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Hydraulic control device of automatic transmission

申请号 JP2008167853 申请日 2008-06-26 公开(公告)号 JP2010007763A 公开(公告)日 2010-01-14
申请人 Toyota Motor Corp; トヨタ自動車株式会社; 发明人 FUKAO MITSUHIRO; KATO SHINJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a hydraulic control device of an automatic transmission capable of reducing engagement shocks by suitably adjusting a predetermined control hydraulic pressure according to an environmental change relating to a magnitude of an output of an internal combustion engine. SOLUTION: A transmission shock generated actually is detected by engagement shock detection means 128, and an engagement hydraulic pressure Pt is changed to reduce the magnitude of the transmission shock, and converged to the hydraulic pressure, at which the transmission shock becomes minimum. Also, when a transmission number F after the environmental change is detected is small, a changed amount of the engagement hydraulic pressure Pt for one time is made larger than the case where the number is large, and therefore, the hydraulic pressure can be quickly made close to the hydraulic pressure, in which the transmission shock becomes small immediately after the environmental change which leads to a high possibility that the transmission shock becomes large. COPYRIGHT: (C)2010,JPO&INPIT
权利要求
  • 係合ショックを検出する係合ショック検出手段と、
    前記係合ショックの大きさが小さくなるように所定の制御油圧を変更する油圧変更手段と、
    内燃機関の出力の大きさに関する環境が変化したことを検出する環境検出手段とを、有し、
    前記環境の変化を検出してからの油圧式摩擦係合装置の係合回数が少ないときは、多いときよりも1回あたりの前記所定の制御油圧を変更する量を大きくすることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  • 係合ショックを検出する係合ショック検出手段と、
    前記係合ショックの大きさが小さくなるように所定の制御油圧を変更する油圧変更手段と、
    内燃機関の出力の大きさに関する環境が変化したことを検出する環境検出手段とを、有し、
    前記環境の変化を検出してからの前記所定の制御油圧の変更された量の合計が少ないときは多いときよりも前記所定の制御油圧を変更する量を大きくすることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記環境は燃料状態であり、
    前記環境検出手段は、前記燃料状態を検出することを特徴とする請求項1または2の自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記燃料状態は燃料の種類であり、
    前記環境検出手段は、前記燃料の種類を検出することを特徴とする請求項3の自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記燃料状態はアルコールの濃度であり、
    前記環境検出手段は、前記アルコールの濃度を検出することを特徴とする請求項3の自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記環境は油温であり、
    前記環境検出手段は、前記油温を検出することを特徴とする請求項1または2自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記環境は外気状態であり、
    前記環境検出手段は、前記外気状態を検出することを特徴とする請求項1または2の自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記外気状態は気温であり、
    前記環境検出手段は、前記気温を検出することを特徴とする請求項7の自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記外気状態は気圧であり、
    前記環境検出手段は、前記気圧を検出することを特徴とする請求項7の自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記所定の制御油圧とは、前記自動変速機の油圧式摩擦係合装置に供給される係合油圧であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つの自動変速機の油圧制御装置。
  • 前記所定の制御油圧とは、前記自動変速機の変速制御の際に元圧となるライン油圧であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つの自動変速機の油圧制御装置。
  • 说明书全文

    本発明は、自動変速機の油圧制御装置に係り、特に、内燃機関の出の大きさが環境に応じて変化する形式の自動変速機の油圧制御装置に関するものである。

    車両に搭載される自動変速機において、各変速段を成立させるための油圧式摩擦係合装置には、ライン油圧が元圧として供給される。 ライン油圧は、オイルポンプから吐出された油圧が、例えばスロットル弁開度などの情報に基づいて調圧される。 ライン油圧は、内燃機関から出力される駆動トルクに対し、自動変速機の油圧式摩擦係合装置がその駆動トルクを伝達可能なトルク容量を有することができる油圧であって、且つ、最小限となる油圧が好ましいとされる。 例えば、ライン油圧が低すぎると、内燃機関から出力される駆動トルクに対し、係合される油圧式摩擦係合装置がその駆動トルクを伝達できなってロスが大きくなる一方、ライン油圧が高すぎると、オイルポンプの負荷が大きくなり燃費が低下するなどの弊害が生じる。 そこで、ライン油圧は、上記スロットル弁開度などの各種情報を基に好適な油圧に調圧される。 また、調圧されたライン油圧は自動変速機内の油圧式摩擦係合装置に元圧として供給され、そのライン圧油圧が例えばリニアソレノイド弁などによって調圧され、係合油圧として油圧式摩擦係合装置に供給される。

    ところで、近年、ガソリンの代替燃料として、例えばガソリンとアルコールとが混合された混合燃料などの種類の異なる燃料を使用可能な内燃機関の開発が進められている。 上記燃料では、同じスロットル弁開度であっても内燃機関の出力特性が変化することから、従来の燃料(ガソリン等)使用時と同様に制御を実施すると、不都合が生じることが知られている。 そこで、例えば特許文献1の自動変速機においては、アルコール混合燃料中のアルコール濃度を検出し、そのアルコール濃度に応じてライン油圧を調整することで、自動変速機の変速ショックを低減する技術が開示されている。

    特開平6−50419号公報

    特開平5−79555号公報

    ところが、特許文献1の自動変速機では、アルコール濃度の変化に基づいてライン油圧を調整するが、例えば気温や高度(気圧)、或いは経時劣化などの環境変化によっては、自動変速機の変速ショックが最小となるライン油圧に調整できない可能性があり、変速ショック(係合ショック)が大きくなる可能性があった。 同様に、自動変速機の油圧式摩擦係合装置に供給される係合油圧においても、アルコール濃度変化に基づく調圧のみでは、自動変速機の変速ショック(係合ショック)が大きくなる可能性があった。

    本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、内燃機関の出力の大きさに関する環境変化に応じて所定の制御油圧を好適に調圧することで、係合ショックを低減することができる自動変速機の油圧制御装置を提供することにある。

