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A method of manufacturing a three-dimensional image print and three-dimensional image printer,

申请号 JP2002080952 申请日 2002-03-22 公开(公告)号 JP3914076B2 公开(公告)日 2007-05-16
申请人 富士フイルム株式会社; 发明人 友一 寺村;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a manufacturing method for a stereoscopic image print and a stereoscopic image printer which can easily obtain the stereoscopic image print reproducing a full-color stereoscopic image of high picture quality without no feeling of physical disorder. SOLUTION: On a silver salt film 10 a blue photosensitive layer 38, a green photosensitive layer 40, and a red photosensitive layer 42 (RGB layer) are laminated in this order from the base side. The RGB layer is exposed to laser light of specified wavelength whose intensity is modulated according to amplitude information by small areas 50 to have color filters of R, G, and B formed by varying light transmissivity after development and become a filter layer. A transparent ink layer 44 is formed by applying transparent ink differing in ink concentration by the small areas 50 on the filter layer by using a writing head 53. The refractive index varies with the ink concentration and optical path length varies according to the refractive index variation, so the transparent ink layer 44 becomes a phase modulation layer modulating the phase of transmitted light. COPYRIGHT: (C)2004,JPO
权利要求
  • 各色毎の振幅情報を記録するために各色に対応して設けられた複数の感光層を備えた立体画像記録フィルムに、立体画像を再生する位相情報及び各色毎の振幅情報が小領域毎に分割されて表された画像データの位相情報及び振幅情報を記録して、立体画像プリントを製造する立体画像プリントの製造方法であって、
    前記複数の感光層の各々を、前記画像データの小領域毎の振幅情報に応じて各色毎に変調された光で露光した後に現像し、各小領域の透過率を露光量に応じて変化させて振幅情報を記録することにより、各色毎の色フィルタが複数積層されたフィルタ層を形成し、
    塗布濃度又は単位面積当りの塗布量を変化させることにより位相情報を記録可能な位相記録材料を、前記フィルタ層の前記小領域の各々に、前記画像データの小領域毎の位相情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布し、位相変調層を形成して、立体画像プリントを製造する、
    立体画像プリントの製造方法。
  • 透明フィルムに、立体画像を再生する各色毎の位相情報及び振幅情報が小領域毎に分割されて表された画像データの位相情報及び振幅情報を記録して、立体画像プリントを製造する立体画像プリントの製造方法であって、
    各色毎に吸収波長の異なる色のインクを、前記透明フィルムに、前記画像データの小領域毎の振幅情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布して振幅情報を記録することにより、各色毎の色フィルタが多数個平面状に配列された色インク層を形成すると共に、
    塗布濃度又は単位面積当りの塗布量を変化させることにより位相情報を記録可能な位相記録材料を、前記色インク層の前記小領域の各々に、前記画像データの小領域毎の位相情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布し、位相変調層を形成して、立体画像プリントを製造する、
    立体画像プリントの製造方法。
  • 各色毎の振幅情報を記録するために各色に対応して設けられた複数の感光層を備えた立体画像記録フィルムに、立体画像を再生する位相情報及び各色毎の振幅情報が小領域毎に分割されて表された画像データの位相情報及び振幅情報を記録して、立体画像プリントを製造する立体画像プリンタであって、
    前記画像データの小領域毎の振幅情報に応じて各色毎に変調された光を出力する各色毎の光源と、
    前記立体画像記録フィルムの複数の感光層の各々を前記各色毎の光源から出力された対応する光で露光する露光手段と、
    前記露光手段により露光された立体画像記録フィルムを現像する現像手段と、
    塗布濃度又は単位面積当りの塗布量を変化させることにより位相情報を記録可能な位相記録材料を、前記現像手段により現像された立体画像記録フィルムに、前記画像データの小領域毎の位相情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布する塗布手段と、
    を備えた立体画像プリンタ。
  • 透明フィルムに、立体画像を再生する各色毎の位相情報及び振幅情報が小領域毎に分割されて表された画像データの位相情報及び振幅情報を記録して、立体画像プリントを製造する立体画像プリンタであって、
