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Printing machine, the light-emitting layer forming method, and an organic light-emitting device

申请号 JP2010012409 申请日 2010-01-22 公开(公告)号 JP5493908B2 公开(公告)日 2014-05-14
申请人 大日本印刷株式会社; 发明人 戸 秀 森; 家 弘 毅 道; 田 利 彦 武; 林 義 弘 小;
摘要
权利要求
  • 基材上にインキを印刷する印刷機において、
    フレームと、
    前記フレーム上に配置され、その上面にセルを有する平板状のインキ版と、
    前記インキ版の上面にインキを供給するインキ供給部と、
    前記インキ版の上面のインキをセル内に充填させるドクターと、
    前記フレーム上を走行可能となるようフレームに設けられ、前記インキ版に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、基材上にインキを転移させる転写ロールと、を備え、
    前記インキ版は、前記転写ロールの走行方向に沿って、各々が前記転写ロールの周長に対応する長さを有する複数の領域に区画され、各領域にはインキ供給部から互いに異なる種類のインキが供給され、
    前記インキ版の一の領域のセルは、他の領域のセルに対して幅方向にずれており、
    前記インキ版の各領域のうち最上流の領域よりも下流側にある領域には、それより上流側の領域のセルと幅方向において重なる部分に凹部が設けられていることを特徴とする印刷機。
  • 基材上にインキを印刷する印刷機において、
    ロール状のインキ版であって、その外周面にセルを有するインキ版と、
    前記インキ版の外周面にインキを供給するインキ供給部と、
    前記インキ版の外周面のインキをセル内に充填させるドクターと、
    前記インキ版に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、基材上にインキを転移させる転写ロールと、を備え、
    前記インキ版は、インキ版の回転方向に沿って、各々が前記転写ロールの周長に対応する長さを有する複数の領域に区画され、各領域にはインキ供給部から互いに異なる種類のインキが供給され、
    前記インキ版の一の領域のセルは、他の領域のセルに対して幅方向にずれており、
    前記インキ版の各領域のうち最上流の領域よりも下流側にある領域には、それより上流側の領域のセルに幅方向において重なる部分に凹部が設けられていることを特徴とする印刷機。
  • 前記インキ版の各領域において、セルの下流側にインキ排出穴が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷機。
  • 前記インキ版の各領域にそれぞれ別個のドクターが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷機。
  • 前記インキ版は、ストライプ状に配置され、インキ供給部からのインキが充填される複数のセルを有し、
    各セルにおける印刷方向の長さbと印刷方向に直交する方向での幅aの比b/aが0.6以上であり、各セルのセル部長Lと非セル部長Sとの比L/Sが0.8〜100の範囲であり、前記セル部長Lが10〜500μmの範囲内であり、前記非セル部長Sが2〜500μmの範囲内であり、各セルの版深が20〜200μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷機。
  • 前記インキ版は、格子状に配置され、インキ供給部からのインキが充填される複数のセルを有し、
    各セルにおける印刷方向の最大長さbと印刷方向に直交する方向での最大幅aの比b/aが0.6以上であり、成膜部位に占める総セル面積が55〜95%の範囲内であり、非セル部長Sが2〜500μmの範囲内であり、各セルの版深が20〜200μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷機。
  • 前記転写ロールは、ブランケット胴と、ブランケット胴の周面に一体的に設けられたブランケットと、を有し、
    前記ブランケットは、表面張力が35dyne/cm以上である樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷機。
  • 前記樹脂フィルムの厚みは、5〜200μmの範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の印刷機。
  • 前記ブランケット胴と前記ブランケットとの間にクッション層が介在されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の印刷機。
  • 前記基材は、前記転写ロールの表面に一体的に設けられており、
    前記インキ版のセル内に充填されたインキが、転写ロールの前記基材上に直接に転移されることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷機。
  • 対向する電極と、当該電極間に配設され少なくとも発光層を有する発光素子層と、を備えた有機発光デバイスの当該発光層を請求項1乃至10のいずれかに記載の印刷機により形成する方法において、
    少なくとも有機発光材料を含有するインキを前記インキ版に供給する工程と、
    当該インキを前記インキ版のセルに充填させる工程と、
    当該インキ版から前記転写ロールに前記インキを受けさせる工程と、を備え、
    前記基材が、前記転写ロールの表面に一体的に設けられている場合、前記インキを受けさせる工程において、前記インキ版のセル内に充填されたインキが転写ロールの前記基材上に直接に転移され、
    前記基材が、前記転写ロールとは別個に設けられている場合、前記発光層の形成方法は、前記転写ロールのインキを基材上に転移させる工程をさらに備える、ことを特徴とする発光層の形成方法。
  • 前記発光層は、幅方向において所定の画素ピッチで並ぶよう形成され、
    前記インキ版の一の領域のセルは、一の領域に隣接する他の領域のセルから幅方向において画素ピッチ分だけ離れていることを特徴とする請求項11に記載の発光層の形成方法。
  • インキを前記インキ版に供給する工程において、一の領域のセルに供給されるインキが、一の領域のセルと、一の領域に隣接する上流側の領域のセルとの間に供給されることを特徴とする請求項11または12に記載の発光層の形成方法。
  • 前記インキは、溶媒と、溶媒中に溶解された固形分からなるとともに、そのせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が5〜200cPの範囲内であり、
    前記溶媒は、その表面張力が40dyne/cm以下であり、かつその沸点が150〜250℃の範囲内であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の発光層の形成方法。
  • 前記インキにおける固形分の含有量が1.5〜4.0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項14に記載の発光層の形成方法。
  • 说明书全文

    本発明は、基材上にインキを印刷する印刷機に係り、とりわけ、異なる種類のインキを同時に基材上に印刷する印刷機に関する。 また本発明は、当該印刷機を用いて有機発光デバイスの発光素子層における発光層を形成する方法に関する。 また本発明は、前記印刷機により発光層が形成された有機発光デバイスに関する。

    基材上に高分子系薄膜精度良く成膜する方法として、高分子系有機物が溶媒に溶解されたインキを、印刷機を用いて基材上に印刷する方法が知られている。 例えば特許文献1において、有機発光デバイスを構成する発光層をグラビアオフセット印刷により形成する方法が提案されている。

    一般に、有機発光デバイスの発光層は赤色発光層と緑色発光層と青色発光層とを含んでいる。 有機発光デバイスにおいて、このように複数色の発光層を設けることにより、任意の色を表現することが可能となっている。 複数色の発光層を印刷により形成する場合、各色に対応する複数種類のインキが基材上に印刷される。

    複数種類のインキを基材上に印刷する方法として、基材を載置する基材定盤を印刷方向と直交する方向(幅方向)にずらしながら一種類ずつインキを順次基材上に印刷する方法が知られている。 この場合、はじめに一の種類のインキが基材上に印刷され、次に、基材定盤が幅方向に所定距離だけずらされる。 その後、その他の種類のインキが基材上に印刷される。 この場合、インキの種類に対応した回数の印刷が実施される。

    また、複数種類のインキをより効率良く基材上に印刷する方法が提案されている。 例えば特許文献1において、はじめに、幅方向に並べられた複数個のストライプ状のセルを有するグラビア版に、赤色インキ、緑色インキおよび青色インキをそれぞれ充填させ、次に、転写ロール上に各色のインキを受理させ、その後、転写ロール上の各色のインキを基材上に転移させる方法が提案されている。 この場合、各色のインキが一度の印刷によって基材上に転移される。

    特開2006−318850号公報

    特開昭60−20426号公報

    特許文献2の印刷方法においては、グラビア版の複数個のストライプ状のセルが幅方向に並べられている。 このため、各色のインキを各セルに充填させる際、異なる種類のインキ同士が混じってしまうことが考えられる。 このような混色が生じた場合、インキから形成される各層の色純度に関する特性が劣化してしまう。

    本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、複数色のインキを、インキの混色を生じさせることなく、効率良く基材上に印刷することができる印刷機を提供することを目的とする。

    本発明は、基材上にインキを印刷する印刷機において、フレームと、前記フレーム上に配置され、その上面にセルを有する平板状のインキ版と、前記インキ版の上面にインキを供給するインキ供給部と、前記インキ版の上面のインキをセル内に充填させるドクターと、前記フレーム上を走行可能となるようフレームに設けられ、前記インキ版に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、基材上にインキを転移させる転写ロールと、を備え、前記インキ版は、前記転写ロールの走行方向に沿って、各々が前記転写ロールの周長に対応する長さを有する複数の領域に区画され、各領域にはインキ供給部から互いに異なる種類のインキが供給され、前記インキ版の一の領域のセルは、他の領域のセルに対して幅方向にずれており、前記インキ版の各領域のうち最上流の領域よりも下流側にある領域には、それより上流側の領域のセルと幅方向において重なる部分に凹部が設けられていることを特徴とする印刷機である。

    本発明は、基材上にインキを印刷する印刷機において、ロール状のインキ版であって、その外周面にセルを有するインキ版と、前記インキ版の外周面にインキを供給するインキ供給部と、前記インキ版の外周面のインキをセル内に充填させるドクターと、前記インキ版に当接して前記セル内のインキを受けるとともに、基材上にインキを転移させる転写ロールと、を備え、前記インキ版は、インキ版の回転方向に沿って、各々が前記転写ロールの周長に対応する長さを有する複数の領域に区画され、各領域にはインキ供給部から互いに異なる種類のインキが供給され、前記インキ版の一の領域のセルは、他の領域のセルに対して幅方向にずれており、前記インキ版の各領域のうち最上流の領域よりも下流側にある領域には、それより上流側の領域のセルに幅方向において重なる部分に凹部が設けられていることを特徴とする印刷機である。

    本発明の印刷機において、前記インキ版の各領域において、セルの下流側にインキ排出穴が設けられていてもよい。

    本発明の印刷機において、前記インキ版の各領域にそれぞれ別個のドクターが設けられていてもよい。

    本発明の印刷機において、前記インキ版は、ストライプ状に配置され、インキ供給部からのインキが充填される複数のセルを有していてもよい。 この場合、好ましくは、各セルにおける印刷方向の長さbと印刷方向に直交する方向での幅aの比b/aが0.6以上であり、各セルのセル部長Lと非セル部長Sとの比L/Sが0.8〜100の範囲であり、前記セル部長Lが10〜500μmの範囲内であり、前記非セル部長Sが2〜500μmの範囲内であり、各セルの版深が20〜200μmの範囲内である。

    本発明の印刷機において、前記インキ版は、格子状に配置され、インキ供給部からのインキが充填される複数のセルを有していてもよい。 この場合、好ましくは、各セルにおける印刷方向の最大長さbと印刷方向に直交する方向での最大幅aの比b/aが0.6以上であり、成膜部位に占める総セル面積が55〜95%の範囲内であり、非セル部長Sが2〜500μmの範囲内であり、各セルの版深が20〜200μmの範囲内である。