    上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)係合ショックを検出する係合ショック検出手段と、(b)前記係合ショックの大きさが小さくなるように所定の制御油圧を変更する油圧変更手段と、(c)内燃機関の出力の大きさに関する環境が変化したことを検出する環境検出手段とを、有し、(d)前記環境の変化を検出してからの油圧式摩擦係合装置の係合回数が少ないときは、多いときよりも1回あたりの前記所定の制御油圧を変更する量を大きくすることを特徴とする。

    また、上記目的を達成するための請求項2にかかる発明の要旨とするところは、(a)係合ショックを検出する係合ショック検出手段と、(b)前記係合ショックの大きさが小さくなるように所定の制御油圧を変更する油圧変更手段と、(c)内燃機関の出力の大きさに関する環境が変化したことを検出する環境検出手段とを、有し、(d)前記環境の変化を検出してからの前記所定の制御油圧の変更された量の合計が少ないときは多いときよりも前記所定の制御油圧を変更する量を大きくすることを特徴とする。

    また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の自動変速機の油圧制御装置において、前記環境は燃料状態であり、前記環境検出手段は、前記燃料状態を検出することを特徴とする。

    また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項3の自動変速機の油圧制御装置において、前記燃料状態は燃料の種類であり、前記環境検出手段は、前記燃料の種類を検出することを特徴とする。

    また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項3の自動変速機の油圧制御装置において、前記燃料状態はアルコールの濃度であり、前記環境検出手段は、前記アルコールの濃度を検出することを特徴とする。

    また、請求項6にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の自動変速機の油圧制御装置において、前記環境は油温であり、前記環境検出手段は、前記油温を検出することを特徴とする。

    また、請求項7にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の自動変速機の油圧制御装置において、前記環境は外気状態であり、前記環境検出手段は、前記外気状態を検出することを特徴とする。

    また、請求項8にかかる発明の要旨とするところは、請求項7の自動変速機の油圧制御装置において、前記外気状態は気温であり、前記環境検出手段は、前記気温を検出することを特徴とする。

    また、請求項9にかかる発明の要旨とするところは、請求項7の自動変速機の油圧制御装置において、前記外気状態は気圧であり、前記環境検出手段は、前記気圧を検出することを特徴とする。

    また、請求項10にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至9のいずれか1つの自動変速機において、前記所定の制御油圧とは、前記自動変速機の油圧式摩擦係合装置に供給される係合油圧であることを特徴とする。

    また、請求項11にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至9のいずれか1つの自動変速機において、前記所定の制御油圧とは、前記自動変速機の変速制御の際に元圧となるライン油圧であることを特徴とする。

    請求項1にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、係合ショック検出手段によって実際に発生する係合ショックを検出し、その係合ショックの大きさが小さくなるように所定の制御油圧を変更するため、係合ショックが最小となる油圧に収束させていくことができる。 すなわち、直接的に検出された係合ショックに基づいて所定の制御油圧を変更するため、外気状態や経時劣化等に影響されることなく、係合ショックが最小となる油圧に収束させていくことができる。 また、環境の変化を検出してからの油圧式摩擦係合装置の係合回数が少ないときは、多いときよりも1回あたりの前記所定の制御油圧の変更する量を大きくするため、係合ショックが大きくなる可能性が高い環境変化直後は係合ショックが小さくなる油圧に迅速に近づけることができる。

    また、請求項2にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、係合ショック検出手段によって実際に発生する係合ショックを検出し、その係合ショックの大きさが小さくなるように所定の制御油圧を変更するため、係合ショックが最小となる油圧に収束させていくことができる。 すなわち、直接的に検出された係合ショックに基づいて所定の制御油圧を変更するため、外気状態や経時劣化等に影響されることなく、係合ショックが最小となる油圧に収束させていくことができる。 また、環境の変化を検出してからの所定の制御油圧の変更された量の合計が少ないときは多いときよりも前記所定の制御油圧を変更する量を大きくするため、係合ショックが大きくなる可能性が高い環境変化直後は係合ショックが小さくなる油圧に迅速に近づけることができる。

    また、請求項3にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記環境は燃料状態であり、前記環境検出手段は前記燃料状態を検出するため、検出された燃料状態の変化に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、所定の制御油圧を係合ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、請求項4にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記燃料状態は燃料の種類であり、前記環境検出手段は前記燃料の種類を検出するため、検出された燃料の種類に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、所定の制御油圧を係合ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、請求項5にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記燃料状態はアルコールの濃度であり、前記環境検出手段は前記アルコールの濃度を検出するため、検出されたアルコールの濃度に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、所定の制御油圧を係合ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、請求項6にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記環境は油温であり、前記環境検出手段は前記油温を検出するため、検出された油温に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、所定の制御油圧を係合ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる

    また、請求項7にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記環境は外気状態であり、前記環境検出手段は前記外気状態を検出するため、検出された外気状態に基づいて、前記環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、所定の制御油圧を係合ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、請求項8にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記外気状態は気温であり、前記環境検出手段は前記気温を検出するため、検出された気温に基づいて、前記環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、所定の制御油圧を係合ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、請求項9にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記外気状態は気圧であり、前記環境検出手段は前記気圧を検出するため、検出された気圧に基づいて、前記環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、所定の制御油圧を係合ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、請求項10にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記所定の制御油圧とは、前記自動変速機の油圧式摩擦係合装置に供給される係合油圧であるため、自動変速機の変速時の変速ショック、ニュートラル制御時の係合ショック、ガレージ制御時の係合ショックを効果的に低減することができる。

    また、請求項11にかかる発明の自動変速機の油圧制御装置によれば、前記所定の制御油圧とは、前記自動変速機の変速制御の際に元圧となるライン油圧であるため、自動変速機の変速時の変速ショック、ニュートラル制御時の係合ショック、ガレージ制御時の係合ショックを効果的に低減することができる。

    以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。 なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。

    図1は、本発明が好適に適用される車両用動力伝達装置10の構成を説明する骨子図である。 この車両用動力伝達装置10は、走行用の駆動力源であるエンジン12と図示しない駆動輪との間の駆動力伝達経路に設けられ、そのエンジン12から出力される駆動力を自動変速機16によって変速して伝達する装置であり、上記エンジン12から出力された駆動力(トルク)は、トルクコンバータ14を介して自動変速機16に入力され、図示しない差動歯車装置及び車軸等を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。 なお、エンジン12が本発明の内燃機関に対応している。

