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油圧制御装置

申请号 JP2016087905 申请日 2016-04-26 公开(公告)号 JP6787686B2 公开(公告)日 2020-11-18
申请人 株式会社SUBARU; 发明人 吉川 朝翔;
摘要
权利要求

車両における変速機の潤滑油について油圧制御を行う油圧制御装置であって、 前記油圧を調圧する調圧部と、 前記車両の運転者による加速意思の有無に相関する加速意思相関情報に基づいて前記加速意思の有無を判定し、前記加速意思が無いと判定したことを条件として前記油圧を前記調圧部により上昇させる制御を行う制御部と、を備え、 前記調圧部は、 前記変速機への前記潤滑油の供給源とされエンジンの動に基づき駆動されるオイルポンプと、前記オイルポンプから吐出され前記変速機に供給される前記潤滑油について油圧制御を行う油圧制御弁とを有し、前記油圧制御弁の開閉により前記潤滑油の排出量が調整されることで油圧を制御して前記変速機の変速比を制御し、 前記制御部は、 前記車両の走行中に前記加速意思が無いと判定したことを条件として、前記油圧制御弁により前記油圧を上昇させる制御と共に前記変速機の変速比を大きくする制御を行う 油圧制御装置。車両における変速機の潤滑油について油圧制御を行う油圧制御装置であって、 前記油圧を調圧する調圧部と、 前記車両の運転者による加速意思の有無に相関する加速意思相関情報に基づいて前記加速意思の有無を判定し、前記加速意思が無いと判定したことを条件として前記油圧を前記調圧部により上昇させる制御を行う制御部と、を備え、 前記調圧部は、 前記変速機への前記潤滑油の供給源とされエンジンの動力に基づき駆動されるオイルポンプと、前記オイルポンプから吐出され前記変速機に供給される前記潤滑油について油圧制御を行う油圧制御弁とを有し、前記油圧制御弁の開閉により前記潤滑油の排出量が調整されることで油圧を制御して前記変速機の変速比を制御し、 前記制御部は、 前記車両の走行中に前記車両の走行路勾配を表す情報に基づき、前記車両が下り坂を走行中であると判定したことをさらなる条件として前記油圧を上昇させる制御を行う 油圧制御装置。前記制御部は、 前記潤滑油の温度が一定温度以下であると判定したことをさらなる条件として前記油圧を上昇させる制御を行う 請求項1又は請求項2に記載の油圧制御装置。前記制御部は、 前記車両の外気温が一定温度以下であると判定したことをさらなる条件として前記油圧を上昇させる制御を行う 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の油圧制御装置。前記制御部は、 前記加速意思の有無をアクセルペダル又はブレーキペダルの操作情報、又は前記車両に設けられたエンジンのフューエルカットの実行有無を表す情報の少なくとも何れかに基づいて判定する 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の油圧制御装置。前記制御部は、 前記車両の走行速度である車速が一定速度以上であると判定したことをさらなる条件として前記油圧を上昇させる制御を行う 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の油圧制御装置。前記制御部は、 前記変速比が一定値以下であると判定したことをさらなる条件として前記変速比を大きくする制御を行う 請求項1に記載の油圧制御装置。

说明书全文

本発明は、車両における変速機の潤滑油について油圧制御を行う油圧制御装置に関するものであり、特には、潤滑油の温度上昇を促進させる技術分野に関する。

車両における変速機を潤滑するための潤滑油は、低温時に粘度が高く、変速機における回転要素の抵抗成分となる。このため、低温時には変速機の動伝達効率が比較的大きく低下する傾向となり、特にエンジンを車輪の駆動源として備える車両においては燃費悪化が問題となる。

下記特許文献1においては、低温始動後の走り出し直後の変速制御における変速ショックを緩和させるために、変速機のオイルポンプから高温の潤滑油を吐出することが開示されている。特に、特許文献1においては、オイルポンプから吐出する潤滑油の吐出圧を増すことで変速機に供給される吐出油の温度をさらに高めることが開示されている。

特開2006−52771号公報

上記のように特許文献1においては、低温時に対応して、オイルポンプからの潤滑油吐出圧を増して潤滑油の温度上昇を促進させることが開示されているが、該特許文献1においては、温度上昇の促進を車両の停止中に行うことのみを想定しており、走行中に行うことは想定されていない。

停止中のみでなく走行中においても油温上昇を促進することで、油粘度をより早期に低下させることができる。すなわち、低温に起因して動力伝達効率が低下している状態をより早期に解消できる。

但し、オイルポンプからの潤滑油吐出圧を上昇させること、すなわち変速機における油攪拌抵抗を増大させることによっては、運転者が加速感について違和感を抱く等、ドライバビリティの低下を招く虞がある。