    本発明の印刷機において、前記転写ロールは、ブランケット胴と、ブランケット胴の周面に一体的に設けられたブランケットと、を有していてもよい。 この場合、好ましくは、前記ブランケットは、表面張が35dyne/cm以上である樹脂フィルムからなる。

    本発明の印刷機において、前記樹脂フィルムの厚みは、好ましくは、5〜200μmの範囲内である。

    本発明の印刷機において、前記ブランケット胴と前記ブランケットとの間にクッション層が介在されていてもよい。

    本発明の印刷機において、前記転写ロールは、ブランケット胴と、ブランケット胴の周面に設けられた基材と、を有していてもよい。 この場合、前記インキ版のセル内に充填されたインキが、転写ロールの前記基材上に直接に転移される。

    本発明は、対向する電極と、当該電極間に配設され少なくとも発光層を有する発光素子層と、を備えた有機発光デバイスの当該発光層を上記記載の印刷機により形成する方法において、少なくとも有機発光材料を含有するインキを前記インキ版に供給する工程と、当該インキを前記インキ版のセルに充填させる工程と、当該インキ版から前記転写ロールに前記インキを受けさせる工程と、前記転写ロールのインキを基材上に転移させる工程と、を備えたことを特徴とする発光層の形成方法である。

    本発明の発光層形成方法において、前記発光層は、幅方向において所定の画素ピッチで並ぶよう形成されていてもよい。 この場合、前記インキ版の一の領域のセルは、一の領域に隣接する他の領域のセルから幅方向において画素ピッチ分だけ離れている。

    本発明の発光層形成方法において、インキを前記インキ版に供給する工程において、一の領域のセルに供給されるインキが、一の領域のセルと、一の領域に隣接する上流側の領域のセルとの間に供給されてもよい。

    本発明の発光層形成方法において、前記インキは、溶媒と、溶媒中に溶解された固形分からなるとともに、好ましくは、そのせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が5〜200cPの範囲内であり、前記溶媒は、その表面張力が40dyne/cm以下であり、かつその沸点が150〜250℃の範囲内である。

    本発明の発光層形成方法において、好ましくは、前記インキにおける固形分の含有量が1.5〜4.0重量%の範囲内である。

    本発明は、基材と、当該基材上に所望のパターンで形成された第1電極層と、前記基材上に形成され、前記第1電極層の所望の部位を上方に露出させる複数の開口部を有する絶縁層と、前記開口部内の前記第1電極層を被覆するとともに前記開口部の周縁の前記絶縁層に乗り上げるように形成され、少なくとも発光層を有する発光素子層と、所望の前記開口部内に位置する前記発光素子層と接続するように形成された第2電極層と、を備え、前記発光素子層の発光層は、上記記載の発光層形成方法により形成されたものであることを特徴とする有機発光デバイスである。

    本発明の有機発光デバイスにおいて、好ましくは、前記発光素子層を構成する前記発光層のうち、前記開口部内に位置する部位の厚み変動が10%以下である。

    本発明の有機発光デバイスにおいて、前記発光素子層は、少なくとも正孔注入層/発光層/電子注入層がこの順に積層されたものであってもよい。

    本発明の有機発光デバイスは、パッシブマトリックス型であってもよい。

    本発明の有機発光デバイスは、アクティブマトリックス型であってもよい。

    本発明の有機発光デバイスは、最大開口幅が10mm以上の前記開口部を前記絶縁層に備えた有機発光ポスターであってもよい。

    本発明の有機発光デバイスは、カラーフィルタ層を備えていてもよい。

    本発明の有機発光デバイスは、前記カラーフィルタ層と前記透明電極との間に色変換蛍光体層を備えていてもよい。

    本発明の有機発光デバイスにおいて、前記発光素子層は、白色を含む所望の色の発光であるか、あるいは所望の複数の色の発光が所定のパターンで組み合わされたものであってもよい。

    本発明の有機発光デバイスにおいて、前記発光素子層は、青色発光であってもよい。 この場合、前記色変換蛍光体層は、青色光を緑色蛍光に変換して発光する緑色変換層と、青色光を赤色蛍光に変換して発光する赤色変換層とを備えている。

    本発明の有機発光デバイスは、前記正孔注入層用の塗膜を形成した後1分以内に前記発光層用の塗膜を形成し、これら2層を100〜200℃の範囲で同時に一括乾燥して形成した正孔注入層と発光層とを備えていてもよい。

    本発明によれば、基材上にインキを印刷する印刷機は、フレームと、フレーム上に配置され、その上面にセルを有する平板状のインキ版と、インキ版の上面にインキを供給するインキ供給部と、インキ版の上面のインキをセル内に充填させるドクターと、フレーム上を走行可能となるようフレームに設けられ、インキ版に当接してセル内のインキを受けるとともに、基材上にインキを転移させる転写ロールと、を備えている。 またインキ版は、転写ロールの走行方向に沿って、各々が前記転写ロールの周長に対応する長さを有する複数の領域に区画されており、各領域にはインキ供給部から互いに異なる種類のインキが供給される。 また、インキ版の一の領域のセルは、他の領域のセルに対して幅方向にずれている。 このため、複数色のインキを混色させることなく、各インキを転写ロールに受理させることができる。
    また、インキ版の各領域のうち最上流の領域よりも下流側にある領域には、それより上流側の領域のセルと幅方向において重なる部分に凹部が設けられている。 この凹部により、上流側の領域において転写ロールに受けられたインキが、それより下流側の領域に接触するのを防ぐことができる。 このことにより、転写ロールによって受けられた複数の種類のインキを、所望の厚みを保ちながら一度に基材上に転移させることができる。

    また本発明によれば、基材上にインキを印刷する印刷機は、ロール状のインキ版であって、その外周面にセルを有するインキ版と、インキ版の外周面にインキを供給するインキ供給部と、インキ版の外周面のインキをセル内に充填させるドクターと、インキ版に当接してセル内のインキを受けるとともに、基材上にインキを転移させる転写ロールと、を備えている。 またインキ版は、インキ版の回転方向に沿って、各々が前記転写ロールの周長に対応する長さを有する複数の領域に区画されており、各領域にはインキ供給部から互いに異なる種類のインキが供給される。 このため、複数色のインキを混色させることなく、各インキを転写ロールに受理させることができる。
    また、インキ版の一の領域のセルは、他の領域のセルに対して幅方向にずれている。 さらに、インキ版の各領域のうち最上流の領域よりも下流側にある領域には、それより上流側の領域のセルと幅方向において重なる部分に凹部が設けられている。 この凹部により、上流側の領域において転写ロールに受けられたインキが、それより下流側の領域に接触するのを防ぐことができる。 このことにより、転写ロールによって受けられた複数の種類のインキを、所望の厚みを保ちながら一度に基材上に転移させることができる。

    また本発明によれば、少なくとも発光層を有する発光素子層を含む有機発光デバイスを形成する方法は、上記記載の発光層形成方法により発光層を形成する工程を含んでいる。 このため、複数色の発光層を一度の印刷によって形成することができる。 このため、各色の発光層を順次印刷により形成する場合に比べて、短時間で、かつ精度良く複数色の発光層を形成することができる。

    本発明によれば、有機発光デバイスは、基材と、当該基材上に所望のパターンで形成され、第1電極層の所望の部位を上方に露出させる複数の開口部を有する絶縁層と、開口部内の第1電極層を被覆するとともに開口部の周縁の絶縁層に乗り上げるように形成され、少なくとも発光層を有する発光素子層と、所望の開口部内に位置する発光素子層と接続するように形成された第2電極層と、を備えている。 このうち発光層は、上述の発光層形成方法により形成される。 このため、精度良く形成された発光層を備えた有機発光デバイスを提供することができる。

    図1は、本発明の実施の形態における印刷機を示す側面図。

    図2は、本発明の実施の形態におけるインキ版を示す平面図。

    図3(a)(b)(c)は、本発明の実施の形態において、インキ版のセルの印刷方向における幅bと、これに直交する方向における幅aの比b/aを示す平面図。

    図4は、本発明の実施の形態におけるブランケットを示す縦断面図。

    図5は、本発明の実施の形態における有機発光デバイスを示す部分断面斜視図。

    図6(a)〜(e)は、本発明の実施の形態における有機発光デバイスの形成方法を示す図。

    図7(a)(b)は、比較例における印刷機を示す図。

    図8は、本発明における印刷機の他の実施形態を示す図。

    図9は、本発明における印刷機の他の実施形態を示す図。

    図10は、本発明における印刷機の他の実施形態を示す図。

    図11(a)〜(d)は、本発明における有機発光デバイスの形成方法の他の実施形態を示す図。

    図12は、本発明におけるグラビア版の他の実施形態を示す図。

    図13は、本発明におけるグラビア版の他の実施形態を示す図。

    図14は、本発明におけるグラビア版の他の実施形態を示す図。

    図15は、本発明における有機発光デバイスの他の実施形態を示す平面図。

    図16は、図15に示す有機発光デバイスにおいて、発光層と絶縁層の開口部との関係を示す図。

    図17は、本発明における有機発光デバイスの他の実施形態を示す斜視図。

    図18は、図17に示される有機発光デバイスのA−A線での断面図。

    図19は、本発明における有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分断面図。

    図20は、本発明における有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分断面図。

    以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態について説明する。 はじめに図1を参照して、印刷機10全体について説明する。

    〔印刷機〕
    図1に示すように、印刷機10は、フレーム5と、フレーム5上に配置され、その上面に複数のセル2(後述)から構成された絵柄部4を有する平板状のグラビア版1(インキ版)と、フレーム5上に配置され、平板状の基材32を載置する基材定盤6と、フレーム5上を矢印Pで示す印刷方向に沿って走行可能となるようフレーム5に設けられた転写ロール24と、を備えている。 また図1に示すように、転写ロール24の走行方向側(図1の右側)には、グラビア版1の上面にインキ30を供給するインキ供給部7と、インキ供給部7から供給されたインキ30をグラビア版1の絵柄部4のセル2内に充填させるドクター8とが設けられている。 また後述するように、転写ロール24は、ブランケット胴25と、ブランケット胴25の周面に一体的に設けられたブランケット23と、からなっており、この転写ロール24の周長はt となっている。

    このような印刷機10において、転写ロール24がグラビア版1に当接すると、転写ロール24のブランケット23には、グラビア版1の絵柄部4に応じた絵柄でインキ30が受理される。 ブランケット23に受理されたインキ30は、その後、基材32上に転移される。 このように本実施の形態の印刷機10によれば、グラビア版1と転写ロール24との組合せにより、いわゆるグラビアオフセット印刷が行われる。

    〔グラビア版〕
    次に、グラビア版1について詳細に説明する。
    図1に示すように、グラビア版1は、転写ロール24の走行方向(印刷方向P)に沿って複数の領域(第1領域15a、第2領域15b、第3領域15c)に区画にされている。 また、転写ロール24の走行方向における各領域15a,15b,15cの長さは、いずれも転写ロール24の周長t と同一となっている。 ここで、第1領域15aにおける絵柄部が第1絵柄部4aとなっており、第2領域15bにおける絵柄部が第2絵柄部4bとなっており、第3領域15cにおける絵柄部が第3絵柄部4cとなっている。