    各色毎に吸収波長の異なる色のインクを、前記透明フィルムに、前記画像データの小領域毎の振幅情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布する第1の塗布手段と、
    塗布濃度又は単位面積当りの塗布量を変化させることにより位相情報を記録可能な位相記録材料を、前記小領域の各々に、前記画像データの小領域毎の位相情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布する第2の塗布手段と、
    を備えた立体画像プリンタ。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、立体画像を再生するための立体画像プリントを製造する立体画像プリントの製造方法、及び立体画像プリンタに関する。
    【0002】
    【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
    ホログラフィとは、立体画像を再生するための光波の振幅と位相の情報を媒体に記録し、再生する技術である。 レーザ光のようにコヒーレントな光を物体に照射し、物体からの反射光(物体光)を記録媒体に照射する際に、もう1本のコヒーレントな光(参照光)を同時に記録媒体に照射すると、記録媒体上に干渉縞が形成される。 この干渉による光強度分布を屈折率または吸収率の変化として媒体中に記録したものがホログラムである。 そして、ホログラムが記録された記録媒体に参照光のみを照射すると、ホログラムが回折格子として働き、物体光が再生される。 被写体に3次元構造の物体を用いた場合には、再生像は自然な立体感を備えた立体画像となる。 このため、立体静止画像を表示する手法としてホログラフィが広く使用されている。
    【0003】
    しかしながら、ホログラフィは撮影工程が煩雑であり、一般人が所望の三次元画像を簡単に手にすることができない、という問題がある。 このため、個人的に撮影した映像や個人的に作成した画像を立体画像として提供する仕組みが必要とされていた。 また、ホログラフィには、高画質で違和感の無いフルカラー画像を得ることが難しい、という問題がある。
    【0004】
    通常のホログラフィで再生される画像は単色であるが、例えば、辻内順平著「ホログラフィー」裳華房(1997)に紹介されているように、カラー画像を記録、再生することができるカラーホログラムも種々検討されている。
    【0005】
    最初にカラーホログラムを提案したのはLeith等である。 Leith等の方法では、RGBの各色毎に撮影した3枚のホログラムを用いてカラー画像を得ている。 まず、物体をRGB3色のレーザ光で照明して、各色のレーザ光について3枚のホログラムを撮影する。 次に、撮影に使用したのと同じ色のレーザ光を用いて3枚のホログラムの各々を照明すると、RGB3色の再生像が同じ位置に重なって現れカラー画像が再生される。
    【0006】
    しかしながら、再生時には各色のレーザ光が3枚のホログラムの各々により回折するために、いわゆるゴースト像が現れるという欠点がある。 また、撮影の際に参照光学系にフーコー格子を置いて3枚のホログラムが重ならないように記録することによりゴースト像の無い再生像を得ることができるが、再生には撮影時の参照光学系と全く同じ光学系が必要になり煩雑である。
    【0007】
    また、レインボウ・ホログラムやリップマン・ホログラムによってもカラー画像の記録や再生が可能である。 レインボウ・ホログラムは、ホログラムの空間搬送波が平方向となるように撮影したものである。 RGBそれぞれの波長で3枚のレインボウ・ホログラムを撮影し、それらを貼り合わせて白色光を照明することで、3枚のホログラムからの再生像が同じ位置に重なって現れ、カラー画像が再生される。 しかしながら、レインボウ・ホログラムでは、カラーバランスの正しい像が見える位置が決まっており、そこから目を動かすと色再現が悪くなるという欠点を有している。
    【0008】
    リップマン・ホログラムは、ハロゲン化銀感光材料のように厚みのある感光材料のRGB3色に対応して設けられた感光層の各々に干渉縞を書き込んだカラーホログラムである。 各感光層からの再生像が同じ位置に重なって現れ、カラー画像が再生される。 しかしながら、現像時に感光層が収縮するために、再生時に撮影時と異なる像が再生されるという欠点がある。
    【0009】
    なお、ステレオグラムを用いてもカラーホログラムを作製することができるが、ステレオグラムは複数の二次元写真画像を用いて様々な度から見える強度画像を書き込むものであり、光の位相制御までは行なっていない。
    【0010】
    普通に撮影されたホログラムと異なり、コンピュータで合成されたホログラムを計算機ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)という。 これは、コンピュータを用いてホログラム自身の構造(物体光の振幅と位相の分布)を計算し、作成したホログラムである。 また、多数の普通写真から合成されたホログラムは、ホログラフフィック・ステレオグラムと呼ばれている。
    【0011】
    最近では、コンピュータに蓄積された画像データからホログラフフィック・ステレオグラムを合成するホログラム・プリンタと呼ばれる小型装置も開発されている(M.Yamaguchi, N.Ohyama, T.Honda, "Holographic three-dimensional printer:new method," Applied Optics 31,pp.217-222(1992)、木原信宏、白倉明、馬場茂幸、"高速ホログラムポートレイトプリントシステム,"3D Image Conference '98, pp.257-262(1998))。 しかしながら、このホログラム・プリンタには、光の干渉を用いた露光のために複雑な光学系が必要であり、書き込み時に高い精度が要求される、という欠点がある。
    【0012】
