しない程度の流量で吐出口から液体が吐出されることによる液体の消費量の低減効果も得られる。版面Paから付着物を遊離させる作用は液体に付与された振動によってもたらされるので、強い噴流を版面Paに供給する必要はない。なお振動を効率よく版面Paに伝えるために、流路内の液体とギャップ内の液体とは連続した状態であることが望ましい。

また、上記実施形態は、版ステージ12の移動に伴う版面Paの移動方向(Y2方向)に沿って、その上流側から順にインク充填ユニット30、ローラユニット40および版洗浄ユニット50が配置されている。しかしながら、これらの配置は上記に限定されない。例えば、Y2方向に沿って、インク充填ユニット、版洗浄ユニット、ローラユニットが順に配置された構成であってもよい。この場合、版洗浄ユニットによる版面の洗浄は、凹版に充填されたインクが転写ローラに受理された後、凹版がY1方向に退避する際に実行することが可能である。

また、上記実施形態では、版ステージ12に保持されて移動する凹版Pの版面Paに沿って上記の各ユニットが配置されることで版と各ユニットとの相対移動が実現されているが、固定的に保持された版に対して上記各ユニットが移動することで相対移動が実現される構成であってもよい。

また、上記実施形態における凹版Pは平板状の版であるが、本発明に係る洗浄ノズルは対向位置を通過する版面を順次洗浄する構成となっているので、例えば回転するドラム状の版についても同様にして付着物の除去を行うことが可能である。また、洗浄処理の対象となる版は凹版に限定されず、例えば凸版印刷や平版印刷用の版についても処理対象とすることができる。

以上説明したように、上記実施形態の印刷装置1の主要部は、本発明の「版洗浄装置」としての機能を有している。そして、版ステージ12が本発明の「版保持部」として機能し、供給ポンプ561、排出ポンプ565がそれぞれ本発明の「流体供給部」および「排出部」として機能している。また、超音波振動子554が本発明の「振動発生部」として機能している。また、第3の変形例の洗浄ノズル55bにおいては振動部位557が本発明の「振動子」および「振動発生部」として機能し、第4の変形例の洗浄ノズル55cにおいてはラビリンス部558が本発明の「振動発生部」として機能している。

また、上記実施形態においては、バルブ562およびミスト発生部563が一体として本発明の「ミスト添加部」として機能している。そして、インク充填ユニット30が本発明の「充填部」として、また転写ローラ43が本発明の「受理部材」としてそれぞれ機能している。

以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明に係る版洗浄装置は、吐出口に流体を供給する流体供給部と、吸引口から吸引される流体を排出する排出部とを備える構成であってもよい。このような構成によれば、流体供給部から供給される流体が洗浄ノズルの吐出口から版面に供給されることで版面の付着物の遊離が促進され、流体が排出部により排出されることで遊離した付着物が流体とともに版面から除去される。このようにして版面を効果的に洗浄することが可能である。

また例えば、洗浄ノズルは、吐出口に連通する流体の流路に設けられて流体に付与される振動を発生する振動発生部を有する構成であってもよい。このような構成によれば、版面の付着物を遊離させるのに好適な振動を振動発生部が発生することで、版面からの付着物の遊離を効果的に促進することができる。

具体的には、例えば振動発生部が超音波振動子を有する構成であってもよい。また例えば、振動発生部が流路に突設された棒状または板状の振動子を有し、流路を流通する流体が振動子を振動させることで振動を発生させる構成であってもよい。これらの構成によれば、流路を流れる流体に対し確実に振動を与えることが可能である。

また例えば、本発明における流体は気体であってもよい。このような構成によれば、洗浄された後の版面に流体が残留付着することがなく、また版面に沿って吐出口から吸引口に向かう気流が形成されることで、版面から遊離した付着物を確実に版面から除去することが可能である。

この場合において、気体に溶剤のミストを添加するミスト添加部がさらに備えられてもよい。このような構成によれば、付着物の粘度を低下させて版面からの遊離をさらに促進することができる。付着物を溶解させて除去することを目的とするものではないので、溶剤の使用量は少量で済む。

また例えば、対向面には吸引口を挟んで1対の吐出口が設けられてもよい。このような構成によれば、1対の吐出口からこれに挟まれた吸引口に向かう内向きの流れが形成されるため、外部への流体の漏れ出しを効果的に防止することができる。

また例えば、対向面には吐出口を挟んで1対の吸引口が設けられてもよい。このような構成によれば、吐出口から吐出される流体を確実に吸引口により吸引することが可能となり、流体が外部へ漏れ出すのを効果的に防止することができる。

また、本発明に係る印刷装置は例えば、版保持部が版を版面に平行な方向に移動させ、版面の移動経路に沿って受理部材と洗浄ノズルとが配置された構成であってもよい。このような構成によれば、版面から受理部材への印刷材料の受理と、洗浄ノズルによる版面の洗浄とを一連の版の移動によって実現することが可能であり、印刷材料の受理および版洗浄を含む効率のよい印刷シーケンスを構築することができる。

この場合においては、版面の移動経路に沿って、充填部、受理部材および洗浄ノズルがこの順番で配置されていてもよい。このような構成によれば、版面への印刷材料の充填、受理部材によるインク受理、版面の洗浄を版面の各位置で並行して実施することができる。これにより、印刷シーケンスをさらに効率的なものとすることができる。また、充填部、受理部材および洗浄ノズルが印刷シーケンスに沿った順序で並ぶことで、各部を互いに近接して配置することができる。このため、印刷材料が版面に供給されてから洗浄により除去されるまでの時間が短くなり、印刷材料の乾燥に起因する版面への固着をより効果的に防止することが可能となる。

この発明は、印刷に用いられる版を洗浄する技術全般に適用することが可能であるが、特に版面に設けられた凹部に印刷材料が充填される凹版の洗浄に好適である。また、高粘度の印刷材料が用いられる版の洗浄にも好適である。

1 印刷装置(版洗浄装置、印刷装置) 12 版ステージ(版保持部) 30 インク充填ユニット(充填部) 43 転写ローラ(受理部材) 50 版洗浄ユニット 55,55a,55b、55c 洗浄ノズル 56 洗浄制御部 550 対向面 551 吐出口 552 吸引口 553 流路 554 超音波振動子(振動発生部) 557 振動部位(振動子、振動発生部) 558 ラビリンス部(振動発生部) 561 供給ポンプ(流体供給部) 562 バルブ(ミスト添加部) 563 ミスト発生部(ミスト添加部) 565 排出ポンプ(排出部) P 凹版 Pa 版面 W ワーク