    図1に示すように、印刷機10において、グラビア版1の各領域15a,15b,15cには、インキ供給部7から互いに異なる種類のインキ30が供給される。 具体的には、図1に示すように、第1領域15aにはインキ供給部7aから赤色インキ30Rが供給され、第2領域15bにはインキ供給部7bから緑色インキ30Gが供給され、第3領域15cにはインキ供給部7cから青色インキ30Bが供給される。 各領域15a,15b,15cに供給されたインキ30R,30G,30Bは、ドクター8により各領域15a,15b,15cの絵柄部4a,4b,4cに充填される。
    このように、1つのグラビア版1上に複数種類のインキ30を供給することにより、後述するように、複数種類のインキ30を同時に基材32上に印刷することができる。

    またグラビア版1において、一の領域の絵柄部は、他の領域の絵柄部に対して幅方向H(印刷方向Pに直交する方向)にずれている。 具体的には、図1に示すように、第1領域15aの第1絵柄部4aは、第1領域15aに隣接する第2領域15bの第2絵柄部4bに対して幅方向にt だけずれている。 図示はしないが、同様に、第2領域15bの第2絵柄部4bは、第2領域15bに隣接する第3領域15cの第3絵柄部4cに対して幅方向にt だけずれている。 このように、一の領域の絵柄部を、他の領域の絵柄部に対して幅方向Hにt だけずらすことにより、インキ30が転写ロール24によって受理される際、異なる種類のインキ同士が転写ロール24上で混じるのを防ぐことができる。
    なお後述するように、印刷機10により有機発光デバイス31の透明基材32上に発光層38を形成する場合、上述の寸法t は、有機発光デバイス31の画素ピッチと等しくなっている。

    またグラビア版1の各領域15a,15b,15cのうち最上流の第1領域15aよりも下流側にある第2領域15bおよび第3領域15cには、それより上流側の領域の各絵柄部と幅方向Hにおいて重なる部分に凹部14が設けられている。
    具体的には、図1に示すように、第2領域15bには、第1領域15aの第1絵柄部4aと幅方向Hにおいて重なる部分に凹部14aが設けられている。 この場合、凹部14aは、転写ロール24が第2領域15bに当接する際、第1絵柄部4aから転写ロール24に受理されているインキ30Rが第2領域15bに付着するのを防ぐことができる程度の寸法で形成されている。
    同様に、図1に示すように、第3領域15cには、第1領域15aの第1絵柄部4aと幅方向Hにおいて重なる部分に凹部14bが設けられており、かつ第2領域15bの第2絵柄部4bと幅方向Hにおいて重なる部分に凹部14cが設けられている。 第3領域15cの各凹部14b,14cは、第2領域15bの凹部14aの場合と同様に、転写ロール24に受理されているインキ30R,30Gが第3領域15cに付着するのを防ぐことができる程度の寸法で形成されている。
    このように、グラビア版1の各領域のうち最上流の領域よりも下流側にある領域に凹部14a,14b,14cを設けることにより、上流側の領域の絵柄部4から転写ロール24に受理されているインキ30が下流側の領域に付着するのを防ぐことができる。 このことにより、転写ロール24に受理された複数色のインキ30を、所望の厚みを保ちながら同時に基材32上に転移させることができる。

    また図1に示すように、グラビア版1の各領域15a,15b,15cには、それぞれ別個のドクター8が設けられている。 具体的には、図1に示すように、赤色インキ30Rが供給される第1領域15aには第1ドクター8aが設けられ、緑色インキ30Gが供給される第2領域15bには第2ドクター8bが設けられ、青色インキ30Bが供給される第3領域15cには第3ドクター8cが設けられている。 このように領域ごとに別個のドクターを設けることにより、ドクターでインキ30を掻いている間に異なる種類のインキ同士が混じるのを防ぐことができる。

    また図1に示すように、グラビア版1の各領域15a,15b,15cにおいて、各絵柄部4a,4b,4cの下流側にはインキ排出穴9が設けられている。 具体的には、第1領域15aの絵柄部4aの下流側には第1インキ排出穴9aが設けられ、第2領域15bの絵柄部4bの下流側には第2インキ排出穴9bが設けられ、第3領域15cの絵柄部4cの下流側には第3インキ排出穴9cが設けられている。 これらのインキ排出穴9a,9b,9cは、グラビア版1の上面よりも下方に窪んだ形状を有しており、このため、各インキ排出穴9a,9b,9cは、グラビア版1上で絵柄部4に充填されずに残ったインキ30を下方に逃がすことができる。 このようなインキ排出穴9a,9b,9cを設けることにより、グラビア版1上で絵柄部4に充填されずに残ったインキ30が転写ロール24に付着するのを防ぐことができる。
    各インキ排出穴9a,9b,9cの形状が特に限定されることはなく、例えば、貫通孔、非貫通穴のいずれであってもよい。
    なお、印刷機10を用いて、後述する有機発光デバイス31の発光層38を透明基材32上に形成する場合、上述のインキ排出穴9が必ずしも設けられていなくともよい。 インキ排出穴9が設けられていない場合、絵柄部4に充填されずに残ったインキ30は、グラビア版1のうち透明基材32の不要部分(有機発光デバイス31を組み立てる際に切り落とされる部分など)に対応する部分に集められる。 このため、絵柄部4に充填されずに残ったインキ30が有機発光デバイス31の透明基材32に印刷された場合であっても、当該インキ30により問題が生じることはない。

    グラビア版の絵柄部の各セル
    次に図2および図3を参照して、グラビア版1の絵柄部4の各セル2について詳細に説明する。 図2は、本発明のグラビア版1の各セル2の一実施形態を説明するための平面図である。 上述のように、グラビア版1の各絵柄部4は、グラビア版1の上面に配置され、インキ供給部7からのインキ30が充填される複数のセル2からなっている。 そして、各セル2(斜線を付した部位)の幅(セル部長L)と、非セル部3の幅(非セル部長S)との比L/Sが0.8〜100、好ましくは1〜60の範囲内となっている。 また、セル2の幅(セル部長L)が10〜500μm、好ましくは30〜300μmの範囲内となっており、非セル部3の幅(非セル部長S)が2〜500μm、好ましくは5〜200μmの範囲内となっており、セル2の深さ(版深)が20〜200μm、好ましくは30〜100μmの範囲内となっている。
    なお、グラビア版1の各絵柄部4が複数のセル2からなる例を示したが、これに限られることはなく、各絵柄部4の寸法に応じて、各絵柄部4を単一のセル2から形成することもできる。

    また、本発明のグラビア版1は、図3(a)に示すように、各セル2(斜線を付した部位)における印刷方向(図の矢印Pが示す方向)の幅bと印刷方向に直交する方向での幅aの比b/aが0.6以上であり上限には特に制限はない。 尚、本発明において印刷方向とは、転写ロール24の回転方向と同義である。
    また図2および図3(a)において、ストライプ状の形状を有する各セル2が印刷方向Pと平行に延びている例を示したが、これに限られることはない。 例えば図3(b)(c)に示すように、各セル2が延びている方向と印刷方向Pとが平行となっていなくてもよい。 この場合も、図3(b)(c)に示すように、各セル2(斜線を付した部位)における印刷方向(図の矢印Pが示す方向)の幅bと印刷方向に直交する方向での幅aの比b/aが0.6以上となっている。

    なお、グラビア版1におけるセル部長Lと非セル部長Sとの比L/Sが0.8未満であると、厚膜形成が困難となり、100を超えると、グラビア版1のセル形成が困難となり、また膜厚のバラツキが大きくなり好ましくない。 また、セル2の幅(セル部長L)が10μm未満であると、厚膜形成が困難であり、500μmを超えると、膜厚のバラツキが大きくなり好ましくない。 また、非セル部3の幅(非セル部長S)が2μm未満であると、グラビア版1のセル形成が困難であり、500μmを超えると、膜厚のバラツキが大きく、また厚膜形成が困難となり好ましくない。

    また、セル2の深さ(版深)が20μm未満であると、厚膜形成が困難となり、200μmを超えるような版深としても、形成する塗膜の厚みは増加しない。 さらに、比b/aが0.6未満であると、厚膜形成が困難となり、後述する発光層の形成において70nm以上の厚みの発光層の形成が困難となり好ましくない。

    〔転写ロール〕
    次に図4を参照して、転写ロール24について詳細に説明する。
    図4に示すように、転写ロール24は、矢印Rで示す方向に回転するブランケット胴25と、ブランケット胴25の周面に設けられたブランケット23とを有している。 ブランケット23は、グラビア版1の絵柄部4からインキ30を受理するとともに基材32上に当該インキ30を転移させるものであり、このブランケット23は弾性材料からなっている。

    ブランケット23は、好ましくは、表面張力が35dyne/cm以上である樹脂フィルム23aからなっている。 また図4に示すように、ブランケット23を構成する樹脂フィルム23aは、転写ロール24のブランケット胴25の周面に一体的に設けられている。 また図4に示すように、ブランケット23の外面は、ブランケット23全域にわたって平坦になっている。 この外面27bが、グラビア版1の絵柄部4からのインキ30を受理するインキ受理面となっており、外面27bには、グラビア版1の絵柄部4のパターンに応じた絵柄でインキ30が受理される。 なお前述の転写ロール24の周長t は、ブランケット23の外面23bにおける周長となっている。

    ブランケット23を構成する樹脂フィルム23aの表面張力が35dyne/cm未満であると、グラビア版1からのインキ受理性が低下する。 このため、基材32に均一な厚みでインキ30を転移させることが困難となる。 なお、樹脂フィルム23aの表面張力(固体の表面張力[γs])は、例えば、自動接触計(協和界面科学(株)製 DropMaster 700型)を用いることにより算出される。 この場合、はじめに、2種以上の表面張力が判っている液体(標準物質)を使用して、自動接触角計にて接触角θを測定し、次に、γs(固体の表面張力)=γL(液体の表面張力)cosθ+γSL(固体の液体の表面張力)の式に基づいて樹脂フィルム23aの表面張力が算出される。

    使用する樹脂フィルム23aとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、易接着タイプのポリエチレンテレフタレートフィルム、コロナ処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、コロナ処理を施したポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、易接着タイプのポリエチレンナフタレートフィルム、ポリノルボルネンフィルム、メラミン焼付けポリエチレンテレフタレートフィルム等の樹脂フィルムを挙げることができる。 樹脂フィルム23aの厚みは、例えば、5〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲とすることができる。 樹脂フィルム23aの厚みが5μm未満であると、フィルム加工性、ブランケット胴25への装着性が低下して好ましくない。 また、樹脂フィルム23aの厚みが200μmを超えると、硬度が高くなりすぎ、柔軟性が低下して好ましくない。