そこで、本発明は、低温に起因した変速機の動力伝達効率低下状態がより早期に解消されるように図りつつ、ドライバビリティの低下抑制を図ることを目的とする。

本発明に係る第1の油圧制御装置は、車両における変速機の潤滑油について油圧制御を行う油圧制御装置であって、前記油圧を調圧する調圧部と、前記車両の運転者による加速意思の有無に相関する加速意思相関情報に基づいて前記加速意思の有無を判定し、前記加速意思が無いと判定したことを条件として前記油圧を前記調圧部により上昇させる制御を行う制御部と、を備え、前記調圧部は、前記変速機への前記潤滑油の供給源とされエンジンの動力に基づき駆動されるオイルポンプと、前記オイルポンプから吐出され前記変速機に供給される前記潤滑油について油圧制御を行う油圧制御弁とを有し、前記油圧制御弁の開閉により前記潤滑油の排出量が調整されることで油圧を制御して前記変速機の変速比を制御し、前記制御部は、前記車両の走行中に前記加速意思が無いと判定したことを条件として、前記油圧制御弁により前記油圧を上昇させる制御と共に前記変速機の変速比を大きくする制御を行うものである。

これにより、車両が走行中であっても、運転者に加速の意思が有ると推定される場合には、潤滑油の油圧を上昇させる油圧上昇制御が行われないように図られる。 また、変速比を大きくする制御が行われることで、エンジン回転数の上昇に伴いオイルポンプからの潤滑油の吐出圧が上昇する。つまり、このようなオイルポンプ吐出圧の上昇により、油圧制御弁による油圧上昇をアシストすることが可能とされる。 また、変速比を大きくすると変速機における回転要素の回転数も高まり、この点でも油攪拌抵抗の増大効果を得ることが可能とされる。

上記した本発明に係る油圧制御装置においては、前記制御部は、前記潤滑油の温度が一定温度以下であると判定したことをさらなる条件として前記油圧を上昇させる制御を行うことが可能である。 これにより、潤滑油の粘度が一定粘度未満に低下してもなお油圧上昇制御が行われてしまうことの防止を図ることが可能とされる。

上記した本発明に係る油圧制御装置においては、前記制御部は、前記車両の外気温が一定温度以下であると判定したことをさらなる条件として前記油圧を上昇させる制御を行うことが可能である。 これにより、外気温が或る程度高く、意図的な油温上昇を行わずとも比較的短い時間で油粘度が一定粘度未満に低下する可能性が高い場合において、無闇に油攪拌抵抗を上昇させる制御が行われてしまうことの防止を図ることが可能とされる。

上記した本発明に係る油圧制御装置においては、前記制御部は、前記加速意思の有無をアクセルペダル又はブレーキペダルの操作情報、又は前記車両に設けられたエンジンのフューエルカットの実行有無を表す情報の少なくとも何れかに基づいて判定することが可能である。 上記の各情報は、運転者の加速意思有無を表す情報として好適であり、加速意思が無い場合に対応して油圧上昇制御を行うことの確実性を高めることが可能とされる。

上記した本発明に係る油圧制御装置においては、前記制御部は、前記車両の走行速度である車速が一定速度以上であると判定したことをさらなる条件として前記油圧を上昇させる制御を行うことが可能である。 低車速域において油攪拌抵抗を増大させると運転者に車速の低下が知覚され易くなり、ドライバビリティの低下を助長する虞がある。このため、上記のように車速が一定速度以上であることをさらなる条件とすることで、油攪拌抵抗の増大に伴う車速の低下が運転者に知覚され難くなるように図っている。

本発明に係る第2の油圧制御装置は、車両における変速機の潤滑油について油圧制御を行う油圧制御装置であって、前記油圧を調圧する調圧部と、前記車両の運転者による加速意思の有無に相関する加速意思相関情報に基づいて前記加速意思の有無を判定し、前記加速意思が無いと判定したことを条件として前記油圧を前記調圧部により上昇させる制御を行う制御部と、を備え、前記調圧部は、前記変速機への前記潤滑油の供給源とされエンジンの動力に基づき駆動されるオイルポンプと、前記オイルポンプから吐出され前記変速機に供給される前記潤滑油について油圧制御を行う油圧制御弁とを有し、前記油圧制御弁の開閉により前記潤滑油の排出量が調整されることで油圧を制御して前記変速機の変速比を制御し、前記制御部は、前記車両の走行中に前記車両の走行路勾配を表す情報に基づき、前記車両が下り坂を走行中であると判定したことをさらなる条件として前記油圧を上昇させる制御を行うものである。 これにより、車両が走行中であっても、運転者に加速の意思が有ると推定される場合には、潤滑油の油圧を上昇させる油圧上昇制御が行われないように図られる。 また、車両が下り坂を走行中である場合は、油圧上昇制御に伴う油攪拌抵抗の増大に起因した車両の減速感が運転者に知覚され難い。このため、上記のように下り坂を走行中であることをさらなる条件とすることで、油攪拌抵抗の増大に伴う車速の低下が運転者に知覚され難くなるように図っている。

上記した本発明に係る油圧制御装置においては、前記制御部は、前記変速比が一定値以下であると判定したことをさらなる条件として前記変速比を大きくする制御を行うことが可能である。 変速比が或る程度大きい(ローギヤ側)状態で変速比を大きくする制御が行われると、運転者に変速ショックが知覚され易く、ドライバビリティを大きく低下させる可能性が高まる。上記のように変速比が一定値以下(ハイギヤ側)であることを条件とすることで、変速ショックを知覚され難くすることが可能となる。