    また、コンピュータに蓄積された画像データから二次元の空間光変調器を用いて立体画像を表示することもできる。 例えば、液晶空間変調器を用いて、細かいセル毎に吸収率と屈折率とを変えることにより透過光の振幅・位相を制御して、立体画像を再生する。 干渉縞による回折により再生像を得る場合と比較し、この方法によれば位相共役像が出現せず、光の三原色であるRGBを空間的に分離することで他波長によるゴースト像を防ぐことができる。 また、高い回折効率を得ることができる(明るい像を再生できる)という利点を有する。 しかしながら、現在の技術では空間変調器の液晶ピクセルが100μm程度と大きく、また大面積化が難しいために、観賞に耐え得る立体画像を表示することは難しい。 また、静止画像を楽しむという用途ではコストが高いことも欠点である。
    【0013】
    また、写真フィルムは、露光量に応じて濃度が変化すると共に、膨張・収縮によるレリーフ形成、屈折率変化が起きることが知られている。 これを利用して、計算機で算出した物体光の振幅分布や位相分布を写真フィルムに記録する手法をキノフォームと呼んでいる。 例えば、リバーサルカラーフィルムを用いて、赤色感光層に振幅分布を記録し、青色感光層及び緑色感光層に位相分布を記録する。 記録後のリバーサルカラーフィルムを赤色レーザ(HeNeレーザ)で再生することで、視差のある文字画像を再生することができる(DCChu, JRFienup, JWGoodman, "Multiemulsion on-axis computer generated hologram," Applied Optics 12,pp.1386-1388(1973))。 しかしながら、リバーサルカラーフィルムを用いていても、得られる画像は単色画像である。
    【0014】
    以上の通り、従来のホログラフィの手法では、所望の三次元画像(立体画像プリント)を簡単に手にすることはできず、高画質で違和感の無いフルカラーの立体画像を得ることはできなかった。
    【0015】
    本発明は上記事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、高画質で違和感の無いフルカラーの立体画像を再生する立体画像プリントを簡便に製造することができる立体画像プリントの製造方法、及び立体画像プリンタを提供することにある。
    【0016】
    【課題を解決するための手段】
    上記目的を達成するために、本発明の第1の立体画像プリントの製造方法は、各色毎の振幅情報を記録するために各色に対応して設けられた複数の感光層を備えた立体画像記録フィルムに、立体画像を再生する位相情報及び各色毎の振幅情報が小領域毎に分割されて表された画像データの位相情報及び振幅情報を記録して、立体画像プリントを製造する立体画像プリントの製造方法であって、前記複数の感光層の各々を、前記画像データの小領域毎の振幅情報に応じて各色毎に変調された光で露光した後に現像し、各小領域の透過率を露光量に応じて変化させて振幅情報を記録することにより、各色毎の色フィルタが複数積層されたフィルタ層を形成し、塗布濃度又は単位面積当りの塗布量を変化させることにより位相情報を記録可能な位相記録材料を、前記フィルタ層の前記小領域の各々に、前記画像データの小領域毎の位相情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布し、位相変調層を形成して、立体画像プリントを製造することを特徴とする。
    【0017】
    上記の第1の製造方法によれば、インクジェット・プリンタ等と同様な機構の装置を用いて位相記録材料を塗布することにより位相変調層を形成するので、位相変調層を露光、現像により形成する場合に比べ、位相変調量の調整が容易になる。 また、感光層を露光、現像して各色毎の色フィルタを形成するので、別途、色分解フィルタ層を設ける必要がなく製造工程が簡略化される。 これにより、各小領域の透過率が露光量に応じて変化した各色毎の色フィルタが複数積層されたフィルタ層と、対応小領域の各々の光路長が塗布される位相記録材料の塗布濃度又は単位面積当りの塗布量に応じて変化した位相変調層と、が積層された立体画像プリントを簡便に製造することができる。
    【0018】
    上記のフィルタ層と位相変調層とが積層された立体画像プリントでは、フィルタ層により透過光の振幅が各色毎に変調され、位相変調層により透過光の位相が変調される。 このため、立体画像プリントに光を入射させると、小領域毎に透過光の位相、振幅、及び波長が制御されて、記録された立体画像(ホログラム)が再生される。 この通り、干渉縞ではなく各情報をドット状に記録するので、記録光学系及び再生光学系が簡単になると共にゴーストの発生が防止される。 また、各色毎の色フィルタで構成されたフィルタ層を、感光層を露光、現像して形成するので、色分解フィルタを貼り合せる場合に比べ、色ずれが発生し難くなる。
    【0019】
    従って、本発明の第1の製造方法によれば、高画質で違和感の無いカラーの立体画像を再生できる立体画像プリントを簡便に得ることができる。 特に、前記各色を赤色、緑色、及び青色とした場合には、高画質で違和感の無いフルカラーの立体画像を再生できる立体画像プリントを簡便に得ることができる。
    【0020】
    上記の第1の製造方法は、各色毎の振幅情報を記録するために各色に対応して設けられた複数の感光層を備えた立体画像記録フィルムに、立体画像を再生する位相情報及び各色毎の振幅情報が小領域毎に分割されて表された画像データの位相情報及び振幅情報を記録して、立体画像プリントを製造する立体画像プリンタであって、前記画像データの小領域毎の振幅情報に応じて各色毎に変調された光を出する各色毎の光源と、前記立体画像記録フィルムの複数の感光層の各々を前記各色毎の光源から出力された対応する光で露光する露光手段と、前記露光手段により露光された立体画像記録フィルムを現像する現像手段と、塗布濃度又は単位面積当りの塗布量を変化させることにより位相情報を記録可能な位相記録材料を、前記現像手段により現像された立体画像記録フィルムに、前記画像データの小領域毎の位相情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布する塗布手段と、を備えた立体画像プリンタを用いて実施することができる。
    【0021】
    また 、上記目的を達成するために、本発明の第2の立体画像プリントの製造方法は、透明フィルムに、立体画像を再生する各色毎の位相情報及び振幅情報が小領域毎に分割されて表された画像データの位相情報及び振幅情報を記録して、立体画像プリントを製造する立体画像プリントの製造方法であって、各色毎に吸収波長の異なる色のインクを、前記透明フィルムに、前記画像データの小領域毎の振幅情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布して振幅情報を記録することにより、各色毎の色フィルタが多数個平面状に配列された色インク層を形成すると共に、塗布濃度又は単位面積当りの塗布量を変化させることにより位相情報を記録可能な位相記録材料を、前記色インク層の前記小領域の各々に、前記画像データの小領域毎の位相情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布し、位相変調層を形成して、立体画像プリントを製造することを特徴とする。