    なお、ブランケット胴25と樹脂フィルム23aとの間にクッション層(図示せず)が介在されていてもよい。 この場合、クッション層の硬度は、例えば、 20〜80°の範囲とすることができ、クッション層の厚みは、例えば、0.1〜30mmの範囲とすることができる。 尚、上記の硬度は、JIS(K6253)デュロメータ硬さ試験によるTypeA硬度である。

    〔インキ〕
    次に、本実施の形態における印刷機10で用いられるインキ30について詳細に説明する。 インキ30は、溶媒と、溶媒中に溶解された固形分からなっている。 インキ30としては、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が5〜200cPの範囲内となっているインキ30が用いられる。
    なお、インキ30のせん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が5cP未満であると、インキダレが生じたり、所望の厚みの層の形成が困難となる。 一方、200cPを超えると、グラビア版1のセル目による凹凸が大きくなり、均一な厚みの層の形成が困難となる。 尚、上記の粘度測定は、Physica社製の粘弾性測定装置MCR301型により、測定温度23℃で定常流測定モードにより行うものとする。 また、インキ30において、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)V1と、せん断速度1000/秒における粘度(インキ温度23℃)V2との比(V1/V2)が0.9〜1.5程度となっていることが好ましい。 比(V1/V2)を上記の範囲内とすることにより、インキ30がニュートン流動を示すようになる。

    また、印刷機10で用いられるインキ30において、使用している溶媒の表面張力が40dyne/cm以下であり、かつ、沸点が150〜250℃の範囲内であることが好ましい。
    なお、インキ30に使用している溶媒の表面張力が40dyne/cmを超えると、グラビア版1から転写ロール24へのインキ30の受理性が低下することが考えられ、好ましくない。 さらに、インキ30の溶媒の沸点が150℃未満であると、転写ロール24から基材32に転移されたインキ30が直ちに乾燥し、これによって、インキ30により形成される層にスジが発生しやすくなることが考えられる。 また、インキ30の溶媒の沸点が250℃を超えると、インキ30の乾燥が困難となり、乾燥ゾーンでの乾燥による基材32等への影響が生じること、溶剤の残留を生じることなどが考えられ、好ましくない。 尚、溶媒の表面張力の測定は、協和界面科学(株)製の表面張力計CBVP−Z型により、液温20℃で行うものとする。

    (インキの固形分)
    インキ30に用いる溶媒および固形分は、印刷機10によって基材32上に形成する層に応じて適宜選択される。 例えば、後述するように印刷機10によって有機発光デバイス31の発光素子層36の発光層38R,38G,38Bを形成する場合、発光層38R,38G,38B用のインキ30R,30G,30Bの固形分として、下記のような色素系、金属錯体系、高分子系のものを挙げることができる。
    (1)色素系発光材料 シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等が挙げられる。

    (2)金属錯体系発光材料 アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等、または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体が挙げられる。

    (3)高分子系発光材料 ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。
    発光層用インキ30における上述の固形分の含有量は、好ましくは、1.5〜4.0重量%の範囲で設定される。

    (インキの溶媒)
    また、印刷機10によって有機発光デバイス31の発光素子層36の発光層38を形成する場合、インキ30の溶媒として、表面張力が上記の範囲(40dyne/cm以下)を満足し、かつ、沸点が上記の範囲(150〜250℃)を満足するもの、例えば、クメン、アニソール、n−プロピルベンゼン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、リモネン、p−シメン、o−ジクロロベンゼン、ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、安息香酸メチル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、アミルベンゼン、テトラリン、安息香酸エチル、フェニルヘキサン、シクロヘキシルベンゼン、安息香酸ブチル等を単独で使用することができる。 また、混合溶媒を使用する場合には、混合比に応じた割合で計算した表面張力と沸点が上記の範囲を満足するものを使用する。 例えば、表面張力がAdyne/cm、沸点がB℃の溶媒1と、表面張力がCdyne/cm、沸点がD℃の溶媒2とを3:7の重量比で混合した混合溶媒の場合、混合比に応じた割合で計算した表面張力[(A×3/10)+(C×7/10)]が上記の範囲(40dyne/cm以下)を満足し、かつ、混合比に応じた割合で計算した沸点[(B×3/10)+(D×7/10)]が上記の範囲(150〜250℃)を満足することが必要となる。 したがって、混合溶媒を構成する個々の溶媒は、表面張力と沸点が上記の範囲から外れるものであってもよい。

    〔有機発光デバイス〕
    次に図5を参照して、本実施の形態における印刷機10により形成される発光層38を含む有機発光デバイス31について説明する。 図5は、本発明の有機発光デバイスの一実施形態を示す部分断面斜視図である。 図5において、有機発光デバイス31は、透明基材32と、この透明基材32上に矢印c方向に延設さられた帯状パターンの複数の透明電極層(第1電極層)33と、ストライプ形状の開口部35を有する絶縁層34と、開口部35内の透明電極層33を被覆するように配設された発光素子層36と、この発光素子層36上に透明電極層33と直交するように矢印d方向に延設された帯状パターンの複数の電極層40(第2電極層)とを備えている。
    上記の絶縁層34の開口部35は、矢印c方向に沿ったストライプ形状の開口部であり、各透明電極層33の所望の部位を上方に露出させるよう、各透明電極層33上に位置している。

    発光素子層36は、絶縁層34と各開口部35内の透明電極層33とを被覆するように配設された正孔注入層37と、開口部35内の透明電極層33(正孔注入層37)を被覆するとともに開口部35の周縁の絶縁層34に乗り上げるように各開口部35毎に配設された複数の発光層38と、これらを被覆するように配設された電子注入層39と、からなる。 図示例では、発光層38は、帯状パターンの赤色発光層38R、緑色発光層38G、青色発光層38Bが、この順に画素ピッチt で繰り返し配列されている。 このうち赤色発光層38Rは、後述するように、印刷機10により印刷された赤色インキ30Rから形成されている。 同様に、緑色発光層38Gは、印刷機10により印刷された緑色インキ30Gから形成されており、青色発光層38Bは、印刷機10により印刷された青色インキ30Bから形成されている。 画素ピッチt は、例えば100〜1000μmの範囲内となっている。
    尚、電子注入層39は、絶縁層34を覆うように形成されているが、電極層40の下層となる領域のみに形成されたものであってもよい。

    このような有機発光デバイス31は、帯状パターンの透明電極層33と電極層40とが交差する部位が発光領域となるパッシブマトリックス型であり、発光素子層36の発光層38(赤色発光層38R、緑色発光層38G、青色発光層38B)は、本発明の印刷機10を用いた発光層形成方法(後述)により形成されたものである。 そして、有機発光デバイス31は、開口部35の周縁の絶縁層34に乗り上げるように発光素子層36が形成されているので、発光素子層36を挟持する位置に存在する透明電極層33と電極層40との短絡を生じることがなく信頼性が高いものである。

    次に、有機発光デバイス31の各構成部材について詳細に説明する。

    (透明基材)
    はじめに透明基材32について詳述する。 透明基材32は、ボトムエミッション方式の場合、観察者側の表面に設けられ、発光層38からの光を観察者が容易に視認することができる程度の透明性を有する材料からなる。 尚、発光層38からの光を取り出す方向を反対方向とする場合(トップエミッション方式の場合)には、透明基材32に替えて不透明な基材を使用してもよい。
    透明基材32(これに替わる不透明な基材も含む)としては、ガラス材料、樹脂材料、または、これらの複合材料からなるもの、例えば、ガラス板に保護プラスチックフィルムもしくは保護プラスチック層を設けたもの等が用いられる。

    透明基材32を構成する樹脂材料、保護プラスチック材料としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。 この他の樹脂材料であっても、有機発光デバイス用として使用できる高分子材料であれば、使用可能である。
    透明基材32の厚さは、通常、50μm〜1.1mm程度である。

    このような透明基材32においては、その用途にもよるが、蒸気や酸素等のガスバリアー性の良好なものであれば更に好ましい。 また、透明基材32に、水蒸気や酸素等のガスバリアー層を形成してもよい。 このようなガスバリアー層としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機酸化物をスパッタリング法や真空蒸着法等の物理蒸着法により形成したものを用いることができる。

    (透明電極層)
    次に、透明電極層33について詳述する。 透明電極層33は、図5に示す例では陽極であり、発光層38に正電荷(正孔)を注入するために、正孔注入層37に隣接して配設されている。 尚、透明電極層33は陰極であってもよく、この場合、発光素子層36を構成する正孔注入層37と電子注入層39とが入れ替わって配設される。

    透明電極層33は、通常の有機発光デバイスに使用されるものであれば特に限定されず、金属、合金、これらの混合物等を使用することができ、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化第二錫、または金等の薄膜電極材料を挙げることができる。 中でも、正孔が注入し易いように、仕事関数の大きい(4eV以上)透明、または半透明材料であるITO、IZO、酸化インジウム、金が好ましい。
    透明電極層33は、シート抵抗が数百Ω/□以下が好ましく、材質にもよるが、透明電極層33の厚みは、例えば、0.005〜1μm程度とすることができる。
    この透明電極層33は、周辺の端子部から中央の画素領域まで所望のパターン形状で配設されている。 このようなパターン形状の透明電極層33は、スパッタリング法や真空蒸着法等においてメタルマスクを用いることにより形成され、または、全面に透明電極層用の材料を成膜した後、感光性レジストをマスクとしてエッチングすることにより形成される。

    (絶縁層)
    次に、絶縁層34について詳述する。 絶縁層34は、各透明電極層33上に位置するストライプ形状の開口部35を有している。 この絶縁層34は、例えば、はじめに透明電極層33を覆うように全面に感光性樹脂材料を塗布し、次にパターン露光、現像を行うことにより形成される。 または、熱硬化性樹脂材料を用いて絶縁層34を形成してもよい。
    絶縁層34が形成された部分は非発光部となっている。 絶縁層34の厚みを、絶縁層34を構成する樹脂固有の絶縁抵抗に応じて適宜設定することができるが、例えば、0.05〜5.0μm程度とすることができる。 また、上述の樹脂材料にカーボンブラックや、チタン窒化物、チタン酸化物、チタン酸窒化物等のチタン系黒色顔料の1種、あるいは2種以上の遮光性微粒子を混合することにより、ブラックマトリックスを形成して絶縁層34としてもよい。
    尚、このような絶縁層34の形状は、上述の形状に限定されるものではない。

    (発光素子層)
    次に発光素子層36について詳述する。 発光素子層36は、図5に示す例では、透明電極層33側から正孔注入層37、発光層38、および電子注入層39が積層された構造となっている。 しかしながら、このような構造に限られることはなく、発光層38単独からなる構造、正孔注入層37と発光層38とからなる構造、発光層38と電子注入層39とからなる構造、さらに、正孔注入層37と発光層38との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層38と電子注入層39との間に電子輸送層を介在させた構造等としてもよい。
    また、発光波長を調整し、または発光効率を向上させる等の目的で、上記の各層に適当な材料をドーピングすることもできる。
    以下、発光素子層36の各層について詳細に説明する。