本発明によれば、低温に起因した変速機の動力伝達効率低下状態がより早期に解消されるように図りつつ、ドライバビリティの低下抑制を図ることができる。

本発明に係る実施の形態としての油圧制御装置を備えた車両1の構成概要を示した図である。

変速機の作動油(潤滑油)に関する油圧回路の構成概要を説明するための図である。

実施の形態としての油圧制御に係る処理を示したフローチャートである。

実施の形態としての油圧制御の他の例に係る処理を示したフローチャートである。

<1.車両の構成概要> 図1は、本発明に係る実施の形態としての油圧制御装置を備えた車両1の構成概要を示した図である。なお、図1では、車両1の構成のうち主に本発明に係る要部の構成のみを抽出して示している。 車両1は、例えばガソリンエンジン等の内燃機関であるエンジン10と、クラッチ機能とトルク増幅機能を持つトルクコンバータ11と、トルクコンバータ11を介して伝達されたエンジン10からの駆動力を不図示の車輪側に伝達する変速機12とを備えると共に、エンジン関連アクチュエータ20と、変速機12のコントロールバルブユニット21と、変速機12への作動油(潤滑油)OLの供給源であるオイルポンプ22と、変速機関連アクチュエータ23とを備えている。また、車両1は、それぞれが例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータを備えて構成されたエンジン制御部2及び変速機制御部3と、操作子類4、センサ類5、及びバス6とを備えている。

変速機12は、本例では有段自動変速機とされている。具体的に、変速機12は、複数の油圧式摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)の係合/解放状態によって、変速比が異なる複数のギヤ段が成立される遊星歯車式等による有段自動変速機として構成されている。 図示は省略したが、各摩擦係合要素に対しては、それぞれ対応する油圧ピストンが配設され、それら油圧ピストンに油圧を選択的に供給又は排出させることで、各摩擦係合要素が係合又は解放される。

コントロールバルブユニット21には、上記の油圧ピストンに油圧を供給/排出させるためのピストン制御バルブや、摩擦係合要素の係合作動油圧の元圧となるライン圧を制御(調圧)するためのライン圧制御バルブ(後述するライン圧制御バルブ21a)が設けられている。

オイルポンプ22は、変速機12の下方に設けられたオイルパン(図1では不図示)に貯留された作動油OL(ATF:オートマチックトランスミッションフルード)を汲み上げ、汲み上げた作動油OLをコントロールバルブユニット21内のライン圧制御バルブに吐出する。 本例の場合、オイルポンプ22はトルクコンバータ11に設けられたポンプ駆動歯車(不図示:例えばインペラ軸に連結されている)を介してエンジン10の動力に基づき駆動される。

ここで、図2を参照し、変速機12の作動油OLに関する油圧回路の構成概要を説明しておく。 図示するように油圧回路を構成する要素としては、図1に示したオイルポンプ22、コントロールバルブユニット21、及び変速機12と、オイルパン24及びストレーナ25が挙げられる。 ストレーナ25は、オイルパン24とオイルポンプ22との間に介挿され、オイルパン24からオイルポンプ22に向けて汲み上げられる作動油OLの不純物を除去する。

コントロールバルブユニット21内には、ライン圧制御バルブ21aと油路切替機構21とが設けられている。オイルポンプ22より吐出された作動油OLはコントロールバルブユニット21内に設けられたライン圧制御バルブ21aに供給される。ライン圧制御バルブ21aの開閉により、作動油OLの排出量が調整され、該排出量の調整によりライン圧が制御可能とされている。なお、ライン圧制御バルブ21aより排出された作動油OLはオイルパン24に帰還される。

油路切替機構21bは、上記した各種の油圧ピストンを備えると共に、所定の油圧ピストン間で作動油OLを流通させるための油路や作動油OLを排出するための油路等の各種油路が形成され、ライン圧制御バルブ21aより供給された作動油OLを受け、作動油OLを流す油路の切り替えが行われる。油路切替機構21bにおいては、例えば上記の油圧ピストンに設けられたバルブの開閉制御に伴い油路の切り替えが行われる。

油路切替機構21bにおける油路に設けられた開口より、変速機12内のシャフトやギヤ等の回転要素に対して作動油OLが吐出される。このように変速機12内に吐出された作動油OLは、変速機12を潤滑する潤滑油として機能する。

変速機12を潤滑した後の作動油OLは、オイルパン24に帰還される。つまり、作動油OLはオイルパン24、ストレーナ25、オイルポンプ22、コントロールバルブユニット21(ライン圧制御バルブ21a→油路切替機構21b)、及び変速機12を介して循環される。

説明を図1に戻す。 操作子類4は、車両に設けられた各種の操作子を包括的に表したものである。操作子類4に属する操作子としては、例えばシフトレバー4aやパドルスイッチ4bを挙げることができる。シフトレバー4aは、車両のフロア(センターコンソール)等に設けられ、運転者による自動変速モード(「D」レンジ)と手動変速モード(「M」レンジ)とを択一的に切り換える操作が可能とされた操作子である。シフトレバー4aには、シフトレバー4aと連動して動くように接続され、該シフトレバー4aの選択位置を検出するレンジスイッチが取り付けられている。該レンジスイッチにより、検出されたシフトレバー4aの選択位置が変速機制御部3に読み込まれる。なお、シフトレバー4aでは、「D」レンジ、「M」レンジの他、パーキング「P」レンジ、リバース「R」レンジ、ニュートラル「N」レンジを選択的に切り換えることができる。