    【0022】
    上記の第2の製造方法によれば、インクジェット・プリンタ等と同様の機構の装置を用いて位相記録材料を塗布して位相変調層を形成すると共に、各色毎に吸収波長の異なる色のインクを塗布して色インク層を形成するので、露光、現像処理を併用する場合に比べ、製造工程が大幅に簡略化されると共に、プリンタの構成が簡単になる。 また、位相変調層を露光、現像により形成する場合に比べ、位相変調量の調整が容易になる。 これにより、各小領域の透過率が塗布濃度又は単位面積当りの塗布量に応じて変化した各色毎の色フィルタが多数個平面状に配列された色インク層と、対応小領域の各々の光路長が塗布される位相記録材料の塗布濃度又は単位面積当りの塗布量に応じて変化した位相変調層と、が積層された立体画像プリントを簡便に製造することができる。
    【0023】
    上記の色インク層及び位相変調層が積層された立体画像プリントでは、色インク層により透過光の振幅が各色毎に変調され、位相変調層により透過光の位相が変調される。 このため、立体画像プリントに光を入射させると、小領域毎に透過光の位相、振幅、及び波長が制御されて、記録された立体画像が再生される。 この通り、干渉縞ではなく各情報をドット状に記録するので、記録光学系及び再生光学系が簡単になると共にゴーストの発生が防止される。 また、各色毎の色フィルタで構成された色インク層をインクを塗布して形成するので、色分解フィルタを貼り合せる場合に比べ、色ずれが発生し難くなる。
    【0024】
    従って、本発明の第2の製造方法によれば、高画質で違和感の無いカラーの立体画像を再生できる立体画像プリントを簡便に得ることができる。 特に、前記各色を赤色、緑色、及び青色とした場合には、高画質で違和感の無いフルカラーの立体画像を再生できる立体画像プリントを簡便に得ることができる。
    【0025】
    上記の第2の製造方法は、透明フィルムに、立体画像を再生する各色毎の位相情報及び振幅情報が小領域毎に分割されて表された画像データの位相情報及び振幅情報を記録して、立体画像プリントを製造する立体画像プリンタであって、各色毎に吸収波長の異なる色のインクを、前記透明フィルムに、前記画像データの小領域毎の振幅情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布する第1の塗布手段と、塗布濃度又は単位面積当りの塗布量を変化させることにより位相情報を記録可能な位相記録材料を、前記小領域の各々に、前記画像データの小領域毎の位相情報に応じた塗布濃度又は単位面積当りの塗布量で塗布する第2の塗布手段と、を備えた立体画像プリンタを用いて実施することができる。 このプリンタでは、露光手段が不要であり、装置構成が簡単になる。
    【0026】
    【発明の実施の形態】
    以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
    (第1の実施の形態)
    図1に、本実施の形態に係る立体画像プリンタのシステム構成を示す。 この立体画像プリンタには、ロール状に巻回された銀塩フィルム10を収納する収納部12が設けられている。 また、収納部12から供給された銀塩フィルム10を搬送する搬送ローラ14が、搬送経路に沿って複数配置されている。 これら複数の搬送ローラ14は、図示しない搬送駆動部により駆動される。
    【0027】
    収納部12の搬送方向下流側には、銀塩フィルム10を画像データに応じてレーザ光で走査露光する露光部15、露光後の銀塩フィルム10を現像すると共に現像されたフィルムを定着・漂白処理する現像処理部16、現像処理部16で処理されたフィルムを乾燥する乾燥器18、乾燥後のフィルムにインクを塗布するインク塗布部19、及びフィルムを画像形成領域毎に切断するカッタ20がこの順に配置されている。
    【0028】
    露光部15は、赤色レーザ光源22R、緑色レーザ光源22G、及び青色レーザ光源22Bの3色のレーザ光源、これらレーザ光源から出射されたレーザ光を反射するポリゴンミラー24、及びポリゴンミラー24で反射されたレーザ光が銀塩フィルム10面上で収束するように補正するfθレンズ26を備えている。
    【0029】
    レーザ光源22R、22G、及び22Bとしては、半導体レーザの他、固体レーザ、ファイバレーザ、波長変換固体レーザ、ガスレーザ、面発光レーザ等を使用することができるが、装置の小型化とノイズ低減の観点から、半導体レーザ又は固体レーザを使用するのが好ましい。
    【0030】
    例えば、赤色レーザ光源22Rには600〜700nmの波長範囲で発光する半導体レーザを用い、緑色レーザ光源22Gには500〜600nmの波長範囲で発光する半導体レーザ励起の波長変換固体レーザを用い、青色レーザ光源22Bには450〜500nmの波長範囲で発光する半導体レーザ励起の波長変換固体レーザを用いることができる。
    【0031】
    3色のレーザ光源の各々は、コンピュータ28により制御される図示しない変調駆動装置により変調される。 変調駆動装置として、例えば、電気光学変調器(EOM)等の外部変調器を配置し、この外部変調器を駆動して、レーザ光源からのレーザ光を強度変調することができる。 また、半導体レーザを用いる場合には、外部変調器を用いずに半導体レーザを直接変調駆動してもよい。 なお、コンピュータ28は、メモリ、CPU、ROM、及びRAM等を備えている。
    【0032】
    現像処理部16には、現像液を貯留する現像槽30、定着液を貯留する定着槽32、及び漂白液を貯留する漂白槽34が、搬送方向下流側に向かってこの順に配置されている。
    【0033】
    インク塗布部19は、 図5に示すように、インク噴射により書き込みを行うインクジェット記録方式の書き込みヘッド53を備えている。 インクジェット記録方式としては、公知方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等のいずれも用いることができる。 また、インク濃度を変化させて位相分布を記録する場合には、インク濃度を調節するためのインク濃度調節機構(図示せず)を備えた書き込みヘッド53を使用する。 この書き込みヘッド53は、コンピュータ28から入力される書き込み命令信号に基づいて、図示しない駆動装置により駆動される。