    上記エンジン12は、例えば、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン等の内燃機関である。 また、上記トルクコンバータ14は、上記エンジン12のクランク軸18に連結されたポンプ翼車22と、上記自動変速機16の入力軸20に連結されたタービン翼車24と、一方向クラッチによって上記自動変速機16のハウジング38に対する一方向の回転が阻止されているステータ翼車26とを備え、上記ポンプ翼車22とタービン翼車24との間で流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。 また、上記ポンプ翼車22及びタービン翼車24の間には、それらを直結するためのロックアップクラッチ28が設けられている。 また、上記ポンプ翼車22には、自動変速機16を変速制御したり、各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生する機械式の油圧ポンプ30が設けられている。

    前記自動変速機16は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置32と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置34及び第3遊星歯車装置36とを備えている遊星歯車式の変速機で、上記第1遊星歯車装置32のサンギヤS1は、第3クラッチC3を介して上記入力軸20に選択的に連結されると共に、一方向クラッチF2及び第3ブレーキB3を介してハウジング38に選択的に連結され、上記入力軸20と反対方向の回転が阻止されるようになっている。 また、上記第1遊星歯車装置32のキャリアCA1は、第1ブレーキB1を介して上記ハウジング38に選択的に連結されると共に、その第1ブレーキB1と並列に設けられた一方向クラッチF1により常に逆方向の回転が阻止されるようになっている。 また、上記第1遊星歯車装置32のリングギヤR1は、上記第2遊星歯車装置34のリングギヤR2と一体的に連結されており、第2ブレーキB2を介して上記ハウジング38に選択的に連結されるようになっている。 また、上記第2遊星歯車装置34のサンギヤS2は、上記第3遊星歯車装置36のサンギヤS3と一体的に連結されており、第4クラッチC4を介して上記入力軸20に選択的に連結されると共に、一方向クラッチF0及び第1クラッチC1を介して上記入力軸20に選択的に連結され、その入力軸20と反対方向の回転が阻止されるようになっている。 また、上記第2遊星歯車装置34のキャリアCA2は、上記第3遊星歯車装置36のリングギヤR3と一体的に連結されており、第2クラッチC2を介して上記入力軸20に選択的に連結されると共に、第4ブレーキB4を介して上記ハウジング38に選択的に連結されるようになっており、更に第4ブレーキB4と並列に設けられた一方向クラッチF3により常に逆方向の回転が阻止されるようになっている。 そして、上記第3遊星歯車装置36のキャリアCA3は、出力軸40に一体的に連結されている。

    前記自動変速機16に備えられた第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3、及び第4ブレーキB4(以下、特に区別しない場合には単にクラッチC及びブレーキBという)は、何れも多板式のクラッチやブレーキ等、油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置である。 後述する図3に示すように、前記車両用動力伝達装置10は、上記複数のクラッチC及びブレーキBそれぞれに供給される油圧を制御する油圧制御装置82を備えており、その油圧制御装置82から供給される油圧に応じて各クラッチC及びブレーキBの係合状態(締結圧)が制御され、それらクラッチC及びブレーキBの係合及び解放に応じて前記自動変速機16において所定の変速段が成立させられるように構成されている。

    図2は、前記自動変速機16の各変速段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表であり、「○」は係合を、空欄は解放を、「△」はエンジンブレーキ時の係合をそれぞれ表している。 この図2に示すように、前記自動変速機16においては、第1クラッチC1及び第4クラッチC4(エンジンブレーキ時にはそれに加え第4ブレーキB4)の係合により第1速ギヤ段「1st」が、第1クラッチC1、第4クラッチC4、及び第3ブレーキB3(エンジンブレーキ時にはそれに加え第2ブレーキB2)の係合により第2速ギヤ段「2nd」が、第1クラッチC1、第3クラッチC3、第4クラッチC4、及び第3ブレーキB3(エンジンブレーキ時にはそれに加え第1ブレーキB1)の係合により第3速ギヤ段「3rd」が、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、及び第3ブレーキB3の係合により第4速ギヤ段「4th」が、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、及び第3ブレーキB3の係合により第5速ギヤ段「5th」が、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、及び第3ブレーキB3の係合により第6速ギヤ段「6th」が、それぞれ成立させられるようになっている。 また、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、及び第4ブレーキB4の係合により後進ギヤ段「Rev」が成立させられ、クラッチC、ブレーキBのいずれもが解放されることによりニュートラル状態となるように構成されている。

    図3は、前記エンジン12、トルクコンバータ14、及び自動変速機16等を制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図である。 この図3に示す電子制御装置80は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより前記エンジン12の出力制御を実行すると共に、油圧制御回路82を介して前記自動変速機16の変速制御を実行する。

    前記車両用動力伝達装置10において、運転者により踏み込み操作されるアクセルペダル42の操作量(踏込量)であるアクセル開度Accはアクセル開度センサ44により検出される。 また、前記エンジン12の吸気配管には、スロットルアクチュエータ46により制御されることでそのエンジン12のアイドル回転速度N EIDLを制御すると共に、アクセル開度Accに応じた開きすなわちスロットル開度θ THとされる電子スロットル弁48が設けられている。 また、前記エンジン12の回転速度N Eを検出するためのエンジン回転速度センサ50、そのエンジン12の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ52、吸入空気温度AIRを検出するための吸入空気温度センサ54、上記電子スロットル弁48の全閉状態(アイドル状態)及びそのスロットル開度θ THを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ56、前記出力軸40の回転速度N OUTに対応する車速Vを検出するための車速センサ58、前記エンジン12の冷却温T Wを検出するための冷却水温センサ60、常用ブレーキである図示しないフットブレーキの操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ62、シフトレバー76のレバーポジション(操作位置)P SHを検出するためのレバーポジションセンサ64、前記入力軸20の回転速度N INに対応するタービン回転速度N Tを検出するためのタービン回転速度センサ66、上記油圧制御回路82内の作動油の温度であるAT油温T OILを検出するためのAT油温センサ68、エンジン12の吸入空気圧P AIRを検出するための吸入空気圧センサ70、エンジン12内の潤滑油等として機能するエンジンオイルの油温T EOILを検出するためのエンジン油温センサ72、燃料中のアルコール濃度Eを検出するためのアルコール濃度センサ74、燃料の種類を検出するための燃料種検出センサ78、車両の加速度αを検出するための加速度センサ79、空気と燃料との重量比である空燃比A/Fを検出するA/Fセンサ81等が設けられており、それらのセンサやスイッチから、エンジン回転速度N E 、吸入空気量Q、吸入空気温度T A 、スロットル開度θ TH 、車速V、エンジン冷却水温T W 、ブレーキ操作の有無、シフトレバー76のレバーポジションP SH 、タービン回転速度N T 、AT油温T OIL 、アルコール濃度E、吸入空気圧P AIR 、エンジンオイルの油温T EOIL 、加速度α、空燃比A/F等を表す信号が電子制御装置80に供給されるようになっている。