パドルスイッチ4bは、ステアリングホイールに設けられ、運転者による変速操作(変速要求)が可能とされた操作子である。パドルスイッチ4bによっては、運転者は変速比をハイ側にシフトさせる要求(アップシフト要求)とロー側にシフトさせる要求(ダウンシフト要求)が可能とされている。

また、操作子類4に属する操作子としては、例えばエンジンの始動/停止を指示するためのイグニッションスイッチ等もある。 操作子類4で得られる操作子ごとの操作入力信号はエンジン制御部2や変速機制御部3等の必要各部に供給される。

センサ類5は、車両に設けられた各種のセンサを包括的に表したものである。特に本実施の形態の場合、センサ類5には、エンジン10のクランクシャフトの回転位置変化からエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ5aと、アクセルペダルの踏み込み量を表すアクセル開度を検出するアクセル開度センサ5bと、車両1の走行速度である車速を検出する車速センサ5cと、オイルパン24の近傍に設けられて作動油OLの温度を検出する油温センサ5dと、車両1の外気温を検出する外気温センサ5eと、車両1の走行路勾配を検出する勾配センサ5fとが含まれる。 勾配センサ5fとしては、例えば、ジャイロセンサを用いることができる。或いは、車両の加速/減速等による誤差の吸収のために、複数のセンサを組み合わせた構成としてもよい。例えば、「特開平11−351864号公報」などに開示されるように、車両が平方向に受ける加速度信号を出力する加速度センサと、車速に関連する回転部材の回転速度に基づいて車両加速度を求める実加速度センサとを用い、加速度センサによって得られる加速度と実加速度センサによって得られる加速度との差に基づいて道路勾配を検出する構成などを採用することもできる。勾配センサ5fとしては加速度信号に基づき勾配を推定するものに限らず、例えば、自車両の走行抵抗と車輪駆動力との関係又はエンジン負荷等に基づいて勾配を推定するものであってもよい。或いは、自車走行路を撮像した撮像画像に対する画像解析から走行路勾配を推定する構成を採ることもできる。 また、図示は省略したが、センサ類5は、他のセンサとして、例えばエンジン10の吸気通路における吸入空気量を検出する吸入空気量センサ、吸気通路に介装されてエンジン10の各気筒に供給する吸入空気量を調整するスロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ、エンジン温度を示す冷却水温を検出する水温センサ等も有する。 各センサによる検出信号はエンジン制御部2や変速機制御部3等の必要各部に供給される。

エンジン制御部2及び変速機制御部3は、CAN(Controller Area Network)等の所定の車載ネットワーク通信規格に対応したバス6を介して相互にデータ通信可能に接続されている。 エンジン制御部2は、エンジン10についての燃料噴射制御、点火制御、吸入空気量調節制御などの各種運転制御を行う。具体的に、エンジン制御部2は、センサ類5における所定のセンサからの検出信号や操作子類4における所定の操作子による操作入力情報等に基づき、エンジン関連アクチュエータ20として設けられた各種アクチュエータを制御する。エンジン関連アクチュエータ20としては、例えばスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータや燃料噴射を行うインジェクタ等のエンジン駆動に係る各種のアクチュエータが設けられる。 例えば、エンジン制御部2は、前述したイグニッションスイッチの操作に応じてエンジンの始動/停止制御を行う。また、エンジン制御部2は、エンジン回転数センサ5aやアクセル開度センサ5b等の所定のセンサからの検出信号等に基づき、燃料噴射タイミング、燃料噴射パルス幅、スロットル開度等の制御も行う。また、エンジン制御部2は、車両1が走行中であってもアクセル開度が「0」のアクセルOFF時に燃料供給を停止する制御(フューエルカット制御)を行う。なお、フューエルカットは、本例ではアクセルOFFと共にエンジン回転数が所定値以下であることを条件として行われる。 エンジン制御部2は変速機制御部3と通信を行っており、必要に応じてエンジン10の運転状態に関するデータを変速機制御部3に出力する。また、必要に応じ、変速機制御部3からの各種信号に基づいてエンジン10の運転制御を行う。

変速機制御部3は、センサ類5における所定のセンサからの検出信号や操作子類4における所定の操作子による操作入力情報等に基づき、変速機関連アクチュエータ23として設けられた各種のアクチュエータを制御して、変速機12の動作を制御する。変速機関連アクチュエータ23としては、コントロールバルブユニット21における上述したピストン制御バルブやライン圧制御バルブ21aを開閉させる各種の電磁ソレノイドを挙げることができる。変速機制御部3は、これらの電磁ソレノイドの駆動制御を行うことで、上述した摩擦係合要素を係合/解放させて変速機における変速比を変化させたり、ライン圧を調整したりすることが可能とされている。