    【0034】
    次に、上記の立体画像プリンタに使用する銀塩フィルム10の層構成を説明する。 図2に示すように、銀塩フィルム10は、いわゆるリバーサルカラーフィルムと同様に、各々感光感度の異なるハロゲン化銀乳剤と色カップラとを含有する複数の感光層を備えている。 支持体36上には、青色光に感度を有する青感光層38、緑色光に感度を有する緑感光層40、及び赤色光に感度を有する赤感光層42が、支持体側からこの順に積層されている。 これら感光層は、ハロゲン化銀乳剤と色カップラとを含有する感光材料をフィルム状の支持体に塗布することにより形成される。 また、各感光層の間には、各感光層の単独感光性を高めるために、色フィルタ等で構成した中間層46が各々挿入されている。 なお、中間層46は省略してもよい。
    【0035】
    青感光層38、緑感光層40、及び赤感光層42(RGB層)は、振幅情報に応じて強度変調された所定波長のレーザ光で露光されて現像後の光透過率が変化し、RGB層の各層には後述する小領域毎に光透過率が変化した色フィルタが各々形成される。
    【0036】
    次に、図1に示す立体画像プリンタを用い、図2に示す銀塩フィルムから立体画像プリント(立体写真)を製造する方法について説明する。 立体画像プリントの製造工程は、大きく分けて露光工程、現像処理工程、及びインク塗布工程から構成されている。
    【0037】
    立体画像プリンタはコンピュータ28により制御されており、図3に示す処理ルーチンに従い銀塩フィルム10が露光される。 まず、ステップ100で、コンピュータ28のメモリから予め用意された立体写真用の画像データが読み込まれる。
    【0038】
    立体写真用の画像データは、立体画像を再生するための位相情報及びRGB各色毎の振幅情報が後述する小領域毎に分割されて表された画像データである。 このような画像データは、例えば、3次元CAD等で設計された3次元データを含む画像情報や、2次元画像からコンピュータによって3次元画像に再構築された3次元データから、フィルム面に対する物体の位置、再生照明光源の位置、視点の位置、フィルムの形状等を考慮して計算により求められる。
    【0039】
    次に、ステップ102で、銀塩フィルム10の搬送を開始する。 即ち、銀塩フィルム10は、赤感光層42側が露光部15と対向するように収納部12から引き出され、所定速度で搬送されて露光部15に供給される。
    【0040】
    次に、ステップ104で、3色のレーザ光源が変調駆動されて銀塩フィルム10が露光される。 図4(A)及び(B)に示すように、銀塩フィルム10の所定露光領域48は、格子状に配列された小領域50毎に紫外レーザ光で露光されると共にRGBいずれか1色のレーザ光で露光される。 例えば、赤色光で露光されるR色領域、緑色光で露光されるG色領域、及び青色光で露光されるB色領域をRGBの順に繰り返し配列し、隣接するRGB3色の領域を1画素としてフルカラー露光することができる。 なお、図4(A)は現像処理後の銀塩フィルムの平面図であり、図4(B)は現像処理後の銀塩フィルムの断面図である。 図4(B)に示す銀塩フィルムには、後述する透明インク層44が設けられている。
    【0041】
    赤色レーザ光源22Rから発せられたレーザ光は、R色の振幅情報に基づいて図示しない変調駆動装置により駆動された図示しない光変調器により強度変調され、強度変調されたレーザ光はポリゴンミラー24面上に集光される。 ポリゴンミラー24により反射されたレーザ光は、fθレンズ26で補正され、赤感光層42で焦点を結ぶように銀塩フィルム10の表面にドット状に収束しR色に対応する小領域が露光される。
    【0042】
    同様に、緑色レーザ光源22Gから発せられたレーザ光は、G色の振幅情報に基づいて強度変調され、緑感光層40で焦点を結ぶようにドット状に収束しG色に対応する小領域が露光される。 また、青色レーザ光源22Bから発せられたレーザ光は、B色の振幅情報に基づいて強度変調され、青感光層38で焦点を結ぶようにドット状に収束しB色に対応する小領域が露光される。
    【0043】
    銀塩フィルム10表面でのレーザ光のビーム径は、高解像度を得るために20μm未満であることがより好ましい。
    【0044】
    ポリゴンミラー24は、図示しないポリゴン駆動部により矢印A方向に所定角速度で回転駆動されているので、銀塩フィルム10表面はポリゴンミラー24で反射されたレーザ光により矢印B方向(フィルム幅方向)に主走査される。 また、銀塩フィルム10は、複数の搬送ローラ14により所定方向に搬送され、搬送方向とは逆方向に副走査される。 このようにして銀塩フィルム10がレーザ光により走査露光され、画像データに応じた潜像が記録される。 なお、上記のポリゴン駆動部、搬送駆動部、及び変調駆動装置は、コンピュータ28により露光に同期して制御される。
    【0045】
    次に、ステップ106で、入力された画像データに応じた露光が終了したか否かを判断する。 露光が終了している場合には、処理ルーチンを終了してフィルムの搬送を停止し、露光が終了していない場合には、ステップ102に戻って次の領域を露光する。
    【0046】
    現像処理工程は、露光後の銀塩フィルム10に記録された潜像を可視化(現像)し、定着・漂白処理する工程である。 現像処理部16に供給された銀塩フィルム10は、搬送ローラ14により搬送されて、現像槽30に貯留された現像液に浸漬されて現像処理された後、定着槽32に貯留された定着液に浸漬されて定着処理され、次に漂白槽34に貯留された漂白液に浸漬されて漂白処理される。 そして、現像処理部16で処理された銀塩フィルム10は、乾燥器18で乾燥される。
    【0047】
    インク塗布工程は、現像処理後の銀塩フィルム10の表面に透明インクを塗布する工程である。 透明インクは、屈折率が1.01以上で且つ可視域で透明なインクである。 また、インクとは、色材(染料又は顔料)を溶剤に溶解又は分散したものである。 立体画像プリンタはコンピュータ28により制御されており、 図7に示す処理ルーチンに従い透明インクが塗布される。
    【0048】