    前記電子制御装置80は、前記アクセル開度センサ44により検出されるアクセル開度Accすなわちアクセルペダル42の踏込量に応じて前記エンジン12の出力制御を行う。 例えば、斯かるアクセル開度Accに応じた出力となるように上記スロットルアクチュエータ46により電子スロットル弁48を開閉制御する他、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁84を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置86を制御する。 上記電子スロットル弁48の制御では、予め定められた関係から実際のアクセル開度Accに基づいて上記スロットルアクチュエータ48を駆動し、そのアクセル開度Accが大きいほどスロットル開度θ THを増加させる。 また、前記エンジン12の始動時には、スタータ(電動モータ)88によりそのエンジン12のクランク軸18をクランキングさせる。

    また、前記電子制御装置80は、前記油圧制御回路82を介して前記自動変速機16の変速動作を制御する。 前記油圧制御回路82は、油圧制御弁であるソレノイド弁Sol1乃至Sol5、リニアソレノイド弁SL1、SL2、SLU、SLTを備えている。 これらソレノイド弁Sol1乃至Sol5、リニアソレノイド弁SL1、SL2、SLU、SLTは、前記油圧ポンプ30により発生させられる油圧から後述するプライマリレギュレータ弁92により調圧されるライン油圧P L1を共通の元圧として作動させられる電子制御弁である。 ソレノイド弁Sol1乃至Sol5、およびリニアソレノイド弁SL1、SL2は変速用であり、リニアソレノイド弁SLUは、主に前記ロックアップクラッチ28の係合・解放に関与し、リニアソレノイド弁SLTは、主にライン油圧を制御する。 なお、この油圧制御回路82内の作動油は、前記ロックアップクラッチ28へも供給され、また、前記自動変速機16等の各部の潤滑にも使用される。

    図4は、前記油圧制御回路82における一部の構成を例示する図である。 この図4に示すように、前記油圧制御回路82は、例えば、前述したソレノイド弁Sol1、Sol2、Sol3、リニアソレノイド弁SL1、SLT等の電磁制御弁に加え、プライマリレギュレータ弁92、マニュアル弁94、アキュムレータコントロール弁96、1−2シフト弁98、3−4シフト弁100、2−3・5−6シフト弁102、第1アキュムレータ104、第2アキュムレータ106、及び第3アキュムレータ108等を備えている。

    図4に示す油圧制御回路82では、前記エンジン12の回転に従って駆動される前記油圧ポンプ30によりストレーナ90に還流した作動油が所定の油圧にて圧送される。 上記プライマリレギュレータ弁92は、前記油圧ポンプ30から供給される油圧を元圧としてライン油圧P L1を調圧し、前記ソレノイド弁Sol1、Sol2、Sol3、リニアソレノイド弁SL1、SLT、マニュアル弁94、アキュムレータコントロール弁96等へ供給する。 また、上記プライマリレギュレータ弁92により調圧されたライン油圧P L1は、上記マニュアル弁94を介して上記1−2シフト弁98、3−4シフト弁100、及び2−3・5−6シフト弁102へ供給される。

    前記アキュムレータコントロール弁96は、前記リニアソレノイド弁SL1から供給される制御圧P SLTに応じて、前記プライマリレギュレータ弁92から供給されるライン油圧P L1を元圧として、前記リニアソレノイド弁SL1、SLTから供給される制御圧P SL1 、P SLTに応じたアキュムレータ圧P Aを調圧し、前記第1アキュムレータ96、第2アキュムレータ98、及び第3アキュムレータ100それぞれに背圧として供給する。 すなわち、本実施例の油圧制御回路82においては、前記第1アキュムレータ96、第2アキュムレータ98、及び第3アキュムレータ100の背圧は、前記アキュムレータコントロール弁94(リニアソレノイド弁SL1、SLT)により一元的に制御される。

    前記1−2シフト弁98は、前記ソレノイド弁Sol1から供給される制御圧P Sol1に応じて、前記マニュアル弁94から供給される油圧(ライン油圧P L1 )の前記第3ブレーキB3(及び第3アキュムレータ108)への供給、非供給(遮断)を切り換える。 また、前記3−4シフト弁100は、前記ソレノイド弁Sol3から供給される制御圧P Sol3に応じて、前記マニュアル弁94から供給される油圧の前記第2クラッチC2(及び第1アキュムレータ104)への供給、非供給を切り換える。 また、前記2−3・5−6シフト弁102は、前記ソレノイド弁Sol2から供給される制御圧P Sol2
    に応じて、前記マニュアル弁94から供給される油圧の前記第3クラッチC3(及び第2アキュムレータ106)への供給、非供給を切り換える。

    図5は、電子制御装置80の制御作動の要部(すなわち油圧制御装置の制御作動の要部)を説明する機能ブロック線図である。 変速制御手段120は、例えば、車速Vとアクセル開度Accとを変数として予め記憶されたアップシフト線およびダウンシフト線を有する関係(変速線図、変速マップ)から実際の車速Vおよびアクセル開度Accで示される車両状態に基づいて、自動変速16の変速を実行すべきか否かを判断しすなわち自動変速部16の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部16の自動変速制御を実行する。