変速機制御部3は、前述したシフトレバー4aによって自動変速モードが選択されている際には、該自動変速モードに対応して設定された所定の変速パターンに従い変速機関連アクチュエータ23を制御することで変速機12の変速制御を行う。また、変速機制御部3は、手動変速モードの設定時には、パドルスイッチ4bによるシフトアップ/ダウン指示に従って変速機関連アクチュエータ23を制御することで、変速機12の変速比を上記指示に従った変速比に変化させる。

さらに、本実施の形態における変速機制御部3は、作動油OLの油圧制御に係る処理として、油温を上昇させるための下記の処理を実行する。

<2.実施の形態の油圧制御> 図3は、変速機制御部3が実行する実施の形態としての油圧制御に係る処理を示したフローチャートである。 なお、変速機制御部3は、図3に示す処理を例えば内蔵するROM等の所定の記憶装置に記憶されたプログラムに基づき実行する。変速機制御部3は、図3に示す処理を所定の周期で繰り返し実行する。

ステップS101で変速機制御部3は、ライン圧昇圧フラグを「0」にセットする。ライン圧昇圧フラグは、上記したライン圧を上昇させる制御を行うか否かを表す識別子であり、本例では「0」が該制御を行わない旨を、「1」が該制御を行う旨を表す。

続くステップS102で変速機制御部3は、油温センサ5dの検出信号に基づき、油温が一定温度以下であるか否かを判定する。なお、油温の判定については、例えば変速機12のケース温度を検出するセンサからの検出信号に基づき行う等、作動油OLの温度と相関する情報に基づき行うものであれば他の手法を採ることもできる。

油温が一定温度以下でなければ、変速機制御部3はステップS107に進み、フラグに応じた制御を行う。つまりこの場合は、ライン圧制御フラグが「0」であることに対応して、例えばROMに記憶されたマップ等に従ったライン圧制御(以下「通常制御」と表記する)を行う。すなわち、ライン圧を上昇させる制御は行われない。

変速機制御部3は、ステップS107の処理を実行したことに応じ図3に示す処理を終える。

一方、油温が一定温度以下であれば、変速機制御部3はステップS103に進み、外気温センサ5eの検出信号に基づき、外気温が一定温度以下であるか否かを判定する。なお、外気温の判定については、例えばエンジン10の吸気温度を検出するセンサからの検出信号に基づき行う等、外気温と相関する情報に基づき行うものであれば他の手法を採ることもできる。

外気温が一定温度以下でなければ、変速機制御部3はステップS107に進み、フラグに応じた制御を行う。つまりこの場合もライン圧制御フラグが「0」であることに対応して上記した通常制御としてのライン圧制御を行う。

また、外気温が一定温度以下でなければ、変速機制御部3はステップS104に進み、運転者の加速意思の有無を判定する。具体的に、本例では、アクセル開度センサ5bの検出信号から求まるアクセル開度が一定値以下(例えば「0」以下)であるか否かを加速意思の有無の判定として行う。

加速意思が有ると判定した場合、変速機制御部3はステップS107に進む。つまりこの場合も、ライン圧制御フラグが「0」であることからライン圧を上昇させる制御は行われない。

一方、加速意思が無いと判定した場合、変速機制御部3はステップS105に進み、車速センサ5cの検出信号に基づき車速が一定速度以上であるか否かを判定する。 車速が一定速度以上でなければ、変速機制御部3はステップS107に進む。つまり、ライン圧制御フラグが「0」であることからライン圧を上昇させる制御は行われない。

車速が一定速度以上であれば、変速機制御部3はステップS106に進み、ライン圧昇圧フラグを「1」にセットした上で、ステップS107の処理を実行する。つまり、この場合のステップS107の処理では、ライン圧昇圧フラグ=「1」であることに対応して、ライン圧を上昇させる制御を行う。具体的には、通常制御において求まるライン圧の制御値に所定のオフセット値を加算し、加算後の制御値によりライン圧の制御を行う。

上記した図3の処理が行われることで、油温が一定温度以下の場合、すなわち作動油OLの粘度が一定以上に高い場合に対応して、作動油OLの油圧を上昇させることができ、変速機3における油攪拌抵抗を意図的に増大させて作動油OLの温度上昇を促進できる。すなわち、作動油OLの粘度をより早期に低下させることができる。 そして、本実施の形態では、上記のような油圧の上昇制御を、運転者の加速意思が無い場合に対応して行うものとしている(S104)。換言すれば、車両が走行中であっても、運転者に加速の意思が有ると推定される場合には、油圧の上昇制御が行われない。従って、油圧上昇制御を車両走行中において行うことを可能としつつ、ドライバビリティの低下の抑制を図ることができる。

このとき、図3に示す処理では、ステップS102の処理によって油温が一定温度以下であるとの条件を適用しているが、該条件により、潤滑油の粘度が一定粘度未満に低下してもなお油圧上昇制御が行われてしまうことがないように図られている。 ここで、低温に伴い作動油OLの粘度が一定粘度以上に高い状態においては、「作動油OLの粘度に起因した動力伝達損失」の方が「実施の形態の油圧上昇制御に伴う動力伝達損失」よりも大きいものとなる。このため、作動油OLを温度上昇させて低粘度化を促進する方が動力伝達損失を低減できる。 一方で、作動油OLの粘度が一定粘度未満に低くなった状態では、「作動油OLの粘度に起因した動力伝達損失」よりも「実施の形態の油圧上昇制御に伴う動力伝達損失」の方が大きくなる可能性がある。このため、上記のような油温についての条件を適用せず、油温に関わらず油圧上昇制御を継続してしまうと、返って損失を増大させてしまう虞がある。 この点から理解されるように、上記油温についての条件を適用することは、変速機12における動力伝達効率の低下を抑制することに資するものである。