    まず、ステップ200で、コンピュータ28のメモリから予め用意された立体写真用の画像データが読み込まれる。 次に、ステップ202で、露光に伴う収縮等によりRGB層の露光量に応じて屈折率等が変化して光路長が変化することを考慮し、RGB層による光路長変化と透明インク層による光路長変化とにより目的の位相変調量が得られるように、後述するインク濃度を算出する。
    【0049】
    次に、ステップ204で、銀塩フィルム10の搬送を開始する。 即ち、銀塩フィルム10は、赤感光層42側が書き込みヘッド53と対向するように所定速度で搬送されてインク塗布部19に供給される。
    【0050】
    次に、ステップ206で、図4(B)に示すように、インク塗布部19に供給された銀塩フィルム10上に、書き込みヘッド53を用いて格子状の小領域50毎に透明インクが塗布される。 このとき、インク塗り厚さを一定にして、小領域毎に塗布するインクの濃度、即ち、インク中の色材濃度を変えることにより、小領域毎にインク濃度が変化した透明インク層44が形成される。 インク塗り厚さを一定にするので、透明インク層44の表面が平滑になって、凹凸形状による余計な光の散乱が減少し、鮮明なホログラムが再生される。 インク濃度は、例えば、濃度の異なる2種類のインクを用意し、2種類のインクの混合比を変えることにより調整することができる。
    【0051】
    書き込みヘッド53は、図示しないキャリッジに保持され、図示しないガイドにより矢印C方向に往復移動されているので、銀塩フィルム10表面は矢印C方向(フィルム幅方向)に主走査される。 また、銀塩フィルム10は、複数の搬送ローラ14により所定方向に搬送され、搬送方向とは逆方向に副走査される。 このようにして銀塩フィルム10が書き込みヘッド53により走査され、画像データに応じた濃度の透明インクが塗布される。
    【0052】
    次に、ステップ208で、入力された画像データに応じた書き込みが終了したか否かを判断する。 書き込みが終了している場合には、処理ルーチンを終了してフィルムの搬送を停止し、書き込みが終了していない場合には、ステップ202に戻って次の領域の書き込みを開始する。 書き込み終了後、インク塗布部19で透明インクが塗布された銀塩フィルム10は、カッタ20により画像形成領域毎に切断される。
    【0053】
    銀塩フィルム10の現像処理により、画像データに応じた露光量で露光されたRGB層の露光部分、即ち、小領域の各々が、露光強度に応じた濃度で発色するので、RGB層の各層に濃度(光透過率)分布が形成される。 1つの小領域を積層方向について見ると、RGB層の何れか1層だけが発色するので、RGB層の各層は各層に対応する色(波長帯域)の光を選択的に透過する色フィルタになる。 これにより、RGB層は、透過光の振幅を波長帯域に応じて変調するRGB3色の色フィルタが積層されたフィルタ層となる。 また、インク塗布により、小領域毎にインク濃度が変化した透明インク層44が形成される。 インク濃度に応じて屈折率が変化し、屈折率に応じて光路長が変化するので、透明インク層44は透過光の位相を変調する位相変調層となる。
    【0054】
    従って、インク塗布後の銀塩フィルム10(立体画像プリント)に支持体36側から白色光を照射すると、フィルタ層(現像後のRGB層:青感光層38、緑感光層40、及び赤感光層42)により小領域毎にRGB光が各々異なる割合で吸収されて透過波長が選択されると共に振幅が変調され、位相変調層である透明インク層44により位相が変調されて、透過光が射出される。 これによりフルカラーの立体画像が再生される。 即ち、 図6に示すように、立体画像プリントで光が回折され、透過光の位相及び振幅が変調されて3次元物体の物体光の波面が再生される。 このため観測位置により異なる形状の3次元物体像が観測される。
    【0055】
    以上説明した通り、本実施の形態では、インクジェット記録ヘッドにより位相情報に応じて濃度の異なるインクを塗布し、小領域毎にインク濃度が変化した位相変調層を形成するので、位相変調層については露光・現像処理が不要で位相変調量の調整が容易となり、高画質な立体画像を得ることができる。 また、干渉縞を書き込むのではなく、位相情報をドット状に書き込むので、書き込み装置が簡単になり安定に波面を再生することができる。
    【0056】
    また、本実施の形態では、感光材料に安価で高感度の銀塩フィルムを使用しているので、低出力レーザ光源で画像データを書き込むことができると共に、立体画像を安価に作成することができ、パーソナル・ユースに供することができる。
    【0057】
    また、本実施の形態では、銀塩フィルムにレーザ光源を用いて画像データを書き込むので、印画紙へのデジタル露光と同様の方法、装置を用いて振幅情報を記録することができる。 また、レーザ光のビーム・ウエストを絞ることにより高解像度で露光を行うことができる。
    【0058】
    更に、本実施の形態では、レーザ露光によりRGB層にRGB各色毎の色フィルタを形成するので、 以下で説明するように色分解フィルタを貼り合わせる必要が無く、立体画像プリントの製造工程が簡単になる。 また、干渉縞を書き込むのではなく、RGB層の各層に各色毎に振幅情報をドット状に書き込むので、ゴースト画像の無いカラーホログラムが形成される。
    【0059】
    なお、本実施の形態では、青感光層、緑感光層、及び赤感光層の3つの感光層が支持体側からこの順に積層されている銀塩フィルムを使用したが、感光層の配列順序はこの順序には限定されない。
    【0060】
    また、本実施の形態では、インク塗り厚さが一定で小領域毎にインク濃度が変化した位相変調層を形成したが、位相変調層は光路長変化により位相を変調することができればよく、屈折率及び厚みの少なくとも一方が変化すればよい。 従って、インク濃度が一定で小領域毎にインク塗り厚さが変化した位相変調層を形成してもよい。 インク塗り厚さを変化させる場合には、インク濃度を変化させる場合のように、インクジェットヘッドにインク濃度調整機構を設ける必要がなく、装置構成が簡単になるという利点がある。 例えば、インク噴射量を制御して、小領域毎に塗布するインク量を変えることにより、小領域毎にインク塗り厚さが変化したインク層を形成することができる。 インク塗り厚さに応じて光路長が変化するので、このインク層は透過光の位相を変調する位相変調層となる。
    【0061】