    発光層
    発光素子層36の発光層38は、図5に示す例では、赤色発光層38R、緑色発光層38G、青色発光層38Bからなっている。 しかしながら、このような構造に限られることはなく、有機発光デバイス31の使用目的等に応じて、赤色発光、緑色発光、青色発光以外の他の複数の発光色の所望の組み合わせなどを設けてもよい。
    発光層38R,38G,38Bに用いる有機発光材料としては、上述のインキ30の固形分の説明で挙げた材料を適宜用いることができる。

    正孔注入層
    発光素子層36の正孔注入層37は、上述のように、絶縁層34と各開口部35内の透明電極層33とを被覆するように配設されている。 正孔注入層37を形成する正孔注入材料としては、例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー等の誘電性高分子オリゴマー等、を挙げることができる。

    さらに、正孔注入材料として、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物を挙げることもできる。 上記のポリフィリン化合物としては、ポリフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H、23H−ポリフィン銅(II)、アルミニウムフタロシアニンクロリド、銅オクタメチルフタロシアニン等を挙げることができる。 また、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等を挙げることができる。

    上述の材料から形成される正孔注入層37は、例えば、画像表示領域に相当する開口部を備えたマスク(周辺部の透明電極層33からなる電極端子への成膜を防止するためのマスク)を介して真空蒸着法等により成膜して形成される。 また、スクリーン印刷法等の印刷方法により正孔注入層37を形成することもできる。

    正孔輸送層
    正孔輸送層を形成する材料としては、例えば、オキサジアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、チアゾール系、トリフェニルメタン系、スチリル系、ピラゾリン系、ヒドラゾン系、芳香族アミン系、カルバゾール系、ポリビニルカルバゾール系、スチルベン系、エナミン系、アジン系、トリフェニルアミン系、ブタジエン系、多環芳香族化合物系、スチルベン二量体等の材料が挙げられる。
    また、π共役系高分子として、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリ(P−フェニレン)、ポリ(P−フェニレンスルフィド)、ポリ(P−フェニレンオキシド)、ポリ(1,6−ヘプタジエン)、ポリ(P−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレン)、ポリ(2,5−ピロール)、ポリ(m−フェニレンスルフィド)、ポリ(4,4′−ビフェニレン)等が挙げられる。
    また、電荷移動高分子錯体として、ポリスチレン・AgC104、ポリビニルナフタレン・TCNE、ポリビニルナフタレン・P−CA、ポリビニルナフタレン・DDQ、ポリビニルメシチレン・TCNE、ポリナフタアセチレン・TCNE、ポリビニルアントラセン・Br2、ポリビニルアントラセン・I2、ポリビニルアントラセン・TNB、ポリジメチルアミノスチレン・CA、ポリビニルイミダゾール・CQ、ポリ−P−フェニレン・I2、ポリ−1−ビニルピリジン・I2、ポリ−4−ビニルピリジン・I2、ポリ−P−1−フェニレン・I2、ポリビニルピリジウム・TCNQ等が挙げられ、さらに、電荷移動低分子錯体として、TCNQ−TTF等が、高分子金属錯体としては、ポリ銅フタロシアニン等が挙げられる。
    正孔輸送材料としては、イオン化ポテンシャルの小さい材料が好ましく、特に、ブタジエン系、エナミン系、ヒドラゾン系、トリフェニルアミン系が好ましい。

    電子注入層
    電子注入層39を形成する電子注入材料としては、例えば、カルシウム、バリウム、アルミリチウム、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、上記のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、ジスチリルピラジン誘導体等を挙げることができる。 このような材料から形成される電子注入層39は、例えば、画像表示領域に相当する開口部を備えたマスク(周辺部の透明電極層33からなる電極端子への成膜を防止するためのマスク)を介して真空蒸着法等により成膜して形成される。 また、スクリーン印刷法等の印刷方法により電子注入層39を形成することもできる。

    なお、正孔注入層37と発光層38の形成を、正孔注入層37用の塗膜を形成した後1分以内に発光層38用の塗膜を形成し、これら2層を100〜200℃の範囲で同時に一括乾燥して形成することにより行うこともできる。 この場合、正孔注入層37用の塗膜は、本発明の発光層形成方法と同様の方法により、せん断速度100/秒における粘度(インキ温度23℃)が5〜200cPの範囲であり、用いる溶媒は表面張力が40dyne/cm以下で、かつ、沸点が150〜250℃の範囲である正孔注入層用インキを使用して形成することもできる。

    また、上述の発光素子層36の各層において、その厚みが特に制限されることはなく、例えば、10〜1000nm程度とすることができる。 また、発光素子層36の各層にドーピングされる材料の例として、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポリフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等の材料を挙げることができる。

    (電極層)
    次に電極層40について詳述する。 電極層40は、図5に示す例では陰極であり、発光層38に負電荷(電子)を注入するために、電子注入層39に隣接して配設されている。 尚、電極層40は陽極であってもよく、この場合、発光素子層36を構成する正孔注入層37と電子注入層39とが入れ替わって配設される。
    このような電極層40の材料としては、通常の有機発光デバイスに使用されるものであれば特に限定されず、上述の透明電極層33と同様に、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化第二錫、または金等の薄膜電極材料、さらに、マグネシウム合金(例えば、MgAg等)、アルミニウムまたはその合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、銀等を挙げることができる。 中でも、電子が注入し易いように仕事関数の小さい(4eV以下)マグネシウム合金、アルミニウム、銀等が好ましい。 このような電極層40はシート抵抗が数百Ω/□以下であることが好ましく、このため、電極層40の厚みは、例えば、0.005〜0.5μm程度とすることができる。
    上記の電極層40は、上述の電極材料を用いてマスクを介したスパッタリング法や真空蒸着法等の方法によりパターン形状に成膜して形成することができる。

    次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。 ここでは、発光層38を含む有機発光デバイス31の形成方法について、図1、図5および図6(a)〜(e)を参照して説明する。

    はじめに、図5に示すように、透明基材32上に、所望のパターンを有する透明電極層33を形成する。 透明電極層33を形成する方法が特に限られることはなく、メタルマスクを用いたスパッタリング法や真空蒸着法等によって所望のパターンを有する透明電極層33を形成する方法、または、透明電極層用の材料を透明基材32上の全面にわたって成膜した後、感光性レジストをマスクとしてエッチングすることによって所望のパターンを有する透明電極層33を形成する方法などが適宜選択される。

    次に、図5に示すように、透明基材32上に、透明電極層33の所望の部位を上方に露出させる複数の開口部35を有する絶縁層34を形成する。 この場合、はじめに、透明電極層33を覆うように全面に感光性樹脂材料を塗布し、その後、塗布された感光性樹脂材料に対してパターン露光、現像を行う。 このようにして、複数の開口部35を有する絶縁層34が形成される。

    その後、図5に示すように、開口部35内の透明電極層33上および絶縁層34を被覆するよう、正孔注入層37を形成する。 正孔注入層37を形成する方法が特に限られることはなく、上述のように、画像表示領域に相当する開口部を備えたフォトマスクを介して真空蒸着法等により成膜して形成することができる。

    次に、図5に示すように、正孔注入層37上に赤色発光層38R、緑色発光層38G、および青色発光層38Bを形成する。 発光層38R,38G,38Bは、上述の印刷機10を用いて同時に形成される。

    以下、図6(a)〜(e)を参照して、印刷機10を用いて発光層38R,38G,38Bを同時に形成する方法について詳述する。 はじめに、第1インキ供給部7aにより、グラビア版1の上面に赤色インキ30Rを供給する。 この場合、第1インキ供給部7aからの赤色インキ30Rは、第1領域15aの第1絵柄部4aの上流部分に供給される。 次に、図6(a)に示すように、第1ドクター8aを用いて、赤色インキ30Rを第1絵柄部4aの各セル2に充填させる。 この際、第1絵柄部4aの各セル2に充填されずに残った赤色インキ30Rは、第1ドクター8aにより第1インキ排出穴9aに落とされる。

    次に、グラビア版1の第1領域15aにおいて転写ロール24を走行させる。 これによって、図6(b)に示すように、転写ロール24によって、第1領域15aの第1絵柄部4aの赤色インキ30Rが受理される。 この際、上述のように、第1絵柄部4aの各セル2に充填されずに残った赤色インキ30Rは、第1ドクター8aにより第1インキ排出穴9aに落とされている。 これによって、第1絵柄部4aに充填されている赤色インキ30R以外の赤色インキ30Rが転写ロール24に受理されるのが防がれている。

    また、グラビア版1の第1領域15aにおいて転写ロール24を走行させる間、第2インキ供給部7bにより、グラビア版1の上面に緑色インキ30Gが供給される。 この場合、第2インキ供給部7bからの緑色インキ30Gは、第2領域15bの第2絵柄部4bと、第1領域15aの第1絵柄部4aとの間に供給される。 次に、図6(b)に示すように、第2ドクター8bを用いて、緑色インキ30Gを第2絵柄部4bの各セル2に充填させる。 この際、第2絵柄部4bの各セル2に充填されずに残った緑色インキ30Gは、第2ドクター8bにより第2インキ排出穴9bに落とされる。

    その後、グラビア版1の第2領域15bにおいて転写ロール24を走行させる。 これによって、図6(c)に示すように、転写ロール24によって、第2領域15bの第2絵柄部4bの緑色インキ30Gが受理される。 この際、図6(c)に示すように、第2領域15bの第2絵柄部4bは、第1領域15aの第1絵柄部4aに対して幅方向にずれている。 これによって、第2領域15bの第2絵柄部4bから転写ロール24に受理される緑色インキ30Gが、転写ロール24上の赤色インキ30Rと混じるのを防ぐことができる。

    また図6(c)に示すように、第2領域15bには、第1領域15aの第1絵柄部4aと幅方向において重なる部分に凹部14aが設けられている。 このため、グラビア版1の第2領域15bにおいて転写ロール24を走行させる際、第1領域15aの第1絵柄部4aから転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rが第2領域15bに付着することはない。 このことにより、転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rの厚みが減少するのを防ぐことができる。 加えて、転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rが第2領域15b上の緑色インキ30Gと混じるのを防ぐことができる。

    また、グラビア版1の第2領域15bにおいて転写ロール24を走行させる間、第3インキ供給部7cにより、グラビア版1の上面に青色インキ30Bが供給される。 この場合、第3インキ供給部7cからの青色インキ30Bは、第3領域15cの第3絵柄部4cと、第2領域15bの第2絵柄部4bとの間に供給される。 次に、図6(c)に示すように、第3ドクター8cを用いて、青色インキ30Bを第3絵柄部4cの各セル2に充填させる。 この際、第3絵柄部4cの各セル2に充填されずに残った青色インキ30Bは、第3ドクター8cにより第3インキ排出穴9cに落とされる。