また、上記では、外気温が一定温度以下であることを条件に油圧上昇制御が行われるようにしている(S103)が、これにより、外気温が或る程度高く、意図的な油温上昇を行わずとも比較的短い時間で油粘度が一定粘度未満に低下する可能性が高い場合において、無闇に油攪拌抵抗を上昇させる制御が行われてしまうことの防止が図られる。

さらに、上記では、車速が一定速度以上であることも条件としている(S105)が、これにより、ドライバビリティの低下抑制効果をより高めることができる。具体的には、低車速域において油攪拌抵抗を増大させると運転者に車速の低下が知覚され易くなり、ドライバビリティの低下を助長する虞があるが、上記のように車速が一定速度以上であることを条件とすることで、油攪拌抵抗の増大に伴う車速の低下が運転者に知覚され難くなる。

なお、上記では加速意思有無の判定処理をアクセル開度の情報に基づき行う例を挙げたが、該判定処理は、加速意思の有無に相関する他の情報、例えばブレーキペダルの操作情報やエンジン10のフューエルカットの実行有無を表す情報等に基づいて行うこともできる。 このとき、ブレーキペダルの操作情報としては、例えば運転者によるブレーキペダルの操作有無(踏み込みの有無)を表すブレーキスイッチのON/OFF情報を用い、該ブレーキスイッチがONであれば加速意思無しとの判定結果を得るようにして判定処理を行う。また、フューエルカットの実行有無を表す情報については、該情報がフューエルカットを実行中である旨を表す場合には加速意思無しとの判定結果を得るように判定処理を行う。 また、加速意思有無の判定処理は、一つの情報に基づき行うことに限らず、例えばアクセル開度情報とブレーキスイッチのON/OFF情報の双方を用いる等、複数の情報に基づき行うこともできる。

<3.油圧制御の他の例> 上記では変速機3における油攪拌抵抗を増大させるにあたりライン圧を上昇させる場合を例示したが、オイルポンプ22による作動油OLの吐出圧を高めることによっても油攪拌抵抗を増大させることができる。具体的には、変速機3の変速比を大きくする(よりローギヤ側とする)ことでエンジン10の回転数を上昇させ、エンジン10を駆動源とするオイルポンプ22の出力を高めるものである。

このように変速比調整でポンプ吐出圧を高めることによる油圧上昇制御は、ライン圧による油圧上昇制御と併せて行うことができる。或いは、ライン圧による油圧上昇制御に代えて行うことも可能である。

図4のフローチャートは、油圧上昇をライン圧の調整と変速比の調整の双方により行うとした場合に対応して実行されるべき処理の例を示している。 なお、既に図3で説明済みとなった処理と同様の処理については同一ステップ番号を付して説明を省略する。

この場合の変速機制御部3は、ステップS101でライン圧昇圧フラグを「0」にセットすると共に、続くステップS201でポンプ圧昇圧フラグを「0」にセットする処理を行う。ポンプ圧昇圧フラグは、オイルポンプ22による作動油OLの吐出圧を上昇させる制御を行うか否かを表す識別子であり、本例では「0」が該制御を行わない旨を、「1」が該制御を行う旨を表す。 なお、ステップS101、S102のフラグセット処理は順番が前後してもよい。

この場合の変速機制御部3は、ステップS201の処理を実行したことに応じてステップS102に処理を進める。ステップS102〜S106の処理は、図3で説明した処理と同様である。すなわち、図4の場合においても、図3の場合と同様の条件が成立(つまりS102〜S105の判定処理による全条件が成立)したことに応じてライン圧制御フラグに「1」がセットされる。

そして、この場合の変速機制御部3は、ステップS106でライン圧昇圧フラグに「1」をセットしたことに応じ、ステップS202で車両1が下り坂を走行中であるか否かを判定する。すなわち、勾配センサ5fの検出信号に基づき求まる勾配の値(下り勾配であれば負値)が一定値以下であるか否かを判定する。 ここで、車両1が下り坂を走行中である場合は、油圧上昇制御に伴う油攪拌抵抗の増大に起因した車両1の減速感が運転者に知覚され難い。そのような場合に対応してポンプ吐出圧調整による油圧上昇制御が行われるようにするため、ステップS202の下り坂判定を設けている。