    また、小領域毎にインク濃度とインク塗り厚さの両方が変化する位相変調層を形成してもよい。 更に、インク濃度が一定で小領域毎にインク塗布割合が変化した位相変調層を形成してもよい。 インク塗布割合及び上記のインク塗り厚さは、広い意味で、単位面積当り塗布されるインク量を表すが、インク塗布割合は、詳しくは、所定領域中でインクが塗布される面積の割合を意味する。 この割合を変化させることで、その領域の平均光路長を変化させることができる。
    【0062】
    第2の実施の形態)
    第2の実施の形態では、インクジェット記録方式により、フィルタ層及び位相変調層の両方を形成する例について説明する。 図8に、本実施の形態に係る立体画像プリンタのシステム構成を示す。 この立体画像プリンタには、ロール状に巻回された透明フィルム60を収納する収納部62が設けられている。 また、収納部62から供給された透明フィルム60を搬送する搬送ローラ64が、搬送経路に沿って複数配置されている。 複数の搬送ローラ64は、図示しない搬送駆動部により駆動される。
    【0063】
    収納部62の搬送方向下流側には、透明フィルム60に画像データに応じてインクを塗布するインク塗布部66、及びフィルムを画像形成領域毎に切断するカッタ67がこの順に配置されている。
    【0064】
    インク塗布部66は、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のカラーインク(CMYインク)を各色毎に対応するノズルから噴射して書き込みを行う書き込みヘッド68と、透明インクを噴射して書き込みを行う書き込みヘッド70とを備えている。 これら書き込みヘッド68、70は、コンピュータ72から入力される書き込み命令信号に基づいて図示しない駆動装置により駆動される。
    【0065】
    透明フィルム60としては、例えば、ポリエチレン・テレフタレート(PET)フィルム等の透明樹脂フィルムを用いることができる。
    【0066】
    次に、 図8に示す立体画像プリンタを用いて、立体画像プリントを製造する方法について説明する。 立体画像プリンタはコンピュータ72により制御されており、 図9に示す処理ルーチンに従い透明フィルム60にCMYインク及び透明インクが塗布される。 まず、ステップ300で、コンピュータ72のメモリから予め用意された立体写真用の画像データが読み込まれる。 立体写真用の画像データは、1画素のRGB各色について、立体画像を再生するための位相情報及び振幅情報が小領域毎に分割されて構成されている。
    【0067】
    次に、ステップ302で、CMYインクのインク濃度及び塗り厚さに応じて屈折率及び厚みが変化し光路長が変化することを考慮し、CMYインクによる光路長変化と透明インクによる光路長変化とにより目的の位相変調量が得られるように、塗布する透明インクのインク濃度を算出する。
    【0068】
    次に、ステップ304で、透明フィルム60の搬送を開始する。 即ち、透明フィルム60は収納部62から引き出され、所定速度で搬送されてインク塗布部66に供給される。 次に、ステップ306で、インク塗布部66に供給された透明フィルム60上に、 図10に示すように、書き込みヘッド68を用いて小領域毎にCMYインクを塗布すると共に、CMYインクが塗布された小領域に透明インクを塗布するように配置された書き込みヘッド70から透明インクを塗布する。
    【0069】
    書き込みヘッド68により格子状に配列された小領域毎にCMYいずれか1色のインクが塗布されて、所定の色分布を有するCMYインク層74が形成される。 即ち、R色の振幅情報に基づいてインク噴射量を制御して透明フィルム60の表面にドット状にC色インクを塗布し、同様にG色の振幅情報に基づいてM色インクを塗布し、B色の振幅情報に基づいてY色インクを塗布する。 例えば、C色インクが塗布されるC色領域、M色インクが塗布されるM色領域、及びY色インクが塗布されるY色領域をCMYの順に繰り返し配列し、隣接するCMY3色の領域を1画素としてフルカラー記録することができる。
    【0070】
    このとき、インク塗り厚さを一定にして小領域毎に塗布するインク濃度(インクの色材濃度)を変えることにより、小領域毎に色材濃度が変化したCMYインク層74が形成される。 色材濃度に応じて光透過率が変化するので、CMYインク層74は、透過光の振幅を各色毎に変調するフィルタ層となる。 なお、CMY各色のインク濃度を一定にして小領域毎にインク塗り厚さを変え、インク塗り厚さに応じて光透過率を変化させてもよい。
    【0071】
    書き込みヘッド70により透明インクが塗布されて、小領域毎にインク濃度が変化した透明インク層76が形成される。 インク濃度に応じて屈折率が変化し、屈折率に応じて光路長が変化するので、透明インク層76は、透過光の位相変調量の空間分布を有し、透過光の位相を変調する位相変調層となる。
    【0072】
    書き込みヘッド68、70は、各々、図示しないキャリッジに保持され、図示しないガイドにより矢印C方向に往復移動されているので、透明フィルム60表面は矢印C方向(フィルム幅方向)に主走査される。 また、透明フィルム60は、複数の搬送ローラ64により所定方向に搬送され、搬送方向とは逆方向に副走査される。 このようにして透明フィルム60が書き込みヘッド68、70により走査され、画像データに応じてインクが塗布される。
    【0073】
    次に、ステップ308で、入力された画像データに応じた書き込みが終了したか否かを判断する。 書き込みが終了している場合には、処理ルーチンを終了してフィルムの搬送を停止し、書き込みが終了していない場合には、ステップ202に戻って次の領域の書き込みを開始する。 インク塗布部66でインクが塗布された透明フィルム60は、カッタ67により画像形成領域毎に切断される。
    【0074】
    インク塗布後の透明フィルム60(立体画像プリント)にフィルム側から白色光を照射すると、フィルタ層であるCMYインク層74により小領域毎にRGB光が各々異なる割合で吸収されて透過波長が選択されると共に振幅が変調され、位相変調層である透明インク層76により位相が変調されて、透過光が射出される。 これによりフルカラーの立体画像が再生される。
    【0075】