    このとき、変速制御手段120は、例えば図2に示す係合表に従って変速段が達成されるように、自動変速部16の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる指令(変速出力指令、油圧指令)を、すなわち自動変速部16の変速に関与する解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合することによりクラッチツウクラッチ変速を実行させる指令を油圧制御回路82へ出力する。 油圧制御回路82は、その指令に従って、例えば解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合して自動変速部16の変速が実行されるように、油圧制御回路内の各ソレノイドバルブを作動させてその変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを作動させる。

    ロックアップ制御手段122は、例えば車速Vとアクセル開度Accとを変数として予め記憶されたロックアップ領域図から実際の車速Vおよびアクセル開度Accに基づいて、ロックアップクラッチ28を係合させるか否かを判定する。 そして、現在の走行状態がロックアップ領域にあると判定されると、ロックアップクラッチ28の係合制御を実施する。

    エンジン出力制御手段124は、エンジン12の出力制御の為にエンジン出力制御信号、例えばスロットル信号や噴射信号や点火時期信号などをそれぞれスロットルアクチュエータ46や燃料噴射装置84や点火装置86へ出力する。 例えばエンジン出力制御手段124は、アクセル開度Accに応じたスロットル開度θ THとなるように電子スロットル弁48を開閉するスロットル信号をスロットルアクチュエータ46へ出力してエンジントルクを制御する。

    油圧変更手段126は、自動変速機16の変速時における変速ショックが小さくなるように係合油圧Ptを変更(補正)する。 また、係合ショック検出128は、自動変速機16の変速ショックを検出する。 図6は、自動変速機16の第2速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速時において発生する変速ショックを一例として説明するタイムチャートである。 t1時点において、車両の走行状態に基づいて第2速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速指令が出力されると、係合側の油圧式摩擦係合装置(具体的にはクラッチC3)の係合油圧Pt(指令油圧)が一時的に引き上げられた後、所定の待機圧に制御される。 そして、t2時点では、自動変速機16のイナーシャ相が開始される。 これに伴い、エンジン回転速度N Eおよびタービン回転速度N Tが引き下げられる。 また、このイナーシャ相中の車両の加速度αは、図6に示す挙動を示し、この加速度の変化量Δαに応じて変速ショックの大きさが変化する。 具体的には、加速度の変化量Δαが大きくなるに従い、変速ショックが大きくなる。 なお、本実施例の係合油圧Ptが、本発明の所定の制御油圧に対応している。

    ここで、この加速度の変化量Δαは、摩擦係合装置の係合油圧Ptを制御することで変化する。 例えば、油圧式摩擦係合装置の係合油圧Ptを一点鎖線に示すように高く設定すると、加速度の変化量Δαが大きくなって変速ショックが大きくなる。 また、油圧式摩擦係合装置の係合油圧Ptを2点鎖線に示すように低く設定すると、加速度の変化量Δαは小さくなって変速ショックが小さくなる一方、イナーシャ相時間(t2〜t3)が長くなり、運転者に変速フィーリングの違和感を与えることとなる。 そこで、加速度の変化量Δαの目標値α1が予め設定されている。 この目標値α1は、例えば実験或いは計算等によって求められ、変速ショックが低減され、且つ、運転者の変速フィーリングに違和感を与えないような好適な数値に設定されている。 そして、油圧変更手段126は、加速度の変化量Δαがその目標値α1となるように係合油圧Ptを変更する。

    具体的には、係合ショック検出手段128は、自動変速機16が変速されると、例えば加速度センサ79によって検出される加速度αに基づいて、加速度αの変化量Δαを検出する。 そして、油圧変更手段126は、検出された加速度αの変化量Δαと目標値α1とを比較し、その差などに基づいて次回の変速時において目標となる係合油圧Ptを決定し、記憶手段130に予め記憶されている係合油圧Ptを、決定された新しい係合油圧Ptに油圧補正する。 言い換えれば、油圧変更手段126は、変速ショックの目標(目標値α1)に基づいて係合油圧Ptを変更する油圧学習を実施する。 これにより、自動変速機16の変速時の係合油圧Pt(指令油圧)が前記油圧学習によって逐次変更されることで、変速ショックが好適に抑制される。 また、係合油圧Ptが外気状態や装置の経時劣化などのそれぞれの要因毎の影響を考慮することなく、変速ショックが抑制される好適な油圧に変更される。

    ところで、本実施例のエンジン12は、使用される燃料がガソリンだけでなく、例えばガソリンとアルコールとの混合燃料など、他の燃料が使用可能に構成されている。 上記構成は、公知技術であるが、例えば燃料給油の際に前回の燃料とは異なる燃料が供給されると、エンジン12の燃焼室内の燃焼状態が変化するなどして、エンジン12の出力特性が変化する。 この状態で、自動変速機16の変速が実施されると、エンジン12の出力トルクが変化することから、変速時に発生する変速ショックが大きくなることがある。 そこで、油圧変更手段126による学習制御が実施されることで、係合油圧Ptが変速される度に油圧補正(油圧学習)されて徐々に好適な油圧に変更されるが、変速に伴う前記油圧補正(油圧学習)による1回あたりの補正量(学習量)が小さいと、係合油圧Ptが好適な値に達するまでに時間(変速回数)がかかり、変速ショックが発生しやすくなる可能性があった。

    そこで、本実施例では、エンジン12の出力の大きさに関する環境が変化したことを検出する環境検出手段132を備えており、前記環境が検出されると、油圧変更手段126による油圧補正量(油圧学習量)を変更する。 具体的には、油圧変更手段126は、前記環境の変化を検出してからの自動変速機16の変速回数が少ないといは、多いときよりも1回あたりの係合油圧Ptの変更する量(油圧補正量、油圧学習量)を大きくする。 以下、本制御について詳細に説明する。

    前記環境検出手段132は、例えば、エンジン12に供給される燃料の種類を検出することで、エンジン12の出力の大きさに関する環境の変化を検出する。 また、環境検出手段132は、例えば、エンジン12に供給される燃料がガソリンとアルコールとの混合燃料であったとき、そのアルコール濃度を検出することで、エンジン12の出力の大きさに関する環境の変化を検出する。 すなわち、本実施例における環境の変化とは、燃料の種類の変化、並びにアルコール混合燃料のアルコール濃度変化が対応している。 言い換えれば、燃料の種類およびアルコール濃度が変化するとエンジン12の出力特性が変化することから、上記変化を検出する。 なお、燃料の種類を検出する燃料種検出センサ78およびアルコール濃度センサ74は、公知のセンサが使用され、例えば燃料の比重や静電容量等に基づいて検出する。 また、エンジン12のアイドル回転時の回転速度N EIDLや空燃比A/F等を検出することで判定するものであっても構わない。