下り坂を走行中でないと判定した場合、変速機制御部3はステップS205に進み、フラグに応じた制御を行って図4に示す処理を終える。 ステップS205の処理は、ライン圧昇圧フラグ、ポンプ圧昇圧フラグの値に基づいてそれぞれライン圧の制御、変速機3の変速比制御を行うものである。ライン圧昇圧フラグの値に応じたライン圧制御は、先に説明したステップS107と同様の制御となる。また、ポンプ圧昇圧フラグの値に応じた制御としては、ポンプ圧昇圧フラグが「0」であれば、変速比を自動変速モードに対応して設定された所定の変速パターンに従って求まる変速比、或いは手動変速モード時にはパドルスイッチ4bの操作に基づき特定される変速比に一致させる制御を行う。また、ポンプ圧昇圧フラグが「1」であれば、自動変速モード時には変速比を上記の変速パターンに従って求まる変速比よりも大きくする(ローギヤ側にする)制御を行い、手動変速モード時には変速比を上記操作に基づき特定される変速比よりも大きくする制御を行う。 ステップS202で下り坂を走行中でないと判定された場合、ポンプ圧昇圧フラグ=「0」であるためポンプ吐出圧を上昇させるための変速比制御は行われない(但し、ライン圧昇圧フラグ=「1」の場合には、ライン圧の上昇制御は行われる)。

ステップS202において、下り坂を走行中であると判定した場合、変速機制御部3はステップS204に進んで変速比が一定値以下であるか否かを判定する。変速比が或る程度大きい状態で変速比を大きくする制御が行われると、運転者に変速ショックが知覚され易く、ドライバビリティを大きく低下させる可能性が高まる。この点を考慮し、ステップS204の判定処理を設けている。

変速比が一定値以下でないと判定した場合、変速機制御部3はステップS205に処理を進める。つまりこの場合は、ポンプ圧昇圧フラグ=「0」であるためポンプ吐出圧を上昇させるための変速比制御は行われない。

一方、変速比が一定値以下であると判定した場合、変速機制御部3はステップS204に進んでポンプ圧昇圧フラグに「1」をセットし、ステップS205に処理を進める。すなわち、ステップS102〜S105の判定処理による全条件が成立し、さらに下り坂を走行中である(S202)との条件(以下「下り坂条件」とも表記する)、及び変速比が一定値以下である(S203)との条件が成立した場合には、ライン圧とポンプ吐出圧の双方を高める制御が行われる。

ここで、ポンプ吐出圧の上昇制御について、変速比を大きくすると変速機12における回転要素の回転数が高まるため、この点でも油攪拌抵抗の増大効果を得ることができる。すなわち、低温に起因した変速機の動力伝達効率低下状態の解消についてさらなる早期化を図ることができる。 但し、該制御はエンジン回転数の上昇を伴うものであり、運転者の違和感を高める虞がある。このため、ポンプ吐出圧の上昇制御については、下り坂条件を適用して、運転者の違和感の抑制(ドライバビリティ低下の抑制)を図っている。また、同時に、下り坂条件を適用することで、変速比を大きくすることによる油攪拌抵抗の増大効果が或る程度の頻度で得られるように図っている。 すなわち、変速比の調整によるポンプ吐出圧の上昇制御の条件として下り坂条件を適用することは、油攪拌抵抗の増大による動力伝達効率低下状態の解消早期化と、ドライバビリティの低下抑制とを適度なバランスにより両立することに資するものである。

なお、下り坂条件はライン圧を上昇させる条件として適用することもできる。

また、上記では、ライン圧を上昇させる条件とポンプ吐出圧を上昇させる条件とを異ならせる例を挙げたが、これらの条件は同一としてもよい。

<4.実施の形態のまとめ> 上記のように実施の形態の油圧制御装置は、車両(1)における変速機(12)の潤滑油(作動油OL)について油圧制御を行う油圧制御装置であって、油圧を調圧する調圧部(ライン圧制御バルブ21a及び/又はオイルポンプ22)と、車両の運転者による加速意思の有無に相関する加速意思相関情報に基づいて加速意思の有無を判定し、加速意思が無いと判定したことを条件として油圧を調圧部により上昇させる制御を行う制御部(変速機制御部3)とを備えている。

これにより、車両が走行中であっても、運転者に加速の意思が有ると推定される場合には、潤滑油の油圧を上昇させる油圧上昇制御が行われないように図られる。すなわち、油圧上昇制御を車両走行中において行うことを可能としながら、ドライバビリティの低下の抑制を図ることができる。 従って、低温に起因した変速機の動力伝達効率低下状態がより早期に解消されるように図りつつ、ドライバビリティの低下抑制を図ることができる。 なお、低温に起因した変速機の動力伝達効率低下状態がより早期に解消されることで、実施の形態のように車輪の駆動がエンジンの動力に基づき行われる車両においては、燃費の向上が図られる。

また、実施の形態の油圧制御装置においては、制御部は、潤滑油の温度が一定温度以下であると判定したことをさらなる条件として油圧を上昇させる制御を行っている。

これにより、潤滑油の粘度が一定粘度未満に低下してもなお油圧上昇制御が行われてしまうことの防止を図ることが可能とされる。 従って、油圧上昇制御を行うことで返って動力伝達効率が低下してしまう事態の発生防止を図ることができる。

さらに、実施の形態の油圧制御装置においては、制御部は、車両の外気温が一定温度以下であると判定したことをさらなる条件として油圧を上昇させる制御を行っている。

これにより、外気温が或る程度高く、意図的な油温上昇を行わずとも比較的短い時間で油粘度が一定粘度未満に低下する可能性が高い場合において、無闇に油攪拌抵抗を上昇させる制御が行われてしまうことの防止を図ることができる。