    以上説明した通り、本実施の形態では、インクジェット記録ヘッドを用いて画像データを書き込むので、インクジェット・プリンタと同様の方法、装置を用いて簡便に計算機ホログラムを記録することができる。 また、干渉縞を書き込むのではなく、インクジェット記録ヘッドにより位相情報、振幅情報をドット状に書き込むので、書き込み装置が簡単になり安定に波面を再生することができると共に、ゴースト画像の無いカラーホログラムが再生される。 特に、位相情報に応じて濃度の異なる透明インクを塗布し、インク濃度に応じて屈折率を変化させて位相変調層を形成するので、露光・現像処理を行う場合と比較して位相変調量の調整が容易となり、高画質な立体画像を得ることができる。
    【0076】
    なお、第1の実施の形態と同様、小領域毎にインク塗り厚さが変化する位相変調層や、小領域毎にインク濃度とインク塗り厚さの両方が変化する位相変調層を形成してもよい。 また、小領域毎にインク塗布割合が変化する位相変調層を形成してもよい。 また、上記では、CMYインク及び透明インクの4色のインクを使用したが、更にブラック(B)インクを加えるなど、5色以上のインクを使用することもできる。
    【0077】
    以下に本発明の他の応用例について説明する。
    【0078】
    上記の第1 及び第2の実施の形態では、銀塩フィルムをレーザ露光して振幅情報を記録する例やCMYインクを塗布して振幅情報を記録する例について説明したが、熱昇華ペーパ、感熱紙等の感熱記録材料等を用い、熱により振幅情報を記録することもできる。
    【0079】
    また、上記の第1 及び第2の実施の形態では、透過型の立体画像プリントを用いてレーザ・プロジェクタ等で投影画像を得る例について説明したが、フィルムの支持体側にアルミニウム等の金属薄膜を貼り付けることにより、反射型の立体画像プリントとしても使用することができる。 また、立体画像プリントは、3次元画像の表示以外に、光情報通信における光変調器として使用することができる外、位相変調層のみを用いて光の位相波面歪み補償フィルムとして使用することもできる。
    【0080】
    また、上記の第1 及び第2の実施の形態では、フィルムをレーザ光で走査露光する例について説明したが、例えば、ビーム径を広げたレーザ光を、液晶、マイクロミラー・アレイ等の空間光変調器を用いて変調し、フィルムの所定面積の領域を同時に露光(面露光)してもよい。 また、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子アレイ等のレーザ以外の発光素子アレイを用いてもよい。 面露光を行うことで露光時間が短縮され、露光精度が向上する。 また、レーザ光で露光する代わりに、近接場光で露光することもできる。
    【0081】
    また、上記の第1 及び第2の実施の形態では、インクジェット記録方式により位相変調層を形成する例について説明したが、顔料を樹脂バインダー中に分散させたトナーをゼログラフィーにより定着する、顔料を樹脂中に分散させた光硬化性樹脂を光硬化して硬化樹脂層を形成する、等により位相変調層を形成することもできる。
    【0082】
    また、光硬化性インクを用い、インク塗布と光照射とを連続的に行なうことにより、塗布されたインクが広がる前に硬化され、小さなドットを形成することが可能になる。 これにより高密度で記録を行なうことができる。 更に、インク層表面に、インク層との屈折率差が大きくなるようにインク層とは異なる組成の透明材料をコーティングすることにより、透明インクの塗り厚を薄くすることができる。
    【0083】
    また、 図11に示すように、透明フィルム60の表面に、小領域とこれに隣接する小領域とを隔てる仕切り78を設けることができる。 小領域の周囲に仕切り78を設けることにより、インクが仕切り78を超えて広がり難くなり、インク滲みが防止される。 なお、この例では、透明フィルム60上に、透明インク層76、CMYインク層74がこの順に積層されている。 即ち、透明フィルム60上に、書き込みヘッド70を用いて小領域毎に透明インクを塗布すると共に、透明インクが塗布された小領域にCMYインクを塗布するように配置された書き込みヘッド68からCMYインクを塗布して、透明インク層76及びCMYインク層74を形成する。
    【0084】
    【発明の効果】
    本発明の立体画像プリントの製造方法及び立体画像プリンタによれば、高画質で違和感の無いカラーの立体画像を再生する立体画像プリントを簡便に製造することができる、という効果を奏する。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】第1の実施の形態に係る立体画像プリンタのシステム構成を示す概略図である。
    【図2】第1の実施の形態で使用する銀塩フィルムの層構成を示す断面図である。
    【図3】第1の実施の形態に係る立体画像プリンタを使用した場合の露光工程の処理ルーチンを示すフローチャートである。
    【図4】第1の実施の形態での銀塩フィルムの露光方法及びインク塗布方法を説明するための図であり、(A)は現像処理後の銀塩フィルムの平面図、(B)はインク塗布時の銀塩フィルムの断面図である。
    【図5】 第1の実施の形態に係る立体画像プリンタのインク塗布部の構成を示す概略図である。
    【図6】 現像処理後の銀塩フィルムを用いて3次元物体像を観測する様子を示す図である。
    【図7】 第1の実施の形態に係る立体画像プリンタを使用した場合のインク塗布工程の処理ルーチンを示すフローチャートである。
    【図8】 第2の実施の形態に係る立体画像プリンタのシステム構成を示す概略図である。
    【図9】 第2の実施の形態に係る立体画像プリンタを使用した場合のインク塗布工程の処理ルーチンを示すフローチャートである。
    【図10】 第2の実施の形態でのインク塗布方法を説明するための図である。
    【図11】 透明フィルムの表面に小領域と隣接する小領域とを隔てる仕切りを設けた構成を示す概略図である。
    【符号の説明】
    10,10A 銀塩フィルム12,62 収納部14,64 搬送ローラ15 露光部16 現像処理部18 乾燥器19,66 インク塗布部20,67 カッタ22R 赤色レーザ光源22G 緑色レーザ光源22B 青色レーザ光源24 ポリゴンミラー26 fθレンズ28,72 コンピュータ30 現像槽32 定着槽34 漂白槽
    36 支持体
    38 青感光層40 緑感光層
    42 赤感光層
    44 透明インク層
    46 中間層48 露光領
    0 領域53,68,70 書き込みヘッド60 透明フィルム74 CMYインク層76 透明インク層78 仕切り