    その後、グラビア版1の第3領域15cにおいて転写ロール24を走行させる。 これによって、図6(d)に示すように、転写ロール24によって、第3領域15cの第3絵柄部4cの青色インキ30Bが受理される。 この際、図6(d)に示すように、第3領域15cの第3絵柄部4cは、第1領域15aの第1絵柄部4aおよび第2領域15bの第2絵柄部4bに対して幅方向にずれている。 これによって、第3領域15cの第3絵柄部4cから転写ロール24に受理される青色インキ30Bが、転写ロール24上の赤色インキ30Rおよび緑色インキ30Gと混じるのを防ぐことができる。

    また図6(d)に示すように、第3領域15bには、第1領域15aの第1絵柄部4aと幅方向において重なる部分に凹部14bが設けられており、かつ第2領域15bの第2絵柄部4bと幅方向において重なる部分に凹部14cが設けられている。 このため、グラビア版1の第3領域15cにおいて転写ロール24を走行させる際、第1絵柄部4aから転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rが第3領域15cに付着することはなく、かつ、第2領域15bの第2絵柄部4bから転写ロール24に受理されている緑色インキ30Gが第3領域15cに付着することもない。 このことにより、転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rおよび緑色インキ30Gの厚みが減少するのを防ぐことができる。 加えて、転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rおよび緑色インキ30Gが第3領域15c上の青色インキ30Bと混じるのを防ぐことができる。

    その後、図6(e)に示すように、転写ロール24上のインキ30R,30G,30Bを透明基材32上に転移させる。 これによって、各インキ30R,30G,30Bからなる発光層38R,38G,38Bを同時に形成することができる。 この場合、図6(e)に示すように、幅方向における発光層38R,38G,38Bの画素ピッチは、グラビア版1の一の領域における絵柄部4とその他の領域における絵柄部4との間の幅方向における間隔t によって決められる。 このため、インキの種類毎に異なる印刷機を用いて順次複数色の発光層を形成する場合に比べて、短時間で、かつ精度良く発光層38R,38G,38Bを形成することができる。

    その後、図5に示すように、正孔注入層37および発光層38を被覆するよう、電子注入層39を形成する。 電子注入層39を形成する方法が特に限られることはなく、例えば、正孔注入層37を形成する場合と同様に、画像表示領域に相当する開口部を備えたフォトマスクを介して真空蒸着法等により成膜して形成することができる。

    最後に、発光素子層36のうち所望の開口部35内に位置する発光素子層36に接続されるよう、電極層40を所定のパターン形状で形成する。 このようにして、図5に示す有機発光デバイス31が形成される。

    このように本実施の形態によれば、グラビア版1は、転写ロール24の走行方向(印刷方向P)に沿って、各々が転写ロール24の周長t と同一の長さを有する複数の領域15a,15b,15cに区画にされている。 また、領域15a,15b,15cの絵柄部4a,4b,4cには、それぞれ種類の異なるインキ30R,30B,30Gが供給される。 さらに、グラビア版1の一の領域15の絵柄部4は、その他の領域15の絵柄部4に対して幅方向にずれている。 このため、各インキ30R,30B,30Gが幅方向に並ぶよう、各インキ30R,30B,30Gを転写ロール24に受理させることができる。

    また本実施の形態によれば、グラビア版1の各領域15a,15b,15cのうち最上流の第1領域15aよりも下流側にある第2領域15bおよび第3領域15cには、それより上流側の領域の各絵柄部と幅方向において重なる部分に凹部14が設けられている。 この凹部14により、上流側の領域において転写ロール24に受理されたインキ30が、それより下流側の領域に付着するのを防ぐことができる。 このことにより、転写ロール24によって受けられた複数の種類のインキ30R,30B,30Gを、所望の厚みを保ちながら一度に基材52上に転移させることができる。

    さらに本実施の形態によれば、グラビア版1の領域15a,15b,15cには、それぞれ別個のドクター8a,8b,8cが設けられている。 このため、ドクター8a,8b,8cでインキ30R,30B,30Gを掻く際、異なる種類のインキ同士が混じるのを確実に防ぐことができる。

    また本実施の形態によれば、グラビア版1の各領域15a,15b,15cにおいて、絵柄部4a,4b,4cの下流側にインキ排出穴9a,9b,9cが設けられている。 これらインキ排出穴9a,9b,9cによって、絵柄部4a,4b,4cに充填されずに残ったインキ30R,30B,30Gを下方に逃がすことができる。 このことにより、グラビア版1上で絵柄部4a,4b,4cに充填されずに残ったインキ30R,30B,30Gが転写ロール24に付着するのを防ぐことができる。

    また本実施の形態によれば、少なくとも発光層を有する発光素子層を含む有機発光デバイスにおいて、上述の印刷機10により複数色の発光層38R,38B,38Gが形成される。 このため、複数色の発光層38R,38B,38Gを一度の印刷によって形成することができる。 このため、各色の発光層38R,38B,38Gを複数の印刷機を用いて順次形成する場合に比べて、短時間で、かつ精度良く複数色の発光層38R,38B,38Gを形成することができる。

    〔比較例〕
    次に、図7(a)(b)を参照して、本願発明の効果を比較例と比較して説明する。 図7(a)は、比較例における印刷機100を示す図であり、図8(b)は、比較例の印刷機100において、複数種類のインキが絵柄部に充填される様子を示す図である。

    図7(a)(b)に示す比較例における印刷機100は、インキ30R,30G,30Bがそれぞれ充填される絵柄部が、幅方向に並んでいる点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図6に示す本実施の形態における印刷機10と略同一である。 比較例の印刷機100において、図1乃至図6に示す本実施の形態の印刷機10と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。

    図7(a)に示すように、印刷機100のグラビア版101は、赤色インキ30Rが充填される第1絵柄部104aと、緑色インキ30Gが充填される第2絵柄部104bと、青色インキ30Bが充填される第3絵柄部104cと、を有している。 これら絵柄部104a,104b,104cは、図7(a)に示すように、幅方向に並ぶよう設けられている。

    印刷機100において絵柄部104a,104b,104cにインキ30R,30G,30Bを充填させる際の作用について考える。 ここで、絵柄部のうち絵柄部104a,104bに着目する。 この場合、絵柄部104a,104bは幅方向に並ぶよう設けられており、このため、図7(b)に示すように、ドクター8a,8bにより絵柄部104a,104bにインキ30R,30Gを充填させる際、赤色インキ30Rと緑色インキ30Gとが混じってしまうことが考えられる。 このような混色が生じた場合、インキから形成される発光層の色純度に関する特性が劣化してしまう。

    これに対して本願発明によれば、上述のように、印刷機10のグラビア版1は、転写ロール24の走行方向(印刷方向P)に沿って、各々が転写ロール24の周長t と同一の長さを有する複数の領域15a,15b,15cに区画にされている。 また、領域15a,15b,15cの絵柄部4a,4b,4cには、それぞれ種類の異なるインキ30R,30B,30Gが供給される。 さらに、グラビア版1の一の領域15の絵柄部4は、その他の領域15の絵柄部4に対して幅方向にずれている。 このため、グラビア版1上においてインキ30R,30B,30Gの混色が生じるのを防ぐことができる。

    〔印刷機の変形例〕
    印刷機の変形例1
    なお本実施の形態による印刷機10において、グラビア版1と転写ロール24との組合せによりグラビアオフセット印刷が行われる例を示した。 しかしながら、これに限られることはなく、印刷機10が、グラビア印刷(ダイレクトグラビア印刷)を行う印刷機であってもよい。 この場合、被印刷物である基材52は、転写ロール24の表面に一体的に設けられている。 このため、グラビア版1の各絵柄部4a,4b,4cに充填されたインキ30R,30G,30Bが、転写ロール24上の基材52に直接に転移される。 このようにして、基材52上に、複数種類のインキ30R,30G,30Bを同時に印刷することができる。

    印刷機の変形例2
    また、本発明の印刷機10が、フレキソ印刷を行う印刷機であってもよい。 この場合、図8に示すように、印刷機10の転写ロールは、凸部を有するフレキソ版26をその外周上に有する版胴24aからなっている。 図8に示す印刷機10において、グラビア版1(インキ版)のインキ30R,30G,30Bは、版胴24aのフレキソ版26の凸部によってそれぞれ受けられる。 その後、フレキソ版26の凸部のインキ30R,30G,30Bは、フレキソ版26の凸部のパターンに応じた絵柄で基材32上に同時に転移される。

    印刷機の変形例3
    また、本実施の形態による印刷機10において、基材32が平板状の基材定盤6の上に載置されている例を示した。 しかしながら、これに限られることはなく、図9に示すように、基材32を、転写ロール24と、ロール状の圧胴6aとの間で挟持してもよい。 この場合、図1乃至図6に示す印刷機10の場合と同様に、はじめに、グラビア版1の上面のインキ30R,30B,30Gが転写ロール24によって順次受理される。 次に、転写ロール24上のインキ30R,30B,30Gが、圧胴6a上を搬送されている基材32上に転移される。

    印刷機の変形例4
    また、本実施の形態において、印刷機が、その上面にセル2を有する平板状のグラビア版1(インキ版)を備えた印刷機10からなる例を示した。 しかしながら、これに限られることはなく、図10に示すように、印刷機が、その外周面にセルを有するロール状のグラビア版1A(インキ版)を備えた印刷機10Aからなっていてもよい。 以下、印刷機10Aについて説明する。

    図10に示す印刷機10Aは、その外周面にセル2を有するロール状のグラビア版1Aと、グラビア版1Aに当接してセル2内のインキ30を受けるとともに、基材32上にインキを転移させる転写ロール24と、転写ロール24との間で基材32を挟持する圧胴6aと、を備えている。 また図10に示すように、グラビア版1Aは、グラビア版1Aの回転方向Rに沿って、各々が転写ロール24の周長t に対応する長さを有する第1領域15a、第2領域15bおよび第3領域15cに区画されている。 図10に示す印刷機10Aにおいて、図1乃至図9に示す印刷機10と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。

    次に、印刷機10Aを用いて透明基材32上に発光層38R,38G,38Bを形成する方法について、図11(a)〜(d)を参照して説明する。

    図11(a)〜(d)は、図10に示す印刷機10Aを矢印XI方向から見た場合の図であって、発光層38R,38G,38Bの形成方法を示す図である。

    はじめに、第1インキ供給部7aにより、グラビア版1Aの外周面に赤色インキ30Rを供給する。 この場合、第1インキ供給部7aからの赤色インキ30Rは、第1領域15aの第1絵柄部4aの上流部分に供給される。 次に、図11(a)に示すように、第1ドクター8aを用いて、赤色インキ30Rを第1絵柄部4aの各セル2に充填させる。 この際、第1絵柄部4aの各セル2に充填されずに残った赤色インキ30Rは、第1ドクター8aにより第1インキ排出穴9aに落とされる。