さらにまた、実施の形態の油圧制御装置においては、制御部は、加速意思の有無をアクセルペダル又はブレーキペダルの操作情報、又は車両に設けられたエンジンのフューエルカットの実行有無を表す情報の少なくとも何れかに基づいて判定している。

上記の各情報は、運転者の加速意思有無を表す情報として好適であり、加速意思が無い場合に対応して油圧上昇制御を行うことの確実性を高めることが可能とされる。 従って、ドライバビリティの低下抑制効果を高めることができる。

また、実施の形態の油圧制御装置においては、制御部は、車両の走行速度である車速が一定速度以上であると判定したことをさらなる条件として油圧を上昇させる制御を行っている。

低車速域において油攪拌抵抗を増大させると運転者に車速の低下が知覚され易くなり、ドライバビリティの低下を助長する虞がある。このため、上記のように車速が一定速度以上であることをさらなる条件とすることで、油攪拌抵抗の増大に伴う車速の低下が運転者に知覚され難くなるように図っている。 従って、ドライバビリティの低下抑制効果をより高めることができる。

さらに、実施の形態の油圧制御装置においては、制御部は、車両の走行路勾配を表す情報に基づき、車両が下り坂を走行中であると判定したことをさらなる条件として油圧を上昇させる制御を行っている。

車両が下り坂を走行中である場合は、油圧上昇制御に伴う油攪拌抵抗の増大に起因した車両の減速感が運転者に知覚され難い。 従って、ドライバビリティの低下抑制効果を高めることができる。

さらにまた、実施の形態の油圧制御装置においては、調圧部は、変速機への潤滑油の供給源とされエンジンの動力に基づき駆動されるオイルポンプ(22)と、オイルポンプから吐出され変速機に供給される潤滑油について油圧制御を行う油圧制御弁(ライン圧制御バルブ21a)とを有し、制御部は、加速意思が無いと判定したことを条件として、油圧制御弁により油圧を上昇させる制御と共に変速機の変速比を大きくする制御を行っている。

変速比を大きくする制御が行われることで、エンジン回転数の上昇に伴いオイルポンプからの潤滑油の吐出圧が上昇する。つまり、このようなオイルポンプ吐出圧の上昇により、油圧制御弁による油圧上昇をアシストすることができる。 また、変速比を大きくすると変速機における回転要素の回転数も高まり、この点でも油攪拌抵抗の増大効果を得ることができる。つまり、低温に起因した変速機の動力伝達効率低下状態の解消をさらに早期化できる。 さらに、変速比を大きくする制御について下り坂条件を適用する場合には、オイルポンプ負荷によりエンジンブレーキがアシストされるため、必要とされる減速度を得るにあたっての変速量(変速比の変化量)を抑えることができるという利点がある。

また、実施の形態の油圧制御装置においては、制御部は、変速比が一定値以下であると判定したことをさらなる条件として変速比を大きくする制御を行っている。

変速比が或る程度大きい状態で変速比を大きくする制御が行われると、運転者に変速ショックが知覚され易く、ドライバビリティを大きく低下させる可能性が高まる。上記のように変速比が一定値以下であることを条件とすることで、変速ショックを知覚され難くすることが可能となり、ドライバビリティの低下抑制を図ることができる。

<5.変形例> なお、本発明は上記した具体例に限定されず、多様な変形例が考えられる。 例えば、上記では作動油(潤滑油)の油圧を上昇させる制御において油圧の上昇量を一定とする例を挙げたが、油温や外気温、勾配、車速等の車両情報に応じて、油圧の上昇量を可変制御してもよい。例えば、油温や外気温が相対的に低い場合と相対的に高い場合とで油圧の上昇量を段階的に変化させる(例えば温度が低いほど油圧上昇量を高める等)ことが考えられる。また、下り坂の勾配や車速が大きくなるにつれて油圧上昇量を大きくしたりすることが考えられる。

また、上記ではオイルポンプの駆動源がエンジンとされる場合を例示したが、オイルポンプとしては電動ポンプ等としてもよく、エンジンによる駆動に限定されない。すなわち、ポンプ吐出圧を上昇させるための制御としては、変速比を大きくする制御に限られるものではない。 上記ではポンプ吐出圧を上昇させる条件として下り坂条件を適用する場合を例示したが、ポンプ吐出圧の上昇制御は少なくとも運転者の加速意思がないと判定したことを条件として行うようにすればよい。 なお、油圧の上昇制御はポンプ吐出圧の調整のみで行うこともできる。

また、上記では本発明が有段変速機を備えた車両に適用される場合を例示したが、本発明は無段変速機(連続可変トランスミッション:Continuously Variable Transmission=CVT)など他の種類の変速機を備えた車両にも好適に適用できるものである。

1 車両、3 変速機制御部、5 センサ類、5b アクセル開度センサ、5c 車速センサ、5d 油温センサ、5e 外気温センサ、5f 勾配センサ、6 バス、12 変速機、21 コントロールバルブユニット、21a ライン圧制御バルブ、21b 油路切替機構、22 オイルポンプ、23 変速機関連アクチュエータ