    そして、環境検出手段132によって環境の変化が検出されると、油圧変更手段126は、先ず、環境変化検出後最初に自動変速機16が変速される際の加速度αの変化量Δαと目標値α1とを比較し、その差が予め設定されている閾値βよりも大きいか否かを判定する。 ここで、変化量Δαと目標値α1との差が閾値β以下であれば、油圧変更手段126の実施が不要と判定され、係合油圧Ptの油圧補正が実施されない。 なお、閾値βは、予め実験または計算などによって求められ、変化量Δαと目標値α1とが略等しくなる値すなわち零に近い数値に設定されている。

    一方、前記変化量Δαと目標値α1との差が閾値βを超えると、油圧変更手段126は、前記環境変化を検出してからの学習回数(変速回数)が所定回数Fよりも少ないか否かを判定する。 そして、実際の変速回数が所定回数Fよりも少ないとき、本発明の要部である環境変化の検出時の係合油圧Ptの油圧補正(油圧学習)が実施される。 すなわち、油圧変更手段126は、変速回数が所定回数Fよりも少ないとき、1回あたりの係合油圧Ptの変更する量(補正量、学習量)を大きくする。 具体的には、通常時に予め設定されている油圧の通常補正量に対して、例えば、補正量を増大させるために予め求められたゲインGを設定することで、通常の補正量よりも大きな補正量に設定(油圧高速学習)する。 なお、前記ゲインGは予め実験などによって補正量が大きくなる数値に設定され、一定の定数、もしくは前記変化量Δαと目標値α1との差、或いは変速回数等を変数とするゲインマップ等に応じて変化する値であっても構わない。 また、所定回数Fは、予め設定実験などに基づいて設定され、係合油圧Ptが迅速に変速ショックが抑制される油圧に近づくとされる数値に設定されている。

    図7は、環境変化(燃料状態)の検出時における油圧変更手段126の係合油圧Ptの油圧補正を説明する図である。 ここで、実線が従来の油圧補正を示しており、破線が本発明の油圧補正を示している。 なお、図7では、一例として、燃料中のアルコール濃度変化が検出されたときの油圧補正が示されている。 ta時点において、アルコール濃度変化が検出されると、その時点を基準として変速回数のカウントが開始される。 ここで、ta時点〜tb時点においては、変速回数が少ないため、ゲインGの設定に従って油圧補正量が多くなる。 これにより、油圧補正値が補正値C1まで迅速に引き上げられることとなる。 なお、図7に示す油圧補正値は、直線的に示されているが、実際には変速に応じて段階的に引き上げられている。 そして、変速回数がFを越えると、従来の補正量に変更されることなる。 図においては、tb時点〜tc時点までの間が従来の油圧補正に対応している。 ここで、目標となる油圧補正値がCPであるとすると、従来ではtd時点において到達するのに対し、本発明ではtc時点に到達することとなる。 すなわち、少ない変速回数において、目標となる油圧補正値CPに近づくので、変速ショックが小さくなる。 なお、目標となる油圧補正値CPは、加速度の変化量Δαが目標値α1となる油圧に対応している。

    図8は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわちエンジン12の出力の大きさに関する環境の変化(具体的には燃料の種類の変化、並びにアルコール濃度変化)が検出されたときの油圧補正(油圧学習)の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実施されるものである。

    まず、環境検出手段132に対応するステップSA1(以下、ステップを省略)において、燃料中のアルコール濃度変化が生じたか否か、或いは燃料の種類が変化したが否かが判定される。 SA1が否定されると、エンジン12の出力特性の変化が生じないものと判定され、油圧変更手段126に対応するSA6において、従来の係合油圧Ptの油圧補正が実施される。

    SA1が肯定されると、油圧変更手段126に対応するSA2において、変速ショック目標に追従するための油圧補正を実施する必要があるか否かが判定される。 本実施例では、例えば加速度αの変化量Δαと目標値α1とを比較し、その差が閾値βを越えるか否かに基づいて判定される。 SA2が否定される、すなわち前記差が閾値β以下であるとき、油圧補正を実施する必要がないとされ、本ルーチンが終了させられる。

    SA2が肯定されると、油圧変更手段126に対応するSA3において、前記アルコール濃度変化もしくは燃料種の変化検出から自動変速機16の変速回数が所定回数Fよりも少ないか否かが判定される。 SA3が否定されると、油圧変更手段126に対応するSA5において、従来の油圧補正(通常学習)が実施される。 一方、SA3が肯定されると、油圧変更手段126に対応するSA4において、ゲインGを適宜設定することによって油圧補正量を大きくした油圧補正(高速学習)が実施される。

    上述のように、本実施例によれば、係合ショック検出手段128によって実際に発生する変速ショックを検出し、その変速ショックの大きさが小さくなるように係合油圧Ptを変更するため、変速ショックが最小となる油圧に収束させていくことができる。 すなわち、直接的に検出された係合ショックに基づいて係合油圧Ptを変更するため、外気状態や経時劣化等に影響されることなく、係合ショックが最小となる油圧に収束させていくことができる。 また、環境の変化を検出してからの変速回数Fが少ないときは、多いときよりも1回あたりの前記係合油圧Ptの変更する量を大きくするため、変速ショックが大きくなる可能性が高い環境変化直後は変速ショックが小さくなる油圧に迅速に近づけることができる。

    また、本実施例によれば、前記環境は燃料状態であり、環境検出手段132は燃料状態を検出するため、検出された燃料状態の変化に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、係合油圧Ptを変速ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、本実施例によれば、前記燃料状態は燃料の種類であり、環境検出手段132は前記燃料の種類を検出するため、検出された燃料の種類に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、係合油圧Ptを変速ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、本実施例によれば、前記燃料状態はアルコールの濃度であり、環境検出手段132は前記アルコールの濃度を検出するため、検出されたアルコールの濃度に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、係合油圧Ptを変速ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、本実施例によれば、油圧変更手段126は、自動変速機16の油圧式摩擦係合装置(クラッチC、ブレーキB)に供給される係合油圧Ptであるため、自動変速機16の変速時の変速ショックを効果的に低減することができる。