    その後、グラビア版1Aの第1領域15aと転写ロール24とを当接させる。 これによって、図11(b)に示すように、転写ロール24によって、第1領域15aの第1絵柄部4aの赤色インキ30Rが受理される。 この際、上述のように、第1絵柄部4aの各セル2に充填されずに残った赤色インキ30Rは、第1ドクター8aにより第1インキ排出穴9aに落とされている。 これによって、第1絵柄部4aに充填されている赤色インキ30R以外の赤色インキ30Rが転写ロール24に受理されるのが防がれている。

    また、グラビア版1の第1領域15aと転写ロール24とが当接している間、第2インキ供給部7bにより、グラビア版1Aの外周面に緑色インキ30Gが供給される。 この場合、第2インキ供給部7bからの緑色インキ30Gは、第2領域15bの第2絵柄部4bと、第1領域15aの第1絵柄部4aとの間に供給される。 次に、図11(b)に示すように、第2ドクター8bを用いて、緑色インキ30Gを第2絵柄部4bの各セル2に充填させる。 この際、第2絵柄部4bの各セル2に充填されずに残った緑色インキ30Gは、第2ドクター8bにより第2インキ排出穴9bに落とされる。

    その後、グラビア版1の第2領域15bと転写ロール24とを当接させる。 これによって、転写ロール24によって、第2領域15bの第2絵柄部4bの緑色インキ30Gが受理される。 この際、図11(b)に示すように、第2領域15bの第2絵柄部4bは、第1領域15aの第1絵柄部4aに対して幅方向にずれている。 これによって、第2領域15bの第2絵柄部4bから転写ロール24に受理される緑色インキ30Gが、転写ロール24上の赤色インキ30Rと混じるのを防ぐことができる。

    また図11(b)に示すように、第2領域15bには、第1領域15aの第1絵柄部4aと幅方向において重なる部分に凹部14aが設けられている。 このため、グラビア版1の第2領域15bと転写ロール24とを当接させる際、第1領域15aの第1絵柄部4aから転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rが第2領域15bに付着することはない。 このことにより、転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rの厚みが減少するのを防ぐことができる。 加えて、転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rが第2領域15b上の緑色インキ30Gと混じるのを防ぐことができる。

    また、グラビア版1の第2領域15bと転写ロール24とが当接している間、第3インキ供給部7cにより、グラビア版1の外周面に青色インキ30Bが供給される。 この場合、第3インキ供給部7cからの青色インキ30Bは、第3領域15cの第3絵柄部4cと、第2領域15bの第2絵柄部4bとの間に供給される。 次に、図11(c)に示すように、第3ドクター8cを用いて、青色インキ30Bを第3絵柄部4cの各セル2に充填させる。 この際、第3絵柄部4cの各セル2に充填されずに残った青色インキ30Bは、第3ドクター8cにより第3インキ排出穴9cに落とされる。

    その後、グラビア版1の第3領域15cと転写ロール24とを当接させる。 これによって、転写ロール24によって、第3領域15cの第3絵柄部4cの青色インキ30Bが受理される。 この際、図11(c)に示すように、第3領域15cの第3絵柄部4cは、第1領域15aの第1絵柄部4aおよび第2領域15bの第2絵柄部4bに対して幅方向にずれている。 これによって、第3領域15cの第3絵柄部4cから転写ロール24に受理される青色インキ30Bが、転写ロール24上の赤色インキ30Rおよび緑色インキ30Gと混じるのを防ぐことができる。

    また図11(c)に示すように、第3領域15bには、第1領域15aの第1絵柄部4aと幅方向において重なる部分に凹部14bが設けられており、かつ第2領域15bの第2絵柄部4bと幅方向において重なる部分に凹部14cが設けられている。 このため、グラビア版1の第3領域15cと転写ロール24とが当接する際、第1絵柄部4aから転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rが第3領域15cに付着することはなく、かつ、第2領域15bの第2絵柄部4bから転写ロール24に受理されている緑色インキ30Gが第3領域15cに付着することもない。 このことにより、転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rおよび緑色インキ30Gの厚みが減少するのを防ぐことができる。 加えて、転写ロール24に受理されている赤色インキ30Rおよび緑色インキ30Gが第3領域15c上の青色インキ30Bと混じるのを防ぐことができる。

    その後、図11(d)に示すように、転写ロール24上のインキ30R,30G,30Bを透明基材32上に転移させる。 これによって、各インキ30R,30G,30Bからなる発光層38R,38G,38Bを同時に形成することができる。 このことにより、インキの種類毎に異なる印刷機を用いて順次複数色の発光層を形成する場合に比べて、短時間で、かつ精度良く発光層38R,38G,38Bを形成することができる。

    〔グラビア版のセルの変形例〕
    また、上述の形態において、グラビア版(インキ版)が、インキ供給部7からのインキ30が充填される複数のセル2を有するとともに、各セル2がストライプ状の形状を有するグラビア版1,1Aからなる例を示した。 しかしながら、これに限られることはなく、グラビア版は、格子状に配置されるとともに、インキ供給部7からのインキ30が充填される複数のセル12を有するグラビア版11からなっていてもよい。

    図12は、本発明のグラビア版(インキ版)の他の実施形態であるグラビア版11を説明するための図である。 図12に示されるグラビア版11は、セル12が複数に区画された形状(図12に示す例では、各セル12は正方形)であり、各セル12の間には非セル部13が存在する。 また、図13は、グラビア版11の他の形態を説明するための図である。 図13に示されるグラビア版11は、セル12が複数に区画された形状であり、各セル12は菱形であり、各セル12の間には非セル部13が存在する。 さらに、図14は、グラビア版11の他の形態を説明するための図である。 図14に示されるグラビア版11は、セル12が複数に区画された形状であり、各セル12は楕円形であり、各セル12の間には非セル部13が存在する。

    図12〜図14に示されるグラビア版11は、各セル12(斜線を付した部位)における印刷方向(図の矢印Pが示す方向)の最大幅bと印刷方向に直交する方向での最大幅aの比b/aが0.6以上、好ましくは0.8以上であり上限には特に制限はない。 また、成膜部位に占める総セル面積が55〜95%、好ましくは60〜90%の範囲内であり、非セル部13の幅(非セル部長S1,S2)が2〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲内であり、セル12の深さ(版深)が20〜200μm、好ましくは30〜100μmの範囲内である。

    上記の比b/aが0.6未満であると、厚膜形成が困難となり、発光層38の形成において70nm以上の厚みの発光層38の形成が困難となり好ましくない。 また、成膜部位に占める総セル面積が55%未満であると、厚膜形成が困難となり、95%を超えると、膜厚のバラツキが大きくなり好ましくない。 また、非セル部13の幅(非セル部長S1,S2)が2μm未満であると、グラビア版11のセル12の形成が困難であり、500μmを超えると、膜厚のバラツキが大きくなり、かつ厚膜形成が困難となり好ましくない。 また、セル12の深さ(版深)が20μm未満であると、厚膜形成が困難となり、200μmを超えるような版深としても、形成する塗膜の厚みは増加しない。
    尚、上述のグラビア版11のセル12の形状は例示であり、上述の形態に限定されるものではない。

    〔有機発光デバイスの変形例〕
    また、本実施の形態において、有機発光デバイスが、帯状パターンの透明電極層33と電極層40とが交差する部位が発光領域となるパッシブマトリックス型の有機発光デバイス31である例を示した。 しかしながら、これに限られることはなく、有機発光デバイスがアクティブマトリックス型であってもよい。

    図15および図16は、アクティブマトリックス型の本発明の有機発光デバイスの一例を説明するための図である。 図15は電極配線パターンを示す図であり、透明基材(図示せず)上に形成された電極配線パターン53は、信号線53A、走査線53B、TFT(薄膜トランジスタ)53C、透明電極(画素電極)層53Dからなる。 また、これらの電極配線パターン53を被覆するように絶縁層54(図15で斜線を付した部位)が形成されており、この絶縁層54は、各透明電極層53D上に位置する開口部55を備えている。 また、絶縁層54には、各開口部55内の透明電極層53Dを被覆するように発光素子層(図示せず)が形成され、この発光素子層上に電極(共通電極)層(図示せず)が配設される。

    上記の発光素子層は、絶縁層54と各開口部55内の透明電極層53Dとを被覆するように配設された正孔注入層と、開口部55内の透明電極層53D(正孔注入層)を被覆するとともに開口部55の周縁の絶縁層54に乗り上げるように各開口部55毎に配設された複数の発光層と、これらを被覆するように配設された電子注入層と、から構成することができる。 図16は、絶縁層54の開口部55と発光層との関係を示す図である。 図16では、発光層は、開口部55よりも大きい所望のパターン形状の赤色発光層58R、緑色発光層58G、青色発光層58Bからなっている。

    このようなアクティブマトリックス型の本発明の有機発光デバイスも、発光層(赤色発光層58R、緑色発光層58G、青色発光層58B)は、本発明の発光層の形成方法により形成されたものである。 そして、開口部55の周縁の絶縁層54に乗り上げるように発光素子層が形成されているので、発光素子層を挟持する位置に存在する透明電極層53Dと電極層(図示せず)との短絡を生じることがなく信頼性が高いものである。 また、発光素子層の発光層(赤色発光層58R、緑色発光層58G、青色発光層58B)が本発明の形成方法で形成されたものであり、精度良く、かつ均一な厚み(好ましくは、厚み変動が10%以下)で形成されている。 このため、高品質の表示が可能である。
    尚、上記の発光素子層は、上述の実施形態と同様に、発光層単独からなる構造、正孔注入層と発光層とからなる構造、発光層と電子注入層とからなる構造、さらに、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。

    図17は、本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分斜視図であり、図18は図17に示される有機発光デバイスのA−A線における断面図である。 図17および図18において、有機発光デバイス61は、透明基材62と、この透明基材62上に長方形状に形成された透明電極層63と、ひし形開口部65aと長方形状開口部65bとを有する絶縁層64と、各開口部65a、65b内の透明電極層63を被覆するように配設された発光素子層66と、この発光素子層66を被覆するように形成された電極層70とを備えている。
    上記の発光素子層66は、積層配設された正孔注入層67、発光層68、電子注入層69からなっており、各開口部65a、65bの周縁の絶縁層64に乗り上げるように形成されている。

    このような有機発光デバイス61は、各開口部65a、65bが存在する部位が表示領域となるエリアカラー表示であり、発光素子層66の発光層68は、本発明の発光層の形成方法により形成されたものである。 この有機発光デバイス61では、開口部65a、65bの周縁の絶縁層64に乗り上げるように発光素子層66が形成されているので、発光素子層66を挟持する位置に存在する透明電極層63と電極層70との短絡を生じることがなく信頼性が高いものである。 また、発光素子層66の発光層68が本発明の形成方法で形成されたものであり、精度良く、かつ均一な厚み(好ましくは、厚み変動が10%以下)で形成されている。 このため、高品質の表示が可能である。