    つぎに、本発明の他の実施例を説明する。 なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。

    本実施例の油圧変更手段126は、エンジン12の出力の大きさに関する環境の変化を検出してからの係合油圧Ptの変更された量(油圧補正量、油圧学習量)の合計が少ないときは、多いときよりも係合油圧Ptの変更する量を大きくする。 なお、本実施例においても、エンジン12の出力の大きさに関する環境の変化とは、エンジン12に使用される燃料の種類の変化、並びに燃料中のアルコール濃度の変化が対応しているものとする。

    例えば、図7において、ta時点で燃料のアルコール濃度の変化(環境の変化)が検出されると、その時点での係合油圧Ptを基準としてゲインGに基づく油圧補正(高速油圧学習)が開始される。 そして、自動変速機16の変速が繰り返されるに従い油圧補正値が通常よりも迅速にに高くなる(ta〜tb)。 ここで、係合油圧Ptの変更された量の合計ΔC(C1−C0)が所定の閾値Dを越えると、油圧変更手段126は、通常の油圧補正(通常油圧学習)に切り換える(tb〜tc)。 このように、環境変化検出後からの係合油圧Ptの変更された量の合計ΔCに応じてゲインGを設定しても、迅速に変速ショックが小さくなる目標となる油圧に近づけることができる。 なお、所定の閾値Dは、予め実験などによって設定され、係合油圧Ptが目標となる油圧に近づくとされる値に設定される。

    図9は、本実施例における電子制御装置80の制御作動の要部を説明する他のフローチャートであり、図8に対応するものである。 図9では、図8のステップSA3が本実施例に対応するステップSA3−1に変更されるのみあであり、他のステップは前述の実施例と同様であるため、その説明を省略する。 油圧変更手段126に対応するSA3−1では、燃料の種類の変化または燃料中のアルコール濃度の変化が検出された時点を基準として、油圧の変更された量(油圧補正量)の合計ΔCが所定の閾値D以下か否かが判定される。 そして、SA3−1が肯定される、すなわち補正量の合計ΔCが閾値D以下であれば、SA4において、設定されたゲインGに基づく油圧補正(高速油圧学習)が実施される。 一方、SA3−1が否定されると、SA5において、通常の油圧補正(通常油圧学習)が実施される。

    上述のように、本実施例によれば、係合ショック検出手段128によって実際に発生する変速ショックを検出し、その変速ショックの大きさが小さくなるように係合油圧Ptを変更するため、変速ショックが最小となる油圧に収束させていくことができる。 すなわち、直接的に検出された係合ショックに基づいて係合油圧Ptを変更するため、外気状態や経時劣化等に影響されることなく、係合ショックが最小となる油圧に収束させていくことができる。 また、環境の変化を検出してから係合油圧Ptの変更された量(油圧補正量)の合計が少ないときは多いときよりも係合油圧Ptを変更する量を大きくするため、変速ショックが大きくなる可能性が高い環境変化直後は変速ショックが小さくなる油圧に迅速に近づけることができる。

    前述の実施例において、エンジン12の出力の大きさに関する環境として、燃料の種類および燃料中のアルコール濃度が対応していたが、前記環境は、燃料状態に限定されず、例えばエンジンオイルの油温T OIL 、外気状態(エンジン12への吸入空気温度T AIR 、吸入空気圧P AIR )も同様に該当する。 これに従い、環境検出手段132は、エンジンオイルの油温T OIL 、吸入空気温度T AIR 、或いは吸入空気圧P AIRを検出し、その変化量がそれぞれの環境(エンジンオイルの油温T OIL 、吸入空気温度T AIR 、吸入空気圧P AIR )毎に設定された閾値(TH1〜TH3)を超えるなどしたとき、エンジン12の出力特性が変化したものと判定する。 これに従って、油圧変更手段126は、各環境の変化に応じて予め設定されたゲインGに基づいて、油圧補正(油圧学習)が実施を実施する。

    図10乃至図12は、前述した図8および図9のフローチャートにおいて、ステップSA1をエンジン油温変化(SA1−1)、吸入空気温度変化(SA1−2)、および吸入空気圧変化(SA1−3)にそれぞれ変更し、そのステップSA1の部分のみ記載したものである。 なお、ステップSA2以降においては、前述の実施例と同様であるため、その説明を省略する。

    図10のステップSA1−1では、検出されたエンジンオイルの油温T OILの変化量が予め設定された所定の閾値TH1を越えるか否かが判定される。 そして、SA1−1が肯定されると、SA2およびSA3が共に肯定されることにより、予め設定されたゲインGに基づいて油圧補正(高速油圧学習)が実施される。 一方、SA1−1が否定されると、通常の油圧補正が実施されることとなる。

    図11のステップSA1−2では、検出された吸入空気の温度T AIRの変化量が予め設定された所定の閾値TH2を越えるか否かが判定される。 そして、SA1−2が肯定されると、SA2およびSA3が共に肯定されることにより、予め設定されたゲインGに基づいて油圧補正(高速油圧学習)が実施される。 一方、SA1−2が否定されると、通常の油圧補正が実施されることとなる。

    図12のステップSA1−3では、検出された吸入空気の気圧P AIRの変化量が予め設定された所定の閾値TH3を越えるか否かが判定される。 そして、SA1−3が肯定されると、SA2およびSA3が共に肯定されることにより、予め設定されたゲインGに基づいて油圧補正(高速油圧学習)が実施される。 一方、SA1−3が否定されると、通常の油圧補正が実施されることとなる。

    ここで、各環境の変化に応じて設定される閾値TH1乃至TH3は、予め実験などにより設定され、それぞれエンジン12の出力特性の変化が顕著に生じるような値に設定される。

    上述のように、本実施例によれば、環境検出手段132は、エンジンオイルの油温T OILを検出するため、検出された油温T OILに基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、油圧変更手段126によりゲインGを設定することで、係合油圧Ptを変速ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる

    また、本実施例によれば、前記環境は外気状態であり、環境検出手段132は外気状態を検出するため、検出された外気状態に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、油圧変更手段126によりゲインGを設定することで、係合油圧Ptを変速ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、本実施例によれば、外気状態は吸入空気の温度T AIR (気温)であり、環境検出手段132は吸入空気の温度T AIRを検出するため、検出された温度に基づいて、環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、油圧変更手段126によりゲインGを設定することで、係合油圧Ptを変速ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、本実施例によれば、外気状態は気圧であり、環境検出手段132は吸入空気圧P AIRを検出するため、検出された吸入空気圧P AIRに基づいて、前記環境の変化を検出することができる。 これに基づいて、油圧変更手段126によりゲインGを設定することで、係合油圧Ptを変速ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    前述の実施例の油圧変更手段126においては、自動変速機16の油圧式摩擦係合装置に供給される係合油圧Ptが自動変速機16の変速に応じて変更(油圧補正)されたが、本実施例では、所定の制御油圧としてライン油圧P L1を自動変速機16の変速に応じて変更する。 ライン油圧P L1は、ソレノイド弁Sol1乃至Sol5、リニアソレノイド弁SL1、SL2、SLU、SLTの共通の元圧として供給される。 すなわち、自動変速機16の各油圧式摩擦係合装置の係合油圧Ptは、ライン油圧P L1を元圧とすることから、ライン油圧P L1を油圧変更手段126によって変速ショックが抑制される油圧に変更することで上述した実施例と同様の効果が得られる。

    上述のように、本実施例によれば、油圧変更手段126は、自動変速機16の変速制御の際に元圧となるライン油圧P L1を変更するため、自動変速機16の変速時の変速ショック効果的に低減することができる。

    以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。

    例えば、前述の実施例では、油圧変更手段126は、自動変速機16の変速回数、或いは油圧の変更量の合計に基づいてゲインGを設定するものであったが、本実施例の油圧変更手段126は、エンジン12の出力の大きさに関する環境(燃料状態、油温、外気状態等)に変化が生じた場合において、前述した加速度αの変化量Δαと目標値α1との差が閾値TS4を越えるとき、係合油圧Ptの変更する量を大きくするゲインGを設定しても構わない。 例えば、図7において、ta時点で燃料のアルコール濃度の変化が検出されると、その時点を基準として、自動変速機16の変速毎に検出される加速度αの変化量Δαと目標値α1との差が閾値以上であるか否かを判定し、差が閾値TH4以上であれば、油圧変更手段126は、ゲインGを設定して油圧補正量を大きくする。 そして、その差が閾値以下となると、通常の油圧補正に切り換える。 上記なような制御を実施しても前述の実施例と同様の効果が得られ、係合油圧Ptを変速ショックが小さくなる油圧まで迅速に近づけることができる。

    また、前述の実施例では、自動変速機16の変速に基づいて油圧変更手段126によって係合油圧Pt(またはライン油圧P L1 )が変更されているが、本発明は自動変速機16の変速制御に限定されず、例えば、自動変速機16のガレージ制御ならびにニュートラル制御、さらには、ロックアップクラッチ28のフレックス制御など、油圧によって係合状態を制御するものであれば、他の態様においても本発明を適用することができる。 なお、ロックアップクラッチ28に供給される油圧は、自動変速機16の油圧制御回路82から供給されるものであるため、本発明の所定の制御油圧に含まれるものとする。

    また、前述の実施例では、自動変速機16の第2速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速制御を一例に本発明の説明が為されているが、変速段は上記に限定されるものではなく、全て変速段について適用することができる。

    また、前述の実施例では、環境の変化として、燃料の種類、アルコール濃度、エンジンオイルの油温T EOIL 、気温T AIR 、ならびに気圧P AIRに基づいて、環境の変化(エンジン12の出力の変化)が検出されているが、例えば、エンジン水温など、エンジン12の出力特性を変化させるものであれば、他のパラメータに基づいて環境の変化を検出するものであっても構わない。

    また、前述の実施例では、変速ショックの検出手段として、加速度センサ79が使用されているが、例えば車速センサ58によって車速Vを検出し、その変化量を算出することで、加速度αを検出し、変速ショックを検出しても構わない。

    また、前述の実施例において、自動変速機16の構成は特に限定されるものではなく、自由に変更することができる。 また、ベルト式無段変速機などの変速比が無段階的に変更される構成であっても本発明を適用することができる。

    なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。

    本発明が好適に適用される車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。

    前記自動変速機の各変速段を成立させるためのクラッチ及びブレーキの係合作動を説明する係合表である。

    前記エンジン、トルクコンバータ、及び自動変速機等を制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図である。

    油圧制御回路における一部の構成を例示する図である。

    電子制御装置の制御作動の要部を説明する機能ブロック線図である。

    自動変速機の第2速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速時において発生する変速ショックを一例として説明するタイムチャートである。

    環境変化(燃料状態)の検出時における油圧変更手段の係合油圧の油圧補正を説明する図である。

    電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジンの出力の大きさに関する環境の変化が検出されたときの油圧補正(油圧学習)の制御作動を説明するフローチャートである。

    本実施例における電子制御装置の制御作動の要部を説明する他のフローチャートであり、図8に対応するものである。

    図8および図9のフローチャートにおいて、ステップSA1をエンジン油温変化に変更し、そのステップSA1−1の部分のみ記載したものである。

    図8および図9のフローチャートにおいて、ステップSA1を吸入空気温度変化に変更し、そのステップSA1−2の部分のみ記載したものである。

    図8および図9のフローチャートにおいて、ステップSA1を吸入空気圧変化に変更し、そのステップSA1−3の部分のみ記載したものである。

    符号の説明

    12:エンジン(内燃機関)
    16:自動変速機 128:係合ショック検出手段 126:油圧変更手段 132:環境検出手段 C1〜C4:クラッチ(油圧式摩擦係合装置)
    B1〜B4:ブレーキ(油圧式摩擦係合装置)
    Pt:係合油圧(所定の制御油圧)
    L1 :ライン油圧(所定の制御油圧)