    尚、発光層68は、各開口部65a、65bの周縁の絶縁層64に乗り上げる程度の大きさとしてもよく、また、この場合、各開口部65a、65bに位置する各発光層の発光色が異なるものであってもよく、さらに、各開口部65a、65b上に配設される電極層70を電気的に独立したものとして、各発光層毎に発光できるようにしてもよい。
    また、上記の発光素子層66は、上述の実施形態と同様に、発光層単独からなる構造、正孔注入層と発光層とからなる構造、発光層と電子注入層を設けた構造、さらに、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。

    本発明の有機発光デバイスは、上述の実施形態に限定されるものではない。
    図19は、本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分断面図である。 図19に示される有機発光デバイス71は、透明基材72と、この透明基材72上に設けられた帯状パターンの赤色着色層73R、緑色着色層73G、青色着色層73Bからなるカラーフィルタ層73と、このようなカラーフィルタ層73を覆うように配設された透明平滑化層75と、この透明平滑化層75上に、上述の実施形態の有機発光デバイス31と同様に形成された帯状パターンの複数の透明電極層33と、各透明電極層33上にストライプ形状の開口部35が位置するように配設された絶縁層34と、各開口部35内の透明電極層33を被覆するように配設された発光素子層36と、この発光素子層36上に透明電極層33と直交するように延設された帯状パターンの複数の電極層40とを備えている。

    上記の帯状パターンの複数の透明電極層33は、帯状パターンの赤色着色層73R、緑色着色層73G、青色着色層73B上に位置するものである。 また、発光素子層36は、絶縁層34と各開口部35内の透明電極層33とを被覆するように配設された正孔注入層37と、開口部35内の透明電極層33(正孔注入層37)を被覆するとともに開口部35の周縁の絶縁層34に乗り上げるように各開口部35毎に配設された複数の発光層38と、これらを被覆するように配設された電子注入層39と、からなる。 図示例では、発光層38は、帯状パターンの白色発光層である。

    このような有機発光デバイス71は、カラーフィルタ層73と透明平滑化層75とを備え、発光層38が白色発光層である点を除いて、上述の有機発光デバイス31と同様である。 したがって、同様の部材には、同じ部材番号を付し、ここでの説明は省略する。 尚、上記の発光素子層36は、上述の実施形態と同様に、発光層単独からなる構造、正孔注入層と発光層とからなる構造、発光層と電子注入層とからなる構造、さらに、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。

    上記のカラーフィルタ層73は、発光素子層36からの光を色補正したり、色純度を高めるものである。 カラーフィルタ層73を構成する赤色着色層73R、緑色着色層73G、青色着色層73Bは、発光素子層36の発光特性に応じて適宜材料を選択することができ、例えば、顔料、顔料分散剤、バインダー樹脂、反応性化合物および溶媒を含有する顔料分散組成物で形成することができる。 このようなカラーフィルタ層73の厚みは、各着色層の材料、有機EL素子層の発光特性等に応じて適宜設定することができ、例えば、1〜3μm程度の範囲で設定することができる。

    また、透明平滑化層75は、カラーフィルタ層73以下の構成により段差(表面凹凸)が存在する場合に、この段差を解消して平坦化を図り、発光素子層36の厚みムラ発生を防止する平坦化作用をなす。 このような透明平滑化層75は、透明(可視光透過率50%以上)樹脂により形成することができる。 具体的には、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を使用することができる。 また、透明樹脂として、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することができる。
    このような透明平滑化層75の厚みは、使用する材料を考慮し、平坦化作用が発現できる範囲で設定することができ、例えば、1〜5μm程度の範囲で適宜設定することができる。

    また、図20は、本発明の有機発光デバイスの他の実施形態を示す部分断面図である。 図20に示される有機発光デバイス81は、透明基材82と、この透明基材82上に設けられた帯状パターンの赤色着色層83R、緑色着色層83R、青色着色層83Bからなるカラーフィルタ層83と、このようなカラーフィルタ層83の赤色着色層83R、緑色着色層83R、青色着色層83Bを覆うように帯状パターンの赤色変換蛍光体層84R(青色光を赤色蛍光に変換する層)、緑色変換蛍光体層84G(青色光を緑色蛍光に変換する層)、青色変換ダミー層84B(青色光をそのまま透過する層)からなる色変換蛍光体層84が設けられ、さらに、これらを覆うように配設された透明平滑化層85と、この透明平滑化層85上に、上述の実施形態の有機発光デバイス31と同様に形成された帯状パターンの複数の透明電極層33と、各透明電極層33上にストライプ形状の開口部35が位置するように配設された絶縁層34と、各開口部35内の透明電極層33を被覆するように配設された発光素子層36と、この発光素子層36上に透明電極層33と直交するように延設された帯状パターンの複数の電極層40とを備えている。

    上記の帯状パターンの複数の透明電極層33は、帯状パターンの赤色変換蛍光体層84R、緑色変換蛍光体層84G、青色変換ダミー層84B上に位置するものである。 また、発光素子層36は、絶縁層34と各開口部35内の透明電極層33とを被覆するように配設された正孔注入層37と、開口部35内の透明電極層33(正孔注入層37)を被覆するとともに開口部35の周縁の絶縁層34に乗り上げるように各開口部35毎に配設された複数の発光層38と、これらを被覆するように配設された電子注入層39と、からなる。 図示例では、発光層38は、帯状パターンの青色発光層である。

    このような有機発光デバイス81は、カラーフィルタ層83と色変換蛍光体層84と透明平滑化層85とを備え、発光層38が青色発光層である点を除いて、上述の有機発光デバイス31と同様である。 したがって、同様の部材には、同じ部材番号を付し、ここでの説明は省略する。 また、カラーフィルタ層83、透明平滑化層85は、上述のカラーフィルタ層73、透明平滑化層75と同様であり、ここでの説明は省略する。 尚、上記の発光素子層36は、上述の実施形態と同様に、発光層単独からなる構造、正孔注入層と発光層とからなる構造、発光層と電子注入層とからなる構造、さらに、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層を介在させた構造、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を介在させた構造等とすることができる。

    上記の赤色変換蛍光体層84Rおよび緑色変換蛍光体層84Gは、蛍光色素単体からなる層、あるいは、樹脂中に蛍光色素を含有した層である。 青色発光を赤色蛍光に変換する赤色変換蛍光体層84Rに使用する蛍光色素としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート等のピリジン色素、ローダミンB、ローダミン6G等のローダミン系色素、オキサジン系色素等が挙げられる。 また、青色発光を緑色蛍光に変換する緑色変換蛍光体層84Gに使用する蛍光色素としては、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン、3−(2′−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2′−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド色素等が挙げられる。 さらに、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等の各種染料も蛍光性があれば使用することができる。 上述のような蛍光色素は単独、あるいは、2種以上の組み合わせで使用することができる。 赤色変換蛍光体層84Rおよび緑色変換蛍光体層84Gが樹脂中に蛍光色素を含有したものである場合、蛍光色素の含有量は、使用する蛍光色素、色変換蛍光体層の厚み等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、使用する樹脂100重量部に対し0.1〜1重量部程度とすることができる。

    また、青色変換ダミー層84Bは、発光素子層36で発光された青色光をそのまま透過してカラーフィルタ層83に送るものであり、赤色変換蛍光体層84R、緑色変換蛍光体層84Gとほぼ同じ厚みの透明樹脂層とすることができる。
    赤色変換蛍光体層84Rおよび緑色変換蛍光体層84Gが樹脂中に蛍光色素を含有したものである場合、樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等の透明(可視光透過率50%以上)樹脂を使用することができる。 また、色変換蛍光体層84のパターン形成をフォトリソグラフィー法により行う場合、例えば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト樹脂を使用することができる。 さらに、これらの樹脂は、上述の青色変換ダミー層84Bに使用することができる。

    色変換蛍光体層84を構成する赤色変換蛍光体層84Rと緑色変換蛍光体層84Gは、蛍光色素単体で形成する場合、例えば、所望のパターンマスクを介して真空蒸着法、スパッタリング法により帯状に形成することができる。 また、樹脂中に蛍光色素を含有した層として形成する場合、例えば、蛍光色素と樹脂とを分散、または可溶化させた塗布液をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングする方法、上記の塗布液をスクリーン印刷法等でパターン印刷する方法等により赤色変換蛍光体層84Rや緑色変換蛍光体層84Gを形成することができる。 また、青色変換ダミー層84Bは、所望の感光性樹脂塗料をスピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングする方法、所望の樹脂塗布液をスクリーン印刷法等でパターン印刷する方法等により形成することができる。

    このような色変換蛍光体層84の厚みは、赤色変換蛍光体層84Rおよび緑色変換蛍光体層84Gが発光素子層36で発光された青色光を十分に吸収し蛍光を発生する機能が発現できるものとする必要があり、使用する蛍光色素、蛍光色素濃度等を考慮して適宜設定することができ、例えば、10〜20μm程度とすることができ、赤色変換蛍光体層84Rと緑色変換蛍光体層84Gとの厚みが異なる場合があってもよい。
    青色発光である有機発光材料としては、例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリディン系化合物等を挙げることができる。

    具体的には、2−2′−(p−フェニレンジビニレン)−ビスヘンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系; 2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系; 2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4′−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等のベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤を挙げることができる。

    また、上記の金属キレート化オキシノイド化合物としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ[f]−8−キノリノール)亜鉛等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体やジリチウムエピントリジオン等を挙げることができる。
    また、上記のスチリルベンゼン系化合物としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等を挙げることができる。

    また、上記のジスチリルピラジン誘導体としては、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等を挙げることができる。
    また、上記の芳香族ジメチリディン系化合物としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4−フェニレンジメチリディン、2,5−キシレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジルメチリディン、4,4′−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、およびその誘導体を挙げることができる。

    さらに、発光層の材料として、一般式(Rs−Q)2−AL−O−Lで表される化合物も挙げることができる(上記式中、ALはベンゼン環を含む炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェニラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子であり、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個以上結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート置換基を表す)。 具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラーフェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
    尚、上述の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。 例えば、カラーフィルタ層73,83の非形成部位にブラックマトリックスを備えるものであってもよい。

    1,1A,11…グラビア版2,12…セル3,13…非セル部4,4a,4b,4c…絵柄部5…フレーム6…基材定盤6a…圧胴7,7a,7b,7c…インキ供給部8,8a,8b,8c…ドクター9,9a,9b,9c…インキ排出穴10,10A…印刷機14a,14b,14c…凹部15a…グラビア版の第1領域15b…グラビア版の第2領域15c…グラビア版の第3領域23…ブランケット24…転写ロール24a…版胴25…ブランケット胴26…フレキソ版30,30R,30G,30B…インキ31,61,71,81…有機発光デバイス32,62,72,82…透明基材33…透明電極層34,54…絶縁層35,55…開口部36…発光素子層37…正孔注入層38,38R,38G,38B,58R,58G,58G…発光層39…電子注入層40…電極層53…電極配線パターン100…印刷機101…グラビア版104,104a,104b,104c…絵柄部